図書館スタッフおすすめ本

奈良公園のコガネムシ

『奈良の鹿』 奈良の鹿愛護会/監修 京阪奈情報教育出版 (市立・書庫 482.9//10)
『たくましくて美しい糞虫図鑑』 中村 圭一/著 創元社 (市立・成人 486.6//21)


 先日図書館の本棚で、以前読んだ『奈良の鹿』を見かけました。
 奈良公園の鹿について、保護活動、おやつ、生態系、歴史など、多方面から学べる本です。
 奈良公園には糞を食べるコガネムシがたくさん生息していて、芝生・鹿・コガネムシが互いに関わりあいながら共存していることをこの本で読み、驚いたのを思い出しました。


 そこで少し調べてみたところ、奈良市に「ならまち糞虫館」があり、その館長さんが最近も本を出されているようなのです。
 おっ、図書館にありました。『たくましくて美しい糞虫図鑑』。
 「糞虫」とは、糞を食べるコガネムシの仲間を指すのだそうです。
 本を開くと、糞虫の基礎知識、日本の糞虫の解説、世界の糞虫の写真のほか、糞虫館を作るまでの館長の歩み、糞虫観察の春夏秋冬、糞虫を語り合う対談等が書かれていて、初学者の私にも楽しい読みものでした。

 
 レッツ糞虫観察!とまではいかないかもしれませんが、足元の世界で起きていることを知るのってワクワクすると思いませんか?

貝殻から見える世界

『貝と文明』 ヘレン・スケールズ/著 築地書館 (市立・成人 486//16)


 皆さんは貝と聞くとまず何を思い浮かべますか?
 私を含め多くの方は、食卓で並ぶことが多いアサリやカキ、人によってはアクセサリーに用いられる真珠を思い浮かべるでしょう。

 
 今回紹介する本の主役は、貝を中心にタコ、イカなどを含む軟体動物たちです。
 海洋生物学者である著者は、私たちが知っているようであまり知らないこれらの生き物たちについて、最新の研究やユニークな体験談を交えつつ分かりやすく解説してくれています。
 ある章では貝殻がどのように作られるのか、アオイガイ(貝殻のあるタコのような見た目です)の不思議な習性など軟体動物それ自体がテーマになっています。一方、ある章では、カキ養殖の新たな取組やイモガイの毒を活用した新薬開発についてなど、軟体動物と人間との関わりがテーマとなっています。
 最終章のテーマは、今日の軟体動物たちを取り巻く海の変化です。ここでは、海の変化が軟体動物にどのようなリスクをもたらすのか実験や調査をもとに語られています。


 読み終えた私は、「いつか砂浜でのんびり貝殻を拾い集めるのも楽しそうだな…」と海に思いをはせると同時に、自分たちが今当たり前に食べているアサリやイカをいつか食べることができなくなるのではという不安も感じました。
 この本が、皆さんが貝や海に興味をもったり、馴染み深いものから人間の営みや自然とのかかわりを考えるきっかけになればと思います。

まずはルールを決めること

『死んでも床にモノを置かない。』 須藤昌子/著 すばる舎 (市立・成人 597.5//19)


 タイトルに惹かれて読まずにいられなかった2年前(だったはず)。

 サブタイトルは、片づけ・掃除上手がやっている「絶対やらない」ことのルール。
 ルールその1がタイトルの「死んでも床にモノを置かない。」
 これだけで、家がきれいになっていきます。(!)
 その理由は、床にモノがない状態を維持できれば、掃除や整理が一気に楽になるから。


 今度こそやるしかありません。でも、大切なのは「やる片づけ」ではなく、「やらない片づけ」なのです。

視覚障害者と一緒に「言葉による美術鑑賞」を楽しむ!

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 川内 有緒/著 集英社インターナショナル (市立・成人 706.9//21)

 この本では、白鳥さんとアートを見ると楽しいよ」という友人の一言から、ユニークな旅が始まります。全盲の白鳥さんと一緒に見ていると、たくさんの会話が生まれます。ときには思いがけない方向に話が飛んで行ったり、脱線したり、発展することも…。
 
 見える・見えないとは?障害とは?差別とは?アートとは?どう伝える?何を伝える?作品の前で色々な言葉が出会うとき、驚き・喜び・気づき…、新たな発見があります。分かり合えない他者と寄り添う関係、曖昧な記憶、果たして本当に見えているのだろうか?…先入観や偏見で凝り固まった常識が壊れていきます。
 見えない人と一緒に時間を過ごす喜び、浮かび上がる社会や人間の真実、時空を超えて聴こえてくる作品からのメッセージ…。アートを巡るコミニュケーションにこそ、心の内側を知る鍵が隠されているのです。

 この本を読めば「言葉による美術鑑賞」の追体験が楽しめます!さぁ、見えない目とともにアートを見る旅へ出かけましょう。

「身の丈にあった」に惹かれて

『身の丈にあった勉強法』 菅 広文/著 幻冬舎 (市立・成人 379.7//18)


 「少し難しそうな内容の本だな。読むのは今度にしよう。」
 
 私がこの本のタイトルだけを見た時の第一印象です。
 しかし、どうしても「身の丈にあった」に惹かれてしまい、読んでみました。

 
 この本の最初の章に、「この本で紹介する基本的な勉強法は、宇治原に教えてもらい、僕でも出来そうなやり方をその中から抜粋しました。」(書籍からの引用)とあります。
 著者は、ロザンというコンビの芸人さんです。相方である、宇治原史規さん(京都大学出身)の勉強法の中から著者である菅さんが出来そうな方法が抜粋されています。「勉強法」と聞くと、少しかたく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。私も、読む前はかたい内容の本だと思っていました。
 やはり「勉強法」と謳っているだけあり、章ごとにそれぞれ「身の丈にあった勉強法」が紹介されているのですが、ただ勉強法が紹介されているだけではなく、クスッと笑える要素も含まれています。
 
 個人的なお話になりますが、実際に読んでみて、特に難しく感じることなく、楽しく読み進めることができました。楽しみながら「身の丈にあった勉強法」も知れて、一石二鳥!?かもしれません。
 よろしければ、ぜひ一度タイトルで躊躇せず、内容も読んでみてください。

龍玉(ロンユイ)の行方は?

『蒼穹の昴』 (上、下巻) 浅田次郎/著 講談社 (市立・成人 913.6/アサ/13)
『珍妃の井戸』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ)
『中原の虹』 (1~4巻) 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/06)
『マンチュリアン・リポート』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/10)
『天子蒙塵』 浅田次郎/著 講談社 (市立・成人 913.6/アサ/16)
『兵諫』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/21)

 
 中国の歴史ドラマにはまっています。特に清王朝の荘厳な紫禁城(現故宮博物院)で繰り広げられる煌びやかな世界に引き込まれます。
 
 そんな私がお勧めしたい小説は、テレビドラマにもなった浅田次郎著の『蒼穹の昴』です。その後、シリーズとして、『珍妃の井戸』、『中原の虹』、『マンチュリアン・リポート』、『天子蒙塵』、最新作の『兵諫』(へいかん)へと続きます。清朝最盛期の華やかな時代とは違い、西大后が牽制をふるった王朝衰退期から、近代中国への混沌とした時代の物語です。中国を統べる者が持つと言われる龍玉(ロンユイ)がシリーズのキーワードとなり、史実と創作の人物が織り交ざって物語は進んでいきます。どれか一部だけ読んでも充分楽しむことができます。


 以前は「中国の小説は、難しい漢字が多くて読みにくい」という印象を持っていました。このシリーズは、漢字のルビが中国語読みになっています。中国から伝わった漢字の読みの違いも楽しんでほしいです。

 ぜひ、中国四千年の歴史とも言われる中国の王朝最後の物語を見届けてください。

おもしろい計算力の世界へ

『世界の猫はざっくり何匹?』 ロブ・イースタウェイ/著 ダイヤモンド社 (市立・成人 417.6//21)


 おおざっぱな計算で世の中にある数値を把握しようと試みる本です。
 仮定を立て1つ1つ推論していく過程が面白く、タイトルである「世界の猫はざっくり何匹?」は本書のはじめに紹介される1例です。
 他にも身近な大人の髪の毛の本数から、環境問題まであります。読者自身が導き出せるように、おおざっぱな計算に必要な知識や方法が解説してあるので楽しく学びながら読めます。

なつかしのアレコレ

『絶滅事典 20世紀末モノ&コトカタログ』 造事務所/編著 カンゼン (市立・成人 049//21)


 1970年代から1990年代にかけて流行したものの、現在はあまり見かけなくなったモノやコトを集めた本です。生活(衣食住)、学校、趣味・娯楽、仕事・技術の4章に分かれ、編集部が独自に設定した絶滅の度合いも表示されています。

 学校の章では、わら半紙やロケット鉛筆、多面式筆箱やアルコールランプなど懐かしのモノが多数登場。そういえばあんなこともあったな-、と思わず学生時代を振り返ってしまいました。

 
 1つの項目は1~2ページで完結しているので、どこから読んでも楽しめます。
 ところどころに登場するイラストとコメントもぜひチェックしてみてください。

パンダを知りたい!

『読むパンダ』 黒柳徹子/選・日本ペンクラブ/編 白水社 (市立・成人 489.5//18)


 上野動物園で誕生した双子パンダの名前が決まりました。男の子が“シャオシャオ(暁暁)”、女の子が“レイレイ(蕾蕾)”。幼い頃に、テレビでパンダ幼稚園のドキュメンタリーを見て以来、なんとなく注目しているパンダ。最近は、疲れた時に二頭の動画に癒しを与えてもらっています。名前が決まったことで、さらに可愛さが増した気がします。


 この本は、『パンダを愉しむ』、『パンダを知る』、『パンダを守る』の三章で構成されています。
 第一章では、漫画『しろくまカフェ』の作者であるヒガアロハさん、映画『パンダコパンダ』の監督である高畑勲さん、他にも作家の浅田次郎さん、温又柔さんといった方々がパンダにまつわる書下ろしエッセイを寄せています。
 第二章では上野動物園やアドベンチャーワールドでパンダ飼育を担当された方の実体験・飼育日記が、第三章では、パンダの保護活動について書かれています。さらにパンダ愛溢れる黒柳徹子さんの座談会もあり。

 少しでもパンダに興味がある方、ぜひ読んでほしい一冊です。

ヒルと生きる

『ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記』 樋口大良+子どもヤマビル研究会/著 山と渓谷社 (市立・地域、L483//21) 
                                            

 鈴鹿の山に登った後で、近場の温泉に行く。「ゆっくりつかろうか」と友と話しながら、Tシャツをばっと脱いだ瞬間「ボトッ」何かが床に落ちる。「今日も暑かったな」と帰りの車を走らせていると、何やら靴下の中がムズムズしたので信号待ちの時に靴を脱いでみる。「コロン」何かが転がる。
 言うまでもなく鈴鹿の山(なかでも堆積岩帯の山)の名物『ヒル』である。このなじみ深い生き物の生態を解き明かしていこうと、観察を重ね、実験をし、次々に課題をクリアーしていくヤマビル研究会の子どもたちの姿がとてもかっこいい。自分もこの研究会の一員になった気になって、一気に読んでしまった。
 「ヒルの生態を観察し、自然の仕組みを解き明かす・・・」ポッサム先生と研究会のメンバーが掲げているテーマは、私たち人間は自然を愛し、守り、共に生きていこうとすることの大切さを改めて考えさせてくれた。まだまだ解らないことがたくさんあるけれど、『ヒル』は生きている。そして私たちも生きている。そのかかわりは特殊な形かもしれないが、お互いに求めあっていることは事実であると感じた。より深く知るために。
 
 「気持ちわる~」と言っているあなた、そんなこと言わずにぜひ読んでみてください。子どもヤマビル研究会の活動をぜったい応援したくなるから。

セミだけじゃない!いろんな虫のいろんなぬけがら!

『虫のぬけがら図鑑』 安田守/著 ベレ出版 (市立・成人 486.1//21)

 
 虫のぬけがらと言えば、「セミ!」と思っていた私。
 
 この本には、日本に生息し脱皮する様々な昆虫やクモなどのぬけがらが写真で紹介されています。
 私はまだ見たことのない「ぬけがら」ばかりで、細長ーいナナフシやトゲトゲのテントウムシのぬけがらなんて、どうやってそのままの形が残るように脱いだのかな?
 確かに、うちのカブトムシたちも羽化するときに脱皮したし、成長する時に脱皮する虫には、「ぬけがら」が必ず存在するってことか、フムフム。
 と、それほど虫に興味がないのにじっくり読んでしまいました。

 
 図書館にこの本が入った時、ちょうど謎のぬけがらを見つけたある職員。
 さっそく、一緒にこの本で「ぬけがらウオッチング」。おそらく「バッタの仲間」ということが分かりました!

 謎のぬけがらを見つけた時にはぜひ、この本で確認してみてください。

無人島に1冊持っていくなら? ~エッセーコンクール募集中~

『パノラマ島美談』 西尾維新/著 講談社 (市立・書庫 B913.6/ニシ/16)


 今年も図書館では、「読書に関するエッセー」を募集しています。
 今回のテーマは、「無人島に1冊持っていくなら?」です。

 
 私が無人島に1冊持っていくなら、西尾維新『パノラマ島美談』です。
 『パノラマ島美談』は、2021年4月から放送していたアニメ「美少年探偵団」の原作シリーズ第5作目にあたります。残念ながらアニメでは飛ばされてしまったエピソードですが、無人島にピッタリの1冊なんです!

 私立指輪学園中等部で、秘密裏に活動する、非公式かつ非営利組織“美少年探偵団”。
 そのメンバーとは、リーダーで美学のマナブこと、双頭院学。生徒会で美声のナガヒロこと、咲口長広。番長で美食のミチルこと、袋井満。陸上部で美脚のヒョータこと、足利瓢汰。そして、ひょんなことからメンバー入りした美観のマユミこと、瞳島眉美である。
 1.美しくあること2.少年であること3.探偵であることをモットーに校内のトラブル解決に勤しんでいた彼らが冬休みの合宿地に選んだのは、琵琶湖に浮かぶ無人島『野良間島』。その島では、学園から追放された元美術教師の永久井こわ子が、たった1作の絵を飾るための美術館を建てていた。美少年探偵団のアジトである美術室を正式に譲り受けようとした彼らは、5つの美術館からそれぞれに展示されている『見えない絵』を見つけることを求められ……?


 西尾維新作品の中でも、1冊が短い「美少年探偵団」シリーズ。
 もしかしたら無人島に行く道中で読み終わってしまうかもしれません。でも、それでかまわないのです。無人島に行くのですから、きっとそこには、謎が、チームが待っているはず。無人島への期待に胸を高鳴らせて、上陸できるに違いありません。
 さあ、“無人島でも”美しく、少年のように、探偵をしよう。


皆さんも是非、「読書に関するエッセー」に応募して、おすすめの本を教えてくださいね!




エッセーのすすめ

『仙台ぐらし』 伊坂幸太郎/著 荒蝦夷 (市立・成人 914.6/イサ/12)


 高校生のころ、お気に入り作家の新作小説だ!と思って読んだら何だか変。いつまでたっても登場人物が出てこない。ストーリーがすすまない。何これ? というのが、当時、フィクションしか読んだことがなかった私とエッセーの出会い。
 その後、「笑っちゃうから電車で読んだら絶対だめ」と友人に原田宗典さんのエッセーを紹介され、どっぷりはまったのでした。
 特に、小説家のエッセーは、小説を読んでいるだけではなかなか目に浮かばない書き手の姿をリアルに感じることができ、距離感がぐっと近づくように思います。


 『仙台ぐらし』はそんな作家の一人、伊坂幸太郎さんのエッセー。
 仙台の地域誌に掲載していたものを2011年に書籍化予定でしたが、震災により翌年に延期された経緯があります。震災より前に書かれた、くすっと笑えるおだやかな日常と、震災後、もう一度「作品を書く」ということに向き合っていく伊坂さんの言葉。伊坂さんの新作小説を楽しく読みながらも、ときどきこのエッセーを振り返るように読んでいます。


 なお、現在、図書館では「読書に関するエッセーコンクール」の作品を募集中。今年のテーマは「無人島に1冊持っていくなら?」です。
 非日常だったいろんなことが、日常となりつつある今、あなたの思いをつづってみませんか。メールでもご応募できます。
 興味がある方はこちらもご覧ください(図書館ホームページ「読書に関するエッセーコンクール」作品募集のお知らせ記事が開きます)。

青空文庫で読んでみる

『三国志』1~8巻 吉川英治/著 講談社 (市立・成人 B/913.6/ヨシ/12)


 なかなか思うように外出できない日々が続きます。
 図書館に行けない、でも読みたい・・・そんなときは、「青空文庫」を利用してみてはいかがでしょう。
 
 「青空文庫」は、著作権保護期間の終わった作品や、著者・訳者が公開に同意した作品を、web上で誰でも読めるようにしたもの。今では、かなりの作品数が公開されています。

・・・でも「青空文庫」って、芥川とか、古いのばっかりでしょ(ごめんなさい!)、と思ったあなた。
 そう、確かに古い。ですが、「文豪」をとりあげた漫画やアニメがヒットした影響もあり、若い世代の方でも作品が読み直されているんです。今まで読んだことがない人も、むかし読んだけど響かなかった人も、今だからこそ、味わえる作品に出会えるかもしれません。

 
 ちなみに私が今、目をつけているのは、吉川英治の「三国志」全8巻。
 かつて、友人に「おもしろくて一気読みだよ!」とすすめられたのですが、挫折。途中までは一気に読むのですが、いつも自然消滅。今回、3度目のチャレンジです。

 返却期限がない青空文庫、図書館とともに活用してはいかがでしょうか。

抹茶本

『抹茶本』 昭文社 (市立・成人 596.6//21) 

 どのページを開いても、抹茶、抹茶、抹茶。
 
 抹茶好きにはたまらない1冊です。
 パフェはもちろん、かき氷やパンケーキ、はたまた綿菓子と幅広いデサートが沢山あります。カフェだけでなく、コンビニや各お菓子メーカーの商品も掲載されているところも嬉しいポイントです。もちろん、抹茶好きの私も食べた事のある商品ばかりです。他にも、お取り寄せ商品も掲載されているので、お家で食べたいなと思った方でも大丈夫。製茶技法や飲茶方法のほかにも、抹茶の歴史が平安~令和まであり、とても詳しいですよ。
 ここまで抹茶だらけにしなくてもと思うくらい、沢山の抹茶を堪能できます。
 皆さんも1度読んだら、抹茶好きになりますね。

ご存じですか「仏像のひみつ」

『完本 仏像のひみつ』 山本 勉/著 朝日出版社 (市立・成人 718//21)


 最近、お寺で仏像を見に行くことが好きになってきた私ですが、どちらかと言えば美術作品として鑑賞していました。
 
 ですが、この本を読んで、仏像の奥深さ、日本人の仏教文化の流れを知り、違った視点で鑑賞することが出来ました。仏像にも人間社会の様に”ソシキ”があること、仏像のスタイルも時代によって違うこと、仏像には色がいろいろあることなど、10項目をひみつとして分かりやすい文章と可愛いイラストで教えてくれます。

 これから、お寺や博物館で仏像を鑑賞する機会がある方は、ぜひ一度手に取って見てください。きっと、今までとは違った楽しい鑑賞の時間を過ごすことが出来ること間違いないと思います。

うっかり読んだ本

『むらさきのスカートの女』 今村 夏子/著 朝日新聞出版 (市立・成人 913.6/イマ/19)


休みの日はホラー映画ばかり観ている。
タオルケット,ポテトチップス、コーラを用意すれば準備完了。
カーテンを閉め切って、薄暗い中で一日中ホラー映画を観ている。
ステイホームは大の得意なのだ。

そんなホラー映画好きな私はあまりホラー小説は読まない。
読むほうが、想像してしまうほうが、怖いからである。
だけど、このあいだ、うっかりホラー小説を読んでしまった。
うっかり読んでしまうホラー小説ほど後悔するものはない。
もしこれをうっかり読んでしまった場合は、ぜひともその怖さについて話し合いましょう。


 

学校の怪談、流行ったなあ

『日本現代怪異事典』 朝里樹/著 笹間書院 (市立・成人 388.1//20)


この本は不可思議で超自然的な現象・存在・呪い・占い・物体などにまつわる話を収集して事典の形にまとめられたものです。

戦後日本を舞台として、都市伝説などもたくさん書かれています。
赤い紙・青い紙、メリーさんの電話、お菊人形、こっくりさん等、子どもの頃聞いた怪異から、こんな話もあったんだと初めて知るものもあり、おもしろかったです。
私は最初から読んでいきましたが、結構な文量なので、50音順になっていて索引も付けてもらってあるので、興味を引かれたものから見るもよし、な本です。


 

目指せ、アイドル

『トラぺジウム』 高山一実/著 KADOKAWA (市立・成人 913.6/タカ/19)

 
 乃木坂46に所属する現役のアイドルが書いた小説です。
 あらすじとしては、アイドルを夢見る主人公の女子高生が東西南北の美少女を集めてデビューを目指すという内容です。
 個人的におすすめな点は、作者自身もアイドルなためアイドルの裏面が一部書かれていたり、アイドルになるための苦労や努力もありアイドル当事者だからこそ書ける部分があるという点です。
 本をあまり読まない方でも読みやすく親しみやすい小説ですので、ぜひご一読ください。

『捨てられない』あなたへ

『28文字の捨てかた』 yur.3/著 主婦の友社 (市立・成人 597.5//21)


「この箱、もしかしたら何かに使えるかも…」
「この服はいつか着るかもしれないし、捨てずにしまっておこう…」
 
こんな経験、ありませんか?私はよくあります。

この本は、そんな『捨てられない』人へ向けた28文字の短いメッセージが、多数収録されています。
メッセージの内容は、個人的に身に覚えのあるものが多く、読みながら何度もドキッとさせられました。
服やキッチン用品、思い出のもの…などなど。
何か1つでも「そろそろ捨てなきゃいけないかな」と感じていたら、読んでみてください。

同じ著者の前作『28文字の片づけ』も、市立図書館にて所蔵しています。

あのマンガの家って・・・

『名作マンガの間取り』 影山 明仁/著 SBクリエイティブ (市立・成人 726.1//15)


サザエさんやドラえもんの家の間取りを、テレビで見たことがある。
でも他のマンガやアニメに出てくる家って、どんな間取りなんだろう。

書架でこの本を見かけた時、そんなことを思いながら手にとってみました。

『スラムダンク』の赤木邸はけっこう広いんだな。
『クレヨンしんちゃん』そうそう。野原家はこんな感じ!
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』じんたんの部屋こんなに狭そうだった?

昔のマンガから最近のマンガまで幅広くピックアップされているので、知らないマンガもたくさんあります。でも見ていたらなんだか、いろんなマンガを読み返したくなってきました。
皆さんも、好きだったマンガの間取りを探してみませんか。

夢中になることの素敵さ

『さかなクンの一魚一会』 さかなクン/著・イラスト・題字 講談社  (市立・児童 289/サ/16)

 
 魚のことについて知りたいと思ったときには「さかなクン」の著書がお薦めです。さかなクンは、それぞれの魚に関する知識にその魚の魅力を含めて伝えてくれます。彼のイラスト画もチャーミングで、知らない間にその魚を好きになってしまいます。
 
 でも、この本は魚を紹介している本ではなく、さかなクンの自叙伝です。はたらく自動車を描くのが大好きだった幼い男の子が「さかなクン」へと成長していく様子が、様々なエピソードとともに描かれています。楽しく読み進める中で深く私の心に残ったのが、さかなクンのお母さんの子育ての姿勢です。かなり昔に子育てを終えた私にとって自責の念に駆られる思いがしました。子どもが発する個性的なエネルギーに戸惑いを感じているお母さんやお父さん、そして、学校の先生に、ぜひお薦めしたい一冊です。

虫という自然を武器に

『法医昆虫学捜査官』シリーズ 川瀬七緒/著 講談社 (913.6/カワ/12~)

 
 法医昆虫学とは、遺体に寄って来る虫の種類やその生態から、殺害が行われた時間・環境等を割り出し、事件解決への手掛かりとするというものです。物語は、まだマイナーなこの分野を、捜査手法の一つとして確立・実用化しようと奮闘する、一人の学者を主人公として進んでいきます。
 どこまでも本能に忠実な虫たちには、自我や思考によるブレがありません。どんな状況下においても、虫たちは常に、それに即した“正しい”行動をとる。それを知悉している法医昆虫学者の推理・考察は(判断を下せない段階では下さない、という選択も含めて)、科学的根拠に基づいて実に的確です。こうした作品の常で捜査本部の方針とはよくぶつかりますが、昆虫学の知識と行動力で着実に真相ににじり寄っていくその様には、理が通っているからこその安定感と爽快感があります。
 
 取り扱う題材が題材だけに、事件現場の有様も凄まじいものが多く、映像化は難しいかと思われます。ぜひ文章でお楽しみ下さい。

鈴鹿の山の山賊が出会った美しい女

『桜の森の満開の下』
『坂口安吾エンタメコレクション伝奇篇』 坂口 安吾/著 春陽堂書店 (市立・成人 913.6//サカ/19)より
       
 今回は坂口安吾の作品から特におすすめしたい一本を選びました。

 本作を読み始めますと、中世の説話を思わせる設定のもとに、残酷な童話のような幻想世界が広がり出します。甘美にして異様な雰囲気が濃厚に立ちこめるのは、何と言っても満開の桜のイメージのおかげです。
 何も恐れるものがない山賊の心に畏怖の念を呼び覚ます花の『魔性』によって、物語は鮮やかに染め上げられていきます。男の魂を奪った女は、ある恐ろしい「遊び」に興じます。その「遊び」はただ残酷な光景のみ想像してしまいそうなものですが、清潔感と静けさを具えた文体で描かれることにより、決して悪趣味になり過ぎることなく、妖艶な舞台芸術を観るような趣きで作品世界に入り込んでいくことができます。ひたすら女に尽くしながら心身を擦り減らしていく山賊を見ていますと、結局は死を介してでなければ真に触れ合うことのない男と女の孤独が迫ってくるようです。

 私がとりわけ美しいと思うのがラストです。
 夢幻の世界の深い余韻に浸らずはいられないことでしょう。
 人も通らぬ山奥の桜の森の満開の下には鬼が似合いますね。

技術用語は技術者たちの発想や問題解決のエッセンス

『再発見の発想法』 結城 浩/著 SBクリエィティブ株式会社 (市立・成人 007.0/21)

 
 本書は「数学ガール」シリーズで有名な結城浩さんが技術本に着目して書いた発想法本です。
 
 技術用語の背後には、技術者たちが長年培ってきた発想や問題解決のエッセンスが詰まっています。本書では、技術者たちの発想が分かりやすく理解できるように、ざっくり章で分け、シンプルな説明と日常で活かされている例が書かれています。
 
 面白いと思ったのが第2章の投機的実行の項目。投機的実行とは、コンピュータのスピードを最適化する技法のひとつで、無駄になるかもしれないが実行することになりそうな処理を予測して実行する技法です。無駄になるかもしれないことをコンピュータにさせるなんてそれこそ無駄なんじゃないかなと思いつつ実際にパソコンで活かされているのは面白いと思いました。
 日常生活にも投機的実行はたくさんあると書かれています。例えば、天気予報を見て傘を持っていくかどうかの判断。会議に臨むときに質問されそうなことを前もって回答を準備しておくなども投機的実行の考え方といいます。なるほどと思いながら読み終えました。もしかしたら日常生活に再発見があるかもと期待して過ごしています。

不思議で楽しい妄想世界

『妄想科学小説』 赤瀬川 原平/著 河出書房新社 (市立・成人 913.6/アカ/15)

 
 一冊の中にごく短い話がたくさん収められている、いわゆるショート・ショート集です。
妄想の名の通り、中身は奇妙でヘンテコなものばかり。現実の世界から斜めにズレたような発想がじわりと楽しい本です。
 個人的には『日光仮面』がおすすめです。特に昭和を生きた方に。いろいろな意味で・・・。

災害に備えて 

『おうち備蓄と防災のアイデア帖 もしもに備えて』 島本 美由紀/著 パイインターナショナル (市立・成人 369.3/20)

 

 いつ起こるかわからない災害に備えて、皆さんはどのような準備をしてますか。
 最近、我が家では、新型コロナウイルスの影響もあって、防災への備えの意識が高まり防災グッズを買いそろえました。
 いろいろと買いそろえる中で、防災食も購入したのですが、実際災害にあったときこれだけのの備蓄でいいのだろうかと不安に思っていました。
 
 そんな時、目に留まったのが今回紹介する本です。新しいおうち備蓄の方法「ローリングストック」を中心にまとめた本です。
 「ローリングストック」とは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、期限の近いものから日常的に食べ、食べた分を買い足していく循環備蓄のことです。食品ごとに保存期間や保存方法だけでなく、おすすめのレシピが掲載されていてとても役立つ内容が満載です。
 
 災害への不安が少し和らぐと思います。ぜひ、一度手に取ってみていただければと思います。

疲れ、たまってませんか

『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』 梶本 修身/著 アスコム (市立・成人 498.3//19)


なんだか最近、疲れがとれない気がする。

毎晩ゆっくりお風呂に浸かって、夜更かしは極力しない、週1~2程度は適度な運動もして、休みの日はいつもよりちょっと長めに寝て身体の疲れをリセット!・・・してるはずなのに・・・。
どうにも疲労感がなくならない!


そんな時に目についたのがこの本『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』でした。

表紙をめくると、まさに私の気持ちを見透かしたような言葉たちが書かれている。

読んでみると、疲労の原因から日々気をつけたいこと、寝る前の1分間ストレッチに、疲労回復レシピまで幅広く、そして分かりやすく書かれていました。

既に自分なりの疲労回復方法がある人もたくさんいると思いますが、まだ方法を模索中の方はちょっと参考にしてみてはいかがでしょうか。

同和教育の授業実践記録を読み解く

『差別・被差別を超える人権教育』 原田 彰/著 明石書店 (市立・人権同和 371.5//20)

 
 「21世紀に部落問題を持ち越さない」

 
 学校関係者はそう思いながら、長年にわたり、自らの実践を積み上げてきたと思います。
 これは、部落出身かそうでないかという社会的立場を絶対化せずに、両側から部落問題に取り組むことを大切にしたある中学校の授業記録です。
 これらの学習を通して、「自分自身のために取り組む部落問題学習」という思いに至った中学生の姿は素晴らしいものです。


 「自分の内に潜む差別意識に気づこうとしているか」「他人事ですまそうとしていないか」
 部落問題にかかわらず、自分自身を問い直すきっかけとなる1冊です。

みんなで地球の未来を考える

『未来を変える目標SDGsアイデアブック』 Think the Earth/編著 Think the Earth/出版 (市立・成人 333.8//20)

 
 皆さんは“SDGs”という言葉を聞いたことがありますか?近頃はメディアで耳にすることも多くなったのではないでしょうか。
 
 今回ご紹介する本は、その“SDGs”について述べられている本です。17個の目標についての解説が、分かりやすい数値と簡潔な文章をもとに書かれており、一つ一つの目標がそれぞれ見開き1ページで分かるようになっています。また解説の後には、世界や日本で実際に行われている事例が載っています。
 私はそこで母子健康手帳が日本発祥のものであったこと、サステナブル・ラベルには色々なものがあることなどを知りました。また、この本には始めと終わりに漫画があったり、途中にもイラストが添えてあるのですが、それらがとてもユニークで魅力的です。
 
 “SDGs”をまだよく知らない方にとっては知るきっかけに、知っている人には新しい発見のある1冊となるのではないでしょうか。
 四日市市立図書館には2020年の3月に入った本ですが、他にも“SDGs”に関する本はたくさんあります。ぜひ皆さんが地球の未来について考えるきっかけになればいいなと思います。


 

コンパニオンプランツって?

コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』 竹内 孝功/著 家の光協会 (成人・書庫 626.9//12)


 コンパニオンプランツって?返却本を棚に戻しているときに見つけた初めて聞く名前。
 
 どんな植物なんだろう??さっそく手にとって借りてみると、コンパニオンプランツとは「違う野菜を一緒に植えることで病害虫が発生しにくくなったり、お互いの生長を促す相性の良い組み合わせのこと」とのことでした。

 例えば、トマトとバジルを一緒に植えると、バジルの香りがトマトの害虫を遠ざけ、トマトが夏の厳しい日差しをさえぎって、バジルの葉が柔らかくなるそう。他にも「ナスとパセリ」や「ゴーヤと長ネギ」「イチゴとニンニク」など、それぞれ一緒に植えると良い理由があって、なるほど、おもしろいなぁと思いました。


 コロナ禍で、外出もままならないこの頃ですが、おうちでゆっくりと来年の春に植える野菜たちの計画を立てるのもいいかもしれません。

読書の秋は、まずお腹を満たしてから!

『ちょこっと、つまみ』 阿川 佐和子[ほか]/著 河出書房新社 (市立・成人 914.6//20)
『夜更けのおつまみ』 東山 彰良[ほか]/著 ポプラ文庫 (市立・成人 B/914.6//20)
『おつまミステリー』 浅暮 三文/著 柏書房 (市立・成人  596.0//19)


 新型コロナウィルス感染症の影響で、夜の街を自由に飲み歩くことも難しい昨今です。こんなご時世だからこそ、一人で家飲みしながら静かに読書はいかがでしょうか?
 美味しいお酒は「おつまみ」あればこそ…!そこでお勧めの3冊を紹介します。
 
 まずは、古今東西のお酒好きによるつまみに纏わるエッセイ・アンソロジー2冊から…!
 『ちょこっと、つまみ』は、昭和から平成にかけて一世を風靡した作家36人のエッセイを収録しています。その顔ぶれは、阿川佐和子/池波正太郎/伊丹十三/内田百閒/宇能鴻一郎/江國香織/遠藤周作/角田光代/鴨居羊子/川本三郎/久住昌之/小泉武夫/佐藤垢石/椎名誠/獅子文六/澁澤龍彦/島田雅彦/東海林さだお/杉浦日向子/高橋みどり/辰巳浜子/田辺聖子/種村季弘/檀一雄/中谷宇吉郎/姫野カオルコ/平松洋子/福田蘭童/古谷三敏/牧野伊三夫/丸谷才一/柳家小満ん/山田風太郎/吉田健一/吉村昭/吉行淳之介といった面々です。飲めない・飲まない人も、文学史に名を残した作家たちとの思い出に浸ってみてはいかがでしょうか?
 『夜更けのおつまみ』は、今まさに注目のクリエイター31人のエッセイが、簡単レシピとともに綴られています。執筆者は、芦原すなお/甘糟りり子/綾崎隼/安東みきえ/市川紗椰/岡元麻理恵/オカヤイヅミ/久住昌之/倉数茂/坂木司/蝉川夏哉/田中啓文/寺地はるな/名久井直子/西川美和/葉真中顕/東山彰良/日向夏/蛭田亜紗子/広小路尚祈/ブレイディみかこ/前川ほまれ/三浦しをん/水生大海/美村里江/望月麻衣/森まゆみ/柳本あかね/友麻碧/吉川トリコ/和田竜です。飲兵衛ならば間違いなく、ちょいと一杯したくなります!
 もう1冊は、身近なおつまみについての誕生秘話やウンチクを記したエッセイです。
 『おつまミステリー』は、ジャイアントコーン、カシューナッツ、チーズ鱈、酢漬けイカ、酢昆布、カリカリ梅、エビせんべい、チーズかまぼこ、らっきょう、レーズンバター、サラミ、海苔の佃煮、品川巻きなどの知られざるエピソードが満載。本をつまみに…つい誰かに話したくなるかも?

 あなたも「おつまみ」に舌鼓を撃ちながら、読書の秋を心行くまで堪能してください。

イメージはどこからやってくるのか?

『黙示録 イメージの源泉』 岡田温司/著 岩波書店 (市立・成人 193.8/14)


 「海や地の底から大怪獣が現れる」「宇宙からの侵略者により人類は滅びようとしている。」   
 皆さんも一度はこのようなお話をご覧になったことがあるのではないでしょうか?


 この本は黙示録という聞きなれない言葉をテーマに、私たちが見慣れた物語やイメージの源泉を明らかにし、それらがどのように利用され形を変え生き残ってきたのを教えてくれます。
 シンプルに黙示録と呼ばれることも多い『ヨハネの黙示録』は聖書の最終章にあたる一篇であり、世界の終末と救済を主題としています。聖書の中でも、幻想的でドラマティックな出来事、個性的なキャラクターが多数登場する黙示録は特に多くの芸術家や文学者たちの想像力を刺激してきました。事実、地下から現れる怪物、悪魔やそれと戦う天使といったイメージは映画やアニメやマンガのモチーフとして好まれるなど、現代の文化にも影響を与えています。

 ところで、黙示録に登場する悪魔や怪物たちは元々何を表現しているのでしょうか。これらのキャラクターは反キリスト、つまりキリスト教に反する者や敵対者のシンボルなのです。
 歴史上、自分たちに都合の悪い人間に対し反キリストのレッテルをはる行為はしばしば見られますし、反キリストをユダヤ人やイスラム教徒の姿で表現する絵も多数描かれてきました。これらの作品には優れた傑作も数多くあります。それを認めつつも、著者はそこに異分子を排除しようとする思想が潜んでおり、恐ろしい世界の終末の際そこで救われる者、滅びる者の両者を描き出すことでそのような思想をいっそう助長する面があることを指摘しています。


 この本の最後では、映画を中心に黙示録をモチーフにした、あるいは影響を受けた現代の芸術作品にも言及されています。
 今もなお日常的なイメージのインスピレーションの源になる黙示録。
 この本が私たちの身近なイメージの由来や意味を考えるきっかけになればと思います。

ハリセンボンって、針何本?

『目で見る数字』 岡部敬史/文、山出高士/写真 東京書籍 (市立・成人 410.4//20)


 皆さんは、ハリセンボンの針の数がいくつかご存知でしょうか?
 実は、名前のとおりに1000本の針がある…というわけではなく、通常は350~400本くらい、多くても500本程度なのだそうです。

 そんな「数字」にまつわる雑学が満載の本書、『目でみる数字』は、街で目にする様々な物に関連した数字を取り上げています。日本の名所にまつわる数字から、知っていれば日常生活にも応用することができる数字まで、盛りだくさんな内容です。
 表紙のハリセンボンをはじめとして、写真も多数掲載されています。雑学の本として読むだけではなく、写真集のようにパラパラと眺めてみるのも楽しい1冊です。

人間生きているだけで勇者

『絆創膏日記』 東田直樹/著 KADOKAWA (市立・成人 914.6/ヒカ/20)

 
 私は、自閉症の人に出会って、どう接したら良いか戸惑ったことがあります。少しでも自閉症を理解したくて手に取ったのが、著者が13歳の時に書いた本、閉症の僕が飛び跳ねる理由[正]』(エスコアール出版部 (市立・書庫 378/07))でした。この本は、今まで理解されにくいとされていた自閉症の内面を知るきっかけとなり、今では30ヶ国以上で翻訳されベストセラーにもなっています。

 その後も、多くのエッセイや小説、詩などを出版されています。会話ができない著者は、パソコンを使って執筆活動をされ、文字盤ペインティングと言う方法で会話をされます。私は彼の自然について書いてあるものが好きです。彼の文章を読んでいると、人と自然の距離がうんと近く感じられてきます。

 
 今回紹介するのは、26歳になった著者の日記形式で書かれたエッセイ『絆創膏日記』です。
 本書は、自然に対する畏敬の念や親しみ、家族への思い、身の回りの出来事や人に対する考えが、独特の感性で綴られています。自分の身体を思うようにコントロールできない著者は、自らを壊れたロボットと表現しています。悩んだり落ち込んだりの日々は誰にでもあります。
 著者の自然や人を思う言葉一つ一つが、日常の中で知らない間にできた心の傷にはる絆創膏となり、「人間生きているだけで勇者」と力強く語りかけてくれます。

これってご当地ものだったの??スーパーで見かける“日常食”

『東海ご当地スーパー 珠玉の日常食』 菅原佳己著/責編 ぴあ株式会社中部支社 (市立・地域 L596/19)

 
 毎日のごはん。スーパーに買い出しに行くと並んでいる商品。
 地元の企業が作っているいわゆる「ローカル飯」「ご当地もの」「地元食」なんてものが多く存在します。
 地元では当たり前のように並んでいても、県外のスーパーでは見当たらなかったりして「えっ!これって全国販売じゃないの?」なんて思うこともしばしばあったり。また、逆に旅行先等で地元では見かけない商品にわくわくしたり、と。


 この本には、愛知・岐阜・三重の3県分のローカルなスーパーで扱うローカルな企業のローカルな食品を紹介されています。
 写真と味や特徴などがわかりやすく載っているので見て楽しむだけではなく、毎日のごはんや、少し遠出した時のお土産の参考にも使えます。

 毎日の買い出しが少し楽しくなるかもしれませんね。


全国の内容をご覧になりたい方はこちらもおすすめです。

『日本全国ご当地スーパー隠れた名品、見~つけた!』 菅原佳己/著 講談社 (市立・書庫 596/14)
『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』 菅原佳己/著 講談社 (楠・成人 596)


 

さようなら、「漱石あるある」!

『永日小品』『夢十夜 他二篇』 夏目漱石/著 岩波文庫 (市立・成人 B/913.6/ナツ/13)などに収録)

……中学生か高校生のころ、『坊っちゃん』が初めての漱石でした。
ふうん、文学っておもしろいかも。と、タイトルだけで『吾輩は猫である』に挑戦。
結果、挫折。体力が続かず。もっと言えば、分厚さだけで半分あきらめてました。
あれから幾年月。今では漱石のことも忘れ、静かに暮らしています……。


 あるある、と思ったあなた、『永日小品』読んでみてください!

『永日小品』は、もともと新聞に掲載されていた漱石による短篇のエッセイを集めたものです。
身のまわりの出来事や会話、思い出などが、飾らない文体で書き留められています。
おすすめの理由は次の三つ。

1.とにかく、一篇一篇が短い。
 収録作品のほとんどが、二、三ページめくったら終わります。
 
2.なのに、内容はぎゅっと濃縮。
 中でも最後の「クレイグ先生」は、悲喜こもごものザ・人間ドラマです。

3.そして、漱石が情けない。
 友達にボートの賞金で買ってもらったシェイクスピアの本が、ちっとも分からなかったり。
 夜中ねずみに鰹節をかじられて、閉まっといてよ、と奥さんにぶつくさ言われたり。
 寒い日に朝から代わる代わる来る客が、みんな金の無心でげんなりしたり……。
 
 どうですか。読めそうだし、ちょっとおもしろそうじゃないですか。
一日の終わりをじわっと暖める、二百年前のおじさんからの日常報告。ぜひ一度手に取ってみてください。
漱石がすすんでしょぼくれてくれるので、実は疲れている時こそしみる本でもあります。お試しを。

「鉄道旅気分!」はどうでしょうか

『夜行列車の記憶 昭和・平成の名列車がよみがえる』 松本典久/著 株式会社天夢人 (市立・成人 686.2//20)
『青春18きっぷ 2020-2021 パーフェクトガイド』 イカロス出版株式会社 (市立・成人 291.0//20)

 
 今年は新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、思うように旅行や外出ができない状況が続いています。
 せめて、本の中で鉄道旅行の思いをめぐらしてはどうでしょうか。
 
 1冊目は、「夜行列車の記憶」です。私は小さい頃、ブルートレインという名前を聞いて、いつか乗車して旅行したいと思っていました。しかし、気が付けば新幹線網の拡大や道路網の整備の充実、そしてこれからはリニア中央新幹線と時代はどんどん変わっていきます。スピードが求められいつしか夜行列車という言葉自体も聞かなくなり、今では定期運行される夜行列車は「サンライズ出雲・瀬戸」だけです。
 この本では、昭和・平成の鉄道旅行の当時の写真や著者の乗車の思い出などが書かれており、こんな旅行がしてみたかったなと思わせてくれる本です。
 
 2冊目は、『青春18きっぷ2020-2021パーフェクトガイド』です。「格安チケットで日本を旅する!」という本で、青春18きっぷを使うテクニックや船や飛行機なども使ったモデルコースの紹介などが具体的に書かれています。
 
 なかなかゆっくり鉄道旅行ができない方も多いと思います。いつかはこんな旅行がしたい。早く自由に旅行に行きたいと思わせてくれる本です。

おしゃれな暮らしの良品はいかが?

『いつかは欲しい暮らしの良品』 枻出版社 (市立・成人 590//16) 

 
 おしゃれなお鍋で料理したり、可愛いお皿でご飯を食べたい人におススメの本です。
「食」「家事」「住まい」に分かれて、いろいろな暮らしの良品が掲載されています。
こんな良いものにかこまれたら、ちょっと面倒な料理も頑張れるかも?!
ちなみに、私は両手鍋を買おうか検討中です。
お鍋以外にも、箒や椅子や時計まで、幅広く紹介されています。
安いものも良いけれど、ちょっとお高くて良質なものを使うのも良いですね。

育児本どれを選ぶ?

『定本育児の百科 上・中・下』 松田 道雄 /著 岩波書店 (市立・書庫 B/599//07)

 図書館には、育児に関連する本がたくさんあります。
 初めての育児をするとなった時、何を読めばいいか、迷いました。
 
 その中で私が選んだのは、松田道雄さんの本でした。
 松田さんは小児科医。その経験をもとに、病気・遊び・発達などについて書いてあります。
〈よく泣く赤ちゃん〉いう項目では、「一生泣いている人はいない。きっとなおると楽観していい」というように、他の育児書に比べると、さっぱりとした平易な言葉でかかれているのですが、育児初心者の私は、「そんなに深く考え込まなくても大丈夫」と言われているような気分になりました。何があれば、この本であれこれと調べ、毎回不安を解消していました。
 初版は、1967年。そこから、病気の情報などを更新し何度か改版され、図書館には、文庫版と単行本版があります。

 松田さんの育児書には、子ども目線で書かれた、『私は赤ちゃん』(市立・成人 /599//16) 『私は二歳)』(市立・書庫 /599//)(いずれも岩波新書)などもあります。

極めるということ

『片手袋研究入門』 石井公二/著 実業之日本社 (市立・成人 049//19)

 世の中には、こんなことを研究する必要があるのか?いったい誰に需要があるのか?と思ってしまうような事柄を研究している人がいます。
 そういう人をふとテレビで見たり、会話の中で知ったりすると、尊敬の念を抱かずにはいられません。
 そういうマニアックな人たちは、たいてい自分の趣味で自分のために始めています。その成果がたまたまツイッターでバズったり、本になったり、この本の著者に至っては現代美術の国際展に選ばれたりしたのです。なので趣味さえあれば誰でも研究者になりうるともいえます。

 他人から見れば、こんなことに人生の半分を費やしたのか?と思うものでも、自分が愛していれば、それが研究対象なのであり、突き進むべし。
 この本の著者は2004年から14年間、歩道に落ちている片方の手袋を5000枚近く撮影し、撮影状況の類似点・相違点に着目しました。観察・分析を行ううちに独自の分類法ができあがったのだということです。
 
 この本は、すぐ役に立つ知識が得られるわけではありません。
 だけど、わたしは読まずにはいられませんでした。
 あなたも読んだ後、歩く道の先に片手袋が落ちていないか探してしまうことでしょう。

 

アイスの思い出

『日本アイスクロニクル』 アイスマン福留/著 辰巳出版 (市立・成人 588.3//19)


 昭和から平成にかけて発売されたアイスが年代順にまとめられたこの本、昭和生まれには懐かしさいっぱいです。駄菓子屋さんでいつも同じアイスを買ったこと、カップアイスのふたを大事に残していたこと、今はもう売られていないアイスがとてもおいしかったことなど、いろいろな思い出がよみがえってきました。
 
 今年もアイスのおいしい時期になってきましたね。お気に入りだったアイスを探したり、おなじみのアイスのパッケージの変遷を調べてみたり、楽しみ方はいろいろ。アイスの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

「ミニチュアで「見立て」を楽しむ」

『MINIATURE TRIP IN JAPAN』 田中達也/著 小学館 (市立・成人 748//20)

 重ねられた扇子の上に小さな人形?何これ?とその表紙から興味をひいたこの本は、朝ドラのオープニング映像も手がけたミニチュア作家の田中達也さんの作品集でした。
 
 田中さんは、身近な日用品を使い、ミニチュアの世界観でユニークな「見立て」アートを表現している方です。
「見立て」とは、あるものを全く別のものに置き換えることで、日本には古くから枯山水や歌舞伎、落語など、たくさんの「見立て」文化があるそうです。
みなさんも子どもの頃に、一度はごっご遊びなどで「見立て」を楽しんだことがあるのではないでしょうか。

 さてこの本は、そんな「見立て」の面白さが新感覚でギュッと詰まった一冊です。
外国の方にも日本に興味を持ってもらえればとの思いで作られたそうで、彼のこれまでの作品の中から、日本の行事や風景、食べ物など日本文化をテーマにした作品が集められています。
 例えばあのぐるぐる巻きの蚊取り線香が茶畑になったり、お菓子のキャラメルが将棋盤になったりと、意外なもの、でもなるほど!そうきたか!と思わせるものが使われていて、その視点には、私たち日本人でも思いがけない驚きと発見があり、とても楽しい一冊です。
こんな風に日常を遊んでみる楽しさも、あらためて思い起こさせてくれます。

 
 因みにこの本は写真集なので、図書館北側の大きなガラス壁面横の写真集の棚にあります。他にも写真集をお探しの方は、そちらの棚をご覧ください。

たまには、世界文学でもどうでしょうか

『怒りの葡萄』(上、下) ジョン・スタインベック/著 新潮社 (市立・成人 B933/スタ/15)

 お勧め出来る本は、たくさんあるので、最近読んだ本をご紹介します。
 
 この物語は、アメリカ中西部のオクラホマ州に住んでいた農家ジュード家が、砂塵嵐と旱
魃に悩まされ、負債で自分の土地を銀行に奪われたため、仕事と賃金を求めて豊かな西部
のカリフォルニアに向けて、旅をする渡り労働者の物語です。
 旅の途中で祖父母の死や家族の別れがあったり、逗留先の簡易テント村でのトラブルといった事故が展開されます。しかし、仕事があると思ったその地は、現実には、競争相手の求職者が多くいるので、仕事を探すのに奔走することになりました。それでも、仕事は見つかりません。やっと見つけた仕事先でも、欲深い大農場主の賃下げで生活は厳しいものでした。毎日のパンにも困る生活状況で、生きるために悪戦苦闘します。

 本作では主人公たちの苦難が語られつつも、アメリカ人のキリスト教を背景とした隣人愛や家族愛も生き生きと描かれています。そのため、遠く離れた昔のアメリカを舞台としているにも関わらず、現代の私たちが読んでも共感できる物語となっています。世界文学に親しむきっかけとしてもおすすめしたい一冊です。

切り紙のワクワクは世代を超えて

『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』 井上 由美子/著 筑摩書房 (市立・成人 369.2//12)


 グラフィック工芸家である著者は、主催するものづくり学校の生徒たちに出している宿題“広告や包装紙など日常の紙を使った切り紙づくり”を、自身の義母や父親にも勧めます。きっかけはそれぞれでしたが、どちらも80代手前の頃です。

 お義母さんへのお題は「ソックス」。以前お義母さんが余りものの靴下をテディベアの服へと生かし直したことにちなんだ提案です。
 釣り好きだったお父さんへのお題は「魚」。その後旅行をきっかけにして「富士山」にも取り組みます。

 この本は、お二人の創作の様子を軸に、楽しく切り紙を続けるためのコツ、そしてご家族に対する著者の思いが記されています。

 材料探し、創作の工夫、作品を囲んだ会話 ―

 この切り紙が持つワクワク感は、多くの人にとって、毎日をはりあいよく生きるヒントになると思いました。
 掲載されているお二人の切り紙はどれも洒落ていて、見て楽しく、私たちも何かしたい!と思わされます。

 

「小さな植物…あなたはだあれ?」

『身近な雑草の芽生えハンドブック1』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//19)
『身近な雑草の芽生えハンドブック2』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//16)
『美しき小さな雑草の花図鑑』 大作晃一/写真 多田多恵子/文 山と渓谷社 (市立・成人 470//18)

 花があふれる季節になりました。ガーデニング好きの人にとっては、ワクワクする季節ですね。水やり、花柄摘み、植え替え、草抜きやらと忙しくもなってきます。

 ところで、草抜きをしていると、この小さな植物は一体何の植物なのかと気になることはありませんか?
 
 『身近な雑草の芽生えハンドブック』では、雑草のまさに芽生えの姿から探せる図鑑です。
小さなうちに抜いてしまう雑草の種類を、とてもわかりやすく調べることができます。草抜き時に見たことのある、これ!これ!これ!が見つかりますよ。名前だけは知っている植物や、似た仲間を知ったりと、雑草とはいえ改めて発見のある面白さです。
 もちろん花も紹介されていますが、花に限ると『美しき小さな雑草の花図鑑』は可憐な姿が美しい写真で紹介せれていて、思わず雑草でも育ててみたくなるほどです。

 足元の小さな小さな植物に興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。


 

方丈記の再発見

『こころに響く『方丈記』~鴨長明さんの弾き語り~』 文/木村耕一 絵/黒澤葵 (市立・成人  914.42//18)
                                  

     ゆく川の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず
   
     よどみにうかぶ うたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし
 
     世の中にある人と栖とまたかくのごとし

     知らず 生まれ死ぬる人 いずかたより来りて いずかたへか去る


 
 このような格調高く、美しい文章で始まる『方丈記』は、私にとって松本零士さん作:映画版《銀河鉄道999》で遠い宇宙のアンドロメダ星雲の中から味わい深いナレーターが流れ、銀河超特急999が汽笛を鳴らしながら力強く画面中央に迫ってくるオープニングと重なるものがあります。波乱にとんだ人生を歩んだ鴨長明が50歳過ぎに書いたこの作品は、仏教的な深い意味合いのある内容のものになっています。

 
 溌剌元気軽快な 徒然草、枕草子と比べると、地味で暗いと評されることもあるようですが、それを本書は、堅苦しくならないように、きれいなイラストと写真付きで、とても分かりやすい文で語りかけてくるように書かれています。(巻末に原文すべて掲載されています)。
 明治の文豪夏目漱石の小説や、昭和の詩人佐藤春夫に、また現代のアニメの巨匠宮崎駿の作品の世界観にも大きな影響を与えたと言われている『方丈記』の根底に流れるテーマは、「この世は無常なもの」というものです。方丈記の魅力的なテーマを分かりやすい文章とイラストで味わうことができて、京都方丈庵の写真も楽しめる一冊です。

謀反の理由

 大河ドラマ「麒麟がくる」が始まりましたね。
 明智光秀に関する本でも読もうと思いましたが、有名な小説はほぼ読んでしまい、光秀ゆかりの人に関する小説でもと探していると、この1冊を見つけました。

『桔梗の旗』 谷津矢車/著 潮出版社 (市立・成人 913.6/ヤツ/19)
 光秀が主人公かと思いきや、光秀の息子である光慶が主人公です。
武功をあげ、光秀の力になりたいにもかかわらず、父からは茶の道や詩歌に励むように言われ、信長にもなかなかお目通りかなわず、歯がゆい思いをする光慶。
しかし、父には別の思惑があり・・・。
 なぜ本能寺の変が起きたのか、今までにない理由で驚かされます。


 他にも『明智光秀の足跡をたどる旅』 「明智光秀の足跡をたどる旅」製作委員会/著 東京ニュース通信社,講談社 (市立・成人 289/アケ/19)を一緒に読むと、光秀になったつもりで、より一層楽しめます。

特撮ってやっぱりいいですね

『平成大特撮1989-2019 』 別冊映画秘宝編集部/編 洋泉社 (市立・成人 778.21//19)

 ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン、スーパー戦隊はもちろん、オカルトから牙狼まで多彩な特撮作品を集めたこの1冊!
 
 この作品子どもの頃映画館で見たなー、とか、懐かしさも感じつつ読みました。普段なかなかピックアップされることがないけれど、特撮に欠かせない造形やデザイナー、特殊メイクの方々が語る、今だからこその裏話など、読みごたえもあって、あっという間に時間が過ぎていました。見ていた当時はあまり意識していなかった、脚本や特技監督といったスタッフさんが作品紹介と一緒に載せてもらっており、この特技監督さんこの作品にも関わってたんだ、と新たな発見もあり、また色々と作品が見たくなる1冊でした。

 もちろん図書館には昭和時代の作品を集めた本もあります。手に取ってみると懐かしい思い出と出会えるかもしれません。

たいようのすむところ

『たいようのきゅうでん』 三輪 滋/著 (市立・児童 P/ミ/14)

 図書館で働いていると、ふと手に取った絵本が子供のころに読んだ絵本だったということがたまにあります。タイトルも内容もほとんど覚えていなかったのに、絵を見た瞬間、あ!これ知ってる!という絵本に出会うととても嬉しく、夜寝る前に母に読み聞かせしてもらったなぁと懐かしく思い出し、その時の記憶がよみがえり温かな気持ちになります。

 この『たいようのきゅうでん』も図書館で再会した一冊です。一人の旅人が、深い森の中で、大きな宮殿をみつけます。その宮殿の中には噴水があったり、とても大きなベッドがあったり。いったい誰が住んでいるんだろう?と旅人は不思議に思うのですが、なんとそこは太陽が住んでいる宮殿だったのです。旅人はお客としてこの宮殿に一晩泊めてもらい、雨宿りにきた星たちと、太陽が作ってくれた夕ご飯「すぱげってぃ」をごちそうになり、楽しい夜を過ごします。天井が割れて突然あらわれる太陽に驚いたこと、太陽がつくる美味しそうなスパゲッティがうらやましかったこと、太陽と旅人と雨宿りにきたたくさんの星たちがみんなで眠りにつく場面が大好きだったなぁと色々思い出し、また図書館でこの絵本に出会えることができて本当によかったと思いました。
 
 独特な構図と色合いの絵や楽しそうな太陽や星たちの表情、太陽が宮殿に住んでいて人間のように暮らしているというユニークな設定など、大人になってもおもしろい!と思える絵本です。ぜひ読んでみてください。