図書館スタッフおすすめ本
図書館スタッフおすすめ本
ペーパードライバーを抜け出したい!
『脱ペーパードライバー』 森下 えみこ/著・イラスト 沢村 秋岳/監修 ナツメ社 (市立・成人 537.8//22)
私はペーパードライバーです。「抜け出さないといけないな」と感じつつも、一歩を踏み出せない毎日。
それが積み重なって、結局運転から遠ざかっています。
そんな時に目に留まったのが、この本です。
序章から6章まで分かれていて、最後に上達チェックポイントもあります。
ストーリー仕立てで進んでいくので、スルスルと読み進めることができます。
「実際の教習内容を、体験マンガでわかりやすくまとめました。」とある通り、教習を受けているかのように読めるので、読みやすかったです。
驚いたのは、「序章/もう一度ハンドルを握りたい!」を開いてすぐの、「『乗りたいクルマ』と『運転しやすいクルマ』は違う!!」というページです。
私もペーパードライバーながら「乗りたいクルマ、憧れのクルマ」はあるのですが、「運転のしやすさ」までは考えていませんでした。
確かに、運転しやすいクルマのほうが安心できますね。
他にも、ポイント・テクニック等、様々なことが載っていて、運転の不安が解消されました。
ペーパードライバーからの脱却に、一歩近づけた気がします。
ペーパードライバーの方、運転を復習したい方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
憧れの図書館
『北欧の美しい図書館』 小泉 隆/著 エクスナレッジ (市立・成人 010.2//24)
新図書館整備の話が出ているタイミングで図書館勤務になったので、市立図書館内にある美しい写真で構成された図書館の本や図書館ができるまでのことが書いてある本を読んだり、国内30か所以上の図書館を訪れたりして、四日市だったらああしたい、こうしたいと日々夢を膨らませている。
この『北欧の美しい図書館』では、デンマーク・スウェーデン・フィンランド・ノルウェーの各地の図書館の中から、上層階に大きな吹き抜けがあり町が一望できる図書館、静かに落ち着いて過ごしたい大人のためのスペースだけでなく、子どものためのスペースも確保されている図書館など、空間の使い方が素敵な選りすぐりの図書館が紹介されている。たくさん掲載されているのに同じ形のものはなく、個性的な図書館の写真と説明がいっぱいなので、見ているだけでワクワクする。
皆さんも、四日市にどんな新図書館がほしいか、イメージを膨らませてみませんか?
私でも簡単にできる災害対策
『プチプラで「地震に強い部屋づくり」』 辻 直美/著 扶桑社 (市立・成人 369.3//22)※よっかいち電子図書館にも所蔵あり
先日、神戸で開催された阪神淡路大震災の教訓を若い世代の目線で伝えるフォーラムに行ってきた。さまざまな切り口で考えられたプログラムからたくさんの気づきがもらえ、我が家の備蓄・ローリングストック、部屋の震災対策について見直す好機会となった。
災害用トイレ、カセットコンロ、米、水、レトルト食品等備蓄しているつもりだが、量は適正なのか? 転倒防止対策はしているけど後は何をしておくといいのか? といくつか疑問に思い、手に取ったのがこの本、『プチプラで「地震に強い部屋づくり」』。
著者の阪神淡路大震災や大阪府北部地震の実体験をもとに、死なない、ケガしないための部屋づくり、ものを増やさずに災害に備える、などの章立てで、私が知りたかったことがたくさん紹介されていた。手軽な材料での地震に強い部屋づくりや、著者の備蓄品リストや防災リュックの中身などが載っていて、今後の買い足しの参考にできる、おすすめの1冊だ。
この本は、市立図書館とよっかいち電子図書館にあります。
よっかいち電子図書館の利用はこちらから。
ぶつぶつ言うどうぶつたち
『どうぶつぶつ』 たちばな れんじ/写真 リリー・フランキー/ことば パルコエンタテイメント事業部 (市立・成人 748//12)
どうぶつの写真にセリフをつけくわえた本。
パンダのセリフに、おや?君もなかなかだよと思ったり、ダチョウのセリフに修羅場を想像したりと、聞くと場面を想像してしまう癖の強い言葉を、動物に言わせるシュールな面白さがある。
珍しいのは、どうぶつの写真が全部真正面なところ。
横から見るのと違って、スリムな顔立ちやイカツイ顔立ちをしていたんだと発見もあり、癒されながら含み笑いできる一冊です。
これからのために歴史を学ぶ
『総点検・日本海軍と昭和史』 半藤 一利・保阪 正康/著 毎日新聞社(市立・成人 397.2//14)
最近、世界各地で起きる戦争や武力衝突のニュースを見ることが多くなりました。
では自分の国はどうなのか、なぜ今から80年ほど前多くの人命が失われる太平洋戦争が起きたのかを知るきっかけになればと思い、読み始めたのがこの本です。
本作は、昭和史の大家2人が日露戦争直後から戦艦大和の特攻までの流れについて語り、最後に昭和期の主だった海軍軍人たちを、評価していく対談形式をとっています。
当事者である軍人たちの証言も多数取り上げられており、人物たちの長所や欠点、いつどのタイミングでどんな決断をしたかがわかりやすくなっています。
そのため、太平洋戦争が始まるまでのプロセスだけでなく、際限のない軍備の拡張、組織内の対立や権力争い、現実を見ず過激な主張を行う強硬派の登場、異なる意見を持つ人たち(この場合は国際協調を重視する海軍の一派)の排除といった現代にも通じる問題が存在したことを、学ぶことができます。
昭和期の陸軍に元々良い印象をもっておらず、太平洋戦争の回避や終戦のため活躍した人々に海軍出身者が多かったこともあり、「陸軍と比べて海軍の方が良かったのでは?」などとボンヤリ思っていた私としても、反省を促される体験になりました。
また、特に印象に残ったのが、作者2人が様々な証言を取り上げる中、戦争に至った自分の責任を認めていなかったり、作戦の失敗など都合の悪い部分を避けていることに触れるなど、歴史の当事者として十分な責任を果たしていない人たちがいることを、何度も指摘していることでした。
人間は成功体験より失敗から学ぶべきことの方が多い。
過去、現在の戦争について学び、起きるかもしれない戦争をどうすれば避けられるのかを、考えるきっかけになる一冊です。
本作は海軍の失敗について取り扱っていますが、昭和陸軍の失敗を扱った本として、以下の書籍も併せてお勧めしたいです。
『ノモンハンの夏』 半藤 一利/著 文芸春秋(市立・書庫 210.7//)
てこの原理を使える大人はカッコイイ
『道具のブツリ』 田中 幸・結城 千代子/文 大塚 文香/絵 雷鳥社 (市立・展示 420.4//23)
大きさ20×10×2㎝。コデックス装。表紙にはかわいいハサミの絵。そしてタイトルは『道具のブツリ』。
物理と言われ思い浮かぶのは、てこの原理、りんご、慣性の法則、フレミングの法則をかたちづくる左手・・・という具合の私ですが、この本を知ったとき、とてもわくわくしました。
ハサミ、ざる、スプーン、ゼムクリップ、箸などのしくみを、物理の視点から解説してくれるというのです。ねっ、わくわくしますでしょう?
実際最後まで楽しい読み物として読み進めることができました。
本書まえがきの中に「物事の理(ことわり)であるブツリ」という表現が出てきます。そのように考えると物理がグンと日常のものに感じられます。
なお、3月23日(日曜日)まで、2階展示コーナーでは、「やわらかいサイエンス」と題して、身の回りにある科学の本を紹介しています。ご紹介した『道具のブツリ』もその1冊です。
他にもたくさんの本を紹介していますので、ぜひお立ち寄りください。
沼ハマ注意!味で楽しむ韓ドラの世界へようこそ!
『韓国ドラマ食堂 あの名シーンを食べる!』 本田朋美・八田靖史/著 西村オコ/絵 (市立・成人 596.2 //21)
韓国ドラマにはまってウン十年。ドラマを見て、実際に現地を訪れたり、文化や歴史などにも関心がありますが、やはり一番興味が湧いたのは”食文化”です。
どんな食材を使っているのか、どんな味がするのかなど、ドラマを見るたびに気になっていました。
そんな韓国好きな私が紹介するこの本は、日本でも手に入りやすい食材や調味料などを使いながら分かりやすい手順で書かれていて、料理初心者の方にもおススメで、とても美味しそうな料理がいっぱいです。
また、世界でも大ブームになった、「梨泰院クラス」の看板料理のスンドゥブチゲや、「愛の不時着」のトウモロコシ麺なども紹介されています。
料理にちなんだ小ネタやうんちくなどのコラムも載っているので、韓国ドラマガイド本としても楽しめます。
この本を読んで、まだまだ見ていないドラマも沢山あることを知りました。ぜひ皆さんも韓国ドラマ料理の世界をお楽しみください。
多面体で存在する楽しさと幸せ
『愛と美の法則』 美輪 明宏/著 パルコエンタテインメント事業局 (成人・書庫 767.8//09)
心が豊かになれる内容である。それに読みやすい字の大きさだ。新聞を読むには0.6の視力がいるそうだが、私にはありがたい字の大きさだし、美輪さんの著書はどれも豊富な絵、写真、色彩、優しくてあたたかなレイアウトで、なによりその感性から紡ぎだされる言葉に、とても豊かで優しい気持ちになれる。現在はAIが驚愕のスピードで進化して、人間よりはるかにうまく文章を書いたり、絵を描いたり、受け答えはスムーズで、果ては作詞・作曲もする時代になって、近未来は人間をコントロールするように計画されているとかいないとか。。。
未来がそのようになるのが確実であっても、美輪さんのような「感性」が人間にとって一番大切なものだと信じているのは私だけではないはずで。。。
叶うものなら、時の彼方からそういう未来人を見ていたい。
行って、帰って、話すということ
『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ/著 上田 真而子、佐藤 真理子/訳 岩波書店 (市立・児童 /943//11)
読書会がしたい、となにげに思って以来、読書会ってなにをするものなの? とことあるごとにかんがえている。
答えはぜんぜんまとまらない。でもそれでいいか、とも思っている。まとまりがないものに対するために本を読むのに、そのための時間にまとまりのある効果を期待するほうが、へんだ。
それに「話したい!」という衝動の部分なら、もうよくわかっている。まずそれを共有するところから、わくわくする読書会をはじめればいいんじゃない? ……というあたりまで考えたところで、ん、このかんじ、知ってるぞ、と思った。かなり具体的に、こういう本があった気がする——そうだ、『はてしない物語』だ。
主人公のバスチアンは、本屋から盗んできた不思議な本「はてしない物語」を読み進めるうち、物語の中の世界・ファンタージェンに入り込んでしまう。
まっさらな世界の創造主として、あらゆるものに名前を与えていくバスチアン。やがてその力におごり、上り詰め、転落し、自分の名前も忘れて……どうなるのかは、もちろん書かない。元の世界には帰って来る。でもどうやって帰って来るかは書かないし、書けない。
物語の最後、ファンタージェンに行って帰ってきたもうひとりの人が出て来て、こう言う。
「おたがいの経験したことをはなしあおうよ。こういうことをはなしあえる人間はそうたくさんはいないから。」
これじゃないだろうか、読書会って。それぞれがある本を読んでたどった道のりをはなしあう。聞きあう。そうしてなにか、まとまらないもろもろのことを、たしかめあう。そういう積み重ねで、集まったそれぞれの人の深い、深いところにあるなにかを、回復しあう——そういうのが、読書会なんじゃないだろうか。
いつかもし、ほんとうに読書会をやることになったら、『はてしない物語』から始めてみたい。物語が求める必要なだけの時間を物語と過ごす、それだけのことがこんなにも失われる世の中になるなんて思わなかったけれど、だからこそ『はてしない物語』から始めたいし、もしあなたが読んだなら、ぜひ、おたがいの経験したことをはなしあいましょう。そういうことをはなしあえる人間もそうたくさんいなければ、そういうことをはなしあえる時間も、そうたっぷりとはないんですから。
知りたい!スズメの世界
『にっぽんスズメ歳時記』 中野さとる/写真 カンゼン (市立・成人 488.9//24)
私がスズメの可愛さに気づいたのは大学生の時でした。
海外で見たスズメはスリムでシュッとしていて強そう。帰国後に見た日本のスズメはフクフクで丸っこくてとっても可愛い!
以来、スズメを見かけるたびに目で追ってしまいます。今秋、我が家の庭にやってきたスズメたちはムラサキシキブの実に夢中。何羽も横に並んで、順番に啄んでは全て食べ尽くしていきました。
この本では、スズメの写真がたくさん掲載されているだけでなく、スズメの生態、世界各地のスズメ、人間との共存方法まで、スズメについての知りたい!が詰まっています。
あまりに身近な鳥で、普段気にしたことのない人が多いスズメ。
ぜひこの本を読んで、スズメを観察してみてください。