図書館スタッフおすすめ本

抹茶本

『抹茶本』 昭文社 (市立・成人 596.6//21) 

 どのページを開いても、抹茶、抹茶、抹茶。
 
 抹茶好きにはたまらない1冊です。
 パフェはもちろん、かき氷やパンケーキ、はたまた綿菓子と幅広いデサートが沢山あります。カフェだけでなく、コンビニや各お菓子メーカーの商品も掲載されているところも嬉しいポイントです。もちろん、抹茶好きの私も食べた事のある商品ばかりです。他にも、お取り寄せ商品も掲載されているので、お家で食べたいなと思った方でも大丈夫。製茶技法や飲茶方法のほかにも、抹茶の歴史が平安~令和まであり、とても詳しいですよ。
 ここまで抹茶だらけにしなくてもと思うくらい、沢山の抹茶を堪能できます。
 皆さんも1度読んだら、抹茶好きになりますね。

ご存じですか「仏像のひみつ」

『完本 仏像のひみつ』 山本 勉/著 朝日出版社 (市立・成人 718//21)


 最近、お寺で仏像を見に行くことが好きになってきた私ですが、どちらかと言えば美術作品として鑑賞していました。
 
 ですが、この本を読んで、仏像の奥深さ、日本人の仏教文化の流れを知り、違った視点で鑑賞することが出来ました。仏像にも人間社会の様に”ソシキ”があること、仏像のスタイルも時代によって違うこと、仏像には色がいろいろあることなど、10項目をひみつとして分かりやすい文章と可愛いイラストで教えてくれます。

 これから、お寺や博物館で仏像を鑑賞する機会がある方は、ぜひ一度手に取って見てください。きっと、今までとは違った楽しい鑑賞の時間を過ごすことが出来ること間違いないと思います。

うっかり読んだ本

『むらさきのスカートの女』 今村 夏子/著 朝日新聞出版 (市立・成人 913.6/イマ/19)


休みの日はホラー映画ばかり観ている。
タオルケット,ポテトチップス、コーラを用意すれば準備完了。
カーテンを閉め切って、薄暗い中で一日中ホラー映画を観ている。
ステイホームは大の得意なのだ。

そんなホラー映画好きな私はあまりホラー小説は読まない。
読むほうが、想像してしまうほうが、怖いからである。
だけど、このあいだ、うっかりホラー小説を読んでしまった。
うっかり読んでしまうホラー小説ほど後悔するものはない。
もしこれをうっかり読んでしまった場合は、ぜひともその怖さについて話し合いましょう。


 

学校の怪談、流行ったなあ

『日本現代怪異事典』 朝里樹/著 笹間書院 (市立・成人 388.1//20)


この本は不可思議で超自然的な現象・存在・呪い・占い・物体などにまつわる話を収集して事典の形にまとめられたものです。

戦後日本を舞台として、都市伝説などもたくさん書かれています。
赤い紙・青い紙、メリーさんの電話、お菊人形、こっくりさん等、子どもの頃聞いた怪異から、こんな話もあったんだと初めて知るものもあり、おもしろかったです。
私は最初から読んでいきましたが、結構な文量なので、50音順になっていて索引も付けてもらってあるので、興味を引かれたものから見るもよし、な本です。


 

目指せ、アイドル

『トラぺジウム』 高山一実/著 KADOKAWA (市立・成人 913.6/タカ/19)

 
 乃木坂46に所属する現役のアイドルが書いた小説です。
 あらすじとしては、アイドルを夢見る主人公の女子高生が東西南北の美少女を集めてデビューを目指すという内容です。
 個人的におすすめな点は、作者自身もアイドルなためアイドルの裏面が一部書かれていたり、アイドルになるための苦労や努力もありアイドル当事者だからこそ書ける部分があるという点です。
 本をあまり読まない方でも読みやすく親しみやすい小説ですので、ぜひご一読ください。

『捨てられない』あなたへ

『28文字の捨てかた』 yur.3/著 主婦の友社 (市立・成人 597.5//21)


「この箱、もしかしたら何かに使えるかも…」
「この服はいつか着るかもしれないし、捨てずにしまっておこう…」
 
こんな経験、ありませんか?私はよくあります。

この本は、そんな『捨てられない』人へ向けた28文字の短いメッセージが、多数収録されています。
メッセージの内容は、個人的に身に覚えのあるものが多く、読みながら何度もドキッとさせられました。
服やキッチン用品、思い出のもの…などなど。
何か1つでも「そろそろ捨てなきゃいけないかな」と感じていたら、読んでみてください。

同じ著者の前作『28文字の片づけ』も、市立図書館にて所蔵しています。

あのマンガの家って・・・

『名作マンガの間取り』 影山 明仁/著 SBクリエイティブ (市立・成人 726.1//15)


サザエさんやドラえもんの家の間取りを、テレビで見たことがある。
でも他のマンガやアニメに出てくる家って、どんな間取りなんだろう。

書架でこの本を見かけた時、そんなことを思いながら手にとってみました。

『スラムダンク』の赤木邸はけっこう広いんだな。
『クレヨンしんちゃん』そうそう。野原家はこんな感じ!
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』じんたんの部屋こんなに狭そうだった?

昔のマンガから最近のマンガまで幅広くピックアップされているので、知らないマンガもたくさんあります。でも見ていたらなんだか、いろんなマンガを読み返したくなってきました。
皆さんも、好きだったマンガの間取りを探してみませんか。

夢中になることの素敵さ

『さかなクンの一魚一会』 さかなクン/著・イラスト・題字 講談社  (市立・児童 289/サ/16)

 
 魚のことについて知りたいと思ったときには「さかなクン」の著書がお薦めです。さかなクンは、それぞれの魚に関する知識にその魚の魅力を含めて伝えてくれます。彼のイラスト画もチャーミングで、知らない間にその魚を好きになってしまいます。
 
 でも、この本は魚を紹介している本ではなく、さかなクンの自叙伝です。はたらく自動車を描くのが大好きだった幼い男の子が「さかなクン」へと成長していく様子が、様々なエピソードとともに描かれています。楽しく読み進める中で深く私の心に残ったのが、さかなクンのお母さんの子育ての姿勢です。かなり昔に子育てを終えた私にとって自責の念に駆られる思いがしました。子どもが発する個性的なエネルギーに戸惑いを感じているお母さんやお父さん、そして、学校の先生に、ぜひお薦めしたい一冊です。

虫という自然を武器に

『法医昆虫学捜査官』シリーズ 川瀬七緒/著 講談社 (913.6/カワ/12~)

 
 法医昆虫学とは、遺体に寄って来る虫の種類やその生態から、殺害が行われた時間・環境等を割り出し、事件解決への手掛かりとするというものです。物語は、まだマイナーなこの分野を、捜査手法の一つとして確立・実用化しようと奮闘する、一人の学者を主人公として進んでいきます。
 どこまでも本能に忠実な虫たちには、自我や思考によるブレがありません。どんな状況下においても、虫たちは常に、それに即した“正しい”行動をとる。それを知悉している法医昆虫学者の推理・考察は(判断を下せない段階では下さない、という選択も含めて)、科学的根拠に基づいて実に的確です。こうした作品の常で捜査本部の方針とはよくぶつかりますが、昆虫学の知識と行動力で着実に真相ににじり寄っていくその様には、理が通っているからこその安定感と爽快感があります。
 
 取り扱う題材が題材だけに、事件現場の有様も凄まじいものが多く、映像化は難しいかと思われます。ぜひ文章でお楽しみ下さい。

鈴鹿の山の山賊が出会った美しい女

『桜の森の満開の下』
『坂口安吾エンタメコレクション伝奇篇』 坂口 安吾/著 春陽堂書店 (市立・成人 913.6//サカ/19)より
       
 今回は坂口安吾の作品から特におすすめしたい一本を選びました。

 本作を読み始めますと、中世の説話を思わせる設定のもとに、残酷な童話のような幻想世界が広がり出します。甘美にして異様な雰囲気が濃厚に立ちこめるのは、何と言っても満開の桜のイメージのおかげです。
 何も恐れるものがない山賊の心に畏怖の念を呼び覚ます花の『魔性』によって、物語は鮮やかに染め上げられていきます。男の魂を奪った女は、ある恐ろしい「遊び」に興じます。その「遊び」はただ残酷な光景のみ想像してしまいそうなものですが、清潔感と静けさを具えた文体で描かれることにより、決して悪趣味になり過ぎることなく、妖艶な舞台芸術を観るような趣きで作品世界に入り込んでいくことができます。ひたすら女に尽くしながら心身を擦り減らしていく山賊を見ていますと、結局は死を介してでなければ真に触れ合うことのない男と女の孤独が迫ってくるようです。

 私がとりわけ美しいと思うのがラストです。
 夢幻の世界の深い余韻に浸らずはいられないことでしょう。
 人も通らぬ山奥の桜の森の満開の下には鬼が似合いますね。

技術用語は技術者たちの発想や問題解決のエッセンス

『再発見の発想法』 結城 浩/著 SBクリエィティブ株式会社 (市立・成人 007.0/21)

 
 本書は「数学ガール」シリーズで有名な結城浩さんが技術本に着目して書いた発想法本です。
 
 技術用語の背後には、技術者たちが長年培ってきた発想や問題解決のエッセンスが詰まっています。本書では、技術者たちの発想が分かりやすく理解できるように、ざっくり章で分け、シンプルな説明と日常で活かされている例が書かれています。
 
 面白いと思ったのが第2章の投機的実行の項目。投機的実行とは、コンピュータのスピードを最適化する技法のひとつで、無駄になるかもしれないが実行することになりそうな処理を予測して実行する技法です。無駄になるかもしれないことをコンピュータにさせるなんてそれこそ無駄なんじゃないかなと思いつつ実際にパソコンで活かされているのは面白いと思いました。
 日常生活にも投機的実行はたくさんあると書かれています。例えば、天気予報を見て傘を持っていくかどうかの判断。会議に臨むときに質問されそうなことを前もって回答を準備しておくなども投機的実行の考え方といいます。なるほどと思いながら読み終えました。もしかしたら日常生活に再発見があるかもと期待して過ごしています。

不思議で楽しい妄想世界

『妄想科学小説』 赤瀬川 原平/著 河出書房新社 (市立・成人 913.6/アカ/15)

 
 一冊の中にごく短い話がたくさん収められている、いわゆるショート・ショート集です。
妄想の名の通り、中身は奇妙でヘンテコなものばかり。現実の世界から斜めにズレたような発想がじわりと楽しい本です。
 個人的には『日光仮面』がおすすめです。特に昭和を生きた方に。いろいろな意味で・・・。

災害に備えて 

『おうち備蓄と防災のアイデア帖 もしもに備えて』 島本 美由紀/著 パイインターナショナル (市立・成人 369.3/20)

 

 いつ起こるかわからない災害に備えて、皆さんはどのような準備をしてますか。
 最近、我が家では、新型コロナウイルスの影響もあって、防災への備えの意識が高まり防災グッズを買いそろえました。
 いろいろと買いそろえる中で、防災食も購入したのですが、実際災害にあったときこれだけのの備蓄でいいのだろうかと不安に思っていました。
 
 そんな時、目に留まったのが今回紹介する本です。新しいおうち備蓄の方法「ローリングストック」を中心にまとめた本です。
 「ローリングストック」とは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、期限の近いものから日常的に食べ、食べた分を買い足していく循環備蓄のことです。食品ごとに保存期間や保存方法だけでなく、おすすめのレシピが掲載されていてとても役立つ内容が満載です。
 
 災害への不安が少し和らぐと思います。ぜひ、一度手に取ってみていただければと思います。

同和教育の授業実践記録を読み解く

『差別・被差別を超える人権教育』 原田 彰/著 明石書店 (市立・人権同和 371.5//20)

 
 「21世紀に部落問題を持ち越さない」

 
 学校関係者はそう思いながら、長年にわたり、自らの実践を積み上げてきたと思います。
 これは、部落出身かそうでないかという社会的立場を絶対化せずに、両側から部落問題に取り組むことを大切にしたある中学校の授業記録です。
 これらの学習を通して、「自分自身のために取り組む部落問題学習」という思いに至った中学生の姿は素晴らしいものです。


 「自分の内に潜む差別意識に気づこうとしているか」「他人事ですまそうとしていないか」
 部落問題にかかわらず、自分自身を問い直すきっかけとなる1冊です。

疲れ、たまってませんか

『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』 梶本 修身/著 アスコム (市立・成人 498.3//19)


なんだか最近、疲れがとれない気がする。

毎晩ゆっくりお風呂に浸かって、夜更かしは極力しない、週1~2程度は適度な運動もして、休みの日はいつもよりちょっと長めに寝て身体の疲れをリセット!・・・してるはずなのに・・・。
どうにも疲労感がなくならない!


そんな時に目についたのがこの本『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』でした。

表紙をめくると、まさに私の気持ちを見透かしたような言葉たちが書かれている。

読んでみると、疲労の原因から日々気をつけたいこと、寝る前の1分間ストレッチに、疲労回復レシピまで幅広く、そして分かりやすく書かれていました。

既に自分なりの疲労回復方法がある人もたくさんいると思いますが、まだ方法を模索中の方はちょっと参考にしてみてはいかがでしょうか。

みんなで地球の未来を考える

『未来を変える目標SDGsアイデアブック』 Think the Earth/編著 Think the Earth/出版 (市立・成人 333.8//20)

 
 皆さんは“SDGs”という言葉を聞いたことがありますか?近頃はメディアで耳にすることも多くなったのではないでしょうか。
 
 今回ご紹介する本は、その“SDGs”について述べられている本です。17個の目標についての解説が、分かりやすい数値と簡潔な文章をもとに書かれており、一つ一つの目標がそれぞれ見開き1ページで分かるようになっています。また解説の後には、世界や日本で実際に行われている事例が載っています。
 私はそこで母子健康手帳が日本発祥のものであったこと、サステナブル・ラベルには色々なものがあることなどを知りました。また、この本には始めと終わりに漫画があったり、途中にもイラストが添えてあるのですが、それらがとてもユニークで魅力的です。
 
 “SDGs”をまだよく知らない方にとっては知るきっかけに、知っている人には新しい発見のある1冊となるのではないでしょうか。
 四日市市立図書館には2020年の3月に入った本ですが、他にも“SDGs”に関する本はたくさんあります。ぜひ皆さんが地球の未来について考えるきっかけになればいいなと思います。


 

コンパニオンプランツって?

コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』 竹内 孝功/著 家の光協会 (成人・書庫 626.9//12)


 コンパニオンプランツって?返却本を棚に戻しているときに見つけた初めて聞く名前。
 
 どんな植物なんだろう??さっそく手にとって借りてみると、コンパニオンプランツとは「違う野菜を一緒に植えることで病害虫が発生しにくくなったり、お互いの生長を促す相性の良い組み合わせのこと」とのことでした。

 例えば、トマトとバジルを一緒に植えると、バジルの香りがトマトの害虫を遠ざけ、トマトが夏の厳しい日差しをさえぎって、バジルの葉が柔らかくなるそう。他にも「ナスとパセリ」や「ゴーヤと長ネギ」「イチゴとニンニク」など、それぞれ一緒に植えると良い理由があって、なるほど、おもしろいなぁと思いました。


 コロナ禍で、外出もままならないこの頃ですが、おうちでゆっくりと来年の春に植える野菜たちの計画を立てるのもいいかもしれません。

読書の秋は、まずお腹を満たしてから!

『ちょこっと、つまみ』 阿川 佐和子[ほか]/著 河出書房新社 (市立・成人 914.6//20)
『夜更けのおつまみ』 東山 彰良[ほか]/著 ポプラ文庫 (市立・成人 B/914.6//20)
『おつまミステリー』 浅暮 三文/著 柏書房 (市立・成人  596.0//19)


 新型コロナウィルス感染症の影響で、夜の街を自由に飲み歩くことも難しい昨今です。こんなご時世だからこそ、一人で家飲みしながら静かに読書はいかがでしょうか?
 美味しいお酒は「おつまみ」あればこそ…!そこでお勧めの3冊を紹介します。
 
 まずは、古今東西のお酒好きによるつまみに纏わるエッセイ・アンソロジー2冊から…!
 『ちょこっと、つまみ』は、昭和から平成にかけて一世を風靡した作家36人のエッセイを収録しています。その顔ぶれは、阿川佐和子/池波正太郎/伊丹十三/内田百閒/宇能鴻一郎/江國香織/遠藤周作/角田光代/鴨居羊子/川本三郎/久住昌之/小泉武夫/佐藤垢石/椎名誠/獅子文六/澁澤龍彦/島田雅彦/東海林さだお/杉浦日向子/高橋みどり/辰巳浜子/田辺聖子/種村季弘/檀一雄/中谷宇吉郎/姫野カオルコ/平松洋子/福田蘭童/古谷三敏/牧野伊三夫/丸谷才一/柳家小満ん/山田風太郎/吉田健一/吉村昭/吉行淳之介といった面々です。飲めない・飲まない人も、文学史に名を残した作家たちとの思い出に浸ってみてはいかがでしょうか?
 『夜更けのおつまみ』は、今まさに注目のクリエイター31人のエッセイが、簡単レシピとともに綴られています。執筆者は、芦原すなお/甘糟りり子/綾崎隼/安東みきえ/市川紗椰/岡元麻理恵/オカヤイヅミ/久住昌之/倉数茂/坂木司/蝉川夏哉/田中啓文/寺地はるな/名久井直子/西川美和/葉真中顕/東山彰良/日向夏/蛭田亜紗子/広小路尚祈/ブレイディみかこ/前川ほまれ/三浦しをん/水生大海/美村里江/望月麻衣/森まゆみ/柳本あかね/友麻碧/吉川トリコ/和田竜です。飲兵衛ならば間違いなく、ちょいと一杯したくなります!
 もう1冊は、身近なおつまみについての誕生秘話やウンチクを記したエッセイです。
 『おつまミステリー』は、ジャイアントコーン、カシューナッツ、チーズ鱈、酢漬けイカ、酢昆布、カリカリ梅、エビせんべい、チーズかまぼこ、らっきょう、レーズンバター、サラミ、海苔の佃煮、品川巻きなどの知られざるエピソードが満載。本をつまみに…つい誰かに話したくなるかも?

 あなたも「おつまみ」に舌鼓を撃ちながら、読書の秋を心行くまで堪能してください。

イメージはどこからやってくるのか?

『黙示録 イメージの源泉』 岡田温司/著 岩波書店 (市立・成人 193.8/14)


 「海や地の底から大怪獣が現れる」「宇宙からの侵略者により人類は滅びようとしている。」   
 皆さんも一度はこのようなお話をご覧になったことがあるのではないでしょうか?


 この本は黙示録という聞きなれない言葉をテーマに、私たちが見慣れた物語やイメージの源泉を明らかにし、それらがどのように利用され形を変え生き残ってきたのを教えてくれます。
 シンプルに黙示録と呼ばれることも多い『ヨハネの黙示録』は聖書の最終章にあたる一篇であり、世界の終末と救済を主題としています。聖書の中でも、幻想的でドラマティックな出来事、個性的なキャラクターが多数登場する黙示録は特に多くの芸術家や文学者たちの想像力を刺激してきました。事実、地下から現れる怪物、悪魔やそれと戦う天使といったイメージは映画やアニメやマンガのモチーフとして好まれるなど、現代の文化にも影響を与えています。

 ところで、黙示録に登場する悪魔や怪物たちは元々何を表現しているのでしょうか。これらのキャラクターは反キリスト、つまりキリスト教に反する者や敵対者のシンボルなのです。
 歴史上、自分たちに都合の悪い人間に対し反キリストのレッテルをはる行為はしばしば見られますし、反キリストをユダヤ人やイスラム教徒の姿で表現する絵も多数描かれてきました。これらの作品には優れた傑作も数多くあります。それを認めつつも、著者はそこに異分子を排除しようとする思想が潜んでおり、恐ろしい世界の終末の際そこで救われる者、滅びる者の両者を描き出すことでそのような思想をいっそう助長する面があることを指摘しています。


 この本の最後では、映画を中心に黙示録をモチーフにした、あるいは影響を受けた現代の芸術作品にも言及されています。
 今もなお日常的なイメージのインスピレーションの源になる黙示録。
 この本が私たちの身近なイメージの由来や意味を考えるきっかけになればと思います。

ハリセンボンって、針何本?

『目で見る数字』 岡部敬史/文、山出高士/写真 東京書籍 (市立・成人 410.4//20)


 皆さんは、ハリセンボンの針の数がいくつかご存知でしょうか?
 実は、名前のとおりに1000本の針がある…というわけではなく、通常は350~400本くらい、多くても500本程度なのだそうです。

 そんな「数字」にまつわる雑学が満載の本書、『目でみる数字』は、街で目にする様々な物に関連した数字を取り上げています。日本の名所にまつわる数字から、知っていれば日常生活にも応用することができる数字まで、盛りだくさんな内容です。
 表紙のハリセンボンをはじめとして、写真も多数掲載されています。雑学の本として読むだけではなく、写真集のようにパラパラと眺めてみるのも楽しい1冊です。

人間生きているだけで勇者

『絆創膏日記』 東田直樹/著 KADOKAWA (市立・成人 914.6/ヒカ/20)

 
 私は、自閉症の人に出会って、どう接したら良いか戸惑ったことがあります。少しでも自閉症を理解したくて手に取ったのが、著者が13歳の時に書いた本、閉症の僕が飛び跳ねる理由[正]』(エスコアール出版部 (市立・書庫 378/07))でした。この本は、今まで理解されにくいとされていた自閉症の内面を知るきっかけとなり、今では30ヶ国以上で翻訳されベストセラーにもなっています。

 その後も、多くのエッセイや小説、詩などを出版されています。会話ができない著者は、パソコンを使って執筆活動をされ、文字盤ペインティングと言う方法で会話をされます。私は彼の自然について書いてあるものが好きです。彼の文章を読んでいると、人と自然の距離がうんと近く感じられてきます。

 
 今回紹介するのは、26歳になった著者の日記形式で書かれたエッセイ『絆創膏日記』です。
 本書は、自然に対する畏敬の念や親しみ、家族への思い、身の回りの出来事や人に対する考えが、独特の感性で綴られています。自分の身体を思うようにコントロールできない著者は、自らを壊れたロボットと表現しています。悩んだり落ち込んだりの日々は誰にでもあります。
 著者の自然や人を思う言葉一つ一つが、日常の中で知らない間にできた心の傷にはる絆創膏となり、「人間生きているだけで勇者」と力強く語りかけてくれます。

これってご当地ものだったの??スーパーで見かける“日常食”

『東海ご当地スーパー 珠玉の日常食』 菅原佳己著/責編 ぴあ株式会社中部支社 (市立・地域 L596/19)

 
 毎日のごはん。スーパーに買い出しに行くと並んでいる商品。
 地元の企業が作っているいわゆる「ローカル飯」「ご当地もの」「地元食」なんてものが多く存在します。
 地元では当たり前のように並んでいても、県外のスーパーでは見当たらなかったりして「えっ!これって全国販売じゃないの?」なんて思うこともしばしばあったり。また、逆に旅行先等で地元では見かけない商品にわくわくしたり、と。


 この本には、愛知・岐阜・三重の3県分のローカルなスーパーで扱うローカルな企業のローカルな食品を紹介されています。
 写真と味や特徴などがわかりやすく載っているので見て楽しむだけではなく、毎日のごはんや、少し遠出した時のお土産の参考にも使えます。

 毎日の買い出しが少し楽しくなるかもしれませんね。


全国の内容をご覧になりたい方はこちらもおすすめです。

『日本全国ご当地スーパー隠れた名品、見~つけた!』 菅原佳己/著 講談社 (市立・書庫 596/14)
『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』 菅原佳己/著 講談社 (楠・成人 596)


 

さようなら、「漱石あるある」!

『永日小品』『夢十夜 他二篇』 夏目漱石/著 岩波文庫 (市立・成人 B/913.6/ナツ/13)などに収録)

……中学生か高校生のころ、『坊っちゃん』が初めての漱石でした。
ふうん、文学っておもしろいかも。と、タイトルだけで『吾輩は猫である』に挑戦。
結果、挫折。体力が続かず。もっと言えば、分厚さだけで半分あきらめてました。
あれから幾年月。今では漱石のことも忘れ、静かに暮らしています……。


 あるある、と思ったあなた、『永日小品』読んでみてください!

『永日小品』は、もともと新聞に掲載されていた漱石による短篇のエッセイを集めたものです。
身のまわりの出来事や会話、思い出などが、飾らない文体で書き留められています。
おすすめの理由は次の三つ。

1.とにかく、一篇一篇が短い。
 収録作品のほとんどが、二、三ページめくったら終わります。
 
2.なのに、内容はぎゅっと濃縮。
 中でも最後の「クレイグ先生」は、悲喜こもごものザ・人間ドラマです。

3.そして、漱石が情けない。
 友達にボートの賞金で買ってもらったシェイクスピアの本が、ちっとも分からなかったり。
 夜中ねずみに鰹節をかじられて、閉まっといてよ、と奥さんにぶつくさ言われたり。
 寒い日に朝から代わる代わる来る客が、みんな金の無心でげんなりしたり……。
 
 どうですか。読めそうだし、ちょっとおもしろそうじゃないですか。
一日の終わりをじわっと暖める、二百年前のおじさんからの日常報告。ぜひ一度手に取ってみてください。
漱石がすすんでしょぼくれてくれるので、実は疲れている時こそしみる本でもあります。お試しを。

「鉄道旅気分!」はどうでしょうか

『夜行列車の記憶 昭和・平成の名列車がよみがえる』 松本典久/著 株式会社天夢人 (市立・成人 686.2//20)
『青春18きっぷ 2020-2021 パーフェクトガイド』 イカロス出版株式会社 (市立・成人 291.0//20)

 
 今年は新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、思うように旅行や外出ができない状況が続いています。
 せめて、本の中で鉄道旅行の思いをめぐらしてはどうでしょうか。
 
 1冊目は、「夜行列車の記憶」です。私は小さい頃、ブルートレインという名前を聞いて、いつか乗車して旅行したいと思っていました。しかし、気が付けば新幹線網の拡大や道路網の整備の充実、そしてこれからはリニア中央新幹線と時代はどんどん変わっていきます。スピードが求められいつしか夜行列車という言葉自体も聞かなくなり、今では定期運行される夜行列車は「サンライズ出雲・瀬戸」だけです。
 この本では、昭和・平成の鉄道旅行の当時の写真や著者の乗車の思い出などが書かれており、こんな旅行がしてみたかったなと思わせてくれる本です。
 
 2冊目は、『青春18きっぷ2020-2021パーフェクトガイド』です。「格安チケットで日本を旅する!」という本で、青春18きっぷを使うテクニックや船や飛行機なども使ったモデルコースの紹介などが具体的に書かれています。
 
 なかなかゆっくり鉄道旅行ができない方も多いと思います。いつかはこんな旅行がしたい。早く自由に旅行に行きたいと思わせてくれる本です。

おしゃれな暮らしの良品はいかが?

『いつかは欲しい暮らしの良品』 枻出版社 (市立・成人 590//16) 

 
 おしゃれなお鍋で料理したり、可愛いお皿でご飯を食べたい人におススメの本です。
「食」「家事」「住まい」に分かれて、いろいろな暮らしの良品が掲載されています。
こんな良いものにかこまれたら、ちょっと面倒な料理も頑張れるかも?!
ちなみに、私は両手鍋を買おうか検討中です。
お鍋以外にも、箒や椅子や時計まで、幅広く紹介されています。
安いものも良いけれど、ちょっとお高くて良質なものを使うのも良いですね。

育児本どれを選ぶ?

『定本育児の百科 上・中・下』 松田 道雄 /著 岩波書店 (市立・書庫 B/599//07)

 図書館には、育児に関連する本がたくさんあります。
 初めての育児をするとなった時、何を読めばいいか、迷いました。
 
 その中で私が選んだのは、松田道雄さんの本でした。
 松田さんは小児科医。その経験をもとに、病気・遊び・発達などについて書いてあります。
〈よく泣く赤ちゃん〉いう項目では、「一生泣いている人はいない。きっとなおると楽観していい」というように、他の育児書に比べると、さっぱりとした平易な言葉でかかれているのですが、育児初心者の私は、「そんなに深く考え込まなくても大丈夫」と言われているような気分になりました。何があれば、この本であれこれと調べ、毎回不安を解消していました。
 初版は、1967年。そこから、病気の情報などを更新し何度か改版され、図書館には、文庫版と単行本版があります。

 松田さんの育児書には、子ども目線で書かれた、『私は赤ちゃん』(市立・成人 /599//16) 『私は二歳)』(市立・書庫 /599//)(いずれも岩波新書)などもあります。

極めるということ

『片手袋研究入門』 石井公二/著 実業之日本社 (市立・成人 049//19)

 世の中には、こんなことを研究する必要があるのか?いったい誰に需要があるのか?と思ってしまうような事柄を研究している人がいます。
 そういう人をふとテレビで見たり、会話の中で知ったりすると、尊敬の念を抱かずにはいられません。
 そういうマニアックな人たちは、たいてい自分の趣味で自分のために始めています。その成果がたまたまツイッターでバズったり、本になったり、この本の著者に至っては現代美術の国際展に選ばれたりしたのです。なので趣味さえあれば誰でも研究者になりうるともいえます。

 他人から見れば、こんなことに人生の半分を費やしたのか?と思うものでも、自分が愛していれば、それが研究対象なのであり、突き進むべし。
 この本の著者は2004年から14年間、歩道に落ちている片方の手袋を5000枚近く撮影し、撮影状況の類似点・相違点に着目しました。観察・分析を行ううちに独自の分類法ができあがったのだということです。
 
 この本は、すぐ役に立つ知識が得られるわけではありません。
 だけど、わたしは読まずにはいられませんでした。
 あなたも読んだ後、歩く道の先に片手袋が落ちていないか探してしまうことでしょう。

 

アイスの思い出

『日本アイスクロニクル』 アイスマン福留/著 辰巳出版 (市立・成人 588.3//19)


 昭和から平成にかけて発売されたアイスが年代順にまとめられたこの本、昭和生まれには懐かしさいっぱいです。駄菓子屋さんでいつも同じアイスを買ったこと、カップアイスのふたを大事に残していたこと、今はもう売られていないアイスがとてもおいしかったことなど、いろいろな思い出がよみがえってきました。
 
 今年もアイスのおいしい時期になってきましたね。お気に入りだったアイスを探したり、おなじみのアイスのパッケージの変遷を調べてみたり、楽しみ方はいろいろ。アイスの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

「ミニチュアで「見立て」を楽しむ」

『MINIATURE TRIP IN JAPAN』 田中達也/著 小学館 (市立・成人 748//20)

 重ねられた扇子の上に小さな人形?何これ?とその表紙から興味をひいたこの本は、朝ドラのオープニング映像も手がけたミニチュア作家の田中達也さんの作品集でした。
 
 田中さんは、身近な日用品を使い、ミニチュアの世界観でユニークな「見立て」アートを表現している方です。
「見立て」とは、あるものを全く別のものに置き換えることで、日本には古くから枯山水や歌舞伎、落語など、たくさんの「見立て」文化があるそうです。
みなさんも子どもの頃に、一度はごっご遊びなどで「見立て」を楽しんだことがあるのではないでしょうか。

 さてこの本は、そんな「見立て」の面白さが新感覚でギュッと詰まった一冊です。
外国の方にも日本に興味を持ってもらえればとの思いで作られたそうで、彼のこれまでの作品の中から、日本の行事や風景、食べ物など日本文化をテーマにした作品が集められています。
 例えばあのぐるぐる巻きの蚊取り線香が茶畑になったり、お菓子のキャラメルが将棋盤になったりと、意外なもの、でもなるほど!そうきたか!と思わせるものが使われていて、その視点には、私たち日本人でも思いがけない驚きと発見があり、とても楽しい一冊です。
こんな風に日常を遊んでみる楽しさも、あらためて思い起こさせてくれます。

 
 因みにこの本は写真集なので、図書館北側の大きなガラス壁面横の写真集の棚にあります。他にも写真集をお探しの方は、そちらの棚をご覧ください。

たまには、世界文学でもどうでしょうか

『怒りの葡萄』(上、下) ジョン・スタインベック/著 新潮社 (市立・成人 B933/スタ/15)

 お勧め出来る本は、たくさんあるので、最近読んだ本をご紹介します。
 
 この物語は、アメリカ中西部のオクラホマ州に住んでいた農家ジュード家が、砂塵嵐と旱
魃に悩まされ、負債で自分の土地を銀行に奪われたため、仕事と賃金を求めて豊かな西部
のカリフォルニアに向けて、旅をする渡り労働者の物語です。
 旅の途中で祖父母の死や家族の別れがあったり、逗留先の簡易テント村でのトラブルといった事故が展開されます。しかし、仕事があると思ったその地は、現実には、競争相手の求職者が多くいるので、仕事を探すのに奔走することになりました。それでも、仕事は見つかりません。やっと見つけた仕事先でも、欲深い大農場主の賃下げで生活は厳しいものでした。毎日のパンにも困る生活状況で、生きるために悪戦苦闘します。

 本作では主人公たちの苦難が語られつつも、アメリカ人のキリスト教を背景とした隣人愛や家族愛も生き生きと描かれています。そのため、遠く離れた昔のアメリカを舞台としているにも関わらず、現代の私たちが読んでも共感できる物語となっています。世界文学に親しむきっかけとしてもおすすめしたい一冊です。

切り紙のワクワクは世代を超えて

『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』 井上 由美子/著 筑摩書房 (市立・成人 369.2//12)


 グラフィック工芸家である著者は、主催するものづくり学校の生徒たちに出している宿題“広告や包装紙など日常の紙を使った切り紙づくり”を、自身の義母や父親にも勧めます。きっかけはそれぞれでしたが、どちらも80代手前の頃です。

 お義母さんへのお題は「ソックス」。以前お義母さんが余りものの靴下をテディベアの服へと生かし直したことにちなんだ提案です。
 釣り好きだったお父さんへのお題は「魚」。その後旅行をきっかけにして「富士山」にも取り組みます。

 この本は、お二人の創作の様子を軸に、楽しく切り紙を続けるためのコツ、そしてご家族に対する著者の思いが記されています。

 材料探し、創作の工夫、作品を囲んだ会話 ―

 この切り紙が持つワクワク感は、多くの人にとって、毎日をはりあいよく生きるヒントになると思いました。
 掲載されているお二人の切り紙はどれも洒落ていて、見て楽しく、私たちも何かしたい!と思わされます。

 

「小さな植物…あなたはだあれ?」

『身近な雑草の芽生えハンドブック1』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//19)
『身近な雑草の芽生えハンドブック2』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//16)
『美しき小さな雑草の花図鑑』 大作晃一/写真 多田多恵子/文 山と渓谷社 (市立・成人 470//18)

 花があふれる季節になりました。ガーデニング好きの人にとっては、ワクワクする季節ですね。水やり、花柄摘み、植え替え、草抜きやらと忙しくもなってきます。

 ところで、草抜きをしていると、この小さな植物は一体何の植物なのかと気になることはありませんか?
 
 『身近な雑草の芽生えハンドブック』では、雑草のまさに芽生えの姿から探せる図鑑です。
小さなうちに抜いてしまう雑草の種類を、とてもわかりやすく調べることができます。草抜き時に見たことのある、これ!これ!これ!が見つかりますよ。名前だけは知っている植物や、似た仲間を知ったりと、雑草とはいえ改めて発見のある面白さです。
 もちろん花も紹介されていますが、花に限ると『美しき小さな雑草の花図鑑』は可憐な姿が美しい写真で紹介せれていて、思わず雑草でも育ててみたくなるほどです。

 足元の小さな小さな植物に興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。


 

方丈記の再発見

『こころに響く『方丈記』~鴨長明さんの弾き語り~』 文/木村耕一 絵/黒澤葵 (市立・成人  914.42//18)
                                  

     ゆく川の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず
   
     よどみにうかぶ うたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし
 
     世の中にある人と栖とまたかくのごとし

     知らず 生まれ死ぬる人 いずかたより来りて いずかたへか去る


 
 このような格調高く、美しい文章で始まる『方丈記』は、私にとって松本零士さん作:映画版《銀河鉄道999》で遠い宇宙のアンドロメダ星雲の中から味わい深いナレーターが流れ、銀河超特急999が汽笛を鳴らしながら力強く画面中央に迫ってくるオープニングと重なるものがあります。波乱にとんだ人生を歩んだ鴨長明が50歳過ぎに書いたこの作品は、仏教的な深い意味合いのある内容のものになっています。

 
 溌剌元気軽快な 徒然草、枕草子と比べると、地味で暗いと評されることもあるようですが、それを本書は、堅苦しくならないように、きれいなイラストと写真付きで、とても分かりやすい文で語りかけてくるように書かれています。(巻末に原文すべて掲載されています)。
 明治の文豪夏目漱石の小説や、昭和の詩人佐藤春夫に、また現代のアニメの巨匠宮崎駿の作品の世界観にも大きな影響を与えたと言われている『方丈記』の根底に流れるテーマは、「この世は無常なもの」というものです。方丈記の魅力的なテーマを分かりやすい文章とイラストで味わうことができて、京都方丈庵の写真も楽しめる一冊です。

謀反の理由

 大河ドラマ「麒麟がくる」が始まりましたね。
 明智光秀に関する本でも読もうと思いましたが、有名な小説はほぼ読んでしまい、光秀ゆかりの人に関する小説でもと探していると、この1冊を見つけました。

『桔梗の旗』 谷津矢車/著 潮出版社 (市立・成人 913.6/ヤツ/19)
 光秀が主人公かと思いきや、光秀の息子である光慶が主人公です。
武功をあげ、光秀の力になりたいにもかかわらず、父からは茶の道や詩歌に励むように言われ、信長にもなかなかお目通りかなわず、歯がゆい思いをする光慶。
しかし、父には別の思惑があり・・・。
 なぜ本能寺の変が起きたのか、今までにない理由で驚かされます。


 他にも『明智光秀の足跡をたどる旅』 「明智光秀の足跡をたどる旅」製作委員会/著 東京ニュース通信社,講談社 (市立・成人 289/アケ/19)を一緒に読むと、光秀になったつもりで、より一層楽しめます。

特撮ってやっぱりいいですね

『平成大特撮1989-2019 』 別冊映画秘宝編集部/編 洋泉社 (市立・成人 778.21//19)

 ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン、スーパー戦隊はもちろん、オカルトから牙狼まで多彩な特撮作品を集めたこの1冊!
 
 この作品子どもの頃映画館で見たなー、とか、懐かしさも感じつつ読みました。普段なかなかピックアップされることがないけれど、特撮に欠かせない造形やデザイナー、特殊メイクの方々が語る、今だからこその裏話など、読みごたえもあって、あっという間に時間が過ぎていました。見ていた当時はあまり意識していなかった、脚本や特技監督といったスタッフさんが作品紹介と一緒に載せてもらっており、この特技監督さんこの作品にも関わってたんだ、と新たな発見もあり、また色々と作品が見たくなる1冊でした。

 もちろん図書館には昭和時代の作品を集めた本もあります。手に取ってみると懐かしい思い出と出会えるかもしれません。

たいようのすむところ

『たいようのきゅうでん』 三輪 滋/著 (市立・児童 P/ミ/14)

 図書館で働いていると、ふと手に取った絵本が子供のころに読んだ絵本だったということがたまにあります。タイトルも内容もほとんど覚えていなかったのに、絵を見た瞬間、あ!これ知ってる!という絵本に出会うととても嬉しく、夜寝る前に母に読み聞かせしてもらったなぁと懐かしく思い出し、その時の記憶がよみがえり温かな気持ちになります。

 この『たいようのきゅうでん』も図書館で再会した一冊です。一人の旅人が、深い森の中で、大きな宮殿をみつけます。その宮殿の中には噴水があったり、とても大きなベッドがあったり。いったい誰が住んでいるんだろう?と旅人は不思議に思うのですが、なんとそこは太陽が住んでいる宮殿だったのです。旅人はお客としてこの宮殿に一晩泊めてもらい、雨宿りにきた星たちと、太陽が作ってくれた夕ご飯「すぱげってぃ」をごちそうになり、楽しい夜を過ごします。天井が割れて突然あらわれる太陽に驚いたこと、太陽がつくる美味しそうなスパゲッティがうらやましかったこと、太陽と旅人と雨宿りにきたたくさんの星たちがみんなで眠りにつく場面が大好きだったなぁと色々思い出し、また図書館でこの絵本に出会えることができて本当によかったと思いました。
 
 独特な構図と色合いの絵や楽しそうな太陽や星たちの表情、太陽が宮殿に住んでいて人間のように暮らしているというユニークな設定など、大人になってもおもしろい!と思える絵本です。ぜひ読んでみてください。


 

お寺の掲示板

『お寺の掲示板』 江田 智昭/著 新潮社 (市立・成人 180.4/19)

 お寺の掲示板?
 お寺の門前に設置されている掲示板についての私の印象は、そういえば見たことあるような気がするが、なんて書いてあったかな~、お知らせみたいなものではなかったかな~、という程度でした。
 
 この本は、お寺の掲示板の言葉(写真)と僧侶でもある著者の解説が掲載された本です。「深い!」「うまい!」「あの人の、あの言葉」の3つに分けられて掲載されています。
 まえがきには、「掲示板のほとんどはそのお寺のご住職や関係者が書いており、お寺の住職が悩みぬいて書かれたものがほとんどです」と書かれています。
 本を読んでいくと、一つ一つの掲示板の言葉に、人が生きていくうえでの助けとなるような考えさせられる言葉や、ユニークな言葉で仏教に触れてもらう言葉、そして有名人の名言やギャグなどが掲載された掲示板が紹介されています。

 著者の解説を読むことで、その言葉の奥の深さを知ることができます。今年は、お寺の掲示板を注意して見ていただいてはどうでしょうか。

どんなプリンが好きですか?

『プリン本』 昭文社 (市立・成人 596.6//19)

 よく熱を出した子どもの頃、決まって食べていたのはプリンでした。そのためかプリンには特別な思い入れがあります。

 『プリン本』を見たとき、郷愁に誘われ思わず手にとってしまいました。出版社情報によると、かき氷やパフェなどのスイーツをテーマにしたガイドブックが数多く出版されているなかプリンをテーマにしたガイドブックは初とのことです。
 東京の美味しいプリンをかたさ、あまさ、大きさとともに紹介。何気に食べられるものではないと知りつつ目が釘付けになりました。見ているだけでは満足できない方もご安心ください。
コンビニやスーパーの食べ比べチャートが掲載されておりこれなら気軽に食べ比べができます。お気に入りのプリンを見つけてみてはいかがでしょうか。
 さらに、全国にご当地プリンが紹介されています。旅行の楽しみのひとつに加えてみるのもいいかもしれません。
 そして究極はなんといっても手作り。好みのかたさやあまさにアレンジして、手軽にフライパンで作れる方法も紹介されています。
 
 日本でのプリンの変遷も辿ることもできて、いろんな角度からプリンが楽しめる一冊です。

いつも心にユーモアを

ことわざおじさん』 山口 タオ/著 下杉 正子/イラストレーション ポプラ社 (市立・成人 917//13)


 解説によれば“ことわざおじさん”とは「ことわざのもじりを専門的に行うナイスミドル」のこと。

 
 この本はことわざのパロディ集です。「負うた子に教えられる」「時は金なり」「逃げるが勝ち」などお馴染みのことわざ達が、プッと笑える姿になり、絶妙のイラストとともに登場します。どんな姿に変身するかは読んでのお楽しみ。あなたのツボを刺激することわざにもきっと出会えるはずです。

「MVP」を紹介します。

『365日のMVP Mie's Valuable Person』 株式会社伊勢新聞社/企画・編集 (市立・地域L280/19) 注:禁帯出の資料です。貸出はできません。
  

 タイトルを聞いて、MVPを「Most Valuable Player(最優秀選手)」と思うかもしれませんが、ここでのMVPは「Mie's Valuable Person」すなわち三重県にゆかりのある頑張る人を意味します。

 
 この本は、伊勢新聞で1年間連載された記事をまとめた本で題目通り「365人のMVP」を紹介しています。選考された人たちのジャンルは幅広く、みんなが知っている会社の社長さんや、テレビでも拝見する有名人、はたまた「こんなすごい人がいるんだ!」と思えるような新しい人など…様々な方にお会いすることができる1冊です。また、「三重県ってこんなに頑張っている人がいるんだ」とも思い、元気をもらえる本でもあります。

 
 どんな人が掲載されているかは、是非とも読んで確認してみてください。

絵本でリフレッシュ!

『子どもも大人も絵本で育つ』 湯澤 美紀/著 柏書房 (市立・児童 019)

 
 大人になってから絵本を手に取って開いてみると、子どもの頃とは違った感動を得ることがあります。
 
 この本は、赤ちゃんから未就学児までの成長の過程に応じて、発達心理学の視線も入れながらおすすめの本を紹介してくれます。子育てに関わる大人が子どもにどんな本を読みきかせすればいいのか迷ったとき、子育てに悩んだとき、参考に見ていただくのにはピッタリだと思います。また、絵本に興味があっても、何を選べばいいのか迷ってしまうとお困りの大人の方にも是非、おすすめします。
 
 巻末には、テーマごとに絵本を紹介してくれるブックリストも掲載してあります。そして、掲載されている絵本を求めて、図書館に足を運んでくださいね。

あんこの世界

『ずっしり、あんこ』(おいしい文藝シリーズ) 青木 玉[ほか]/著 河出書房新社 (市立・成人 914.6//15)


 あんこを使った食べものと言えば何を思い浮かべますか?おはぎ、饅頭、大福、羊羹、最中、あんぱん、あんみつ・・・、寒い冬はたい焼きや今川焼きもいいですよね。


 この本には芥川龍之介や池波正太郎、幸田文、山本一力、酒井順子といったあらゆる作家による「餡」にまつわるエッセイが39篇収められています。永遠の論争テーマ「つぶあん派かこしあん派か」についての話もあれば、伊勢名物のあの銘菓が登場する話もあり。作家たちの餡に対する思い出やこだわりを楽しく、時にはしんみりと感じることができます。一番のお気に入りは、野中柊さんの「餡ドーナツ」。テンポの良い文章と描写で、すぐにでも餡ドーナツが食べたくなってしまいます。みなさんも作家たちの「あんこの世界」を楽しんでみませんか。


 おいしい文藝シリーズは「ラーメン」「ごはん」「フルーツ」「チョコレート」など全部で12冊あります。

あのスターのその後

『時間(とき)の花束』 三浦 百恵/著 日本ヴォーグ社 (市立・成人 594.9//19)

 かつて彼女は、スターと呼ばれていました。最後のステージでマイクを置き、ファンの前からきっぱりと姿を消しました。

 
 そして30数年経ち、この本が出版されました。ファンであった私は、華やかな世界を引退してからの彼女がどう生きてきたのか、興味に近い気持ちでこの本を手に取りました。そこに綴られていたのは、一人の女性の素敵な時の積み重ねの物語でした。大切な人への想い、感動、感謝を小さな布と、針にこめて紡いでいく。やがてそれが姿を変え、キルトの作品になっていきます。ひと針、ひと針の積み重ね。それは、気の遠くなるような時間のようにも思えます。それを彼女は、楽しみながら、いとおしみながら紡いでいます。キルトを通じて、師や友人、家族との日常、悲しい別れ、様々なエピソードも散りばめられ、美しいキルト作品とともに楽しめる一冊です。
  

「えっ、この虫なんだ?」と思ったら…

『昆虫探検(エクスプローラ)図鑑1600 』 川邊 透 /著・写真  全国農村教育協会 (市立・参考 R/486.0/ /14)


 私は、虫が得意ではありません。見かけたら、うっとなってみて見ぬふり。でも、「えっこの虫なに?」と気になる時も…。虫の苦手な私では、何か調べようと思っても、いったい何の仲間なのか見当すらつかないことがほとんどです。
 
 そんな時にはこの本。見た目や大きさから探せるポスター「写真検索マトリックス」が付いているので、種類が分からなくても、それを元に本編で確認できます。本編には、他の図鑑のように種類ごとに写真と特徴が載っています。身近に見られる昆虫が中心に載っているので、ちょっと見かけたり、捕まえたりした虫を探しやすいです。秋の虫がたくさん鳴く季節です。「気になる昆虫」を見つけた時には一度使ってみてください。図書館では、貸出ができない「参考図書」なので、館内にてどうぞ。


 

古代から現代へ進化のバトン

『ならべてくらべる 絶滅と進化の動物史』 川崎 悟司/著 ブックマン社 (市立・成人 457.8//19)

 古代生物と聞いて多くの人は、マンモスだったり恐竜を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし大昔の地球には、それ以外にも不思議で奇妙な特徴を持つ生物たちが沢山いました。


 本書では、現代で見る生物の祖先にあたる様々な生物について(残念ながら途中で種の繁栄が絶えてしまったものもいます)、詳しい解説と詳細なイラストで分かりやすく紹介してあります。「あの生物の祖先はこれだったの!?」「あの生物たちは元々仲間だったの!?」と、きっと驚きながら学べること間違いありません。


 パラパラめくって気になるトピックだけ読むもよし。全部をしっかり読み込むもよし。
ぜひお気に入りの古代生物を見つけてみてください。

元気で長生きの決め手は…

『爺(じじい)の暇つぶし もてあます暇をもてあそぶ極意、教えます』 吉川 潮/著、島 敏光/著 ワニブックス (市立・成人 367.7) 

 元気で長生きの決め手は、「きょういく」と「きょうよう」。なるほど、「教育と教養」は、昔から大切と言われているからなぁ…。と思っていたら、なんと「今日、行くところがあって、今日、やるべき用がある人」は、健康で生き生きと生きられるとのこと。この本は、老後の楽しい余暇の過ごし方を教えてくれる一冊となっています。

 図書館には、健康長寿のヒントや充実ライフのポイントなど、“お宝”がいっぱいです。そして、暇つぶしにはもってこいの場所。そんなわけで、皆さんぜひ図書館に足を運んでみてください。


 

人間とはどのような生き物であったか

『ゴリラからの警告』 山極 寿一/著 毎日新聞出版 (市立・成人 914.6/ヤマ/18)

 「ゴリラの国に留学して来た」というゴリラ研究の世界的権威が、現在の人間社会に発する警告の書です。

 
 現在、社会のあちこちで噴出している問題・・・生活習慣病、アレルギー、自閉症、家庭内暴力、いじめ、ヘイトスピーチ等々・・・。皆さんは、この原因は何だとお考えになりますか?筆者は作中において、「こういったトラブルは、人間が備えている特徴の由来や本質を誤解することから生じる」と主張しています。著者の言う人間の特徴とは、祖先を同じくするサルやゴリラと比較して、人間に固有または顕著な性質や行動のことです。そしてそれは、人間が人間として進化していく過程で、様々な必要性から獲得してきたものなのです。著者はその一つ一つについて、なぜそれが人間にとって必要だったのか、その特徴を獲得したことで、人間の心身や社会がどのように発達してきたのかを、長年の研究に基づいて解り易く解説します。読み進めてゆくと、今現在私たちが生きているこの社会のあり方が、様々な点で人間という生物種の“つくり”に合っていないのではないかと考えられてきます。自分に合わない環境で生きていれば多大なストレスがかかりますし、そうなれば社会が荒れるのも当たり前でしょう。著者は、研究のため自ら一頭のゴリラとなってゴリラの群れに交わり、彼らを観察してきました。その結果、生物種という境界の外側から人間を観察する機会に恵まれました。その観察眼と評価は客観的で的確です。

 
 誰しも、己の本当の姿は判らぬもの。一度人間以外の目から人間の姿を見直し、さらに自分たちの生きる社会を見直してみてはいかがでしょうか。今ある苦しみや生きづらさの原因が判るかも知れませんし、原因が判れば解決の手段も見つかるかも知れません。

 

もしも図書館で事件が起きたら?

『図書館の殺人』 青崎 有吾/著 東京創元社 (市立・成人 913.6/アオ/16)


 私は小さいころから推理小説を読むのが好きです。本格ミステリと呼ばれるものから日常の小さな謎を解き明かすようなものまで、国内海外問わずいろいろと読んできました。
 
 その中でも図書館で働いている職員として、この本はタイトルのインパクトが抜群でした。閉館後の図書館で発生した殺人事件を、なぜか高校の校内に住んでいる高校生探偵・裏染天馬が解決する物語です。文章が読みやすく軽快で、くすりと笑える場面もたくさんあります。事件に使われたトリックも、論理的にじっくり考えれば解ける内容になっています。しかし事件の結末は切なく、読み終わったあとは必ずしも「事件が無事解決してよかった」とは感じられないかもしれません。青崎さんの作品はこのほかにも何冊か読んだことがありますが、このように“完全なハッピーエンド”で終わらない雰囲気が魅力だと感じました。

 魅力的なキャラクターが登場する小説が読みたい方、本格ミステリを手軽に読んでみたい方、論理的な謎解きに挑戦してみたい方は、ぜひ一度手にとってみてください。

「美術と文学の共演」100年前にタイムスリップ!

『片隅の美術と文学の話』 酒井 忠康/著 求龍堂 (市立・成人 702.1//17) 

 
 この本は、文学と美術をめぐるエッセイ集です。今年2019年は、関根正二と村山塊多という二人の画家が、若い生涯を終えて百年にあたります。そして、百年前の1919年は、盲目の詩人エロシェンコが再び日本を訪れた年でもあります。
 
 芥川龍之介、岡倉天心、鏑木清方、川端康成、古賀春江、志賀直哉、澁澤龍彦、高村光太郎、竹久夢二、谷崎潤一郎、夏目漱石、西脇順三郎、萩原朔太郎…。世田谷美術館の現館長である著者の美的センスと学芸員としての経験によって綴られたエッセイからは、一筋縄ではいかない強烈な個性の近代日本を代表する文豪や詩人、画家たちの生き様と、当時の厳しい時代背景が目に浮かんできます。美術と文学が、たがいに照応し想像の刺激を共有しながら、時代の文化・藝術の思潮とも相互に関連をもって、じつに興味深い展開を示しています。

 文豪や詩人、画家たちの精神が映し出されたサイドストーリーは、文学好き、アート好きどちらにも本を手にする喜び、絵を観る喜びに誘ってくれるものになっています。



 

この絵はどんな人が描いている?

『近代美術の巨匠たち』 高階 秀爾/著 青土社 (市立・書庫 723.0)

 皆さんは芸術家とはどのような人たちだと思いますか?気難しくて、頑固者、いつも一人孤独に作品の制作に打ち込んでいる。そのようなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
 
 本書では、19世紀半ばから20世紀前半にかけて活躍した近代を代表する13人の画家が取り上げられています。日本における西洋美術研究の第一人者である筆者は、画家の性格や芸術上の特徴を象徴するエピソードを盛り込み、13人それぞれの強烈な個性、芸術家としての自意識の強さを伝えています。一方で筆者は、ゴッホやゴーギャン、アンリ・ルソーといった著名な画家についての一般的なイメージとは異なるエピソード、あるいは広く知られていない事実を取り上げることで、従来の通説とは異なる芸術家の実像を描き出しています。私は、現在広く知られている芸術家のイメージには創作、あるいは誇張されたものが多く含まれているのではと考えずにはいられませんでした。

 有名な《睡蓮》や《ひまわり》を描いた画家がどんな人物であったのかという好奇心から、私は本書を読み始めました。そして、それまで興味がなかった画家についても、人となりを知ることで親近感を覚えるようになり、作品を意識して見るようになりました。絵画に興味があるけど難しそう、とっつきにくいと思う人にこそ、多くの画家や作品と出会うきっかけとしておすすめしたい一冊です。