『やわらかなレタス』

『やわらかなレタス』 江國 香織/著  文藝春秋 (市立・成人914.6/エク/11 )
 

 うっとりしたり戦慄したり…小説は楽しいですが、お気に入り作家のエッセイもまた、味わい深いものです。その作家ならではの視点や感性が、何気ない日常に光を当て、面白く豊かに彩ります。

 本書は、珍しい食べものや絵本の中に登場する食べもの、その食べものの背景にあるものなど、食べものにまつわるエッセイ集です。あたたかいジュース、やさしい枇杷、シュールなアスパラガス、やわらかなレタス…おいしそうなものがたくさん登場します。

 また、「ごちそうの巻、あるいは魅惑の四日市」という題で、江國香織さんが四日市市を訪れた時のことも書かれています。

「四日市は不思議な街だ。ひっそりしていて静かなのにどこかが混沌としていて、のどかなのに何かが烈しい…」
と始まります。
 江國香織さんのフィルターを通した四日市を感じることもできて、楽しい一冊です。