図書館スタッフおすすめ本

頑張れと言えない時代ですが、頑張ってみようとする方へ

「栄光の岩壁」 新田次郎/著 新潮社 (市立・成人 B/913.6/ニツ/12)

 実在の登山家であった芳野満彦(1931-2012年)をモデルにした小説です。
 主人公は、1948年(昭和23年)高校2年生の時に八ヶ岳の主峰赤岳で遭難。凍傷で両足の指全部と土踏まず部分の半分を失い、足の大きさは12センチになりました。しかし、歩く登山は困難でも、両手が使える岩登りなら、もう一度山の頂に立つことができると考え、未踏峰の岩壁に挑戦していきました。
 1957年(昭和32年)3月の前穂高岳IV峰正面壁積雪期初登攀(はつとうはん)など多くの初登攀を記録し、1965年(昭和40年)、渡部恒明とともにマッターホルン北壁の日本人初登攀を達成するなど、不屈の精神で登山を続け、「5文足のアルピニスト」と尊敬の念を込めて呼ばれました。

 現在のシニア層の方の中には、若い頃に新田次郎のこの作品や「銀嶺の人」「孤高の人」などを読んだことがきっかけで、山登りを始めた方も沢山みえると思いますが、私は20代の頃にこの作品に出会い、ずいぶん勇気を頂きました。
 今は他人に頑張れと言えない時代ですが、自分で頑張ってみようとする方へお奨めします。

美酒と文学の豊穣な世界へ!


『酔っぱらい読本[正] 』 吉行淳之介/編 講談社 (市立・成人 B/596.7/ /12)
『酔っぱらい読本 続 』 吉行淳之介/編 講談社 (市立・成人 B/596.7/ /13)
『最後の酔っぱらい読本 』 吉行淳之介/編 講談社 (市立・成人 B/596.7/ /14)

これらの3冊の本は「酒」が織りなすアンソロジーです。
阿川弘之、井伏鱒二、内田百間、遠藤周作、大岡昇平、北杜夫、小林秀雄、小松左京、佐多稲子、佐藤春夫、瀬戸内晴美、高橋和巳、田辺聖子、檀一雄、永井龍男、野坂昭如、萩原朔太郎、星新一、堀口大學、丸谷才一、室生犀星、安岡章太郎、山口瞳、李太白…。
古今東西の作家らによるエッセイ・詩に加えて、落語、イラストレポート、吉行淳之介の架空対談も掲載されています。酒にまつわるエピソードから作家たちの隠された素顔が現れる…作家たちの人生物語。酒への趣向を綴ったほろ酔い文学の豊穣な世界を心行くまで堪能してください。

文の名手は食も極める!作家たちをめぐる食にまつわる話は、まだまだ尽きません。
以下の本も合わせて読んでいただければ幸いです。

『文人御馳走帖 』  嵐山光三郎/編  新潮社 ( 市立・ 成人 B/918.6/ /14)
食と酒の話を厳選したアンソロジー。芥川龍之介、川端康成、幸田露伴、坂口安吾、高村光太郎、種田山頭火、堀辰雄、宮沢賢治、森鴎外らの作家18人の小説と随筆34編を収録。

『作家のごちそう帖  悪食・鯨飲・甘食・粗食  』  大本泉/著  平凡社 (市立・成人 910.26/ /14)
開高健、志賀直哉、太宰治、永井荷風、夏目漱石、林芙美子、正岡子規、吉田健一…。文学史に名を残す総勢22名の作家が愛した食から、その知られざる素顔と人生に迫る。

古墳ってかわいい

『奈良の古墳』 まりこふん著 淡交社 (市立・成人 210.2/ /15)

 「古墳をゆるく楽しく愛でる」をモットーとする「古墳にコーフン協会」、その会長を務める
まりこふんさんによる古墳本。

 堅苦しい知識は一切必要ありません。”土ッ器土器(ドッキドキ)”、”最古~(サイコ~)”等の独自の造語も飛び交う、まさしく「ゆるく楽しく」、しかし溢れんばかりの古墳愛に満ち満ちた本です。

 なんとなく古墳が好きだった、でも専門的な知識は苦手。そういう方はぜひ手に取って見てくださ
い。こんな風に古墳が好きでも良かったんだ、と感じさせてくれますよ。

暖かい食べ物でほっこり

「食べるクスリ おかゆ」 崔 智恩(チェ チウン)/著 (市立・書庫 498.5/ /10)

 先日、家族が風邪をひきました。鼻水がひどくガラガラ声で、咳も頻繁に出るようになってきました。かろうじて熱はないものの、この前も同じ症状に始まって熱を出し、寝込むはめになったところです。まずい!今回はそうなる前に何とかせねば・・・病院で診察も受け、薬も出してもらいました。あとは本人のがんばりに期待するだけですが、何か私にできることはないだろうか。

  そんな時、ふと一冊の本のタイトルが私の目にとまりました。「食べる クスリ・・・」。これで何とかなるかもしれない。急いで読んでみました。目次を見てみると“咳が止まらない時”、“のどがイガイガしてきたら”など、今の私にうってつけの内容です。さっそく、ほうじ茶のおかゆをためしてみました。 おかげさまで、かぜの症状も少しずつ良くなっていきました。おかゆの効果は定かではありませんが、毎日の食事が大切なんだということをあらためて思い出させてくれる一冊となりました。

 また、この本は分量もわかりやすく書かれており、おかゆの基本から説明してくれているので初心者にも向いています。何となく体調が良くないなあと感じている人は、ぜひおためし下さい。

子供時代

「子供時代」 リュドミラ・ウリツカヤ/著 ウラジーミル・リュバロフ/絵 沼野 恭子/訳 新潮社
 
                                                  (市立・成人 983/ /15)

 「子供時代」というタイトルにしては少し不気味な表紙に惹かれて手に取りました。

 この本は、いまロシアでもっとも著名な現代作家の一人、リュドミラ・ウリツカヤによって書かれたものです。 第二次世界大戦が終わって間もないソビエト連邦を舞台に、子供たちの日常を描いた6つの短編集となっています。訳者のあとがきによると、この時代は「戦争の惨禍が痛々しく残る、生活するのも容易でない時期」であり、「スターリンがいよいよ独裁をゆるぎないものとした最終段階でもあった」そうです。

 けれどもそうした困難な時代を背景とする一方で、どの話も最後にはあたたかな展開が待っており、中でも最後の一遍の結末はあざやかなものでした。また随所にある挿絵も、この作品の魅力の一つです。もともとこの物語のために描かれたものではないそうですが、絵と文章がそれぞれの作品を引き立てるものとなっています。

 まずは表紙をご覧になり、気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

絵でみる江戸の町とくらし図鑑

「絵でみる江戸の町とくらし図鑑」 (市立・成人 210.5/ /11)  廣済堂あかつき株式会社出版事業部

                 

 この本は江戸の町の様子や武家の装束・庶民の着物、江戸三火消など当時の生活がイラストとともに解説されています。なかでも「庶民の生業」の章では、約80頁にわたり様々な商売が紹介されており、こんな仕事もあったんだと新しい発見がいっぱいでした。

 ほのぼのとした温かみのあるイラストで細部まで丁寧に描かれているので、特に江戸の町の様子は絵を眺めるだけでも楽しめますよ。時代小説・時代劇が好きな人はぜひどうぞ。

 姉妹編『絵でみる江戸の女子図鑑』 廣済堂出版 (市立・成人 384.6/ /15)もあります。

魚釣り入門 (海・川・湖の釣りを始めよう)



「魚釣り入門 海・川・湖の釣りを始めよう」 ケイエス企画 (市立・成人 787.1/ /13)

 この本は、釣りを始めたいと思っている方にぜひお勧めの一冊です。

 本書では、釣り人としての基礎知識や難解な釣り用語の解説、初心者からベテランまで知っておきたい様々なジャンルの釣法が、懇切丁寧に図解付きで紹介されています。この本をキッカケに海・川・湖といった大自然の中で、一度思いっきり釣りを楽しんでみませんか?人それぞれ、何かしら得るものがあるのではと思います。

 三重県は近隣県から羨ましがられるほどの釣り天国で、ほとんど全てのジャンルの釣りが満喫できます。最初は、「おいしいからこの魚を釣ってみたい」といった思いつきで十分だと思います。ほとんどのベテラン釣り師も色々な思いつきで釣りを始め、やがて徐々に自分の好みのジャンルにはまっていくものです。また釣りには釣人の都合(例えば、職場の事情・自分の体力・予算等々)に合うジャンルが必ずあり、これもまた魅力の一つではないでしょうか。

 最後になりますが、さて一度釣りを始めてみようと思うと色々な釣具を購入されることになると思います。竿・リール、多種多様な釣具に最初は戸惑うかもしれませんが、その中でぜひ一番最初に購入して頂きたい釣具があります。それはライフジャケット(救命胴衣)です。自然は時に残酷です。自分の身は自分で守るしかありません。ですがライフジャケットを着るだけで、ほとんどの危険は回避できます。

 先ずは一度、安全に釣りを楽しみながら、魚との真剣勝負に挑戦してみてはいかがでしょうか。自分の思い通りに魚が釣れたら、本当に病み付きになりますよ。

わくわく感がつまってます

 

「うれしいおくりもの」 杉浦 さやか/著 池田書店 (市立・成人 385.9/ /14)(移動・成人 590/ /14)

プレゼントをもらったときって、すごく嬉しいですよね。
ラッピングを開いて、中から何が出てくるのか、ドキドキわくわくします。
カードのメッセージを読むと、もっと気持ちが温かくなったり。

でも、案外、プレゼントを選んでいるときの方が、わくわくしませんか?
親しい人にあげるときほど、悩み深くなることもありますが、喜んだ顔を想像するとがんばれちゃうんです
よね。

こちらの本は、そんなドキドキわくわく感がたくさんつまっている本です。
著者が贈ったり貰ったりしたプレゼントが、やさしいイラストと共に紹介されています。
イラストレーターの著者だけあって、ラッピングもかわいいので、眺めてるだけで楽しい気持ちになれますよ。

フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理


「フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理」 今橋 映子/著 中公新書 (市立・成人743.8/ /08) 

 人間が文書や絵画で表現するものは、それを描いた人の意見や思想を排除して、いかに客観的に表現したようであっても、そこにはその人の属する文化や何らかの意思がどこかに反映されていることは、多くの人にとって常識でしょう。

 ところが、20世紀から今日に至るまで、芸術であれ報道であれ「写真」として表現されてきたものは、私たちは意識しないところで「真実」・「事実」として受け入れているのではないでしょうか。

 有名な写真家(カルチェ・ブレッソンやロバート・キャパなど)の作品であれ、自分で撮った写真であれ、一方は芸術・報道の大家の作品で、一方はとるに足りない記念物かもしれませんが、そこに写っているのは客観的な事実であるということを前提にしているようです。

 しかし、たとえ写真や映像であってもそれを意識するか否かは別にして、そこには撮影者の意思や意見、思想などが含まれているのではないでしょうか。 この本は筆者が文化人類学の観点から実際の写真を読み解き、その必要性を語っており、興味深い一冊です。

事典のような料理本

『ケンタロウ1003レシピ』 ケンタロウ/著 講談社 (市立・成人 596/ /10)

 「ごはん、何にしよう‥・冷蔵庫にあるのはあれとこれ。」「あと一品、何かほしい気がするけれど‥・」

 私の頭を悩ます毎日の献立。そんな時、私が開くのは『ケンタロウ1003レシピ』です。この本は、50音に並んだ材料から検索でき、まるで辞書のよう。普通の料理本と違い、写真はほとんどなく文字がずらりですが、レシピが簡潔で分かりやすく、なによりタイトルにあるようにたくさんのレシピが載っているのがうれしい!
切り方や量り方の基本もイラストで紹介されていて、調理法も「煮る」「焼く」などマークで示されているのでとっても実用的です。

 これまでも、"レシピ開拓"とばかりに色んな本を借りてはみたのですが、手間がかかったり、なんだか味が合わなかったりしていました。そんな時、ケンタロウさんの本を見て作ってみたところ、どれを作っても簡単でおいしい!私好みの味‼ 一気にケンタロウさんのレシピのファンになりました。そのなかでも、この本は使いやすさで気に入り、購入し愛用しています。

 「冷蔵庫にあるもので何ができるかな?」と思ったら、ぜひこの本をひらいてみてください。

絵本との再会


『ぼくにげちゃうよ』 マーガレット・W・ブラウン/ぶん、クレメント・ハード/え ほるぷ出版
                                                    (市立・児童 P/ /03)

みなさんは、どのような目的で図書館に来ますか?読みたい本を探すため?調べ物をするため?自習室で勉強をするため?色々な目的があると思いますが、もし時間があるのでしたら一度、児童室へ足を運んでみてはどうでしょうか?子どもの頃に読んだ、懐かしい絵本にまた出会えるかもしれません。

私は、図書館で働き始めて、ある一冊の絵本と再会しました。それが、『ぼくにげちゃうよ』。うさぎのぼうやとかあさんうさぎのキャッチボールのようなリズム良い会話がとっても楽しい絵本です。

初めての出会いは、国語の教科書でした。教科書ですからもちろん、絵本の表紙はありません。すべての挿絵はモノクロ、文章は縦書きで右開き、右から左へとページをめくって読みました。当時、このお話が絵本であるということは知らず、うさぎが出てくる大好きなお話として、記憶に残っていました。

そして、図書館での再会はとても衝撃的でした!絵本だったということにまず驚き、挿絵はモノクロとカラーのページが交互になっていること、文章は横書きで左開きであること・・・何より驚いたのは表紙の色合いです。真っ青な空、風になびく緑色の草、その草の中にうさぎの親子がいて、タイトルは白字に赤い縁取り。とても鮮やかでカラフルです。お話も繰り返しの言葉が続いて、テンポよくリズミカル。思わず声に出して読みたくなります。

私の記憶の中の『ぼくにげちゃうよ』は白と黒のモノクロの世界、穴ぐらに住むうさぎの親子が、夜ふけにひっそりと会話する静謐(せいひつ)なイメージだったのですが、あまりにも印象が違いすぎたために、本当にあの大好きなお話?と疑ったほどでした。それでも読み進めていくうちに、何とも言えない温かな気持ちがこみ上げてきました。このお話を読んだ時の楽しい気持ちや時間がよみがえってきたからかもしれません。

「一冊の絵本を開くとき、あなたのもう一つの旅が始まります。絵本は、生まれて初めて本というものに出会う最も小さな人から、年齢制限なし。深くて豊かなメディアです。」
NHKラジオで放送されている「落合恵子の絵本の時間」はこのような言葉から始まります。

懐かしい絵本との再会か、あるいは新しい絵本との出会いがあるかもしれません。どんな旅が始まるのかは、みなさん次第です!

イザベラ・バードと世界の旅へ

『イザベラ・バードの旅の世界』 金坂 清則/著 平凡社 (移動・成人 289/ハト/14)


 イザベラ・バードとは、19世紀に世界をまたにかけたイギリスの女性冒険家です。
世界一周はもちろん、1878年には伊勢神宮にも旅行しています。
来日後は、主にアジアに目を向け、チベットや中国、再度1894年から1896年の間に5度に
わたり、京都・大阪や内陸山地にも滞在しました。

今でも困難なルートではありますが、衛星のない時代、現代よりもっと大変な冒険です。
イザベラは病気や苦悩に立ち向かいながらも、体力の衰えを感じても、冒険をやめませんでした。
とても、強くてたくましい女性です。

この本では、イザベラの冒険の軌跡をたどり、各地の写真を掲載しています。
なかにはイザベラによるスケッチもあり、一身田の本山専修寺のページでは現在の写真と、
当時のスケッチが比較されています。写真と一緒にイザベラの書籍から説明文が記載されており、
イザベラもこの風景を見たのかと考えるととても感慨深いです。

また、イザベラの来日の様子をもっと知りたい方は、

『完訳日本奥地紀行 4』 イザベラ・バード/著 平凡社 (市立・成人 291.0/ / 13)
『イザベラ・バードの日本紀行 上・下』 イザベラ・バード/著 平凡社 (移動・成人 291.0/ /11)
も読んでみてはいかがでしょうか?

できることの見つけ方


『〈できること〉の見つけ方-全盲女子大生が手に入れた大切なもの』 
石田由香理・西村幹子/著
                                          岩波書店  
市立・児童 369/ /14

表紙には、白杖を持った笑顔の女性と、後ろからその女性を見守るように
肩を抱いて微笑む一人の女性の姿があります。
一見すると、母娘で仲良く二人三脚で障害を乗り越えてきたんだなということを自然と想像してしまうような写真なのですが、読み始めてすぐに,そうではないということに気づかされました。

写真に写っている二人の女性は、この本の著者である全盲の女子大生石田さんともう一人の著者である石田さんが通う大学の西村教授でした。

石田さんは、障害があることで、一番身近な家族から可能性を否定されます。
身近なサポートがほとんどない状態からスタートした大学受験を、どのように乗り越えたのか、大学生になってからチャレンジした海外留学を経験して、何を手にしたのか、それらが、ユーモアを交えた石田さんの言葉で生き生きと語られています。

石田さんと触れ合う中で、常識がことごとく覆されたと冒頭で語る教授の言葉のとおり、驚きと発見の連続でした。そして、ネガティブな出来事をポジティブに変換していく生き方に勇気づけられました。

児童書ではありますが、年齢は関係なく読んでいただきたい本です。

受験を控えている人や、新しい道に進もうとしている人、人生の岐路に立っている人、もしかしたらそういう人には、より何か響くものがあるかも知れません。

そして、石田さんの見つけた「できること」は、障害があるないに関わらず、すべての人にあてはまることだと感じます。

家紋の謎

『あなたのルーツがわかる/ 日本人と家紋』 楠戸 義昭/著 明治書院 (市立・成人 288.6/ /11)

家紋。
幼かった頃の私の興味は、この不思議な紋様にありました。
実家の仏間、雛人形の毛せん、祖父の着物。
個人的には馴染み深いものですが、最近では、時代劇や大河ドラマで目にするくらいでしょうか。しかしながら、家より個人を重視する現代においても、家紋はすたれることなく残っているのです。

この本は、自然紋・植物紋・動物紋といった紋の種類とそこに込められた意味、日本の家紋と西洋の紋章の違い、家紋と名字の関係、なぜ家紋は単色なのか、といった家紋についてのあらゆる疑問に答えてくれます。
また、三英傑や北条氏といった歴史的な有名人の家紋と、それにまつわる具体的なエピソードも紹介されています。
自身のルーツを探る手段としても、異なる見方でドラマを楽しむためにも、ちょっとした知識を手に入れることのできる一冊です。

よろしければこちらも併せてご覧ください。
『家紋のすべてがわかる本』 高澤 等/監修 PHP研究所 (市立・成人 288.6/ /12)
『家紋 家紋を知れば、氏族のルーツが見えてくる』 高澤 等/監修 日東書院本社
                                                 (市立・成人 288.6/ /11)
『本当によくわかる!日本の家紋事典』 大隅 三好/著 金園社 (市立・成人 288.6/ /15)

打ってみたいな返り点

『これならわかる返り点』 古田島 洋介/著 新典社 (市立・成人811.2/ /09)

 この本は、「漢文すなわち古典中国語の語順をおおむね日本語の語順に変換するための符号」である返り点の使用法について、その全体像を示してくれる一冊です。

 “返り点は簡略に”という心構えや、レ点(れてん)、一二点(いちにてん)の機能と用法に関する解説を、ふんふんナルホドと読み終えた後にはおそらく、返り点を打ちたくなっていることでしょう。

 続編に、『これならわかる漢文の送り仮名』 古田島洋介/著 新典社(市立・成人811.2/ /12) があります。これもまたおもしろい。 

『絵の言葉』―「絵」を「読む」ということ

『絵の言葉』 小松 左京、高階 秀爾/著  講談社 (市立・書庫 B720.4/ /)

 SF小説作家・小松左京と美術史家・高階秀爾による対談集です。
人間社会にとって「絵」とは何であったか、何でありうるかという大きな問題を追求していながら、対談であるため読みやすい文章です。

 絵には、言葉と同じくそれ自体に意味があるという話からはじまり、その意味を読むための文法と語彙があるのか、絵と自然はどのように関わるのかという話題に展開していきます。

 ゴッホの糸杉やキリスト教教会の宗教画、ラスコーの洞窟壁画など、過去に描かれてきた作品例のほか、絵にまつわる古今東西の文化や歴史などについても次々と具体例が飛び交います。こうした両氏の多種多様な話もこの本の魅力です。

 額縁に飾られるものなりイラストレーションなり、「絵」はただ見るだけでも楽しめるものですが、描かれた意味や背景を知れば知るほど、より深く楽しめることを教えてくれます。

 絵の見かたが一変されるような本です。

これであなたも三重県通

 来年のサミット(主要国首脳会議)、そして平成33年の国民体育大会が三重県で開催されることになりました。三重県には日本に、いや世界に誇れるものがたくさんありますが、全国的にみて三重県についての認識度はそう高くはありません。また、三重県に住んでいても、その地域の良さや魅力、歴史や特性などについて知らない人も案外多いのではないでしょうか。

 「美し国(うましくに) 三重」を全国に発信し、地域への愛着心をさらに高めるためにも、今一度、三重県のことについて学んでみませんか。

 二階・地域資料室にある『三重あるある』、『三重のおきて』、『三重の法則』は三重県のことについておもしろく紹介しており、気軽に読める本です。

 また、ヒストリー、ミステリーものがお好きな方は、『三重県謎解き散歩』、『三重「地理・地名・地図」の謎』、『これでいいのか三重県 ―秘境で生まれた三重のミステリー』もご覧ください。「へー、そうだったのか」と思うことがいっぱい出てきますょ。

『三重あるある』 金木 有香/著 TOブックス (市立・成人 361.4/ /14)
『三重のおきて』 三重県地位向上委員会/編 泰文堂 (市立・地域 L290/ /15)
『三重の法則』 三重の法則研究委員会/編 泰文堂 (市立・地域 L290/ /15)
『三重県謎解き散歩』 矢野 憲一、五十鈴塾/編 (市立・成人 B291.5/ /13)または(市立・地域
                                                         L290/ /13)
『三重「地理・地名・地図」の謎』 岡田 登/監 実業乃日本社 (市立・地域 L290/ /15)
『これでいいのか三重県-秘境で生まれた三重のミステリー』 昼間 たかし/編 マイクロマガジン社 
                                                 (市立・地域 L290/ /14)

余裕のある生活は部屋の整理から!

『いつも余裕のある人が実践している男の部屋の整理』
小松 易/著 石川 ともこ/イラスト メディアファクトリー (市立・成人597.5/ /13)

生活に余裕をつくるには、仕事のデスク周りの片づけだけでは十分とはいえません。

この本は、片づけの専門家がたくさんの人に指導してきた経験をもとに部屋や持ち物など、日常で使っているものを整理し、必要なものが必要な時に準備できる生活を実践するための必読本といえるかもしれません。

部屋がちらかってしまう原因をチェックしそれを改善することからはじめていき、物の整理を習慣化すれば、あなたも時間や気持ちに余裕ができるかもしれません。

小学2年生の国語の教科書に泣けた

『きいろいばけつ』 森山 京(みやこ)/著 あかね書房 (市立・児童 F/モ /05)

小学2年生の国語の教科書に掲載されている物語です。

 森で黄色いばけつを見つけた、きつね君。
 一目でとっても気に入って、このばけつを森でうっとり眺めたり、このばけつで自分の庭の木に水をあげる姿を想像したり、ばけつに自分の名前を書くまねをしたりします。

 でも誰のものだか分からないので、持ち主が現れるまで、1週間待ちます。
 1週間待っている間の、きつね君の仕草がたまらない。
 大切に、大切に、ばけつを見守っているのです。

 でも、ばけつがやっと自分のものになる前の晩、ばけつは強い風に吹き飛ばされて、遠くへ飛んで行ってしまいます。
 この場面は、夢かうつつか、どちらでも取れる表現がしてあります。

 この後のきつね君のセリフ。
 「(どっちでも いい)と、きつねの こは、おもいました。」

 長女の教科書でここまで読んだ時、私はボロボロ泣きました。
 これを書いている今でも、泣けてきます。

 きつね君は、「どうでもいいや」と思ったわけでは決してありません。
 毎日、毎日、森へ通って、慈しむように眺めていた、ばけつなのです。
 どうでもいいわけは、ないのです。
 ぐっと我慢して、彼なりに今までの思いを昇華させたのです。
 あんたは、えらいなあ!と、きつね君を抱きしめたくなります。

 心躍らせながら、大事に大事に育てた「もの」や「こころ」が、最後の最後の段階で、自分の手の届かない所へ行ってしまう。
 すべてを失ったかのような、喪失感。
 それでも立ち上がって、ふたたび歩き始める。

 そんな経験は、子どもたちより大人の方が沢山しているから、大人がこの物語に心を揺さぶられるのですね。
 あなたも、小学2年生の国語の教科書で、泣いてください。

いつか動き出す日が来る!?

『巨大仏!!』 中野 俊成/著 河出書房新社 (市立・成人 748/ /10)

 巨大仏の写真集です。
巨大仏ファンは、巨大仏に対し違和感を覚え恐怖を感じ怖いもの見たさでハマっていくそうです。この一冊でその魅力を堪能できます。

 全国に数ある巨大仏に見えかくれする当時のバブル臭や宗教的背景の薄さからか、ポツンと佇む巨大仏さん達の背中は 憂いを帯びている様にも見えます。
 鎌倉大仏との比較図もあり、巨大仏の大きさがわかり易くなっています。
著者のコメントもユーモアがあります。

 この写真集を見ていると、巨大仏への「なぜそこにいるの?」という違和感も地元住民にとっては日常だということです。
仙台の友人に裏表紙にもなっている仙台大仏について聞いてみたら、「そういえばあるな」でした。

 巨大仏に興味がわいた方にこちらもおススメ!!
『晴れた日は巨大仏を見に』 宮田 珠己 /著 白水社 (市立・書庫 291.0/ /04 )