首を洗って待っていた! 20年目の<戯言>シリーズ。

『キドナプキディング』 西尾維新/著 講談社 (市立・成人 B913.6/ニシ/23)

首を洗って待っていた! 20年目の<戯言>シリーズ。



中学高校生の頃に、『クビキリサイクル』から始まる戯言シリーズにハマり、西尾維新にどっぷり浸かった……という青春を送った方も多いだろう。
そんな皆様に朗報である。
戯言シリーズ待望の続編、『キドナプキディング』がついに刊行された。

今回の主人公となるのは、戯言シリーズで語り部を務めた戯言遣いと、彼の相棒であった玖渚友の娘、玖渚盾(くなぎさ じゅん)である。


     私の名前は玖渚盾。誇らしき盾。


この始まりの一文から既に西尾維新は全開である。
「誇らしき盾」という自己紹介に潜む“矛(ほこ)”“盾”の文字。
そして何より、シリーズを読んできた読者に衝撃を与えたのは、“じゅん”という娘への名付けだ。戯言遣いと友に多大な影響を与えた友人、哀川潤にあやかったことは明白だ。
人類最強の請負人、哀川潤と澄百合学園に通う女子中学生、玖渚盾。
“じゅん”コンビがどんな冗談(kidding)みたいな誘拐(kidnap)に興じるのか、ぜひご覧いただきたい。

新本格ミステリファンへのサービスが満点の目次も見逃せない。
章タイトル「悪魔が来りて人を轢く」「城王蜂」「玖渚家の一族」は横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』『女王蜂』『犬神家の一族』のオマージュである。
では果たして内容は……?

すべての西尾維新ファンへのご褒美のような一冊であるが、
西尾維新デビューにもぜひおすすめしたい一冊である。