2018年11月の記事一覧

お直しの本

 『クライ・ムキのお直しの本』 クライ・ムキ/著 日本文芸社 (市立・成人 593.3/ /16)

 かつて私が子育てしていた時に、クライ・ムキさん編集の雑誌『手作りママキディ』(婦人生活社)に出会いました。洋裁なんて習ったことのない私でしたが、実物大型紙と分かりやすい作り方手順に、パンツ、シャツ、ジャケット等、沢山の作品を作りました。

 洋裁には、作る楽しみと着る楽しみ、両方があります。それを教えてくれたのがクライ・ムキさんでした。残念ながらこの雑誌は1998年に廃刊になっています。しかし、これに代わる簡単手作りの本はたくさん出版され、おかげで私の洋裁好きは今でも続いています。  

 今回紹介するのは、手作りの本とはちょっと違って、手軽にできるリフォームの本です。新しい洋服を作るのもとても楽しい作業なのですが、古いものを甦らせる作業も楽しいものです。この本は、いまさら誰にも聞けないような、糸の通し方や結び方等の基礎知識から、一見難しそうなサイズ直しや修理の方法まで、全てカラー写真で分かりやすく解説してあります。洋裁が苦手な人でも手順通りにやっていけば、案外簡単に
「お直し完了!」となりそうです。

 サイズや形が合わなくなってしまった洋服や、まだ着たいのにほつれたり、裾が擦り切れてしまった洋服を、お直しでもう一度、お気に入りの一着にしてみてはいかがでしょうか。

〝本が売れない〟現実と〝本を売る〟ための悪あがきの物語

 『拝啓、本が売れません』 額賀 澪 (ヌカガミオ)/著 KKベストセラーズ (市立・成人 023.1/ /18)


 私は趣味では基本小説しか読まない人間です。しかしせっかく図書館で働く身だから、と普段は足を運ばない棚で本を探してみました。そのとき出会った本がこちら。ちなみに本を手に取った理由は表紙でした。

 この本は、額賀澪という2015年に「松本清張賞」と「小学館文庫小説賞」をダブル受賞した作家が、≪本が売れない≫現実を思い知り、本を売るために何をしたらいいのかを関係者に問いながら発見していくノンフィクション小説です。


 作中には編集者、書店員、装幀人など作家以外の本を売る側の人が登場します。本が売れるのは、作家にとって、とても大事なこと。そのために何をしたらいいのかを考え、聞き、行動に移す姿は、今や将来、本に関わる仕事をする人はもちろん、一読者としても興味深いものになるのではないでしょうか。売り方の一つに表紙の話もあり、この本を表紙借りした私はドキリとしました。まんまと策にはまってしまった……ということです。


 私はこの作家の本を読んだことがありません。しかし、この一冊を通してこの作家の文章の読み易さを知り、人となりを覗き、売れる本を作り出そうとする仕掛けに、この作家の本を近いうちに読むことを決めました。新しい作家との出会いに成功したのです。ここでは、新たな出会いとなったこの本をおすすめしますが、いつも読まない棚から本を手に取ってみるのも、たまにはいいかもしれません。新しい出会いがあるかもしれませんよ。