図書館スタッフおすすめ本

図書館スタッフおすすめ本

幸せなおやつ時間

『志麻さんちのおやつ』 タサン志麻/著 NHK出版(市立・成人 596.6//25)


予約のとれない伝説の家政婦 タサン志麻さんの、家庭でつくるお菓子のレシピ本が素敵です。少ない材料で、手軽に出来るものや、工程が少なく簡単にできるレシピで、作りやすいものばかりです。子どもと一緒に作れるくらいシンプルで簡単なレシピです。
バターは有塩でも無塩でもいい!型がなくても大丈夫!チョコレートは市販の板チョコでOK!キレイじゃなくても、ちょっとくらい失敗してもいい!
フランス仕込みの家庭のおやつは、実にザックリなのにとっても魅力的です。
大人も子どもも笑顔になれる家庭のためのおやつ50品を紹介しています。

 

子どもたちと自由に楽しくつくって、みんなで笑顔で味わえたらとっても幸せなおやつ時間になると思います。

地球を知る

『地球史マップ』 クリスティアン グラタルー/著 藤村 奈緒美・瀧下 哉代/訳 日経ナショナルジオグラフィック(市立・成人 450//24)


 黒地に青い地球。この宇宙から見たような地球の表紙に惹かれ手に取ってみた。
パラパラとページをめくると地球誕生・構造、生命の歴史。またヒトという動物の誕生による地球の地質や気候、資源、生物、社会の変化など人類と地球のかかわりについて書かれている。
 例えば、地球の核が生み出す地磁気が「盾」となり、生物を太陽の熱や宇宙線から守っている。地球は、太陽との距離や気圧により水が液体として存在できるハビタブルゾーンに入る唯一の太陽系の惑星であること。深層海流の平均速度は1㎜毎秒で、地球を1周するのに1000年かかることや、海水には太陽エネルギーとCO2を吸収し気候変動を緩和する役割があるが、昨今の温室効果ガスの排出による気温上昇を緩和するため、海水が熱吸収するので海面温度が上がっていることなどである。  
この1冊には地球のこと、また地球とヒトとの関りを社会、地理、生物などの視点から解説されており、「そうだったのか!」が溢れていた。
 百科事典のように全頁が、わかりやすい図や表で表現されパラパラ見ているだけでも面白い。また関連ページの表記や索引もあり、興味のある1ページからどんどん広がっていく1冊である。

書は捨てず、路上に出る

『路上観察学入門』 赤瀬川 原平ほか/編 筑摩書房(市立・書庫 304//86)

 

皆さんは日ごろ道を歩いていて、不思議と目を引くものを見つけた経験はありますか?
私は最近、とある工場の壁の2階に階段も梯子もない奇妙なドアを見つけました。
建築物などに付属しており、実用的には用をなさずそれでいて美しく保存されているものをトマソンと言うそうです。
そのトマソンを最初に提案した赤瀬川原平ほか様々な方たちの執筆物、対談、インタビューなどを集めたのが本作です。

 

タイトルにもなっている路上観察学は、先ほどのトマソンも含め、マンホールのふた、高校の制服、道のわきのドブ板の曲がり方、果ては自宅アパートのお手洗いの窓から見える他の部屋の住民の様子まで様々なものを対象としているということで、本作でも多くの事例や報告が挙げられています。
川に流れているゴミの観察記録など、一見「くだらない」「どこが学問?」となりそうですが、調査報告書や観察の方法・注意点には熱量を感じ、目の前の出来事に関心を持つこと、それを観察、記録するというのは立派な学問への入り口であると真面目に考えてしまいました。

 

ちなみに見つけたドアについては、過去どういう用途であったのかはいまだわかっていません。
毎日見慣れた場所でも、少し見方を変えれば面白いものがあるし、知的好奇心の入口になると教えてくれる一冊です。

【募集は終了しました】「おもしろいエッセーって…」 読書に関するエッセー募集中!

『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』 kemio/著 KADOKAWA (市立・成人 779.9/ /19)

 

エッセーコンクールの担当として、たくさんのエッセーを読む機会をいただいています。
昨年の応募総数は164作(ありがとうございます!)! それだけのエッセーを読むと、「自分はエッセーの、どういうところをおもしろいと感じているんだろう?」と考えるようになりました。

 

思うにエッセーのほとんどは、「書き手に起こったこと」と「それを経て書き手が考えたこと」でできているのではないでしょうか。
そこへ文体、つまり「書き手がどんな距離感で読み手に伝えようとしているか」のいろどりが加わることで、書き手それぞれのリズムに乗って、こちらへ伝わってくるように思えます。

 

そんなわけで今回紹介するのは、kemioさんの『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』です。

 

モデルや歌手、動画クリエイター等多岐に活躍されるkemioさん。その経験と考えが、kemioさんの口調そのままで書かれています。なんたって冒頭から、

 

「地球上のみなさーん! 初めましての方、お帰りなさいの方、バーキンは持たないけどエコバッグは所持系のセレブことkemio、けみおでーす!」(P.022)

 

……ここだけ引くと、乗れる人乗れない人をはっきり分けそうですが、

 

「私、棺桶までのレース、ガンガン走っておりますが、みなさんのレースは順調ですか?」(同)

 

と続くと、お? と身を乗り出してしまいます。
「棺桶までのレース」という、kemioさんの語り口からは想像できない深さからのワード。そんなことばどこから? と思ったらもう、つかまれています。あとはあっという間。生活、恋愛、将来についてしゃべりまくるkemioさんのペースに引っぱり回されるばかりです。
口調を離れて冷静に見ると、kemioさんの来し方は相当にヘヴィです。しかしそう思わせないのは、ひとえにkemioさんのしゃべりそのままの文体の力。抵抗を感じる前に読ませてしまう、オープンな力があります。

 

「今やること、やらないことって結局賭けでしかなくて、ウチら一生ベガス。まじで」(P.163)
「今を楽しくする方法を常に考えてる。(中略)振り返ったら「あ、充実してた」みたいなHAPPY ENDで締め上げる」(P.172)

 

エッセーを読むことが、書き手の経験と考えを読むことなのだとしたら、実はそれってかなり、おしゃべりに近いのではないでしょうか?
読んでくれる人とおしゃべりするように書けたら、たくさんの人に伝わり、またたくさんの考えが生まれるきっかけにもなりそうです。楽しみですね!

 



図書館では、今年も読書に関するエッセーを募集しています。
2025年のテーマは「今、いちばん読んでほしい本!」です。
誰かにおすすめしたい本の中でも、2025年の今、気分はこれ!という本や、2025年、こんな情勢だからこそ読んでほしいと思う本について、エッセー(随筆)にしてください。
またはあなたの読書法や、読書論についてのエッセーも可です。
ご応募お待ちしております!

 

「読書に関するエッセーコンクール」作品募集中

野球を楽しむ

『野球と応援スタイル大研究読本』 ジン トシオ/著 カンゼン(市立・成人 783.7//22)


わが家には野球大好き家族がいて、プロ野球シーズンともなると毎日テレビで野球中継を見ている。
地元チームが一番のお気に入りだが、他のチームの試合を観戦することも好きで、複数試合中継している日はパラダイスらしい。

 

『野球と応援スタイル大研究読本』は、日本ハム、ロッテ、楽天の応援団を渡り歩き、高校野球や様々なスポーツの応援歌を作曲してきたジン トシオ氏によるもの。応援とは何か、どんな応援があるかという話からどのように応援や応援歌が作られるのか、試合における応援の流れや楽器術など応援に関するさまざまな情報が詰め込まれている。
「応援の目的は、勝利のために選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境作り」とあるが、一言で応援と言ってもとても広い世界なのだと感じた。

 

私自身はなかなかゆっくり中継画面を見ることができず音だけを聞くことが多いが、シーズンも終盤にさしかかった今、試合はもちろん応援にも注目して楽しんでいきたい。

 

こちらも楽しい1冊。2005年から2024年までの20年間のファンクラブの歴史を主な特典とともに振り返ることができます。
『プロ野球12球団ファンクラブ全部に20年間入会してみた!』 長谷川 晶一/著 集英社(市立・成人 783.7//24)

仕掛けのある小説

『ターングラス 鏡映しの殺人』 ガレス ルービン/著 越前 敏弥/訳 早川書房 (市立・成人 933.7/ルヒ/25)

 

図書館で働いていながらも普段あまり小説を読まない私。そんな私でもつい手に取ってみたくなるのが、"仕掛け"のある小説だ。
読む順番で物語が変わる道尾秀介の『N』然り、袋とじを切り開いて読む泡坂妻夫の『生者と死者』然り、一風変わった仕掛けの施された小説に心惹かれる。
そんな私が3冊目として読んだのが、ガレス ルービン『ターングラス 鏡映しの殺人』。外国人作家によるミステリー小説だ。
この本は、表と裏の両方から読み進めることのできる左右両開きの形をとっており、表から始まる物語と裏から始まる全く別の物語が、互いの謎を解決へと導く鍵となっている。
ぜひ一度この本を手に取り、初回の読了時にのみ味わえる仕掛け本ならではの驚きと感動を体感していただきたい。

【募集は終了しました】「エッセーの魅力」 読書に関するエッセー募集中!

『うたうおばけ』 くどう れいん/著 書肆侃侃房(市立・成人 914.6/クト/20)

 

今までエッセーを読んだことがなかったのですが、先輩に勧めてもらい読み始めました。エッセーの魅力に気づくきっかけとなった本を紹介します。

 

くどうれいんさんの『うたうおばけ』という本です。
くどうれいんさんのうそみたいな実話が綴られています。「パソコンのひと」、「まつげ屋のギャル」など39編のエッセーが収められており、ひとつひとつが短いのでさくさく読める作品です。
特に「冬の夜のタクシー」が好きです。雪と雨が交互に降る中、恋人にふられてしまいます。心の中もぐちゃぐちゃで傷心している中、一人の女性タクシードライバーが現れます。この人と出会うための別れだったのかもしれない。そう思わせるほどの素敵な人との出会いで、タクシー代を払おうとした際の言葉が忘れられません。くどうれいんさんも「かっこよすぎるじゃないですか」と答えており、言葉のもつパワーに感動しました。
他のエッセーも本当に実話ですか?と疑いたくなるほど、まるで映画のワンシーンのようで、短くても心に残るエッセーは、短い文章の中に深い感情や共感を呼び起こす力をもっているのかもしれません。
まだエッセーを読んだことがない方、久しくエッセーを読んでいない方、この夏読んでみませんか。

 

図書館では、今年も読書に関するエッセーを募集しています。
2025年のテーマは「今、いちばん読んでほしい本!」です。
誰かにおすすめしたい本の中でも、2025年の今、気分はこれ!という本や、2025年こんな情勢だからこそ読んでほしいと思う本について、エッセー(随筆)にしてください。
またはあなたの読書法や、読書論についてのエッセーも可です。
ご応募お待ちしております!

 

「読書に関するエッセーコンクール」作品募集中

(市立図書館ホームページの別ページが開きます)

住所のこと知りたい人はこちら

『住所と地名の大研究』 今尾 恵介/著 新潮社(市立・書庫 318.1//04)

 

この本は、地名の本は沢山あるのにどうして住所の本がないんだと常々思っていた著者が「それなら自分で作ってみようか」というありがたい一冊です。

 

郡って何だろう? 大字って何だろう? 丁目って何だろう? と思ったことがある人。
住所と地番とはどう違う? 〇番〇号とか〇番地〇とか様々なのはどうして? と疑問に思ったことがある人。
おすすめします。

 

そして皆さんは住所に入っている数字について、どのようにこの番号が割り振られたのか気になりませんか?
この本ではそのあたりのあれこれについても解説されています。
早速私も町内の地図を確認してオオッと感激しました。
興味のある方はどうぞ。

夏粥のすすめ

『ウー・ウェンさんちの汁ものとおかず』 ウー ウェン/著 光文社(成人・書庫 596//21)

 

この本は汁ものとおかずのレシピが、春夏秋冬に分けて紹介されています。
今回、とくにおすすめしたいのは「お粥」が出てくる夏の章です。

 

中国では、お粥は「食べる」のではなく「飲む」と言うのだそう。
本文に出てくる「お粥は穀物のスープです」という言葉に驚きました。
白米だけではなく、緑豆やハトムギ、黒米、きびなどの穀物で作るお粥は、栄養豊富な水分。
冷房や冷たい食べもので冷えた体を温め、消化吸収が良く胃腸に負担をかけないので、暑さに疲れた夏の体に、お粥はおすすめなのだとか。

 

この他にも、トマトやとうもろこし、冬瓜などの夏野菜を使ったスープや、疲労回復効果のあるお酢を使ったレシピ、大葉やみょうがなどの香味野菜や香辛料の使い方など、どれも参考になりそうなものばかり。しっかり栄養を摂って厳しい夏を乗り切りたいですね。

ごはん作ろうかなと思った本

『初めてのひとりキッチン』 上田 淳子/著 講談社 (市立・成人 596//21)

 

タイトルからやさしそうな印象を受けたので、この本を選びました。
 
「この本はいままでのビギナー向け料理本よりも、さらに一歩手前の段階を想定しています」という言葉から始まるので、安心してページをめくることができます。

全体的に準備する材料が少ないレシピが多いです。
また、作業手順が少ないレシピも多く、2つや3つの手順で完成する料理もたくさん掲載されています。

 

初めて料理をする方だけでなく、用意するものが多いと大変だなと思う方、文章が長いのは苦手だなという方にもおすすめです。よかったら見てみてください。