2024年8月の記事一覧

図録を楽しもう!図録で学ぼう!

『集まれ!三重のクジラとイルカたち』 吉岡基/ほか監修 三重県総合博物館(市立・地域 L489//22) 
『やっぱり石が好き!』 三重県総合博物館(市立・地域 L458//21)

夏休みの自由研究・郷土研究であなたが調べたいテーマの図録、あるかもしれませんよ!

図録とは、博物館や美術館が行う企画展の内容をまとめた冊子のことです。
地域資料室では、県内・市内の美術館や博物館、資料館が発行した図録も集めています。
難しいものが多い地域資料ですが、図録であれば大人から子どもまでが楽しめるものもありますよ。

図録の魅力は何でしょう。
初めに思い浮かぶのは、写真や図が多いので、見て楽しめることでしょうか。
図録は、写真や解説などの基本情報から、研究者の論文までが載っていて、大まかに知りたい初心者にも、知識をより深めたい人にも役立つ資料でもあります。
また、自然に関するテーマを歴史的な視点からも見るなど、あらゆる方面からアプローチできることも、図録ならではかもしれません。
例えば、MieMu(みえむ・三重県総合博物館)の図録。
『集まれ!三重のクジラとイルカたち』には、三重の海で暮らすスナメリやクジラとともに四日市でも行われている「鯨船行事」について、 『やっぱり石が好き!』では、三重の岩石鉱物はもちろん、岩石信仰や石器など人々との関わりについても紹介されています。

見て楽しい、読んで役立つ「図録」。一度、図録をのぞいてみませんか?

2階地域資料室には、それぞれ書かれている内容の場所に図録が置いてありますので、職員までおたずねください。

三十一文字(みそひともじ)の世界へ

『うたわない女はいない』 働く三十六歌仙/著 中央公論新社(市立・成人911.16//23) 

「食っていけるの? そう笑ってた人たちをシャネルのバッグでいつか撲(ぶ)ちたい」 野口あや子

どこかで紹介されていたこの歌に、一瞬で心をつかまれました。
なんて力強くて、すがすがしい!

この本は、女性歌人35人と一般公募で大賞に選ばれた1人の計36人が、「働くこと」をテーマに短歌と短いエッセーをつづっています。
エッセーがあることにより、歌が詠まれた背景が想像しやすく、短歌になじみのない人にもおすすめです。

「日曜のにぎわいのまま残された寝ている本を起こしてまわる」は、図書館で働く谷じゃこさんの作品。
休館日明けの図書館の風景を詠んだ歌、本を起こしてまわる、という言葉のチョイスに愛を感じます。

花山周子さんの「床の面積」では、子育てと、働くことの現実が。
「下校した娘には休む場所である家であるゆえひろがれる娘」 
「床の面積が心の面積 然れども地獄絵図のごとき床を見降ろす」
外の世界で、少なからず緊張や我慢をしてきたであろう子が、自分の家でのびのびと広がる姿は愛おしい。
愛おしいけど・・・地獄絵図のような床ばかり見てたら、そりゃ眉間にしわもよりますよ。
 
言葉を選び、そぎ落とし、三十一文字に落とし込んだ短歌の世界、ぜひ味わってみてください。

和菓子の愉しみ

『和菓子の愉しみ』 堀部 美奈子/著 翔泳社(市立・成人 596.6//24)

現代の暮らしの中で、和菓子をより豊かに、深く楽しむための知識やアイデアを
集めた一冊です。
和菓子の素材や歴史、技法といった基礎知識はもちろん季節ごとの味わい、五感を使った愉しみ方、自宅でいただく際の器選び、煎茶や紅茶、珈琲との合わせ方。
そして、簡単に作れる和菓子レシピなど、食べるだけでなく、ひとつの和菓子から広がる豊かな体験、心も体も満たしてくれる、和菓子の愉しみ方を提案してくれます。

日々進化していく「新しい和菓子」も紹介されています。
個人作家のお菓子や老舗の新しい取り組みなど、今の暮らしに寄り添う、現代の和菓子との出会いの愉しみがあります。
 
和菓子の見た目の美しさや独特の味わい、奥深さを感じながら、和菓子の魅力を、存分に楽しみたいですね。

エッセーを読もう! ~「読書に関するエッセー」募集開始~

『ベスト・エッセイ2024』 日本文藝家協会/編 光村図書出版(市立・成人 914.6//24)

今年も、「読書に関するエッセーコンクール」の応募が始まりました!

 
エッセーを読むのが初めての方、何を読んだらいいか分からない!という方もいるかと思います。
 
そんな方にオススメしたいのは、日本文藝家協会 編「ベスト・エッセイ」シリーズです!
「ベスト・エッセイ」シリーズには、その年に新聞や雑誌などで発表された中から、厳選されたエッセーが1冊にまとめられています。
 
『ベスト・エッセイ2024』では、くすっと笑える話から深い共感のある話、旅や仕事での出会いの中から、浅田次郎や俳人の夏井いつき、芸人のラランド・ニシダといった多様なジャンルの顔ぶれが、2024年の日常を鮮やかに描き出します。
もちろん、読書に関するエッセーも収録されていますよ。
 
三木那由他「私たちには物語が必要だ」では、フィクションを生きるキャラクターを取り上げ、憧れた過去や、フィクションの中で多様な姿での活躍を描いてくれたら、と願っています。
 
宮内悠介「図書館考」では図書館との思い出と作家としての率直な図書館への想いが書かれていて、図書館を利用される方に読んでもらいたい一編です。
 
また今巻は、作家・大江健三郎や評論家・菅野昭正など亡くなった方への追悼文も数多く掲載されています。
中村文則は、初めて読んだ『個人的な体験』や大江健三郎賞に選ばれた時のことを振り返りながら、大江健三郎への感謝を語ります。
 
 
 
いかがですか。
だんだん、エッセーに興味が沸いてきたのではないでしょうか?
2024年のテーマは「何度だって読みたい本!」です。
ぜひあなたの「読み返したい!」を教えてください。
「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
(市立図書館ホームページの別ページが開きます)

読書エッセーって面白い!~読書に関するエッセー募集中~

『宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019』 宮部 みゆき/著 中央公論新社(市立・成人 019.9//23)

今年も、「読書に関するエッセーコンクール」の応募が始まりました。
読書に関するエッセーってなに? 読書感想文とは違うの?
そんな方はぜひ、実際に読書エッセーを読んでみましょう!
 
『宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019』は、毎週日曜日に読売新聞朝刊に掲載されている「本よみうり堂」にて、宮部みゆきが書いた書評を集めた1冊です。
読書家の宮部みゆきらしく、フィクション・ノンフィクションを問わないバラエティーに富んだ様々な本が選ばれています。
 
例えば、エルヴェ・ファルチャーニ『世界の権力者が寵愛した銀行』の紹介では、原題が『脱税の金庫番』であることに触れて宮部みゆきらしい題名を考案し、本書の背景と著者を簡単に紹介しつつ「告発者装った? 「情報泥棒」」というキャッチ―な見出しを付けています。
 
舞城王太郎『深夜百太郎 入口』『深夜百太郎 出口』の紹介では、舞城王太郎の超人作家と言っても良いような執筆スタイルは勿論、百話の多彩さを簡潔に示しています。
 
 
新聞書評なので、1つが500字から800字と少し短めですが、宮部みゆきの力量が表れていると感じるポイントがあります。
それは、自身の体験や社会へのまなざし、作品への愛が鮮やかに映しだされている点です。
紹介した本を読みたくなるような仕掛けがふんだんに用いられており、本を語りながら自分を語る、読書エッセーのお手本にするにはもってこいの本なんですよ。
 
いかがでしょうか。
宮部みゆきのほかにもたくさんの小説家やエッセイストが本や読書に関するエッセーを書いているんですよ。
読書エッセーを少しでも身近に感じていただけたでしょうか?
 
2024年のテーマは「何度だって読みたい本!」です。
ぜひあなたの「読み返したい!」を教えてください。
「読書に関するエッセーコンクール」へのご応募をお待ちしています!
(市立図書館ホームページの別ページが開きます)