ひとりぼっちは怖くない

『孤独ぎらいのひとり好き』 田村 セツコ/著 興陽館(市立・成人 726.5//20)

  

『孤独ぎらいのひとり好き』というタイトルを見て、「私のことだ……!」と衝撃を受けて手に取りました。
 実家を離れて一人暮らし。初めは意気込んで始めた一人暮らしですが、だんだんと寂しさが募っていた時でした。
 テレビもついているしエアコンの音もする。それなのに何故かシーンとしていて、涙がぽろっと出てしまう夜がありました。「私はこの世界でひとりぼっちになったのかな」と思うくらい“孤独”を感じていました。
 でも、実家に帰ると美味しいご飯が出てきて、くだらないことで家族と笑いあって、飼い猫は嫌々ながらも撫でさせてくれる。それに、夜中でも電話に付き合ってくれたり、休日には一緒に遊んでくれたりする友達もいる。
 それに気づいた瞬間、「私はひとりぼっちじゃなかったんだ!」と胸がいっぱいでした。
 そうかと思えば、一人で新幹線に乗ってふらっと出かけるのは何てことはないのです。何なら、「一人って最高に楽しい♪」くらいに気楽に感じます。
 最近、こんな風に“孤独”は嫌だけど“一人”は好きな私って変?と考えていましたが、そもそも孤独を感じない人間なんかいないんだな、とこの本を読んで思いました。
 誰でも孤独は感じている。けれど、他の誰かに寄りかかっているだけではダメで、一人で立つ練習もしなくてはいけない。
 私にとって、そんな人生の目標が出来た素敵なエッセイでした。