図書館スタッフおすすめ本

『捨てられない』あなたへ

『28文字の捨てかた』 yur.3/著 主婦の友社 (市立・成人 597.5//21)


「この箱、もしかしたら何かに使えるかも…」
「この服はいつか着るかもしれないし、捨てずにしまっておこう…」
 
こんな経験、ありませんか?私はよくあります。

この本は、そんな『捨てられない』人へ向けた28文字の短いメッセージが、多数収録されています。
メッセージの内容は、個人的に身に覚えのあるものが多く、読みながら何度もドキッとさせられました。
服やキッチン用品、思い出のもの…などなど。
何か1つでも「そろそろ捨てなきゃいけないかな」と感じていたら、読んでみてください。

同じ著者の前作『28文字の片づけ』も、市立図書館にて所蔵しています。

夢中になることの素敵さ

『さかなクンの一魚一会』 さかなクン/著・イラスト・題字 講談社  (市立・児童 289/サ/16)

 
 魚のことについて知りたいと思ったときには「さかなクン」の著書がお薦めです。さかなクンは、それぞれの魚に関する知識にその魚の魅力を含めて伝えてくれます。彼のイラスト画もチャーミングで、知らない間にその魚を好きになってしまいます。
 
 でも、この本は魚を紹介している本ではなく、さかなクンの自叙伝です。はたらく自動車を描くのが大好きだった幼い男の子が「さかなクン」へと成長していく様子が、様々なエピソードとともに描かれています。楽しく読み進める中で深く私の心に残ったのが、さかなクンのお母さんの子育ての姿勢です。かなり昔に子育てを終えた私にとって自責の念に駆られる思いがしました。子どもが発する個性的なエネルギーに戸惑いを感じているお母さんやお父さん、そして、学校の先生に、ぜひお薦めしたい一冊です。

虫という自然を武器に

『法医昆虫学捜査官』シリーズ 川瀬七緒/著 講談社 (913.6/カワ/12~)

 
 法医昆虫学とは、遺体に寄って来る虫の種類やその生態から、殺害が行われた時間・環境等を割り出し、事件解決への手掛かりとするというものです。物語は、まだマイナーなこの分野を、捜査手法の一つとして確立・実用化しようと奮闘する、一人の学者を主人公として進んでいきます。
 どこまでも本能に忠実な虫たちには、自我や思考によるブレがありません。どんな状況下においても、虫たちは常に、それに即した“正しい”行動をとる。それを知悉している法医昆虫学者の推理・考察は(判断を下せない段階では下さない、という選択も含めて)、科学的根拠に基づいて実に的確です。こうした作品の常で捜査本部の方針とはよくぶつかりますが、昆虫学の知識と行動力で着実に真相ににじり寄っていくその様には、理が通っているからこその安定感と爽快感があります。
 
 取り扱う題材が題材だけに、事件現場の有様も凄まじいものが多く、映像化は難しいかと思われます。ぜひ文章でお楽しみ下さい。

技術用語は技術者たちの発想や問題解決のエッセンス

『再発見の発想法』 結城 浩/著 SBクリエィティブ株式会社 (市立・成人 007.0/21)

 
 本書は「数学ガール」シリーズで有名な結城浩さんが技術本に着目して書いた発想法本です。
 
 技術用語の背後には、技術者たちが長年培ってきた発想や問題解決のエッセンスが詰まっています。本書では、技術者たちの発想が分かりやすく理解できるように、ざっくり章で分け、シンプルな説明と日常で活かされている例が書かれています。
 
 面白いと思ったのが第2章の投機的実行の項目。投機的実行とは、コンピュータのスピードを最適化する技法のひとつで、無駄になるかもしれないが実行することになりそうな処理を予測して実行する技法です。無駄になるかもしれないことをコンピュータにさせるなんてそれこそ無駄なんじゃないかなと思いつつ実際にパソコンで活かされているのは面白いと思いました。
 日常生活にも投機的実行はたくさんあると書かれています。例えば、天気予報を見て傘を持っていくかどうかの判断。会議に臨むときに質問されそうなことを前もって回答を準備しておくなども投機的実行の考え方といいます。なるほどと思いながら読み終えました。もしかしたら日常生活に再発見があるかもと期待して過ごしています。

鈴鹿の山の山賊が出会った美しい女

『桜の森の満開の下』
『坂口安吾エンタメコレクション伝奇篇』 坂口 安吾/著 春陽堂書店 (市立・成人 913.6//サカ/19)より
       
 今回は坂口安吾の作品から特におすすめしたい一本を選びました。

 本作を読み始めますと、中世の説話を思わせる設定のもとに、残酷な童話のような幻想世界が広がり出します。甘美にして異様な雰囲気が濃厚に立ちこめるのは、何と言っても満開の桜のイメージのおかげです。
 何も恐れるものがない山賊の心に畏怖の念を呼び覚ます花の『魔性』によって、物語は鮮やかに染め上げられていきます。男の魂を奪った女は、ある恐ろしい「遊び」に興じます。その「遊び」はただ残酷な光景のみ想像してしまいそうなものですが、清潔感と静けさを具えた文体で描かれることにより、決して悪趣味になり過ぎることなく、妖艶な舞台芸術を観るような趣きで作品世界に入り込んでいくことができます。ひたすら女に尽くしながら心身を擦り減らしていく山賊を見ていますと、結局は死を介してでなければ真に触れ合うことのない男と女の孤独が迫ってくるようです。

 私がとりわけ美しいと思うのがラストです。
 夢幻の世界の深い余韻に浸らずはいられないことでしょう。
 人も通らぬ山奥の桜の森の満開の下には鬼が似合いますね。

災害に備えて 

『おうち備蓄と防災のアイデア帖 もしもに備えて』 島本 美由紀/著 パイインターナショナル (市立・成人 369.3/20)

 

 いつ起こるかわからない災害に備えて、皆さんはどのような準備をしてますか。
 最近、我が家では、新型コロナウイルスの影響もあって、防災への備えの意識が高まり防災グッズを買いそろえました。
 いろいろと買いそろえる中で、防災食も購入したのですが、実際災害にあったときこれだけのの備蓄でいいのだろうかと不安に思っていました。
 
 そんな時、目に留まったのが今回紹介する本です。新しいおうち備蓄の方法「ローリングストック」を中心にまとめた本です。
 「ローリングストック」とは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、期限の近いものから日常的に食べ、食べた分を買い足していく循環備蓄のことです。食品ごとに保存期間や保存方法だけでなく、おすすめのレシピが掲載されていてとても役立つ内容が満載です。
 
 災害への不安が少し和らぐと思います。ぜひ、一度手に取ってみていただければと思います。

不思議で楽しい妄想世界

『妄想科学小説』 赤瀬川 原平/著 河出書房新社 (市立・成人 913.6/アカ/15)

 
 一冊の中にごく短い話がたくさん収められている、いわゆるショート・ショート集です。
妄想の名の通り、中身は奇妙でヘンテコなものばかり。現実の世界から斜めにズレたような発想がじわりと楽しい本です。
 個人的には『日光仮面』がおすすめです。特に昭和を生きた方に。いろいろな意味で・・・。

同和教育の授業実践記録を読み解く

『差別・被差別を超える人権教育』 原田 彰/著 明石書店 (市立・人権同和 371.5//20)

 
 「21世紀に部落問題を持ち越さない」

 
 学校関係者はそう思いながら、長年にわたり、自らの実践を積み上げてきたと思います。
 これは、部落出身かそうでないかという社会的立場を絶対化せずに、両側から部落問題に取り組むことを大切にしたある中学校の授業記録です。
 これらの学習を通して、「自分自身のために取り組む部落問題学習」という思いに至った中学生の姿は素晴らしいものです。


 「自分の内に潜む差別意識に気づこうとしているか」「他人事ですまそうとしていないか」
 部落問題にかかわらず、自分自身を問い直すきっかけとなる1冊です。

疲れ、たまってませんか

『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』 梶本 修身/著 アスコム (市立・成人 498.3//19)


なんだか最近、疲れがとれない気がする。

毎晩ゆっくりお風呂に浸かって、夜更かしは極力しない、週1~2程度は適度な運動もして、休みの日はいつもよりちょっと長めに寝て身体の疲れをリセット!・・・してるはずなのに・・・。
どうにも疲労感がなくならない!


そんな時に目についたのがこの本『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』でした。

表紙をめくると、まさに私の気持ちを見透かしたような言葉たちが書かれている。

読んでみると、疲労の原因から日々気をつけたいこと、寝る前の1分間ストレッチに、疲労回復レシピまで幅広く、そして分かりやすく書かれていました。

既に自分なりの疲労回復方法がある人もたくさんいると思いますが、まだ方法を模索中の方はちょっと参考にしてみてはいかがでしょうか。

みんなで地球の未来を考える

『未来を変える目標SDGsアイデアブック』 Think the Earth/編著 Think the Earth/出版 (市立・成人 333.8//20)

 
 皆さんは“SDGs”という言葉を聞いたことがありますか?近頃はメディアで耳にすることも多くなったのではないでしょうか。
 
 今回ご紹介する本は、その“SDGs”について述べられている本です。17個の目標についての解説が、分かりやすい数値と簡潔な文章をもとに書かれており、一つ一つの目標がそれぞれ見開き1ページで分かるようになっています。また解説の後には、世界や日本で実際に行われている事例が載っています。
 私はそこで母子健康手帳が日本発祥のものであったこと、サステナブル・ラベルには色々なものがあることなどを知りました。また、この本には始めと終わりに漫画があったり、途中にもイラストが添えてあるのですが、それらがとてもユニークで魅力的です。
 
 “SDGs”をまだよく知らない方にとっては知るきっかけに、知っている人には新しい発見のある1冊となるのではないでしょうか。
 四日市市立図書館には2020年の3月に入った本ですが、他にも“SDGs”に関する本はたくさんあります。ぜひ皆さんが地球の未来について考えるきっかけになればいいなと思います。


 

コンパニオンプランツって?

コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』 竹内 孝功/著 家の光協会 (成人・書庫 626.9//12)


 コンパニオンプランツって?返却本を棚に戻しているときに見つけた初めて聞く名前。
 
 どんな植物なんだろう??さっそく手にとって借りてみると、コンパニオンプランツとは「違う野菜を一緒に植えることで病害虫が発生しにくくなったり、お互いの生長を促す相性の良い組み合わせのこと」とのことでした。

 例えば、トマトとバジルを一緒に植えると、バジルの香りがトマトの害虫を遠ざけ、トマトが夏の厳しい日差しをさえぎって、バジルの葉が柔らかくなるそう。他にも「ナスとパセリ」や「ゴーヤと長ネギ」「イチゴとニンニク」など、それぞれ一緒に植えると良い理由があって、なるほど、おもしろいなぁと思いました。


 コロナ禍で、外出もままならないこの頃ですが、おうちでゆっくりと来年の春に植える野菜たちの計画を立てるのもいいかもしれません。

イメージはどこからやってくるのか?

『黙示録 イメージの源泉』 岡田温司/著 岩波書店 (市立・成人 193.8/14)


 「海や地の底から大怪獣が現れる」「宇宙からの侵略者により人類は滅びようとしている。」   
 皆さんも一度はこのようなお話をご覧になったことがあるのではないでしょうか?


 この本は黙示録という聞きなれない言葉をテーマに、私たちが見慣れた物語やイメージの源泉を明らかにし、それらがどのように利用され形を変え生き残ってきたのを教えてくれます。
 シンプルに黙示録と呼ばれることも多い『ヨハネの黙示録』は聖書の最終章にあたる一篇であり、世界の終末と救済を主題としています。聖書の中でも、幻想的でドラマティックな出来事、個性的なキャラクターが多数登場する黙示録は特に多くの芸術家や文学者たちの想像力を刺激してきました。事実、地下から現れる怪物、悪魔やそれと戦う天使といったイメージは映画やアニメやマンガのモチーフとして好まれるなど、現代の文化にも影響を与えています。

 ところで、黙示録に登場する悪魔や怪物たちは元々何を表現しているのでしょうか。これらのキャラクターは反キリスト、つまりキリスト教に反する者や敵対者のシンボルなのです。
 歴史上、自分たちに都合の悪い人間に対し反キリストのレッテルをはる行為はしばしば見られますし、反キリストをユダヤ人やイスラム教徒の姿で表現する絵も多数描かれてきました。これらの作品には優れた傑作も数多くあります。それを認めつつも、著者はそこに異分子を排除しようとする思想が潜んでおり、恐ろしい世界の終末の際そこで救われる者、滅びる者の両者を描き出すことでそのような思想をいっそう助長する面があることを指摘しています。


 この本の最後では、映画を中心に黙示録をモチーフにした、あるいは影響を受けた現代の芸術作品にも言及されています。
 今もなお日常的なイメージのインスピレーションの源になる黙示録。
 この本が私たちの身近なイメージの由来や意味を考えるきっかけになればと思います。

読書の秋は、まずお腹を満たしてから!

『ちょこっと、つまみ』 阿川 佐和子[ほか]/著 河出書房新社 (市立・成人 914.6//20)
『夜更けのおつまみ』 東山 彰良[ほか]/著 ポプラ文庫 (市立・成人 B/914.6//20)
『おつまミステリー』 浅暮 三文/著 柏書房 (市立・成人  596.0//19)


 新型コロナウィルス感染症の影響で、夜の街を自由に飲み歩くことも難しい昨今です。こんなご時世だからこそ、一人で家飲みしながら静かに読書はいかがでしょうか?
 美味しいお酒は「おつまみ」あればこそ…!そこでお勧めの3冊を紹介します。
 
 まずは、古今東西のお酒好きによるつまみに纏わるエッセイ・アンソロジー2冊から…!
 『ちょこっと、つまみ』は、昭和から平成にかけて一世を風靡した作家36人のエッセイを収録しています。その顔ぶれは、阿川佐和子/池波正太郎/伊丹十三/内田百閒/宇能鴻一郎/江國香織/遠藤周作/角田光代/鴨居羊子/川本三郎/久住昌之/小泉武夫/佐藤垢石/椎名誠/獅子文六/澁澤龍彦/島田雅彦/東海林さだお/杉浦日向子/高橋みどり/辰巳浜子/田辺聖子/種村季弘/檀一雄/中谷宇吉郎/姫野カオルコ/平松洋子/福田蘭童/古谷三敏/牧野伊三夫/丸谷才一/柳家小満ん/山田風太郎/吉田健一/吉村昭/吉行淳之介といった面々です。飲めない・飲まない人も、文学史に名を残した作家たちとの思い出に浸ってみてはいかがでしょうか?
 『夜更けのおつまみ』は、今まさに注目のクリエイター31人のエッセイが、簡単レシピとともに綴られています。執筆者は、芦原すなお/甘糟りり子/綾崎隼/安東みきえ/市川紗椰/岡元麻理恵/オカヤイヅミ/久住昌之/倉数茂/坂木司/蝉川夏哉/田中啓文/寺地はるな/名久井直子/西川美和/葉真中顕/東山彰良/日向夏/蛭田亜紗子/広小路尚祈/ブレイディみかこ/前川ほまれ/三浦しをん/水生大海/美村里江/望月麻衣/森まゆみ/柳本あかね/友麻碧/吉川トリコ/和田竜です。飲兵衛ならば間違いなく、ちょいと一杯したくなります!
 もう1冊は、身近なおつまみについての誕生秘話やウンチクを記したエッセイです。
 『おつまミステリー』は、ジャイアントコーン、カシューナッツ、チーズ鱈、酢漬けイカ、酢昆布、カリカリ梅、エビせんべい、チーズかまぼこ、らっきょう、レーズンバター、サラミ、海苔の佃煮、品川巻きなどの知られざるエピソードが満載。本をつまみに…つい誰かに話したくなるかも?

 あなたも「おつまみ」に舌鼓を撃ちながら、読書の秋を心行くまで堪能してください。

人間生きているだけで勇者

『絆創膏日記』 東田直樹/著 KADOKAWA (市立・成人 914.6/ヒカ/20)

 
 私は、自閉症の人に出会って、どう接したら良いか戸惑ったことがあります。少しでも自閉症を理解したくて手に取ったのが、著者が13歳の時に書いた本、閉症の僕が飛び跳ねる理由[正]』(エスコアール出版部 (市立・書庫 378/07))でした。この本は、今まで理解されにくいとされていた自閉症の内面を知るきっかけとなり、今では30ヶ国以上で翻訳されベストセラーにもなっています。

 その後も、多くのエッセイや小説、詩などを出版されています。会話ができない著者は、パソコンを使って執筆活動をされ、文字盤ペインティングと言う方法で会話をされます。私は彼の自然について書いてあるものが好きです。彼の文章を読んでいると、人と自然の距離がうんと近く感じられてきます。

 
 今回紹介するのは、26歳になった著者の日記形式で書かれたエッセイ『絆創膏日記』です。
 本書は、自然に対する畏敬の念や親しみ、家族への思い、身の回りの出来事や人に対する考えが、独特の感性で綴られています。自分の身体を思うようにコントロールできない著者は、自らを壊れたロボットと表現しています。悩んだり落ち込んだりの日々は誰にでもあります。
 著者の自然や人を思う言葉一つ一つが、日常の中で知らない間にできた心の傷にはる絆創膏となり、「人間生きているだけで勇者」と力強く語りかけてくれます。

これってご当地ものだったの??スーパーで見かける“日常食”

『東海ご当地スーパー 珠玉の日常食』 菅原佳己著/責編 ぴあ株式会社中部支社 (市立・地域 L596/19)

 
 毎日のごはん。スーパーに買い出しに行くと並んでいる商品。
 地元の企業が作っているいわゆる「ローカル飯」「ご当地もの」「地元食」なんてものが多く存在します。
 地元では当たり前のように並んでいても、県外のスーパーでは見当たらなかったりして「えっ!これって全国販売じゃないの?」なんて思うこともしばしばあったり。また、逆に旅行先等で地元では見かけない商品にわくわくしたり、と。


 この本には、愛知・岐阜・三重の3県分のローカルなスーパーで扱うローカルな企業のローカルな食品を紹介されています。
 写真と味や特徴などがわかりやすく載っているので見て楽しむだけではなく、毎日のごはんや、少し遠出した時のお土産の参考にも使えます。

 毎日の買い出しが少し楽しくなるかもしれませんね。


全国の内容をご覧になりたい方はこちらもおすすめです。

『日本全国ご当地スーパー隠れた名品、見~つけた!』 菅原佳己/著 講談社 (市立・書庫 596/14)
『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』 菅原佳己/著 講談社 (楠・成人 596)


 

ハリセンボンって、針何本?

『目で見る数字』 岡部敬史/文、山出高士/写真 東京書籍 (市立・成人 410.4//20)


 皆さんは、ハリセンボンの針の数がいくつかご存知でしょうか?
 実は、名前のとおりに1000本の針がある…というわけではなく、通常は350~400本くらい、多くても500本程度なのだそうです。

 そんな「数字」にまつわる雑学が満載の本書、『目でみる数字』は、街で目にする様々な物に関連した数字を取り上げています。日本の名所にまつわる数字から、知っていれば日常生活にも応用することができる数字まで、盛りだくさんな内容です。
 表紙のハリセンボンをはじめとして、写真も多数掲載されています。雑学の本として読むだけではなく、写真集のようにパラパラと眺めてみるのも楽しい1冊です。

さようなら、「漱石あるある」!

『永日小品』『夢十夜 他二篇』 夏目漱石/著 岩波文庫 (市立・成人 B/913.6/ナツ/13)などに収録)

……中学生か高校生のころ、『坊っちゃん』が初めての漱石でした。
ふうん、文学っておもしろいかも。と、タイトルだけで『吾輩は猫である』に挑戦。
結果、挫折。体力が続かず。もっと言えば、分厚さだけで半分あきらめてました。
あれから幾年月。今では漱石のことも忘れ、静かに暮らしています……。


 あるある、と思ったあなた、『永日小品』読んでみてください!

『永日小品』は、もともと新聞に掲載されていた漱石による短篇のエッセイを集めたものです。
身のまわりの出来事や会話、思い出などが、飾らない文体で書き留められています。
おすすめの理由は次の三つ。

1.とにかく、一篇一篇が短い。
 収録作品のほとんどが、二、三ページめくったら終わります。
 
2.なのに、内容はぎゅっと濃縮。
 中でも最後の「クレイグ先生」は、悲喜こもごものザ・人間ドラマです。

3.そして、漱石が情けない。
 友達にボートの賞金で買ってもらったシェイクスピアの本が、ちっとも分からなかったり。
 夜中ねずみに鰹節をかじられて、閉まっといてよ、と奥さんにぶつくさ言われたり。
 寒い日に朝から代わる代わる来る客が、みんな金の無心でげんなりしたり……。
 
 どうですか。読めそうだし、ちょっとおもしろそうじゃないですか。
一日の終わりをじわっと暖める、二百年前のおじさんからの日常報告。ぜひ一度手に取ってみてください。
漱石がすすんでしょぼくれてくれるので、実は疲れている時こそしみる本でもあります。お試しを。

「鉄道旅気分!」はどうでしょうか

『夜行列車の記憶 昭和・平成の名列車がよみがえる』 松本典久/著 株式会社天夢人 (市立・成人 686.2//20)
『青春18きっぷ 2020-2021 パーフェクトガイド』 イカロス出版株式会社 (市立・成人 291.0//20)

 
 今年は新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、思うように旅行や外出ができない状況が続いています。
 せめて、本の中で鉄道旅行の思いをめぐらしてはどうでしょうか。
 
 1冊目は、「夜行列車の記憶」です。私は小さい頃、ブルートレインという名前を聞いて、いつか乗車して旅行したいと思っていました。しかし、気が付けば新幹線網の拡大や道路網の整備の充実、そしてこれからはリニア中央新幹線と時代はどんどん変わっていきます。スピードが求められいつしか夜行列車という言葉自体も聞かなくなり、今では定期運行される夜行列車は「サンライズ出雲・瀬戸」だけです。
 この本では、昭和・平成の鉄道旅行の当時の写真や著者の乗車の思い出などが書かれており、こんな旅行がしてみたかったなと思わせてくれる本です。
 
 2冊目は、『青春18きっぷ2020-2021パーフェクトガイド』です。「格安チケットで日本を旅する!」という本で、青春18きっぷを使うテクニックや船や飛行機なども使ったモデルコースの紹介などが具体的に書かれています。
 
 なかなかゆっくり鉄道旅行ができない方も多いと思います。いつかはこんな旅行がしたい。早く自由に旅行に行きたいと思わせてくれる本です。

おしゃれな暮らしの良品はいかが?

『いつかは欲しい暮らしの良品』 枻出版社 (市立・成人 590//16) 

 
 おしゃれなお鍋で料理したり、可愛いお皿でご飯を食べたい人におススメの本です。
「食」「家事」「住まい」に分かれて、いろいろな暮らしの良品が掲載されています。
こんな良いものにかこまれたら、ちょっと面倒な料理も頑張れるかも?!
ちなみに、私は両手鍋を買おうか検討中です。
お鍋以外にも、箒や椅子や時計まで、幅広く紹介されています。
安いものも良いけれど、ちょっとお高くて良質なものを使うのも良いですね。

極めるということ

『片手袋研究入門』 石井公二/著 実業之日本社 (市立・成人 049//19)

 世の中には、こんなことを研究する必要があるのか?いったい誰に需要があるのか?と思ってしまうような事柄を研究している人がいます。
 そういう人をふとテレビで見たり、会話の中で知ったりすると、尊敬の念を抱かずにはいられません。
 そういうマニアックな人たちは、たいてい自分の趣味で自分のために始めています。その成果がたまたまツイッターでバズったり、本になったり、この本の著者に至っては現代美術の国際展に選ばれたりしたのです。なので趣味さえあれば誰でも研究者になりうるともいえます。

 他人から見れば、こんなことに人生の半分を費やしたのか?と思うものでも、自分が愛していれば、それが研究対象なのであり、突き進むべし。
 この本の著者は2004年から14年間、歩道に落ちている片方の手袋を5000枚近く撮影し、撮影状況の類似点・相違点に着目しました。観察・分析を行ううちに独自の分類法ができあがったのだということです。
 
 この本は、すぐ役に立つ知識が得られるわけではありません。
 だけど、わたしは読まずにはいられませんでした。
 あなたも読んだ後、歩く道の先に片手袋が落ちていないか探してしまうことでしょう。