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『夜と霧』 ― 人生があなたを待っている

『夜と霧 ドイツ強制収容所の記録』 V.E.フランクル/著 みすず書房  (市立・書庫946)
『夜と霧』(新版) V.E.フランクル/著 みすず書房 (市立・成人946/ /02)


 この本は、原題を『心理学者、強制収容所を体験する』といい、1946年に出版されました。
 初めて日本に紹介された1985年版、原著の改訂版を訳した新版ともに増刷を続けており、現在でも広く読まれている本です。
 精神科医であった著者のV.E.フランクルは、ユダヤ人であったためナチスに捕えられ、過酷な収容所生活を経験しました。その収容所での体験を一冊にまとめた本がこの『夜と霧』です。
 フランクルは、人生には無条件に意味があるとし、患者が人生の意味を見つける手助けをすることによって治療する「ロゴセラピー」を構想していました。しかし、その構想を発表する前に強制収容所へ連行されます。『夜と霧』では、極限の生活の中でフランクルがどのように生きる意味を見つけ生きのびたかが書かれており、人が生きていく上で人生の意味を見つけることの重要性を伝えてくれます。


 関連図書として、フランクルの心理学をわかりやすく説いた『フランクル心理学入門 どんな時も人生には意味がある』[市立・書庫 146.8/ /00]、綿密なインタビューによってフランクル夫妻の人生をたどる『人生があなたを待っている』[市立・成人 289/フラ/06]、東日本大震災を経て改めて「夜と霧」を読みなおす『フランクル『夜と霧』への旅』[市立・成人 946/  /12]、テレビ放送を書籍化した『フランクル『夜と霧』 絶望の果てに光がある』[あさけ 946/モロ/ ]などを図書館では所蔵しています。


 原著が刊行されて68年がたった今でも、色あせない魅力をもつ本です。