図書館スタッフおすすめ本

子どもの頃に見た映画から

 『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』 森鴎外/著 角川書店 (市立・成人 B913.6/モリ/12)
 
 「山椒大夫」・・・上記短編集より 
 小学生の時にふと手にした本。「山椒大夫」という言葉の不気味さから、ストーリーは、きっと恐ろしいものなのだろうと感じました。実際の物語は、「安寿と厨子王(あんじゅとずしおう)」といえばご存じの方も多いのではないでしょうか。子ども向けにアレンジした同名のアニメ映画もありました。

 平安時代。物語は、安寿と厨子王が、母親とともに、九州へ赴任した父親のもとへ向かうところから始まる。その途中、子どもたちは人買いにさらわれ、母親と引き離されてしまう。幼い姉弟が売られた先の主として君臨する長者が「山椒大夫」であった。
 一家離散の末、かわいそうな姉弟は奴隷として耐え忍んで生活するが、絶望の中、悲劇が訪れる。映画では、安寿が鳥となり飛び立った。
 一方、山椒大夫のもとから脱出に成功した厨子王は、あるきっかけから藤原氏の庇護を受ける。成人した厨子王は国司となり、山椒大夫に対して人買いの禁止・奴隷の解放を指示する。その後、感動のクライマックスを迎える。

 森鴎外は、伝説の小説化にあたり、伝説にある多くの残酷な部分を避け執筆しました。
 30年ぶりに手にとって読み返してみれば、物語の途中の「絵」を見せる描写のほか、安寿の人物像が「最後の一句」の主人公「いち」との共通点を感じさせる(平安時代と江戸時代、武家と商家の違いはありますが)など、多くの新しい発見がありました。
 このほか、賛否両論ありましょうが、古来、日本社会で尊ばれている「日本の美」とされているものがテーマとなっているように思われます。 

  この本には、「高瀬舟」、「阿部一族」なども収められており、どなたでも短編の純文学を楽しむことができる一冊となっています。

博物館、ぐるぐるしてみませんか?

 『ぐるぐる♡博物館』  三浦 しをん/著 実業之日本社 (市立・成人 069.0/ /17)

 皆さんは“博物館”と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?小難しい説明のついた展示品が並んでいて、部屋の隅に学芸員さんがいて…。なんとなく、敷居が高いと感じている人もいるかもしれません。
 そんなあなたに読んでいただきたいのが、この『ぐるぐる博物館』。作家の三浦しをんさんが全国各地の博物館を実際に訪れ、展示品を見て、学芸員さんに取材をして書いたルポエッセイ集です。

 東京都の国立科学博物館や京都府の龍谷ミュージアムといった、比較的有名な博物館に関するエッセイも収録されているのですが、福井県のめがねミュージアムや大阪府のボタンの博物館といった、少し変わった博物館も掲載されています。

 三浦しをんさんと、個性豊かな学芸員さんたちのユーモアあふれるやり取りも必見。

 次の休日どこに行こう?と悩んでいるあなた。お出かけ先の候補の一つに、博物館はいかがですか?

『市川崑のタイポグラフィ』

『市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究』 小谷 充/著 水曜社 (市立・成人 727.8/ /10)

 市川崑監督の「犬神家の一族」と聞くと、頭の中をあのメロディが流れ、印象に残る場面の数々が思い浮かぶとともに、画面に映し出される明朝体文字のことを思い起こす人も多いのではないでしょうか。

 この本は書名にあるとおり、市川崑作品における文字表現について、「犬神家の一族」を中心に読み解いていこうというものです。

 専門的な内容に身構えてしまいそうになるかもしれませんが、大丈夫。序章で明朝体の歴史が解説されているほか、各所説明も丁寧に書き進められているので、映画あるいは文字に少しの興味があれば、興味津々読み進められることと思います。
 映画や文字を楽しむ視点がまた一つ増えるかもしれません。

 余談ですがこの本は、印字された「しんにょう」に時折見慣れぬ点を見ることがあり(例:逢、迄、遡)それが心に引っ掛かるという方にもおススメです。 →P.57の前後
 なお、この件では他に『異体字の世界』 (小池和夫/著  河出書房新社 市立・書庫B811.2/ /07)もご案内します。

やり残したことがあるから…

    『青空のむこう』   アレックス・シアラー/著、金原瑞人/訳 求竜堂 (市立・書庫/933/シア/02)

 青い空と白い雲。その上を走る少年。とても明るい印象を受ける表紙です。
この本と出会ったのは12歳の時、小学校の卒業式の日でした。担任の先生に頂いて、家に帰るなり夢中になって読んだように思います。

 物語は、主人公の少年ハリーの一人称で語られます。ハリーはある日突然事故に遭い死んでしまいます。人は死んだらどうなるのだろう、誰もが一度は考える問題かもしれません。この物語では、ハリーが体験する「死者の国」と、死者の視点から見た「生者の国」が、ユーモラスな登場人物とハリーの軽妙な語り口で展開します。

 ハリーは死者の国で出会ったアーサーに、大抵の人は手続きを終えたら「彼方の青い世界」へ行くと教えられます。しかし、やり残したことがある人は、「彼方の青い世界」へは行けません。ハリーの心には、最後に姉に言った言葉が引っかかっていました。「ぼくが死んだら、きっと後悔するんだから。」 学校、教室、そして家族のいる家。やり残したことを片づけるために、姉に本当の思いを伝えるために、ハリーは生者の国へ飛び降ります。
 はたしてハリーは、やり残したことを片づけて、「彼方の青い世界」へ行けるのでしょうか。

 今でも節目の時などに読み返すたび、この本は、後悔しない生き方をしたいと思い立たせてくれます。

一日1ページ読んでみる。

『365日。』  渡辺 有子/著 主婦と生活社 (市立・成人 596/ /14)

 料理家・渡辺有子さんのこの本は、1日1日から12月31日までの365日が、写真とエッセイでつづられています。その日感じたことを短い文章でそっと語り、写真に写し出されるのは、その日作った料理だったり、ふと見上げた空の様子だったり、素敵な友人たちだったり。
本からは、旬の食べ物や、季節の花、毎日を大切に暮らしている様子がうかがえて、とてもうらやましくなります。

 ひどく落ち込んで辛かった時、この本を枕元に置き、日めくりカレンダーのように毎朝開いていたことがあります。どんなに辛くても一日一日を大切に頑張ろうと勇気づけられ、毎日ページをめくるのが楽しみになっていきました。

 本は、図書館の「料理」の棚にありますが、レシピはほんの少しです。写真をながめるのもよし。詩のような文章を味わうのもよし。
一度に読むのもいいですが、私のように一日1ページと決めて本を開くのもおもしろいですよ。図書館で借りた本では、365日毎日開くことはできませんが、貸出期間内だけでもぜひ試してみてください。

 この他にも、毎日お菓子を紹介する『一日一菓』 木村宗慎/著 新潮社(市立・成人 791.7/ /14)や、
身近な草木を紹介する『花ごよみ365日』 雨宮ゆか/著 誠文堂(市立・成人 793/ /15)など、
一日1ページの本は色々あります。

将棋の子とは?

 『将棋の子』 大崎 善生/著 講談社 (市立・書庫 796/ /01)

 
最近、藤井聡太四段らの活躍もあり、将棋ブームがきているようですね。ルールがわからない私でも読める将棋本がないか探したところ、見つけましたこの一冊、『将棋の子』 。

 将棋のルールの本ではありません。この本は、プロを目指した元奨励会員のノンフィクションです。将棋雑誌の編集部に務めていた著者のもとに、ある元奨励会員の連絡先変更のメモが届いたところから、この物語は始まります。住所の変更先は、札幌のとある将棋センター。彼がその後どうしているのか、気になった作者は、札幌へ向かいます。

 小学生だった頃、著者は、たまたま通りかかった将棋会館と書かれた看板と“見学自由”の言葉につられて、将棋会館に入ります。将棋が楽しくて、大人たちの中に混じって将棋をさしていると、老人と有段者しか入れない和室に、わき目もふらず上り込む小学生の姿を見つけます。それが、著者と成田の出会いでした。

 その後、努力だけではどうにもならない事を悟った著者は、プロになるのではなく、将棋連盟に就職。そんな中、小さいころに強烈なインパクトを残した成田に久々に再開します。プロを目指した成田でしたが、天才と呼ばれた彼でさえ、プロになれないという現実。そして、その後の壮絶な悲しい人生。プロになれない奨励会員は、その後どうしているのか。成田だけでなく、他の元奨励会員についても記載されています。

 読んでいると悲しくなってしまいますが、最後にはあっと驚かされる話となっています。日本将棋連盟に所属し、将棋雑誌の編集長も務めるなど、将棋の世界を身近に見てきた著者だからこその作品となっています。

 こちらの本は書庫に所蔵されている本ですので、読んでみたいと思われた方はカウンターまでお尋ねください。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク~暗闇の中の対話~

 『まっくらな中での対話』
     
         茂木健一郎with ダイアログ・イン・ザ・ダーク/著 講談社 (市立・成人 B141.2 / /11)
  『みるということ‐暗闇の中の対話』    ダイアログ・イン・ザ・ダーク/著 小学館 (市立・成人 141.2/ /16)

 1988年にドイツで生まれた真っ暗闇のソーシャル・エンターテインメント施設 “ダイアログ・イン・ザ・ダーク” は、完全に光が遮断された空間の中へ入り、暗闇のエキスパートである視覚障害者のアテンドスタッフの サポートのもと、グループになって中を探索し、さまざまなことが体験できる施設です。この空間の中では、視覚障害者と晴眼者の立場が完全に逆転します。同じ施設が、東京にもあります。

 『まっくらな中での対話』の著者・茂木健一郎氏は、その著書の中で、1999年に日本ではじめて開催されたダイアログ・イン・ザ・ダークに参加したときの自身の体験を語っています。脳科学者である茂木氏の言葉は、未体験の私の心に強い好奇心を抱かせる興味深いものでした。

 『みるということ』では、親子や友人同士で実際にダイアログ・イン・ザ・ダークに参加した人たちの体験を知ることができます。体験する前と後では、それぞれの内面や関係性に少なからず何かしらの変化が訪れるようです。そして、その変化が好ましいものであるということにも、私はさらなる興味を掻き立てられました。

 目が見える人は、情報の80%を視覚から得ているといわれています。その情報源が閉ざされた空間の中、音に耳をすませて、ひとつひとつの触感を手や足で確かめ、匂いを嗅ぐ。暗闇の中では、容姿や肩書き、年齢などはすべて関係なくなります。ただの自分になって、自分の内側を感じる時間を持つことは、情報過多の今の時代にはもしかしたらとても必要なことなのかも知れません。

 ダイアログ・イン・ザ・ダーク。ずいぶんと前から機会を狙っていますが、まだ未体験。いつか自分が体験した後に、この体験談を改めて読んでみたいと思っています。


 

古から伝わる謎解きに挑戦

 『千年クイズ』 清水文子/著 リットーミュージック (市立・成人 807.9/ /14)


 今、私たちは、本やテレビ番組などさまざまな場面で、たくさんのクイズに触れることができます。さらに、 この『千年クイズ』を読めば、今とは一味違った昔のクイズにも挑戦できるのです。

 この本には、平安時代から昭和まで、古い時代のクイズが一問一答形式で紹介されています。クイズは多種多様で、絵を見て考える「絵解き謎」、文字を読んで考える「文字変換謎」、数字を計算して考える「数字謎」などがあります。その中から、自分のお気に入りの謎が見つかるかもしれません。

 昔の謎解きは難しいかも、と思った時でも安心。各クイズにはヒントがついています。クイズは、当時の時代背景や常識が元になっているので、謎解きをしながら、楽しく歴史を知ることもできます。

 私は、昔はこんなクイズがあったのかと驚き、頭をひねり、次のクイズは何かとワクワクし、つい時間を忘れて謎解きをしました。楽しみ方は人それぞれ。皆さんも古の様々な「謎」にぜひ、挑戦してみてください。

スケオタの世界

 『スケオタデイズ』 (市立・成人784.6/ /15) グレゴリ青山/著  KADOKAWA 
 『スケオタデイズ 飛び出せ!海外遠征編』 (市立・成人784.6/ /16) グレゴリ青山/著  KADOKAWA  

 スケオタとは何か?それはフィギュアスケートオタクの略。今回紹介するのは、スケオタの世界に足を踏み入れることになった漫画家・イラストレーターのグレゴリ青山さんの著書。スケートとの出会いから次第に夢中になっていく様子、観戦した数々の試合で起こるドラマやちょっとしたネタまで、面白いと同時に興味深いエピソードが満載です。また海外遠征編では、日本人選手だけでなく、海外選手も多く登場。選手に対する深い愛情が伝わってくるのも魅力の一つです。

 10数年ほど前、国際試合とアイスショーを生で数回観戦したことがあります。そのとき、テレビで見るのとは違った迫力や会場の雰囲気に圧倒されたことを思い出しました。フィギュアスケートブームの今は、もっとすごいのでしょうね。来年2月には、平昌オリンピックが開催されます。4年に一度の大舞台で、出場する選手たちがどのような演技を行うのか、観戦できるのを楽しみに待ちたいと思います。

 他にもフィギュアスケートに関する本は、多数あります。ぜひ、「784.6」の棚をご覧ください。

田村泰次郎の文学世界

 『肉体の門』 田村泰次郎/著 角川出版 (913.6/タム/郷土)

 四日市の郷土作家である「田村泰次郎」と聞いて連想することは、「肉体文学」という言葉や、風俗小説作家といった肩書きでしょうか。
 代表作である「肉体の門」は、戦後の日本の街娼を主人公としたものです。何度も映像化されたそれのパッケージやキャッチコピー、そしてその衝撃的なタイトル自体がどこか淫靡さや頽廃を感じられるもので、彼の作品には、そのようなイメージがついているように思われます。私が情報として知っていた田村泰次郎は、そのようなものでした。

 実際読んでみると、映像であったような淫靡さや、現代における風俗小説といった類とは、異なるように思えました。今回読んだ文庫には、「肉体の門」、「肉体の悪魔」、「刺青」、「春婦伝」の4作が集録されており、いずれも「肉体」を用いた表現をしているものの(それが肉体文学なのでしょうが)、戦中戦後の日本を生々しく描いた戦争文学であり、前述で述べたようなものでは決してないように感じられます。頽廃的な生々しさというよりは、内面のある種の健康さを表現しているようにも考えられました。

 先行するイメージにとらわれず、一度、田村泰次郎の作品に触れてみるのはいかがでしょうか。自分なりの解釈や感想が生まれると思いますよ。


 また、田村泰次郎に関する研究の本も出版されています。

・『丹羽文雄と田村泰次郎』(910.26/タム/郷土)
・『田村泰次郎の戦争文学』(910.26/タム/郷土)

 一読後、文学者の見解、田村泰次郎の為人を含め、作家について知るのもおもしろいのではないでしょうか。

 ここで紹介した本は、いずれも本館の2階郷土作家コーナーで借りられますので、是非、読んでみて下さい。

初恋は実らずか・・・

 『石田三成の青春』 松本 匡代/著 サンライズ出版 (市立・成人 913.6/マツ/16)

 戦国武将石田三成と大谷吉継の友情をテーマに書かれた小説。三成が豊臣秀吉の家臣になるところから始まり、吉継とともに豊臣家を守るため、徳川家康を討つことを決断するところで終わっている。

 この小説には、人権的な視点で、友情を考えさせられる内容が語られている。秀吉主催の茶会の席で、一つの茶碗を数名で回し飲みする催事でのこと。大病を患い、目と口は出ているが、頭巾で顔を覆っている吉継の飲んだ茶を、隣の武将数名は、茶碗に口をつける真似をするだけで飲まなかった。ところが、三成は、自分のところに茶碗がくると一気に飲み干した。

 周りの武将は、吉継のことを姿形や風評で判断して、忌み嫌う。当時、病気の知識はなかったにせよ、美辞麗句を並べ立てて、吉継を心配するふりをする武将より、幼馴染みで、気心の知れた三成のとった自然な振る舞いの方が、吉継にとって、どれほど温かく、そして頼もしく感じたことだろう。友情という絆が、より一層強く深くなったことを彷彿とさせてくれるエピソードである。

 また、著者の創作した人物「おもよ」との恋の場面では、三成は、初恋は実らないものと身をもって知る。戦や政治から離れた三成のプライベートな部分が、女性目線の見事な筆致で書かれていて、彼の新たな一面を想像させてくれる。これが、この小説の魅力の一つとなっている。

 現代に置き換えても、十分に通じる内容満載歴史ドラマを、ぜひご一読ください。

ちょっと一息・・・

 『記憶をつなぐラブレター』 城戸 真亜子/著 朝日出版社 (市立・成人 916/キト/16)

 なんともかわいらしいおばあちゃんのイラストに魅かれて、思わず手にとってしまいました。そのおばあちゃんの傍らには、やさしそうな女の人が微笑んで立っています。本をよく見てみると、この二人は、この本の著者であり、画家でもある城戸真亜子さんと、認知症になってしまった義理のお母さんだとわかりました。なんてほんわかしているのでしょう。そのイラストから、描いた人の,お母さんへの愛情が伝わってきます。一瞬、認知症や介護という言葉とは、無縁の世界に行ったような気になりました。

 認知症が進んでくると、人は、言葉や出来事を記憶しておくことができなくなります。著者の城戸さんは、文字にすると、口で言うより受け入れてもらい易いことに気付きました。そして、認知症になってしまい、抜け落ちていくお母さんの記憶の代わりに、日々の出来事、尊敬の気持ち、お母さんがいてくれてうれしい気持ちなどを、手紙を書くように絵日記に綴りはじめ、お母さんに読んでもらっているのだそうです。

 この本には、お母さんにまつわるいろいろな出来事が、心癒されるイラストとともに描かれています。シンプルに絵や出来事を楽しむこともできますし、事例がとてもわかり易く、介護制度の仕組みが説明されているので、著者と同じように介護に取り組んでいる人にとっては、勇気づけてくれる強い味方にもなります。介護とは無縁でも、ちょっと一息つきたいな・・・と思っている人にも、おすすめしたい一冊です。

忍者って?

 『The NINJA-忍者ってナンジャ!?-公式ブック』 
 The NINJA-忍者ってナンジャ!?-」実行委員会/監修 KADOKAWA (市立・成人 789.8/ /16)

 忍者ってどんな人達だったんだろう?

 東京都と三重県で昨年から今年にかけて開催されていた企画展の公式ブックです。
企画展自体はもう終わってしまっていますが、安心してください、この本があります!
 近年、海外でも注目されている忍者の実像について、貴重な史料や科学の面から、イラスト付きで楽しくわかりやすく教えてくれます。
 そしていろいろな科学実験からの解説が、忍者の凄さを物語っています。

 日々の生活の中でも生かせる知恵が見つかるかも?

 企画展に行った人も、行けなかった人も、忍者の実態について興味のある人は、お手にとってみてください。

車中泊快適術

 『車中泊快適術』 桃園書房 (市立・成人 786.3/ /07)

 今回紹介する本は、題名どおり「普段使っている車の中で、いかに快適に安眠できるか」について書かれています。
 ページをめくっていくと、「楽しみ」、「快適術」、「過ごし方」、「場所選び」、「DIY」等、初心者にもわかりやすく項目別に分けてあり、それぞれ図解・写真も豊富に紹介されています。車中泊に興味が無かった人でも、「これだったら一度チャレンジしてみようかな」という思いが湧き上がってくるような本です。

 また、この本は、普段の生活とちょっと違った体験をしてみたいと思っているいろいろな年代のすべての人に、参考にして頂けるに違いありません。

 みなさん、この本を読み、一度車中泊にチャレンジしてみませんか?
 車中泊を通じて、新しい趣味も生まれるかもしれませんよ。

 参考までに、『ミニバン車中泊バイブル』 稲垣朝則/著 マイナビ (市立・成人 786.3/ /15)という本もおすすめです。

ショートショート

 『エヌ氏の遊園地』 星新一/著 新潮社 (市立・成人 B/913.6/ホシ/13)

 みなさんは「星新一」という人を知っていますか?

星新一とは、SS(ショートショート)という数ページから数十ページで読める短い作品を多く生み出した人物です。
「昔、教科書で作品を読んだことがあるかも」という人が、いるかもしれません。
その作品には、美人のロボットが登場しましたか?
それとも、なんでも飲み込みそうな大きな穴の話だったでしょうか?

 今回私が紹介するのは、全ての作品に「エヌ氏」という人物が登場する『エヌ氏の遊園地』です。
この本の中では、探偵や博士などのエヌ氏たちが、事件に巻き込まれたり、何かを開発したりと色々な形で活躍しています。
 また、エヌ氏に注目して読むだけでなく、どれも短い物語なので、
「この話はどう終わるのだろう?」
「あと3ページしかないけれど、この話はちゃんと解決するのかな?」
などと、考えながら読んでも楽しめます。

 星新一の作品は「面白い話が読みたいけれど、長い小説は読むのが大変!」と思っている人にオススメです。
なんと1つの作品が、ほんの数分で読めちゃいます。
また、文庫サイズの本なので、どこかに行く移動中や、寝る前の数分でたっぷりと楽しむことが出来ます。

 今回紹介した本だけでなく、星新一の作品はどれも面白い内容ばかりです。
小さなスマートフォン1つで電話、メール、音楽などが簡単に楽しめる時代になった今だからこそ、少し不思議でかなり面白い近未来が広がる星新一ワールドにぜひ一度、足を踏み入れてみてください。

四日市コンビナート夜景

 『四日市コンビナート夜景』と『四日市コンビナート夜景 プレミアム写真集』 
                   島崎守/写真 四日市観光協会 (市立・地域 L292//16,L509//16)

 四日市市立図書館2階の地域資料室には、四日市コンビナートの夜景"写真集"が2冊ある。
ひとつはA3サイズ、もうひとつはA4サイズで”プレミアム写真集”というタイトルがついている。

 A3サイズの『四日市コンビナート夜景』は、装置の大きさや本のサイズもあって大迫力。配管やタンクを写真一杯に写し、スポットライトにあたる重厚な装置の渋さを見事にとらえている。

 A4サイズの『四日市コンビナート夜景 プレミアム写真集』は、プレミアムというだけあって盛りだくさん。装置をとらえつつ、風景との共演が見事の一言に尽きる。共演となる顔ぶれは、花火、道路、河川、雲や煙。雲や煙とは?と思われるかもしれないが、雲や煙の動きがあるだけで、近未来的な渋さから幻想的な場所へと風変わりする。パラパラとめくっていた私が思わず手を止めてしまったほど。
どちらも貸し出しはできませんが、地域資料室でご覧いただけるので、ぜひ、手にとって見てみて下さい。

 本書を見て工場鑑賞がしてみたくなった方は、『工場萌え』 (市立・地域 L509.2//07) がオススメ。工場鑑賞のための5W2Hが載っていて、鑑賞の時期から必要な持ち物、見どころを紹介しています。

武四郎の一畳敷

 『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』  INAX出版 (市立・成人 289/マツ/10)

 「北海道の名付け親」としてよく知られる松浦武四郎は、全国各地を旅して歩いた人でした。
 「一畳敷」は、彼がその晩年に造った書斎のことで、畳一枚分から成る空間です。この建物の各所には、熊野本宮大社の古材を天井にしたり、法隆寺の古材を書棚にしたりと、武四郎が諸国の友人を通じ集めた様々な木片が部材として使われています。
 
 本書『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』は、同名の展覧会に併せ刊行された書籍です。一畳敷の他、武四郎の著作や収集品を多数の図版を用いて紹介しています。デザイン面にも趣向が凝らされた一冊ですので、まずは一度手に取ってページをめくってみてください。

『のほほん風呂』

 『のほほん風呂』 たかぎなおこ/著 産業編集センター  (市立・郷土 498.3/ /郷土)
 
 まだまだ寒いこの季節、温かいお風呂に入るのは至福のひと時です。たまには入浴剤を使って気分を変えてみたいなと思っていたところ、うちにある材料で手軽に変わり風呂を楽しめる本をみつけました。

 春夏秋冬それぞれの季節のお風呂を紹介するこの本は、著者自らが材料を準備するところから始まり、その効能や入った感想なども書かれていて、お気に入り度を☆で評価。花びらを拾うのが大変なサクラ風呂や、乳臭さに困った牛乳風呂なんていうものもあり、ちょっぴり笑ってしまいます。さらにはお風呂にまつわる雑学や思い出、美容や健康法なども紹介されていて、この1冊で色々と楽しむことができますよ。

 著者のたかぎなおこさんは三重県出身のイラストレーター。
『150cmライフ。』『マラソン1年生』などたくさんの著書があります。本は2階郷土作家コーナーにあり、貸出中であることが多いですが、貸出できる本と同じ本を禁帯出(館外持ち出し不可の本、赤いシールが貼ってあります。)の本としてそれぞれ1冊ずつ所蔵しており、館内でいつでも読むことができます。
 『のほほん風呂』を読みに、2階郷土作家コーナーに来てみませんか?

★郷土作家コーナーは、四日市ゆかりの作家10名の著作を集め、貸出を行っています。

日本史も世界史も学びたい方へ

 

 『一気に同時読み!世界史までわかる日本史』 島崎 晋/著 SBクリエイティブ (市立・成人 210.1/ /17)
 『オールカラー図解日本史&世界史並列年表』 歴史の読み方研究会/著 PHP研究所
                                                                                                          (市立・成人 203.2/ / 16)
 「世界史」と「日本史」。同じ時代の歴史であっても、中学や高校の授業では、それぞれ別々に習いましたよね。幼い頃から大河ドラマを欠かさず見ていた日本史好きの私ですが、カタカナ表記の人名や地名が覚えられないせいなのか、学生時代は世界史が大の苦手でした。

 大人になって、今さら試験を受けることもないような気がしますが、自分の世界史の弱さに何となく引け目を感じていた時、この本に出会いました。どちらも日本史と世界史を並列した、年表やデータで、比較しながら読めるものです。

 日本で豊臣秀吉が政権を握っていた頃、イギリスではエリザベスⅠ世の統治下でシェイクスピアが活躍していた!
 北条早雲が小田原城を奪取した頃、コロンブスがアメリカに到達した!
 誰もが知っているあの人が活躍した時、あんな事件があったとき、日本では、世界では、どんなことがあったのでしょう。楽しみながら歴史を学び直せる本です。

ほのぼの図書館ストーリー

 『本バスめぐりん。』 大崎 梢/著  東京創元社 (市立・成人 913.6/ オオ/16)

 バスにたくさん本を積んで走る本バス「めぐりん」。
この本は、定年退職後に「めぐりん」の新米運転手となったてるさんが、司書のウメちゃんや利用者との出合いを通して、本と人とのつながりを発見していく物語です。

 著者の大崎梢さんは元書店員。本に関わるお仕事に興味がある方は、他の著作もぜひどうぞ。書店や図書館の舞台裏を、ちょっとのぞき見している気分になれるかも!?

 ところで、四日市市でも自動車文庫が走っているのをご存知でしょうか?
「かもめ号」と「みなと号」、こちらもよろしくお願いします。