できることの見つけ方
『〈できること〉の見つけ方-全盲女子大生が手に入れた大切なもの』 石田由香理・西村幹子/著
岩波書店 市立・児童 369/ /14
表紙には、白杖を持った笑顔の女性と、後ろからその女性を見守るように肩を抱いて微笑む一人の女性の姿があります。
一見すると、母娘で仲良く二人三脚で障害を乗り越えてきたんだなということを自然と想像してしまうような写真なのですが、読み始めてすぐに,そうではないということに気づかされました。
写真に写っている二人の女性は、この本の著者である全盲の女子大生石田さんともう一人の著者である石田さんが通う大学の西村教授でした。
石田さんは、障害があることで、一番身近な家族から可能性を否定されます。
身近なサポートがほとんどない状態からスタートした大学受験を、どのように乗り越えたのか、大学生になってからチャレンジした海外留学を経験して、何を手にしたのか、それらが、ユーモアを交えた石田さんの言葉で生き生きと語られています。
石田さんと触れ合う中で、常識がことごとく覆されたと冒頭で語る教授の言葉のとおり、驚きと発見の連続でした。そして、ネガティブな出来事をポジティブに変換していく生き方に勇気づけられました。
児童書ではありますが、年齢は関係なく読んでいただきたい本です。
受験を控えている人や、新しい道に進もうとしている人、人生の岐路に立っている人、もしかしたらそういう人には、より何か響くものがあるかも知れません。
そして、石田さんの見つけた「できること」は、障害があるないに関わらず、すべての人にあてはまることだと感じます。