インベカヲリ★に会いたい! ~あの本のこの人に会いたい!<著者編>~
インベカヲリ★に会いたい。
『週刊読書人』(市立図書館で閲覧できます)で連載していた「なぜ名前にホシがあるのか?」には、インベカヲリ★によるコラムが連載されていた。
そこには、写真家である彼女が撮影した写真が添えられていた。
新聞紙のせいか、すこしざらついた印象のある写真はいつも目を惹くもので、一体誰が被写体に名乗り出るのか不思議だった。
そんな被写体である女性たちに強烈な共感を覚えたのは、『私の顔は誰も知らない』を読み終わった時であった。
そして猛烈に彼女に写真を撮ってもらいたくなったのだ。
インベカヲリ★は写真を撮る前に、被写体を務めるモデルから時間をかけて話を聞くという。
「写真を撮られるという行為は、被写体にとっても自己表現」であり、「自己表現とは「話したいことがある」とイコールだ」(『家族不適応殺』より)と彼女が語るように、私も彼女に話したいことがある。
『私の顔は誰も知らない』の中で繰り返し語られる「普通を演じる」「擬態する」こと。
もしかしたら、私が抱いている違和感は、この「擬態」という言葉に隠されているのかもしれない。
「場を盛り上げるパフォーマー」に「擬態」して生きるのは、楽しい。周囲と同じに「擬態」するうちに、化粧していない自分の顔を自分ではないと感じるようになり、加工アプリで撮影していない自分の写真を自分ではないと感じるようになった。
「擬態」しない自分をインベカヲリ★に引き出してほしい。
そしてそんな自分を写真に残してほしい。
彼女にファインダーに映る私は、一体どんな顔をしているのだろう。
2022年のテーマは「あの本のこの人に会いたい!」です。
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