豆、豆、豆、豆、豆。
『日本の豆ハンドブック』 長谷川 清美/著 文一総合出版 (市立・成人 616.7//16)
司書は毎日たくさんの本を見ているので、本屋さんではなかなか出会えない本とときどきめぐりあいます。
今回もとんでもない本に出会いました――『日本の豆ハンドブック』、です。
今回もとんでもない本に出会いました――『日本の豆ハンドブック』、です。
表紙に大きく「豆」。手の中に収まる新書判。
何がすごいってまず、写真がすごい。
日本各地の豆約200品種について、一粒ずつの写真を掲載。オールカラー、高解像度の美麗写真で、模様や色合いが手に取るようにわかります。一寸そら豆なんて、窪みをなぞりたくなるほど。しかも上から撮ったものと横から撮ったものの二点ずつ掲載されているので、サイズや形状もばっちりつかめます。もし道に落ちているのを見つけても、「ビルマ豆だね……」ってすぐ言えちゃいます。粋。
そして、データがすごい。
その豆の名前の由来から育てられるようになった経緯、現在の栽培事情までが豊富に収録されています。誰誰さんちの先代がどこから持ってきた、など、フィールドワークによる濃密情報満載です。
さらに採取場所は町名まで記載のうえ、育てている方のお名前・生年まで(!)載っています。その人の家では何にして食べているかも書いてあって、いちいちお腹がすくこと請け合い。
とどめに、コラムが充実。
地域ごとの豆料理を家庭の写真たっぷりで紹介してみたり、里山の来し方行く末に思いを馳せてみたり、豆の育て方やよい豆の選び方など実践に役立つことまで押さえてみたり。ここまでされると、なんでもいいからとにかく豆の実物をつまみたくなってきますよ。
似たような豆にも地域ごとの特色と歴史があり、それぞれに大事にされて今があるんだ、と妙な感動さえおぼえます。豆で感動、してみませんか。
この本の出版元である文一総合出版さんは、ほかにもたくさんのハンドブックを出しています。
『ウニハンドブック』 田中 颯/著 (市立・成人 484.9//19)
『シダハンドブック』 北川 淑子/著 (市立・成人 476//07)
『酒米ハンドブック』 副島 顕子/著 (市立・成人 616.2//17)
など。
いずれも新書判、美麗写真満載。めくるだけでも楽しいのでぜひ手に取ってみてください。
……個人的には須黒 達巳/著『ハエトリグモハンドブック』(市立・成人 485.7//22)が、次のねらい目かな……。