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図書館スタッフおすすめ本

 

2017/06/01

初恋は実らずか・・・

| by 図書館
 『石田三成の青春』 松本 匡代/著 サンライズ出版 (市立・成人 913.6/マツ/16)

 戦国武将石田三成と大谷吉継の友情をテーマに書かれた小説。三成が豊臣秀吉の家臣になるところから始まり、吉継とともに豊臣家を守るため、徳川家康を討つことを決断するところで終わっている。

 この小説には、人権的な視点で、友情を考えさせられる内容が語られている。秀吉主催の茶会の席で、一つの茶碗を数名で回し飲みする催事でのこと。大病を患い、目と口は出ているが、頭巾で顔を覆っている吉継の飲んだ茶を、隣の武将数名は、茶碗に口をつける真似をするだけで飲まなかった。ところが、三成は、自分のところに茶碗がくると一気に飲み干した。

 周りの武将は、吉継のことを姿形や風評で判断して、忌み嫌う。当時、病気の知識はなかったにせよ、美辞麗句を並べ立てて、吉継を心配するふりをする武将より、幼馴染みで、気心の知れた三成のとった自然な振る舞いの方が、吉継にとって、どれほど温かく、そして頼もしく感じたことだろう。友情という絆が、より一層強く深くなったことを彷彿とさせてくれるエピソードである。

 また、著者の創作した人物「おもよ」との恋の場面では、三成は、初恋は実らないものと身をもって知る。戦や政治から離れた三成のプライベートな部分が、女性目線の見事な筆致で書かれていて、彼の新たな一面を想像させてくれる。これが、この小説の魅力の一つとなっている。

 現代に置き換えても、十分に通じる内容満載歴史ドラマを、ぜひご一読ください。
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