図書館スタッフおすすめ本

戦後改革期 女性国会議員の10年

『福田昌子とその時代』 佐藤 瑞枝/著 ドメス出版 (市立・人権同和 312.1//22)

 1947年 日本国憲法発布後、初の衆議院議員総選挙で国会議員となった福田昌子氏。
  その10年間の間、常に彼女は女性の健康、女性の基本的人権を守るため、また女性の地位向上を目指し、政治活動を行い、国会では積極的に発言しました。
 
 「優生保護法」の審議の際には、人口対策として人口の増加を抑制する必要があるという風潮の中、「産む性」の立場で、貧困や食糧不足の中で子どもを産むことへの苦しみ、自分の意思や健康に反して産むことを強制されることへの反発、産むことについて人格と人生が尊重され、主体的に選択でできる(リプロダクティブヘルス&ライツ)ことを訴えました。そしてある程度の人工妊娠中絶を認めるべきであると述べたのです。
 「売春防止法」に対しては、売春も買春も処罰の対象とするべきと訴えたましたが、買春した男性は処罰の対象にはならず(米兵の存在もあったので)、「売春婦のみ、犯罪者であるという社会の見方を形成した」とし、大いに意見しました。売春という現実が女性の地位を低めるものであるという考えが、彼女の女性の基本的人権の擁護のエネルギーとなりました。
 「看護制度」に向けての「保健婦助産婦看護婦法」に関しては、自身も産婦人科医である福田氏は、当時の看護職の社会的地位は低く医者の補助や病人の世話をする女性職業であるという当時の現実に対して意見しました。そして法案に対し「看護職の質を高めるために、高い教育課程を実施するより、まず待遇を大幅に引き上げるべきだ。」と主張しました。

 この本を読むと、福田昌子氏が、女性解放に向けての重要な役割を果たしてくれたことは間違いないと思いました。出し惜しみしてここまで書いたが、それでもただ一点、納得がいかないことがあります。
 福田昌子氏は「優生保護法」に対しては母性保護の立場からの発言も行いましたが、所謂「優生思想」の最たる考えである「不良分子の出生を防止する」という思いを強固に持ち合わせていたと書かれていたのです。

 命の選別をしてはいけないと思います。女性の生命や性を大切に思い、その施策にかかわってきた福田昌子さん、時代背景はあるとはいえ、あなたはなぜ生まれてくる、生まれる可能性のある命を摘むべきだと思ったのでしょうか。
 命の重さはみんな同じだが、それぞれがどのような境遇であっても幸せに生きていくために、政治家ならば、様々な施策を打つべきではないのか。実際、その後はそうした活動をされてきたではないか。今でもそう思ってみえるのか。福田昌子さん、私はあなたと会って、話してみたい。たとえ私の言っていることがきれいごとと言われようと、あなたの本心を、あなたの声で聴いてみたい。

 福田昌子の生きざまをどう感じますか?福田氏はそうでも、私はこう生きたいと思った方、今度は「読書に関するエッセーコンクール」に挑戦してみませんか?
 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは以下のページをご覧ください。

「読書の秋のおともにエッセー!~エッセーコンクール開催中~」(市立図書館ホームページの別ページが開きます)


日本刀ってすごい

『ヤバすぎる日本刀伝説』 小和田 哲男/監修 宝島社 (市立・成人 756.6//21)

 日本刀は、歴史の中で起きた事件、偉人に実際に関わっていた物、なんですよね。
 その実物が今も残っているってすごいことだな、と最近になって思うようになり手に取ったこの1冊。
 日本刀には人間だけではなく、鬼や妖怪、幽霊を切ったとされる刀もたくさんある。
 そんな刀の歴史や逸話が沢山詰め込まれたこの本。
 イラスト付きで短くまとめてもらってあるので、気軽に読めて、かつ現存する刀は所蔵も書かれているので、気になる刀の実物を見に行くこともできる、かも。
 日本刀の種類や各部の名称、歴史、刀にまつわる儀式等も紹介してもらってあるので、気軽に日本刀について知ることができる本だと思います。

コレも読書に関するエッセー!?~「エッセーコンクール」募集中~

 本を読み終わった後、すぐに誰かの感想を聴きたい!ということ、ありませんか?
 SNSや読書感想サイトで検索しても、なかなか思うように見つからない……
 そんな時にすぐ読める読書に関するエッセーがあるんです!


 それは、文庫本の解説。
 文庫本の巻末に著者ではない人の解説が載っていることも多いですよね。
 ただ「堅苦しそう……」と読み飛ばしてしまっている方、とっても勿体ないです!
 文庫本の解説は、その本に関する読書エッセーと言っても過言ではないほど、たくさん愛の詰まった解説が載っていることも多いんですよ。

 
 そんな文庫解説をたくさん紹介している本もあります。
 斎藤美奈子/著『文庫解説ワンダーランド』(岩波書店 (市立・成人 019//17)) では、文庫解説を4パターンに分類して紹介しています。
 夏目漱石『坊ちゃん』や太宰治『伊豆の踊子』といった名作と、村上龍『限りなく透明に近いブルー』のような現代文学ではどんな人たちが作品への愛を語っているのでしょうか?


 是非みなさんも、文庫解説を読んで1冊の本を何度も楽しんでみませんか?

 ただし、あとがきや解説のない小説の場合、いきなりクライマックスを開いてしまうこともありますので本文を読み終わった後にチェックするなど、ネタバレには十分ご注意ください。



 文庫解説に触れてみて、自分でも本への愛を語りたいと思った方、今度は「読書に関するエッセーコンクール」に挑戦してみませんか?
 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは以下のページをご覧ください。

インベカヲリ★に会いたい! ~あの本のこの人に会いたい!<著者編>~

 インベカヲリ★に会いたい。

 『週刊読書人』(市立図書館で閲覧できます)で連載していた「なぜ名前にホシがあるのか?」には、インベカヲリ★によるコラムが連載されていた。
 そこには、写真家である彼女が撮影した写真が添えられていた。
 新聞紙のせいか、すこしざらついた印象のある写真はいつも目を惹くもので、一体誰が被写体に名乗り出るのか不思議だった。

 そんな被写体である女性たちに強烈な共感を覚えたのは、『私の顔は誰も知らない』を読み終わった時であった。
 そして猛烈に彼女に写真を撮ってもらいたくなったのだ。

 インベカヲリ★は写真を撮る前に、被写体を務めるモデルから時間をかけて話を聞くという。
 「写真を撮られるという行為は、被写体にとっても自己表現」であり、「自己表現とは「話したいことがある」とイコールだ」(『家族不適応殺』より)と彼女が語るように、私も彼女に話したいことがある。

 『私の顔は誰も知らない』の中で繰り返し語られる「普通を演じる」「擬態する」こと。
もしかしたら、私が抱いている違和感は、この「擬態」という言葉に隠されているのかもしれない。
 「場を盛り上げるパフォーマー」に「擬態」して生きるのは、楽しい。周囲と同じに「擬態」するうちに、化粧していない自分の顔を自分ではないと感じるようになり、加工アプリで撮影していない自分の写真を自分ではないと感じるようになった。

「擬態」しない自分をインベカヲリ★に引き出してほしい。
そしてそんな自分を写真に残してほしい。

彼女にファインダーに映る私は、一体どんな顔をしているのだろう。



 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 是非、あなたの「会いたい!」を教えてくださいね。
 詳しくは以下のページをご覧ください。


未来を生きる子どもたちへ かこさんからのメッセージ

『未来のだるまちゃんへ』 かこ さとし/著 文藝春秋 (市立・書庫 726.5//14)

 『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』などで知られ、大人をも夢中にさせる絵本を数多く世に生み出してきた、絵本作家かこさとしさん。
 2018年に92歳でこの世を去るまで600冊を超える作品を残し、その名作の数々は今なお世代を超え読み継がれています。
 88歳(当時)にして現役の絵本作家であった、かこさんが何を思い、迷い道の人生、絵本に込めた希望、尊敬してやまない子どもたち、そしてすべての親への応援歌となる一冊を残してくれたので、紹介したいと思います。
 
 かこさんは、書籍の中で、昔のこどもと今の子どもたちは本質的にはそんなに違わないのではないか、生きるということは喜びでなければいけないけれど、苦しみを避けていくこともできないと語っています。
 また、そのときに、「誰かに言われたからそうする」のではなく、自分で考え、自分で判断できる賢さを持ってほしいとも書かれています。
 
 かこさんの言葉がこれからの時代を生きていく子どもたちとそれを支えていく私達、大人にも力を与えてくれると思います。
 ぜひこの本を読んで、自分達の生きていく場所がより良いもの、楽しく、喜びいっぱいになるといいですね。

神話の楽しさ

『イリアス』(上・下) ホメロス/著 松平千秋/訳 岩波書店 (市立・書庫 B/991.1//10)
『新訳ラーマーヤナ』(1~7) ヴァールミーキ/編著 中村了昭/訳 平凡社 (市立・成人 929.8//12~13)

 この2つの文学書は、いずれも多くの世界文学全集に取り入れられている歴史上、貴重な名著です。しかしながら、現代の人は避けているというか、実際読んでみた人は少ないのではないでしょうか。それはおそらく、作られた時期や題材が大変古いということが原因と思われます。しかし、その内容は意外や意外、現代人も案外わくわくさせる内容なのです。

 『イリアス』は、ギリシャ軍とトロイア軍との戦争が舞台ですが、戦闘シーンがアメリカのアクション映画のような迫力があって、表現がすごく生々しく、スリリングです。
 『ラーマーヤナ』の方は、インドの市民生活に根付いた道徳的物語で冒険物語の風情です。鬼神ラーヴァナに妻のシーターをさらわれたラーマが、妻を奪還するために妖怪のような鬼神と戦います。これもすごく迫力があって、まるでアニメ映画の雰囲気です。とても長い物語なので、読みやすくまとめた『インド神話物語ラーマーヤナ』(上、下)(デーヴァダッタ・パトナーヤク/文・画 原書房 (市立 929.8//20))もお勧めです。

『西の魔女が死んだ』~あの本のこの人に会いたい!<登場人物編>~

 人生で2度、本気で魔女になろうと考えたことがある。
 
 1度目は、8歳の時。
 ジブリ映画『魔女の宅急便』のビデオを擦り切れるほど見ていた私は、自分が魔女になるのだと信じて疑わなかった。魔女の帽子を被ってハロウィンのおはなし会に出かけたり『魔女の宅急便』シリーズ(角野栄子/著 福音館書店 (市立・児童 F/カ))『ハウルの動く城』シリーズ(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/著 徳間書店 (市立・児童 933/ショ))『わたしのママは魔女』シリーズ(藤 真知子/著 ポプラ社 (市立・児庫 F/フ))を愛読して、13歳で修業に出る日に備えていた。

 2度目は、22歳の時。
 『西の魔女が死んだ』(梨木 香歩/著 新潮社 (市立・成人 913.6/ナシ/17))について論文を書いていた時である。
 前年に「魔法」について卒業論文で書いていた私は、「魔法を使えるようになりたいんですか?」と聞かれることが多かった。
 当時は笑って否定していたのだが、文献と格闘する毎日に疲れ、本気で魔女という肩書で生きていけないかと模索していたのである。
 魔女が開いているというハーブ専門店で買ったハーブティーを飲み、
 国会図書館で「薬草魔女検定」のテキストを読んでハーブの効能を学んでいた。

 そんな気持ちがふっと晴れたのは、『西の魔女が死んだ』における魔女・おばあちゃんが
なぜ主人公・まいに魔女修行を施したのか、という問いに自分なりの結論が出た時であった。
 おばあちゃんは、野いちごジャムやハーブの虫よけ薬の作り方から、ベッドメイクの仕方、庭の手入れまで様々な知恵を、まいに授ける。
 その中でも最も印象的なのは、学校生活での悩みを打ち明けたまいへ向けたこの言葉だ。

「魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です」

「上等の魔女は外からの刺激には決して動揺しません」

「魔女は自分で決めるんですよ。分かっていますね」

 おばあちゃんの示した魔女という生き方。
 それは特別なものではなくて、もしかしたら、誰もが身に付けることのできる処世術であるのかもしない。

 魔女になれないまま生きてきた。
 そしてこれからも、きっと魔女になることはない。
 それでも、魔女という生き方を諦める必要はない。
 いつかそんな生き方を自分のものにできたなら、おばあちゃんにいろんな話を教えてほしいのだ。
 おばあちゃんの作り上げた庭で、ミントティーとどっしりとしたお菓子を嗜みながら……。


2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは以下のページをご覧ください。

エッセーを書いてみよう! 「読書に関するエッセーコンクール」募集中

 今年も、「読書に関するエッセーコンクール」の応募が始まりました!
 みなさんはエッセーを書いたことがありますか?
 読書感想文を学生の頃に書いたり、本や映画の感想をブログにアップしたことがある方は多いかもしれません。
 でも改めてエッセーを書いたことがあるかと言われると……?

 そんなあなたにぜひ読んでいただきたいのは、『エッセイ脳―800字から始まる文章読本』(岸本 葉子/著 中央公論新社 (市立・成人 901.4//10))です!
 『モヤモヤするけどスッキリ暮らす』などで知られる、エッセイスト岸本葉子が、テーマ・題材選びや読みやすさ、そして言葉の選び方などについて、具体的に指南してくれる1冊です。
 中でも「与えられたテーマの中で、題材を持って」「自分の書きたいこと」を実現していくエッセーの組み立て方は必見ですよ!
 ちなみに、この本が対象にしているエッセーは800字から1600字ということで、ちょうど「読書に関するエッセーコンクール」にぴったりでもあります。

 いかがでしょうか。
 エッセーを書くのが楽しみになってきませんか?
 是非この本を読んで「ある、ある、へぇーっ、そうなんだ」というエッセーを目指してみましょう!

 
 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは以下のページをご覧ください。

エッセーってなあに? ~「読書に関するエッセー」募集開始~

 今年も、「読書に関するエッセーコンクール」の応募が始まりました!
 そこで今回は、エッセーとは何かを紹介していきます。

 日本国語大辞典第二版によればエッセー(エッセイ)とは、以下の通りです。

文学の一ジャンル。自由な形式で書かれ、見聞、経験、感想などを気のむくままに書き記した文章。随筆。
 
 つまり、自分の体験などを自由気ままに書いた文章ということです。
 なので、エッセーは旅行や家族、ご近所づきあいから仕事のことまで著者が気になったことが幅広く書かれています。

 では、エッセーを読みたくなったときはどうしたらよいでしょうか?
 図書館では、エッセーは914.6という分類番号のところに置いてあります。
 それ以外にも、様々なテーマに焦点を絞って書かれることもありますので、その場合はそれぞれのテーマのところをご覧ください。

 エッセーを読むのが初めてで、何を読んだら分からない!という方もいるかと思います。
 そんな方にオススメしたいのは日本文藝家協会 編「ベスト・エッセイ」シリーズです。
 「ベスト・エッセイ」シリーズには、その年に新聞・雑誌などで発表された中から、厳選されたエッセーが1冊にまとめられています。

 例えば『ベスト・エッセイ2021』(日本文藝家協会/編 光村図書出版 (市立・成人 914.6//21))では、林真理子や角田光代といった錚錚たる顔ぶれが、2020年の日常を切り取っています。
 もちろん、読書に関するエッセーも収録されていますよ。全盲の文化人類学者である広瀬浩二郎が「感じて動く読書法」にて、耳による読書を熱く語っています。

 いかがですか? だんだん、エッセーに興味が沸いてきませんでしたか?
 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは下記のページをご覧ください。

本や読書のエッセーってどんなの? ~「読書に関するエッセー」募集中~

 今年も、「読書に関するエッセーコンクール」の応募が始まりました!
 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。

 ところでみなさんは、読書に関するエッセーは読んだことがありますか?
 実は、読書や本に関するエッセーはたくさんあるんですよ!
 今回紹介するのは、本や読書について熱い想いをしたためたエッセーです。

 『米澤屋書店』(米澤 穂信/著 文藝春秋 (市立・成人 019.9//21))は、ミステリ作家・米澤穂信が本について書いてきたエッセーや紹介文をまとめた本です。
 作家としてデビューしてから書いたものをまとめているので、著者が好きな本は、何度も何度も登場します。特に北村薫『六の宮の姫君』は、毎回違った角度から感動が語られます。

 『本屋さんで待ちあわせ』(三浦 しをん/著 大和書房 (市立・書庫 019//12))は、直木賞作家・三浦しをんが本との出会いや読書体験をまとめた書評集です。
 しかし全く堅苦しいものではなく、著者が本との出会いや熱い気持ちをぶつけたエッセーでもあります。
 例えば『読むと猛然と腹が減る』では、著者ならではの驚くべき読書法と選書法を紹介しています。また『孤独と、優しさと、茶目っ気と。』では、学生時代の授業を受けてから読んだ、太宰治『駆け込み訴え』の衝撃を語っています。

 いかがでしょうか。
 本や読書に関するエッセーを、少しでも身近に感じていただけたでしょうか?

 2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
 これを読んでエッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
 詳しくは以下のページをご覧ください。