カテゴリ:図書館スタッフのおすすめ本

アンニョン ハセヨー!

『今さら聞けない現代韓国の超基本 ドラマ・文学・K-POPがもっとわかる』 朝日新聞出版/編著 朝日新聞出版(市立・成人 302.2//25)

 

皆さんは「韓国」と聞いて、最初に何を思い浮かべますか?
K-POP、ドラマや映画、小説、韓国料理、あるいはコスメやファッション。
いまや世界を席巻するKコンテンツですが、意外と知らないのが韓国の素顔。
知らなくても、ドラマも音楽も楽しめますが、その国の歴史や文化を知ることで、作品世界や推しの言葉や振る舞いをより深く理解することができます。

 

私事ですが、この年末年始はソウル(マイナス10度!身体が悲鳴)で過ごしました。
韓国のお正月は、旧正月(ソルラルといって、今年は2月17日)を盛大にお祝いします。
そのため、12月31日~1月1日は私が滞在していたホテル周辺は花火が上がったくらいで、飲食店や商業施設は通常営業でした。
そして、日本で小学生女子に大人気!ボンボンドロップシールを始め、立体シールがお友だちの分もたーくさん購入できて、6年生女子は大喜びでした。韓国でも、少しずつ人気が出てきているそうです。雑貨屋さんでは、同じように日本人の女の子を何人も見かけました。

 

中部国際空港から、北海道と同じ2時間で行ける韓国。
本書ではますます身近になっていく韓国について、文化、社会、歴史を多角的に知ることができます。
日韓関係のこれからも含め「近くて遠い国」への、真の理解を深めてみませんか。

箱根駅伝熱かったー

『駅伝のすべて 知るほど面白い観戦知識と競技の魅力』 坪田 智夫/監修 メイツユニバーサルコンテンツ (市立・成人 782.3//23)

 

今年もたくさんのドラマがありました!お正月の風物詩、箱根駅伝!
この本は、箱根駅伝はもちろん、駅伝全般の歴史から基本的なルール、特性等がイラスト満載でわかりやすく書いてあります。
現役駅伝監督の解説による箱根駅伝の区間ごとのポイント、選抜メンバー・付き添い係・給水係の前日・当日のスケジュール・本番に向けた準備など、裏話的なことを知ることができておもしろかったです。
箱根駅伝の伴走車が昔は自転車だったことをこの本で初めて知りました。他にも、出場選手は大会中は単独行動が多いという話も、確かにそうなるよな、と思ったり、改めて駅伝について色々と学ぶことができました

駅伝前にコースの復習をするも良し、観戦後に思い出しながら読むも良しの一冊です。
駅伝について、とてもわかりやすく書いてあって気軽に読めるので、おすすめです。

見えない自分に気づく本

『差別はたいてい悪意のない人がする 見えない排除に気づくための10章』 キム ジヘ/著 尹 怡景/訳 大月書店(市立・成人 361.8//21)

 

 このタイトルに「?」が浮かぶ人は少なくないと思います。私自身、差別は悪意ある人による卑劣な行為だと思っていました。本書の冒頭で著者が語る実体験を通して、反差別を貫く人でさえ意図せず他者の心を踏みにじることがあると知らされ、固定観念を砕かれた思いがしました。


 気になって他の本も併せ読むと、否定・侮辱・疎外のメッセージを含んだ言動が悪意なく発せられる背景には、無自覚のバイアス(偏見・思い込み)があることにも気づかされました。自己の半生を振り返ると、いくつかの思い当たる場面(例:「また人権の研修会かよ…」と呟いたこと)が蘇り、配慮なき言動は正義感や善意さえ心をえぐる刃に変えることに気づかされました。


 ネットには偏見や憎悪を煽る真偽不明の情報があふれ、差別は一層見え難さを増して拡大再生産を続けています。この本は、行く先が見えない現代社会を生きる私たちに、悪意なき差別を見抜く叡智と勇気を与え、自己を見つめ問い返す誠実さを取り戻してくれる一冊だと思います。

 

 

<関連本(抄)>
『あなたにもある無意識の偏見 アンコンシャスバイアス』 北村 英哉/著 河出書房新社(市立・人権同和 361.4//25)
『マイクロアグレッションを吹っ飛ばせ やさしく学ぶ人権の話』 渡辺 雅之/著 高文研(市立・人権同和 361.8//21)
『中学校の授業でネット中傷を考えた 指先ひとつで加害者にならないために』 宇多川 はるか/著 講談社(市立・成人 007.3//23)

待ってました。読みたかった。

『砂の器 映画の魔性 監督野村芳太郎と松本清張映画』 樋口 尚文/著 筑摩書房(市立・成人 778.2//25) 

 

 この本が出た時、嬉しすぎて飛び上がってしまいました。
 今まで数多く映像化されてきた松本清張作品の中でも私が一番感動した、1974年版・映画「砂の器」撮影の秘密・・・あの切なく甘美で壮大な音楽『宿命』の誕生秘話や、美しい日本の原風景撮影の裏側など・・・を、様々な人へのインタビューを通して知ることができるのですから。
 「砂の器」は、当時の、ある病気への差別から親子がお遍路となり各地を放浪し、果ては親子の縁を切らなければならなかった悲しみや、その後におきてしまう悲劇・・・ 社会派作家の松本清張さんにしか書けない深い作品です。
 
 さて余談ですが・・・テレビドラマ「家政夫のミタゾノ」は、市原悦子さん主演で有名な「家政婦は見た!」のパロディですが、元々は、松本清張さんの「熱い空気」が原作ということをご存知でしょうか。
 現在に至るまで何度も何度も映像化されていて・・・その魅力は永遠です。

「推し(仏)」に会いに行く旅

『見仏記ガイドブック』 いとう せいこう・みうら じゅん/著 角川書店(市立・成人 185.9//12)

 

学生時分、「趣味は読書です」なんて(恥ずかしげもなく)言っていたというのに、社会人になって以降、本を読むといえば、業務必携本やら仕事関連の本を開くくらい。
縁あって図書館勤務となり、来館者のみなさんがたくさん本を借りていかれる姿を見るにつけ、すっかり読書から遠ざかってしまった自分を反省することしきりである。


さて、私が「趣味は読書」なんて言っていた頃に読んだ本のひとつ、『見仏記』。
鬼才2人が楽しく仏像を訪ねて紹介しているのだが、そのノリがたまらなくいい。
ウルトラマンの口許は弥勒菩薩像のオマージュであると言ってみたり、吉祥天女に不埒な想いを寄せてみたりとやりたい放題である。
「仏(ブツ)が目白押し」という表現は、読んでから三十年以上経った今も忘れられないフレーズだ。
『見仏記ガイドブック』では、『見仏記』シリーズでいとう氏とみうら氏が回ったお寺を地方別にまとめてあり、自分が会いにいきたい仏を選びやすくなっている。
「見仏旅」では信仰心や美術心は必要ない。ただ「いいなぁ」と思うだけでいい。
私も「推し(仏)」に会いに行ってみたいと思う。

『見仏記』 いとう せいこう/文 みうら じゅん/絵 中央公論社(市立・書庫 915.6//イト)


※『見仏記』は「よっかいち電子図書館」でも読めますよ!

  よっかいち電子図書館の利用はこちらから。

「読んでおいしい食エッセイ!」

「はらぺこ万歳! 家ごはん、外ごはん、ときどき旅ごはん」 たかぎ なおこ/著 文藝春秋(市立・郷土作家 596.0//郷土)

 

 現在、図書館2階展示コーナーでは「読んでおいしい食エッセイ」と題して、食にまつわるエッセイを紹介しています。
 食通としても有名な池波正太郎さんをはじめ、小川糸さん、椎名誠さんなどの本が並ぶなか、今回は、四日市出身のイラストレーター、たかぎなおこさんの『はらぺこ万歳!』をご紹介。「家ごはん、外ごはん、ときどき旅ごはん」のサブタイトルどおり、ひとりぐらしの適当自炊から、実家の謎ちくわ料理、旅先の弘前グルメなどを、たかぎさんのイラストで紹介しています。
 たかぎさんの本は、ときどき登場する四日市の話題はもちろんですが、世代が近いせいか「それ、めっちゃわかる~」ということが多く、どの本も大好き。この本では、小学校時代の給食「ポーミントン」にめちゃくちゃ懐かしみを覚えました!

 

「読んでおいしい食エッセイ」の特集は12月28日(日曜日)まで、2階展示コーナーは17時までです。ぜひ、新しい本との出会いを。

 

どんな本があるかは、こちらの「テーマ一覧」からもご覧になれます、ぜひご利用ください。
 (PC版)https://www1.yokkaichi-lib.jp/winj/opac/theme-list.do?key=0000000036&lang=ja
 (スマートフォン版)https://www1.yokkaichi-lib.jp/winj/sp/theme-list.do?key=0000000036&lang=ja

「『100万回死んだねこ』ってありますか?」

『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』 福井県立図書館/編著 講談社(市立・成人 015.2//21)


 図書館では、利用者の方が探している本を見つけることも大事な業務の一つです。初めて図書館で働き始めた時、「探しても本が見つからなかったらここを見るといいよ…」と先輩に教えてもらったのが、福井県立図書館のホームページ内にある「覚え違いタイトル集」でした。
 福井県立図書館の窓口での問合せなどから、覚え違いしやすいタイトルや著者名の事例をリスト化したページで、現在紹介されている事例は1300以上になります。
 そんな事例から厳選し書籍化されたのが本書です。

 

Q『蚊にピアス』→A『蛇にピアス』
Q『滅びた後のシンデレラ』→A『滅びの前のシャングリラ』
Q「なんかが強く吹きすぎてる本」→A『風が強く吹いている』など…

 

 覚え違いのタイトルや、ふんわりとした記憶からたどる事例、映画と原作のタイトルが異なっている事例など、利用者から尋ねられる内容も様々です。
 作品のタイトルを間違いなく覚えることは誰にとっても難しいですが、数々の事例にくすりと笑ったり「あるある」と頷いてしまいます。

 

読みたいと思ったけど探しきれず諦めていた本がありましたら、この本で再会できるかもしれません。
当館でも、お探しの本がありましたらぜひお気軽に尋ねてください。

 

本書のタイトルになっている本もとても有名な絵本の覚え違いです。正しいタイトル、思い出せますか?

方向音痴が見ている世界

『方向音痴って、なおるんですか?』 吉玉 サキ/著 交通新聞社(市立・成人 448.9//21)

 

私自身は方向音痴ではないと思っているけれど、旅行先などでは地図アプリに頼り切り。ナビ機能のままに進めば目的地に着くので、地図を読む力はどんどん衰えている気がします。
よく一緒に旅行する友人は自他ともに認める方向音痴。本書にも方向音痴あるあるとして書かれているとおり、最初の一歩をどちらに進めばいいか分からない、地図アプリを見ても逆方向に進んでしまうと言います。最終的には「今ここにいる!」と写真が送られてきて、待ち合わせするのも一苦労です。
本書は、自分を知る・脳を知る・地図を知る・地形を知る・地名を知るの5章。認知科学者や地図研究家といった、それぞれの分野の専門家から教えを受けて、悪戦苦闘しつつ著者が方向音痴を克服する様子が、エッセイ仕立てに楽しく読める一冊です。方向音痴の人も、そうでない人も、新たな視点で街歩きしてみませんか。

田んぼのまん中にある神社を集めた写真集

『田んぼのまん中のポツンと神社』 えぬびい/写真・文 飛鳥新社(市立・成人 748//25)

 

田んぼのまん中にポツンとある神社を集めた写真集。
最初に静けさが心を和ませてくれる。
日常の喧騒から離れ、風が穂を揺らす音や鳥のさえずり、虫の音を写真から感じられた。
正面や空中写真の構図もよく、水田に映る空、季節の移ろいとともに表情を変える稲穂、その中に凛と立つ神社は、どこか懐かしい日本の原風景を思わせてくれた。
特に稲刈りの時期には黄金色のじゅうたんの中に、雪が降れば白銀の世界へと導いてくれ、季節の移り変わりの美しさを思い出させてくれる。
ポツンと神社のある風景は昭和中期以降からポツポツと誕生したらしい。
春・夏・秋・冬と四季にわたり写真が集められていて、季節ごとに違う表情を見せる情景に温かさと寂しさ、懐かしさを感じた。

自分のからだをいたわる

『疲れないからだをつくる夜のヨガ』 サントーシマ香/著 大和書房(市立・書庫 498.3//17)

 

初めてヨガのレッスンを受けた時、心とからだが軽くなったことを覚えています。自分にベクトルを向け、からだに余分な力が入っていないか確かめながらポーズをとる。からだに痛みを感じると、日々の生活の中で、もっと自分のからだをいたわってあげなきゃと気づかされます。ヨガを覚えたいけど難しいポーズはできる自信がない・・・と思っていた時にこの本に出会いました。
布団の上でも楽に取り組むことができるヨガが紹介されており、ヨガ初心者の私でも簡単にポーズをとることができました。また、ヨガだけでなく疲れないからだをつくるために、日常生活をどう過ごしたらよいかのヒントも紹介されています。
日頃、自分のからだをいたわってあげてなかったかもしれないと思った方に、ぜひ読んでほしい本です。

ひとりぼっちは怖くない

『孤独ぎらいのひとり好き』 田村 セツコ/著 興陽館(市立・成人 726.5//20)

  

『孤独ぎらいのひとり好き』というタイトルを見て、「私のことだ……!」と衝撃を受けて手に取りました。
 実家を離れて一人暮らし。初めは意気込んで始めた一人暮らしですが、だんだんと寂しさが募っていた時でした。
 テレビもついているしエアコンの音もする。それなのに何故かシーンとしていて、涙がぽろっと出てしまう夜がありました。「私はこの世界でひとりぼっちになったのかな」と思うくらい“孤独”を感じていました。
 でも、実家に帰ると美味しいご飯が出てきて、くだらないことで家族と笑いあって、飼い猫は嫌々ながらも撫でさせてくれる。それに、夜中でも電話に付き合ってくれたり、休日には一緒に遊んでくれたりする友達もいる。
 それに気づいた瞬間、「私はひとりぼっちじゃなかったんだ!」と胸がいっぱいでした。
 そうかと思えば、一人で新幹線に乗ってふらっと出かけるのは何てことはないのです。何なら、「一人って最高に楽しい♪」くらいに気楽に感じます。
 最近、こんな風に“孤独”は嫌だけど“一人”は好きな私って変?と考えていましたが、そもそも孤独を感じない人間なんかいないんだな、とこの本を読んで思いました。
 誰でも孤独は感じている。けれど、他の誰かに寄りかかっているだけではダメで、一人で立つ練習もしなくてはいけない。
 私にとって、そんな人生の目標が出来た素敵なエッセイでした。

幸せなおやつ時間

『志麻さんちのおやつ』 タサン志麻/著 NHK出版(市立・成人 596.6//25)


予約のとれない伝説の家政婦 タサン志麻さんの、家庭でつくるお菓子のレシピ本が素敵です。少ない材料で、手軽に出来るものや、工程が少なく簡単にできるレシピで、作りやすいものばかりです。子どもと一緒に作れるくらいシンプルで簡単なレシピです。
バターは有塩でも無塩でもいい!型がなくても大丈夫!チョコレートは市販の板チョコでOK!キレイじゃなくても、ちょっとくらい失敗してもいい!
フランス仕込みの家庭のおやつは、実にザックリなのにとっても魅力的です。
大人も子どもも笑顔になれる家庭のためのおやつ50品を紹介しています。

 

子どもたちと自由に楽しくつくって、みんなで笑顔で味わえたらとっても幸せなおやつ時間になると思います。

書は捨てず、路上に出る

『路上観察学入門』 赤瀬川 原平ほか/編 筑摩書房(市立・書庫 304//86)

 

皆さんは日ごろ道を歩いていて、不思議と目を引くものを見つけた経験はありますか?
私は最近、とある工場の壁の2階に階段も梯子もない奇妙なドアを見つけました。
建築物などに付属しており、実用的には用をなさずそれでいて美しく保存されているものをトマソンと言うそうです。
そのトマソンを最初に提案した赤瀬川原平ほか様々な方たちの執筆物、対談、インタビューなどを集めたのが本作です。

 

タイトルにもなっている路上観察学は、先ほどのトマソンも含め、マンホールのふた、高校の制服、道のわきのドブ板の曲がり方、果ては自宅アパートのお手洗いの窓から見える他の部屋の住民の様子まで様々なものを対象としているということで、本作でも多くの事例や報告が挙げられています。
川に流れているゴミの観察記録など、一見「くだらない」「どこが学問?」となりそうですが、調査報告書や観察の方法・注意点には熱量を感じ、目の前の出来事に関心を持つこと、それを観察、記録するというのは立派な学問への入り口であると真面目に考えてしまいました。

 

ちなみに見つけたドアについては、過去どういう用途であったのかはいまだわかっていません。
毎日見慣れた場所でも、少し見方を変えれば面白いものがあるし、知的好奇心の入口になると教えてくれる一冊です。

地球を知る

『地球史マップ』 クリスティアン グラタルー/著 藤村 奈緒美・瀧下 哉代/訳 日経ナショナルジオグラフィック(市立・成人 450//24)


 黒地に青い地球。この宇宙から見たような地球の表紙に惹かれ手に取ってみた。
パラパラとページをめくると地球誕生・構造、生命の歴史。またヒトという動物の誕生による地球の地質や気候、資源、生物、社会の変化など人類と地球のかかわりについて書かれている。
 例えば、地球の核が生み出す地磁気が「盾」となり、生物を太陽の熱や宇宙線から守っている。地球は、太陽との距離や気圧により水が液体として存在できるハビタブルゾーンに入る唯一の太陽系の惑星であること。深層海流の平均速度は1㎜毎秒で、地球を1周するのに1000年かかることや、海水には太陽エネルギーとCO2を吸収し気候変動を緩和する役割があるが、昨今の温室効果ガスの排出による気温上昇を緩和するため、海水が熱吸収するので海面温度が上がっていることなどである。  
この1冊には地球のこと、また地球とヒトとの関りを社会、地理、生物などの視点から解説されており、「そうだったのか!」が溢れていた。
 百科事典のように全頁が、わかりやすい図や表で表現されパラパラ見ているだけでも面白い。また関連ページの表記や索引もあり、興味のある1ページからどんどん広がっていく1冊である。

【募集は終了しました】「おもしろいエッセーって…」 読書に関するエッセー募集中!

『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』 kemio/著 KADOKAWA (市立・成人 779.9/ /19)

 

エッセーコンクールの担当として、たくさんのエッセーを読む機会をいただいています。
昨年の応募総数は164作(ありがとうございます!)! それだけのエッセーを読むと、「自分はエッセーの、どういうところをおもしろいと感じているんだろう?」と考えるようになりました。

 

思うにエッセーのほとんどは、「書き手に起こったこと」と「それを経て書き手が考えたこと」でできているのではないでしょうか。
そこへ文体、つまり「書き手がどんな距離感で読み手に伝えようとしているか」のいろどりが加わることで、書き手それぞれのリズムに乗って、こちらへ伝わってくるように思えます。

 

そんなわけで今回紹介するのは、kemioさんの『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』です。

 

モデルや歌手、動画クリエイター等多岐に活躍されるkemioさん。その経験と考えが、kemioさんの口調そのままで書かれています。なんたって冒頭から、

 

「地球上のみなさーん! 初めましての方、お帰りなさいの方、バーキンは持たないけどエコバッグは所持系のセレブことkemio、けみおでーす!」(P.022)

 

……ここだけ引くと、乗れる人乗れない人をはっきり分けそうですが、

 

「私、棺桶までのレース、ガンガン走っておりますが、みなさんのレースは順調ですか?」(同)

 

と続くと、お? と身を乗り出してしまいます。
「棺桶までのレース」という、kemioさんの語り口からは想像できない深さからのワード。そんなことばどこから? と思ったらもう、つかまれています。あとはあっという間。生活、恋愛、将来についてしゃべりまくるkemioさんのペースに引っぱり回されるばかりです。
口調を離れて冷静に見ると、kemioさんの来し方は相当にヘヴィです。しかしそう思わせないのは、ひとえにkemioさんのしゃべりそのままの文体の力。抵抗を感じる前に読ませてしまう、オープンな力があります。

 

「今やること、やらないことって結局賭けでしかなくて、ウチら一生ベガス。まじで」(P.163)
「今を楽しくする方法を常に考えてる。(中略)振り返ったら「あ、充実してた」みたいなHAPPY ENDで締め上げる」(P.172)

 

エッセーを読むことが、書き手の経験と考えを読むことなのだとしたら、実はそれってかなり、おしゃべりに近いのではないでしょうか?
読んでくれる人とおしゃべりするように書けたら、たくさんの人に伝わり、またたくさんの考えが生まれるきっかけにもなりそうです。楽しみですね!

 



図書館では、今年も読書に関するエッセーを募集しています。
2025年のテーマは「今、いちばん読んでほしい本!」です。
誰かにおすすめしたい本の中でも、2025年の今、気分はこれ!という本や、2025年、こんな情勢だからこそ読んでほしいと思う本について、エッセー(随筆)にしてください。
またはあなたの読書法や、読書論についてのエッセーも可です。
ご応募お待ちしております!

 

「読書に関するエッセーコンクール」作品募集中

仕掛けのある小説

『ターングラス 鏡映しの殺人』 ガレス ルービン/著 越前 敏弥/訳 早川書房 (市立・成人 933.7/ルヒ/25)

 

図書館で働いていながらも普段あまり小説を読まない私。そんな私でもつい手に取ってみたくなるのが、"仕掛け"のある小説だ。
読む順番で物語が変わる道尾秀介の『N』然り、袋とじを切り開いて読む泡坂妻夫の『生者と死者』然り、一風変わった仕掛けの施された小説に心惹かれる。
そんな私が3冊目として読んだのが、ガレス ルービン『ターングラス 鏡映しの殺人』。外国人作家によるミステリー小説だ。
この本は、表と裏の両方から読み進めることのできる左右両開きの形をとっており、表から始まる物語と裏から始まる全く別の物語が、互いの謎を解決へと導く鍵となっている。
ぜひ一度この本を手に取り、初回の読了時にのみ味わえる仕掛け本ならではの驚きと感動を体感していただきたい。

野球を楽しむ

『野球と応援スタイル大研究読本』 ジン トシオ/著 カンゼン(市立・成人 783.7//22)


わが家には野球大好き家族がいて、プロ野球シーズンともなると毎日テレビで野球中継を見ている。
地元チームが一番のお気に入りだが、他のチームの試合を観戦することも好きで、複数試合中継している日はパラダイスらしい。

 

『野球と応援スタイル大研究読本』は、日本ハム、ロッテ、楽天の応援団を渡り歩き、高校野球や様々なスポーツの応援歌を作曲してきたジン トシオ氏によるもの。応援とは何か、どんな応援があるかという話からどのように応援や応援歌が作られるのか、試合における応援の流れや楽器術など応援に関するさまざまな情報が詰め込まれている。
「応援の目的は、勝利のために選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境作り」とあるが、一言で応援と言ってもとても広い世界なのだと感じた。

 

私自身はなかなかゆっくり中継画面を見ることができず音だけを聞くことが多いが、シーズンも終盤にさしかかった今、試合はもちろん応援にも注目して楽しんでいきたい。

 

こちらも楽しい1冊。2005年から2024年までの20年間のファンクラブの歴史を主な特典とともに振り返ることができます。
『プロ野球12球団ファンクラブ全部に20年間入会してみた!』 長谷川 晶一/著 集英社(市立・成人 783.7//24)

【募集は終了しました】「エッセーの魅力」 読書に関するエッセー募集中!

『うたうおばけ』 くどう れいん/著 書肆侃侃房(市立・成人 914.6/クト/20)

 

今までエッセーを読んだことがなかったのですが、先輩に勧めてもらい読み始めました。エッセーの魅力に気づくきっかけとなった本を紹介します。

 

くどうれいんさんの『うたうおばけ』という本です。
くどうれいんさんのうそみたいな実話が綴られています。「パソコンのひと」、「まつげ屋のギャル」など39編のエッセーが収められており、ひとつひとつが短いのでさくさく読める作品です。
特に「冬の夜のタクシー」が好きです。雪と雨が交互に降る中、恋人にふられてしまいます。心の中もぐちゃぐちゃで傷心している中、一人の女性タクシードライバーが現れます。この人と出会うための別れだったのかもしれない。そう思わせるほどの素敵な人との出会いで、タクシー代を払おうとした際の言葉が忘れられません。くどうれいんさんも「かっこよすぎるじゃないですか」と答えており、言葉のもつパワーに感動しました。
他のエッセーも本当に実話ですか?と疑いたくなるほど、まるで映画のワンシーンのようで、短くても心に残るエッセーは、短い文章の中に深い感情や共感を呼び起こす力をもっているのかもしれません。
まだエッセーを読んだことがない方、久しくエッセーを読んでいない方、この夏読んでみませんか。

 

図書館では、今年も読書に関するエッセーを募集しています。
2025年のテーマは「今、いちばん読んでほしい本!」です。
誰かにおすすめしたい本の中でも、2025年の今、気分はこれ!という本や、2025年こんな情勢だからこそ読んでほしいと思う本について、エッセー(随筆)にしてください。
またはあなたの読書法や、読書論についてのエッセーも可です。
ご応募お待ちしております!

 

「読書に関するエッセーコンクール」作品募集中

(市立図書館ホームページの別ページが開きます)

住所のこと知りたい人はこちら

『住所と地名の大研究』 今尾 恵介/著 新潮社(市立・書庫 318.1//04)

 

この本は、地名の本は沢山あるのにどうして住所の本がないんだと常々思っていた著者が「それなら自分で作ってみようか」というありがたい一冊です。

 

郡って何だろう? 大字って何だろう? 丁目って何だろう? と思ったことがある人。
住所と地番とはどう違う? 〇番〇号とか〇番地〇とか様々なのはどうして? と疑問に思ったことがある人。
おすすめします。

 

そして皆さんは住所に入っている数字について、どのようにこの番号が割り振られたのか気になりませんか?
この本ではそのあたりのあれこれについても解説されています。
早速私も町内の地図を確認してオオッと感激しました。
興味のある方はどうぞ。

ごはん作ろうかなと思った本

『初めてのひとりキッチン』 上田 淳子/著 講談社 (市立・成人 596//21)

 

タイトルからやさしそうな印象を受けたので、この本を選びました。
 
「この本はいままでのビギナー向け料理本よりも、さらに一歩手前の段階を想定しています」という言葉から始まるので、安心してページをめくることができます。

全体的に準備する材料が少ないレシピが多いです。
また、作業手順が少ないレシピも多く、2つや3つの手順で完成する料理もたくさん掲載されています。

 

初めて料理をする方だけでなく、用意するものが多いと大変だなと思う方、文章が長いのは苦手だなという方にもおすすめです。よかったら見てみてください。