2018年8月の記事一覧
本が先?映画が先?
自動車メーカーのリコール隠しに勇敢に立ち向かった人たちの物語。中小運送業社長が、巨悪に立ち向かう誠実な生き様にも胸がすくわれる作品です。また、いい車、安全な車を作ろうとするメーカー技術者が、欠陥を内部告発するまでの葛藤を刻銘に描いています。
6月には映画も公開され、原作が息を吹き返しています。このところ、事実を隠したり、捏造したり、改ざんする事件が頻発しました。『白い巨塔』で山崎豊子が、医学界に警鐘をならしたように、今こそ信頼の回復と生命の尊厳を守るスタンスに立ち戻らないといけないのではないでしょうか。
また、『空飛ぶタイヤ』は、文庫本、大活字本でも所蔵がありますので、こちらもご利用ください。
はじめてのパソコンのイラッをズバリ!解決
『はじめてのパソコンのイラッをズバリ!解決』 秀和システム (市立・成人 007.6/ /16)
みなさんはこの本のタイトルどおり、パソコンが思いどおりに動かなくて「イラッ」としたことはありませんか?
この本は、初心者の方はもちろん、中級者の方にも参考にしていただける入門書だと思います。入門書らしく、パソコンが思いどおりに動かない時、「やってはいけないコト・コレ!が原因・コレ!で解決」と、3段階で対応方法が解りやすく解説されています。自分でも当たり前のように、「やってはいけないコト!」をやってしまっていた事に、正直驚きました。
みなさんの「イラッ!」が少しでも解決できるよう、ぜひ、この本をご活用ください。
俳句文学への入り口に
『怖い俳句』 倉阪 鬼一郎/著 幻冬舎 (市立・成人 911.30/ /12)
この本は、江戸から現代までの俳人の句を“怖さ”という視点から選び出した作品集です。
作品はおおよその時代ごとに配置され、各々に鑑賞文が添えられています。まえがきに「照明を落とした美術館の回廊を巡っていくように、一句ずつ怖い俳句が目の前に現れていきます。」とありますが、なるほど、そのような歩調で読み進めるのが合いそうです。
紹介される“怖い俳句”に、不吉さを忍ばせた情景・日常の中にある異空間・不気味な時代の空気・目を背けられないほどの痛み・果てしないものへの恐れ・この世とあの世とのゆらめきを思ったり、よくは解らないが何だかすごいフレーズだと驚いたりしながら、私はこの俳句集を読みました。そして“怖さ”が、俳句の魅力に触れさせてくれるとてもよい視点であることを感じました。
文中で著者は、「読者を俳句の世界にいざなう「初めの一冊」になればとひそかに思いつつ、本書を執筆している」と書いています。
俳句文学への入り口に、さまざまな俳人たちを知るきっかけに、私もこの本をオススメします。