2025年6月の記事一覧

天気のなんでだろう?

『気候危機がサクッとわかる本』 ウェザーマップ/著 森 朗・森田 正光/監修 東京書籍 (市立・成人 451.8//22)

 

これからの時期は梅雨に入り、夏に向かっていきます。
今年の日本で1番最初に梅雨入りをしたのは、九州。これは観測史上初めてだそう。
近年、異常気象が多く天気に対して疑問を感じることもあるはず。
この本は、天気の様々な疑問に対して、図やイラストなどを使って分かりやすく説明しています。
これからの時期の悩みである台風や猛暑などの説明もあり、
気軽に読める内容になっています。
ぜひご一読ください。

引退競走馬のセカンドキャリア

『セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅』 片野 ゆか/著 集英社(市立・成人 645.2//23)

 

 本書には「競馬業界では毎年約七千頭のサラブレッドが生産され、一方で約六千頭が引退するが、その多くは行方不明になっている」という文面がある。
競走馬として頑張って走ったにもかかわらず、その大半は行方不明。現実は甘くない。


 しかし、このままではいけないと、昨今では引退競走馬への支援が呼びかけられるようになった。
数年前に「引退競走馬であるナイスネイチャという馬が、三十三歳の誕生日を記念したバースデードネーションにて約三千六百万の支援金を集めた」というニュースが話題になったのをご存じだろうか。
ナイスネイチャは既に他界してしまったが、どれだけの引退競走馬を救い、どれだけ私たちに引退競走馬の行く末を考えさせたのか、功績が計り知れない。
もちろんこの件についても、本書で紹介されている。


 他にも数々の引退競走馬が取り上げられているが、「TCC Therapy Park(TCC Japanの活動拠点)」という引退競走馬を支援する施設に在籍している「ラッキーハンター」を紹介したい。


 ラッキーハンターは元競走馬だ。
小さな頃から人懐っこく、とても大らかでかわいらしい馬であるが、なかなか競馬で活躍出来ずにいた。
引退後は、どうなってしまうのか。
当時の馬主であった林氏は、様々な施設に問い合わせるもうまくいかず、「TCC Japan」代表の山本氏に相談。
ラッキーハンターの受け入れを断られるのではと林氏は不安に駆られるも、彼は「むしろラッキーハンターのような未勝利の無名の馬を救ってこそ、このプロジェクトの意味がある」と答えた。
その後ラッキーハンターは「TCC Japan」の専属馬となり、今ではセラピーホースとして児童発達支援事業で活躍している。
 しかも筆者である片野氏は、引退競走馬の共同オーナー制度(注:一人ではなく、何人か共同で一頭の馬を所有する制度)を利用し、ラッキーハンターの馬主にもなっている。


 行方不明になっていたかもしれない競走馬が、引退後もたくさんの愛情を受けセカンドキャリアを歩んでいる。
そんな馬が増えてほしいと私は願う。