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図書館スタッフおすすめ本

 

2024/09/01

「猫」をさがして ~「何度だって読みたい本!」~

| by 図書館
『少女ソフィアの夏』 トーベ・ヤンソン/作 渡部 翠/訳 講談社(市立・児童 94//

 小学校の国語でやった文章で、ひとつだけ、頭に焼きついているのがある。
 タイトルは「猫」。作者はムーミンで有名な、トーベ・ヤンソンさん。
 もらわれてきた猫・マッペを主人公ソフィアが溺愛(できあい)するものの、あまりになつかず、とりかえることに。かわりに来たのが、人なれしまくった甘々猫。ソフィアはマッペをどれほど愛していたか気づく——猫はもう一度、とりかえられることになった。
 これだけの話なのに頭に残ったのは、ソフィアのセリフにひかれたせいだ。「ずーっといいお天気ばっかりだと、なんだか、つまらなくなってくるの」なんて、日ごろどんなものの考え方をしてたら言えるんだろう。そんなソフィアには、彼女をクールに見まもるおばあちゃんがいる。七十も年がちがうけれど対等のつきあい、このふたりのやり取りもまた、かっこよかった。
 小学校を出て十数年、また読みたくなって、しらべた。『少女ソフィアの夏』という本に入っているらしかったが、買えなかった。ぜんぜん見つからず、数年たったあるとき、旅先の本屋でとつぜん出会った。気がついたら、本を抱きしめたままレジへ向かっていた。
 何度も読んだ。全二十二篇(へん)、どの話にもひきこまれた。ふたりがずっと真剣だったからだ。好奇心と想像力がおさえられないソフィア。それをしずかに、対等に受けとめるおばあちゃん。その関係の魅力が、どの話でも、ふたりの会話からあふれていた。
 二十二篇分の北欧のみじかい夏の間、ソフィアとゆっくり成長しながら、だいじなものをたしかめられる一冊です。子どものあなたも、大人のあなたも、ぜひ手に取って、ソフィアとのひと夏を過ごしてみてください。

2024年のエッセーコンクールのテーマは、「何度だって読みたい本!」です。
これを読んで、エッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へぜひご応募ください!
あなたの「何度だって読みたい本」、教えてくださいね。
詳しくは、こちらをご覧ください。
(市立図書館ホームページの別ページが開きます)

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