図書館スタッフおすすめ本
ショートショート
『エヌ氏の遊園地』 星新一/著 新潮社 (市立・成人 B/913.6/ホシ/13)
みなさんは「星新一」という人を知っていますか?
星新一とは、SS(ショートショート)という数ページから数十ページで読める短い作品を多く生み出した人物です。
「昔、教科書で作品を読んだことがあるかも」という人が、いるかもしれません。
その作品には、美人のロボットが登場しましたか?
それとも、なんでも飲み込みそうな大きな穴の話だったでしょうか?
今回私が紹介するのは、全ての作品に「エヌ氏」という人物が登場する『エヌ氏の遊園地』です。
この本の中では、探偵や博士などのエヌ氏たちが、事件に巻き込まれたり、何かを開発したりと色々な形で活躍しています。
また、エヌ氏に注目して読むだけでなく、どれも短い物語なので、
「この話はどう終わるのだろう?」
「あと3ページしかないけれど、この話はちゃんと解決するのかな?」
などと、考えながら読んでも楽しめます。
星新一の作品は「面白い話が読みたいけれど、長い小説は読むのが大変!」と思っている人にオススメです。
なんと1つの作品が、ほんの数分で読めちゃいます。
また、文庫サイズの本なので、どこかに行く移動中や、寝る前の数分でたっぷりと楽しむことが出来ます。
今回紹介した本だけでなく、星新一の作品はどれも面白い内容ばかりです。
小さなスマートフォン1つで電話、メール、音楽などが簡単に楽しめる時代になった今だからこそ、少し不思議でかなり面白い近未来が広がる星新一ワールドにぜひ一度、足を踏み入れてみてください。
四日市コンビナート夜景
『四日市コンビナート夜景』と『四日市コンビナート夜景 プレミアム写真集』
島崎守/写真 四日市観光協会 (市立・地域 L292//16,L509//16)
四日市市立図書館2階の地域資料室には、四日市コンビナートの夜景"写真集"が2冊ある。
ひとつはA3サイズ、もうひとつはA4サイズで”プレミアム写真集”というタイトルがついている。
A3サイズの『四日市コンビナート夜景』は、装置の大きさや本のサイズもあって大迫力。配管やタンクを写真一杯に写し、スポットライトにあたる重厚な装置の渋さを見事にとらえている。
A4サイズの『四日市コンビナート夜景 プレミアム写真集』は、プレミアムというだけあって盛りだくさん。装置をとらえつつ、風景との共演が見事の一言に尽きる。共演となる顔ぶれは、花火、道路、河川、雲や煙。雲や煙とは?と思われるかもしれないが、雲や煙の動きがあるだけで、近未来的な渋さから幻想的な場所へと風変わりする。パラパラとめくっていた私が思わず手を止めてしまったほど。
どちらも貸し出しはできませんが、地域資料室でご覧いただけるので、ぜひ、手にとって見てみて下さい。
本書を見て工場鑑賞がしてみたくなった方は、『工場萌え』 (市立・地域 L509.2//07) がオススメ。工場鑑賞のための5W2Hが載っていて、鑑賞の時期から必要な持ち物、見どころを紹介しています。
武四郎の一畳敷
『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』 INAX出版 (市立・成人 289/マツ/10)
「北海道の名付け親」としてよく知られる松浦武四郎は、全国各地を旅して歩いた人でした。
「一畳敷」は、彼がその晩年に造った書斎のことで、畳一枚分から成る空間です。この建物の各所には、熊野本宮大社の古材を天井にしたり、法隆寺の古材を書棚にしたりと、武四郎が諸国の友人を通じ集めた様々な木片が部材として使われています。
本書『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』は、同名の展覧会に併せ刊行された書籍です。一畳敷の他、武四郎の著作や収集品を多数の図版を用いて紹介しています。デザイン面にも趣向が凝らされた一冊ですので、まずは一度手に取ってページをめくってみてください。
『のほほん風呂』
『のほほん風呂』 たかぎなおこ/著 産業編集センター (市立・郷土 498.3/ /郷土)
まだまだ寒いこの季節、温かいお風呂に入るのは至福のひと時です。たまには入浴剤を使って気分を変えてみたいなと思っていたところ、うちにある材料で手軽に変わり風呂を楽しめる本をみつけました。
春夏秋冬それぞれの季節のお風呂を紹介するこの本は、著者自らが材料を準備するところから始まり、その効能や入った感想なども書かれていて、お気に入り度を☆で評価。花びらを拾うのが大変なサクラ風呂や、乳臭さに困った牛乳風呂なんていうものもあり、ちょっぴり笑ってしまいます。さらにはお風呂にまつわる雑学や思い出、美容や健康法なども紹介されていて、この1冊で色々と楽しむことができますよ。
著者のたかぎなおこさんは三重県出身のイラストレーター。
『150cmライフ。』『マラソン1年生』などたくさんの著書があります。本は2階郷土作家コーナーにあり、貸出中であることが多いですが、貸出できる本と同じ本を禁帯出(館外持ち出し不可の本、赤いシールが貼ってあります。)の本としてそれぞれ1冊ずつ所蔵しており、館内でいつでも読むことができます。
『のほほん風呂』を読みに、2階郷土作家コーナーに来てみませんか?
★郷土作家コーナーは、四日市ゆかりの作家10名の著作を集め、貸出を行っています。
日本史も世界史も学びたい方へ
『一気に同時読み!世界史までわかる日本史』 島崎 晋/著 SBクリエイティブ (市立・成人 210.1/ /17)
『オールカラー図解日本史&世界史並列年表』 歴史の読み方研究会/著 PHP研究所
(市立・成人 203.2/ / 16)
「世界史」と「日本史」。同じ時代の歴史であっても、中学や高校の授業では、それぞれ別々に習いましたよね。幼い頃から大河ドラマを欠かさず見ていた日本史好きの私ですが、カタカナ表記の人名や地名が覚えられないせいなのか、学生時代は世界史が大の苦手でした。
大人になって、今さら試験を受けることもないような気がしますが、自分の世界史の弱さに何となく引け目を感じていた時、この本に出会いました。どちらも日本史と世界史を並列した、年表やデータで、比較しながら読めるものです。
日本で豊臣秀吉が政権を握っていた頃、イギリスではエリザベスⅠ世の統治下でシェイクスピアが活躍していた!
北条早雲が小田原城を奪取した頃、コロンブスがアメリカに到達した!
誰もが知っているあの人が活躍した時、あんな事件があったとき、日本では、世界では、どんなことがあったのでしょう。楽しみながら歴史を学び直せる本です。
ほのぼの図書館ストーリー
『本バスめぐりん。』 大崎 梢/著 東京創元社 (市立・成人 913.6/ オオ/16)
バスにたくさん本を積んで走る本バス「めぐりん」。
この本は、定年退職後に「めぐりん」の新米運転手となったてるさんが、司書のウメちゃんや利用者との出合いを通して、本と人とのつながりを発見していく物語です。
著者の大崎梢さんは元書店員。本に関わるお仕事に興味がある方は、他の著作もぜひどうぞ。書店や図書館の舞台裏を、ちょっとのぞき見している気分になれるかも!?
ところで、四日市市でも自動車文庫が走っているのをご存知でしょうか?
「かもめ号」と「みなと号」、こちらもよろしくお願いします。
あらためてお箸を見直してみませんか。
『おはしのおはなし 自分の箸と出会うため』 高橋隆太/著 WAVE出版 (市立・成人 596.9/ /15)
食卓ではお箸は大切なツールです。しかし、身近なものすぎて、そのことを普段の生活であまり気にしたことはないのでは…?
この本は、お箸の専門店を営む著者がお箸をいろいろな角度から書き綴っているので、なにげなく日常で使っているお箸のことを再発見するにはぴったりだと思います。
「たかが箸、されど箸」の気持ちで読んでみてはいかがでしょうか。読み終わった後、本当に使いやすい自分の箸を探してみるのもいいかもしれません。
食事のメニューに困ったら読んでください
『一汁一菜でよいという提案』 土井義晴/著 グラフィック社 (市立596.0/ /16)
「今日の夕飯何にしよう?…」と考えて、ちょっと憂鬱になる事ってありませんか?
仕事が遅くなったり、育児で疲れていたり、家族構成が変わってモチベーションが上がらなくなったり、様々な理由で、料理をするのを面倒に感じたことのある人は多いのではないでしょうか。逆に、料理をするのが少しも苦にならず、おいしい料理を毎日並べられる人もいるかもしれません。
この本はどちらの人にも読んでもらいたいと思います。
料理研究家の著者がすすめる一汁一菜の基本とは、ご飯と、具だくさんの味噌汁と、漬物です。
えー!たったそれだけでいいの?と私も最初は驚きました。
本書には、実際著者が食べている「繕わない味噌汁」と題した写真が載っています。ベーコン、ハム、たまご、きゅうり、とまと等、様々な食材が味噌汁の具になっています。
又、誰かと一緒に食べる「体裁を整えた味噌汁」というのもあります。
どちらもバラエティに富んだ味噌汁です。これならどんな日も作れ、栄養もとれそうです。さらに、手作りであるのに手間がかからない。良いことがいっぱいです。
でも、手抜きって言われない?毎日これでは物足りないのでは?と不安も生まれます。
本書の中で、著者は、一汁一菜とは、「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だとしています。
古来から日本には、ハレの日(特別な日)に食べる手の込んだご馳走と、ケ(日常)の食事との区別がありました。又、旬の食材を楽しむことで、季節を感じる事ができます。食事をシンプルにすることで、現代人が失いつつある日本の食文化を取り戻すことが出来るのかもしれません。
手間をかけなくても日常を丁寧に繰り返す事で、ちょっと肩の力を抜いて、一汁一菜の料理でできた時間を自分のために使ってみるのも良い。と著者が優しく語りかけてくれます。
間もなく箱根駅伝2017
『魔法をかける アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』 原 晋/著 講談社 (市立・成人)782.3/ /15
先日、三重県内で行われた「全日本大学駅伝対校選手権大会2016」で見事逆転優勝した青山学院大学。2015年、2016年と連覇を果たし、常勝チームになった印象が強いですが、それまでの道のりは平たんではありませんでした。
この本は、原監督が2015年の箱根駅伝に優勝した後に書かれた本です。
第1章を読んで、原監督は人の操縦法というか、モチベーションの高め方がうまい人だと思いました。サラリーマン時代に培ってきた手法を取り入れての一人ひとりに合った声掛け、信頼関係の構築、選手起用から外れた選手たちへのきちんとした説明責任を果たすことなど、普段の私たちの生活でも十分参考にできる内容です。
間もなく箱根駅伝2017の時期がやってきます。今回はどんなドラマが繰り広げられるのか、楽しみです。
冬といえば鍋!
『なんでも土鍋で! ひとり鍋派も、ファミリーもGinpo三島に全部おまかせ』
川上文代/著 小学館 (市立・成人 596/ /14、地域 L573/ /14)
冬といえば鍋!四日市市は土鍋の国内生産量1位の焼き物のまち。私が初めて買った土鍋も萬古焼の「三島」という商品でした。
この本は、その三島を生産している萬古焼メーカー銀峯陶器株式会社が協力して作った本です。
土鍋は実は、煮るだけでなく、焼く・蒸す・炊くといった多彩な調理方法に対応できる万能な調理器具なのです。この本でもパエリアや煮込みハンバーグなど、およそ土鍋では作らなそうなメニューもたくさん紹介されています。
ぜひぜひ萬古焼の土鍋を手に入れて、この本を見ながら、ほっこりあたたまる土鍋料理を作ってみませんか?
わからない?現代アートが…面白くなる!
『すべてのドアは、入り口である。 現代アートに親しむための6つのアクセス』
原田マハ・高橋瑞木/著 祥伝社 (市立・ 成人 702.0/ / 15)
この本は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に半年間勤務した経験のある原田マハと、水戸芸術館現代美術センター主任学芸員である高橋瑞木による、現代アートについての対談と取材旅行のお話です。
二人の現代アート談義が新しい世界への扉を開く!
第1のドア… 現代アートってなに?
第2のドア… 現代アートの楽しみかた
第3のドア… 二人が選ぶ今知っておきたいアーティスト
第4のドア… 美術館に行こう
第5のドア… 瀬戸内のアートと旅
第6のドア… 日本的風土と現代アート
これが、アート・オタクの二人の会話を盗み聞きしているようで、実におもしろい。臨場感に溢れたタッチでリアルに描かれています。現代アートは理屈でわかろうとするモノではなくて、感性で面白いと思えるものだと痛感しました。
この本は、二人の経験談や二人で見て回った現代アートについての話なので、感覚的な感想なども多くて、現代アートの解説に良くある観念的なテキストとは、一味ちがいます。
現代アートには食指が動かないかも…という人にこそ、ぜひ読んでほしい1冊です。
原田マハが綴るアートの世界へ!
『楽園のカンヴァス』 原田マハ/著 新潮社 (市立・成人 913.6/ ハラ/12)
『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ/著 集英社 (市立・ 成人 913.6/ ハラ/13)
『モダン』 原田マハ/著 文藝春秋 (市立・成人 913.6/ハラ/15)
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ/著 新潮社 (市立・ 成人 913.6/ハラ/16)
ルソー、マティス、ピカソ、セザンヌ、ゴッホ、モネ、ポロック、ワイエス…。原田マハが、アートについて記した小説も、併せてオススメします。
どの本も、アートの面白さや作品の魅力、巨匠たちが活躍した当時の歴史的背景が、判りやすい表現で丁寧に記されています。今までアートに興味を持てなかった方も、ぜひ一度読んでみてください。
「いいたいけど、いえない~よね」
『面と向かって言えないひと言 一行詩』 吉村英夫/著 学陽書房 (市立・地域 L/36/)
仕事から自宅に帰り、着替えをして洗濯機にポイ、お酒も自分で作りゴクゴク、暑いから扇風機を自分のほうに向けて、一息ついてマイペースでゴロリ。しかし、最近家族から冷ややかな視線を送られていることに気づきました。「とうちゃん元気で留守がいい」って言われるかも? 言われているかも?
ちょっぴり心配になった時にこの本に出会いました。
読みながら「うんうん その通り」「これも自分が言いたいことだ」と大笑いしたり、また自分の子どもに置き換えて「そう思っているのか」と感心したり、「わかってくれていたのか~」と嬉しくて目頭が熱くなったり、「なんでそう思うかな」とプンとしている自分がいました。その姿を見て家族が「大丈夫?」「ボケた?」「病院へ連れていってあげようか」などと言ってきました。この本を読む前なら「なにを言っとる」と怒っていたでしょうが、自分のことを気にしてくれているのだと少し嬉しくなりました。
自分の気持ちを分かってもらうには、思っていることを発信しないと伝わらないですね。本音で話し合える家族が理想です。
ひと息つきたいときに、この本はいかがですか。
東京會舘を愛した人たち
『東京會舘とわたし』上・下 辻村深月/著 (市立・成人 913.6/ツシ/16)
『図書室で暮らしたい』 辻村深月/著 (市立・成人 914.6/ツシ/15)
東京會舘といえば、芥川賞や直木賞の受賞記者会見が行われる会場としてご存知の方も多いのではないでしょうか。『東京會舘とわたし』(上・下)の主人公は、この建物「東京會舘」です。大正から昭和、そして平成という激動の時代を経験した東京會舘。その場所に関わり、その場所を愛したさまざまな人たち(作家・バーテンダー・菓子職人・結婚式を挙げた人など)の心あたたまる物語が時系列で描かれています。それぞれを短編として読むことも出来ますが、最後まで読んでいくとひとつの壮大な物語として完結します。訪れたこともない東京會舘が、まるで自分もその歴史をずっと見てきたかのように身近に感じられる読後感は、さすがと唸ってしまう辻村ワールドでした。
直木賞作家である著者は、受賞前に東京會舘で結婚式を挙げたそうです。その時、“直木賞を受賞して戻ってきます”と告げ、4年後にそれは本当に実現しました。支配人はそれを覚えていて“おかえりなさいませ”と迎え入れたという感動的なエピソードもあり、東京會舘への愛が詰まった物語が誕生したのも納得です。
初代を旧館(上巻)、そして建て替え後を新館(下巻)として記された、東京會舘の物語。
同著者の「東京會舘の思い出」が収録されているエッセイ『図書室で暮らしたい』も併せてオススメします。
おそるべし、”ジェーン・スー”
『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』 ジェーン・スー/著 文藝春秋 (市立・成人 914.6/シェ/16 )
“未婚のプロ”ジェーン・スーさんの新刊、ついに出ました!
今回は、オーガニック・ヨガ・ファッション・京都など、まるで女子だったら好きでないと、やっていないといけないと世間からの空気がただよっている【女の甲冑】をテーマに、ジェーン・スーさんが持論を展開します。
プロポーズされない101の理由を紹介する『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな 』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14 )や、女子に関わる様々な問題・話題について書かれた『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14)など、ジェーン・スーさんの本に、私はまずタイトルから心をつかまれます。
しかし、「いざ読むぞ!」と本を開く時はこわごわ…。
「そこまでですか!すごいですね。真似できません…」と思ったり、恐ろしく思い当たる節があって「ひぃ~」と心をえぐられたりするからです。
でも、読まずにはいられない、読んでしまうのです。
それは、「そういう考え方もあるのか」と教えられたり、「あ、こう思ってたの私だけじゃないのか」と安心したりすることがあるからかもしれません。
この夏、ジェーンスーさんと同じく、七分丈のレギンスを求めさまよった私。
知ってました?七分丈のレギンス、もう流行遅れらしいですよ…。
すみません、私履いてました。というか、履いてます!
時の罠にご注意を!
『時の罠』 辻村深月,万城目学,湊かなえ,米澤穂信/著 文藝春秋(本館・成人 B913.6/ /14)
電車の中で本を読みたいけど、文庫サイズの簡単に読める本が良いなあ。
好きな作家さんもいるし、人気の作家さんも書いているから、これにしよう。
退屈しのぎに、ただ何となく手にとった1冊。
毎日少しずつ読めたらと思っていたのですが、結局気になって1日で読み終えてしまいました。
人気作家の辻村深月・万城目学・湊かなえ・米澤穂信による時をめぐる短編集です。
「タイムカプセルの8年」(辻村深月/著)では、息子の卒業時に先生によって埋められたはずのタイムカプセルが埋められていなかった。
熱血先生で生徒からも父兄からも人気の先生がなぜ?
先生のような教師になりたいという息子に、事実を知ってほしくない主人公がとった行動とは?
感動のお話です。
「下津山縁起」(米澤穂信/著)では、科学の進化により、山に知性がある事がわかった未来。
なんと、上津山が下津山を殺害したとして有罪判決に?!
検事側も山なら、弁護側も山。
ありえないと思うかもしれませんが、近い将来こんな未来が待っているかもしれません。
奇想天外なお話です。
他にも、おもしろいお話やぞっとするお話があります。
どの作品も、その作家さんならではのお話になっていますので、一度読んでみてください。
和装本をつくってみよう
『和装本のつくりかた』 村上翠亭・山崎曜/共著 二玄社 (市立・成人 022.8/ /09)
この世にある様々な『もの』は、時代や文化によって変化、進化していくものです。図書館にある『本』もまたそのひとつ。その本の装幀に着目してみると、現代では洋装幀本が多く並んでいるのが見受けられます。対して、歴史的な和装の形態の本というものはなかなか見かけず、一般的になじみのないものかもしれません。この機に和装本というものに、触れてみてはいかがでしょうか。
実は、和装本って意外と簡単に作れるんです。この本では、平安時代に利用された装幀を元に、現代でも使える和装本を提案しています。最低限の道具で合理的に作ることができ、それゆえにアレンジの効く『手作り』ならではの装幀です。和綴じ本や折り本などの伝統的なものから、洋紙を用いて作る写真アルバムなどの実用的な装幀本まで、幅広く掲載されています。
作る工程は、写真で表記しているのでわかりやすいです。そのほかに、装幀についてのコラムなども充実しており、製本の心構えから和装本に纏(まつ)わる小話まで、読むだけでも興味深いですよ。
この本を参考にして、書や画などの作品を綴ってみたり、小さな和装本を普段のメモ帳代わりに携帯してみたりしてもいいですね。
手作りならではの、愛着の湧く作品を作ってみてはいかがでしょうか。
女性作家ならではの推理小説
『鏡は横にひび割れて』 アガサ・クリスティ/著 橋本福夫/訳 早川書房 (市立・成人 B933/ /12)
ミステリーの女王・クリスティによる、“老嬢探偵ミス・マープル”シリーズの一編です。NHKで放送された映像作品をご存知の方もいらっしゃるのでは。
事件はマープルの住むセント・メアリ・ミード村に著名な女優が移り住んできたことから始まります。彼女の屋敷で催されたパーティの席上、村の一夫人が毒殺されます。しかし彼女に殺意を抱くような人物は浮かび上がらず、周囲は首をひねるばかり。ロンドン警視庁から派遣されてきた警部は、旧知のミス・マープルの協力を得ながら事件の解決を図るのですが・・・。
この作品の最大の魅力は、殺人の動機でしょう。実は、日本でも最近になって再燃してきたある事柄が動機となっているのですが、これに目をつけたのはやはりクリスティが女性だからでしょう。物語終盤、女性はもちろん男性もあっと言わされるような謎解きが待っています。ぜひご一読を。
アボガド
『アボカドのちから』 浜崎美穂/編著 日東書院本社 (市立・書庫596.3//07)
『アボカドバンザイ!』 地球丸 (市立・書庫596.3//06)
『アボカド(新特産シリーズ)』 米本仁巳/著 農山漁村文化協会 (市立・成人625.8//07)
5年くらい前、パン屋さんのサンドイッチにはさまれていたのを食べたのが私とアボカドとの出会い。その時は不思議な食感と味だなという感想で、しばらくアボカドからは遠ざかっていたのですが・・・。
最近アボカドをたくさん頂き、どうやって食べようかとレシピ本を探していたところ、出会ったのがこの本たちです。森のバターと呼ばれるくらい栄養価が高く、病気予防にも美容にも効果があり、そのまま食べても良し、焼いても炒めても揚げても良し、サラダにもディップにもデザートにもなるすごい果物なのですね。買う時の選び方のコツ、皮のむき方、保存方法も写真付きで分かりやすく説明されています。
今のお気に入りは、ヨーグルト・はちみつ・レモン汁少々に角切りアボカドを合わせたアボカドヨーグルトと、角切りアボカドをしょうゆ・わさび・マヨネーズ少々で和え、炊きたてごはんにのせたアボカド丼。まだまだいろいろな料理にチャレンジできそうなのでとても楽しみです。
ところで、プリンの空容器に土とアボカドの種を入れ、毎日水やりをしていたら3週間くらいたったある朝、なんと芽が出ていたのです。アボカドが育てられるかもと思い、早速本で調べたところ、残念ながらかなり難しそう。アボカドの実の栽培は断念しましたが、観葉植物として楽しめ、育った葉っぱはお茶にできるようです。
4つ植えた種のうち3つから芽が出て、一番大きなものは30cmくらいまで成長中。今は、もっと大きくなあれとせっせと水やりをする毎日です。
四日市を再発見!…もっと知りたい四日市
『四日市もっと知り隊検定公式テキスト 総集版』 四日市もっと知り隊検定実行委員会/編
四日市商工会議所 (市立・地域 L292/ /13)
“四日市もっと知り隊検定”は、市民のみなさんに四日市の魅力を再発見・再認識して頂くとともに、全国にその魅力を発信し市の活性化につなげていこうという想いから、四日市商工会議所が平成24年12月に実施しました。これに先立ち刊行した公式テキスト(初版)を翌年、改訂、再編集したものが、『四日市もっと知り隊検定公式テキスト 総集版』です。
第1章「宿場まちYOKKAICHI」では、四日の市で知られた市場と四日市湊で賑わった東海道の宿場町の様子を中心に、本陣・札の辻・浜往環などについて紹介、第2章「街道マップYOKKAICHI」では、東海道を中心に発達し、各地の交通の要所へ向けて繋がれた市内の街道とその道沿いの文化遺産が紹介されています。第3章「商・工のまちYOKKAICHI」では、明治以降の四日市の発展の様子について書かれており、 四日市空襲・模擬爆弾の投下、四日市市の誕生等も紹介されています。
この他にも、「湊・港まちYOKKAICHI」「自慢!GーMAN四日市」など、四日市の歴史や、みなさんの「知りたい」ことをピンポイントで紹介しています。
四日市のことを調べるときに、まずこの本を読むことで四日市のイメージができるのではないでしょうか。 また、夏休みの自由研究の前に一読していただいてはいかがでしょうか。
コケにできない苔の魅力
『苔三昧 モコモコ・うるうる・寺めぐり』 大石 善隆/著 岩波書店 (市立・成人 629.7/ /15)
じめじめとしたこの季節、庭の手入れが進まないでいると、モコモコと現われた小さなコケ!放っておくとどんどん蔓延(はびこ)るので、なんとかしなければと思いながらも、なんだか気になるその姿。そんな時、図書館で引き寄せられるように出会ったのがこの本です。面白いコケの生態とその美しさにすっかり魅せられてしまいました。
「コケの魅力に気づくには、しゃがんでじっくり観察すればよい…」と書かれている通り、思わず我が家の庭に生えた苔もじっくり観察すると・・・意外にもかわいい姿をしているではありませんか!なんだかすっかりはまってしまいました。
日本は約2千種ものコケが自生するコケ大国だとか。コケ初心者にもわかりやすくコケ図鑑や全国の美しい苔庭情報もたくさん紹介されています。次はゆったりと苔庭を味わいに出かけたいと楽しみで仕方ありません。
自分でオシャレにコケを楽しみたい方には・・・
『苔ボトル 育てる楽しむ癒しのコケ図鑑』 佐々木浩之/写真 戸津健治/文 電波実験社 (市立・成人 627.8/ /15)もオススメです。 苔玉や盆栽以外にこんな楽しみ方もあったのですね!手軽さに私も早速チャレンジしたところ、かわいくて美しいコケの姿に一日に何度も見てしまう毎日です。
梅雨時には、いっそうみずみずしい美しさを放つコケ。皆さんもこれらの本と共に、コケに癒されてみてはいかがでしょうか?