図書館スタッフおすすめ本

家紋っておもしろい

『日本の家紋とデザイン』 濱田 信義/編著 パイインターナショナル (市立・成人 288.6//23)

この本は、家紋について書かれた本なのですが、モチーフになった物で植物篇、動物篇、自然現象、尚武、文様・図案、建造物・器物に分け、その中でも植物なら、梅紋、桜紋、南天紋・・・と植物の種類ごとに載っているので、同じモチーフの違うデザインの家紋が一緒に見ることができて、おもしろかったです。
徳川家の家紋としても有名な「三つ葉葵」ですが、同じ葵をモチーフにした家紋がこんなにたくさんあるんだと驚きました。
ちょうどこの本を借りている時に時代劇を見ていて、「この着物の家紋、花みたいだけど何の花かな?」と気になってこの本をめくってみたら、ありました!
同じモチーフの物であっても、違うデザインのものがたくさんあって、おもしろかったです。
本当にたくさんの家紋が載っているので、自分の家の家紋や気に入る家紋がみつかるかも?

爽快感を味わう一冊

『死神の精度』 伊坂 幸太郎/著 文藝春秋 (市立・書庫 B/913.6/イサ/15) 

大学生の頃に読み、読書にハマるきっかけになった本です。
軽いタッチの文章、人物や情景の絶妙な描写もあり、頭の中に映像が浮かんでくるようで、とても読みやすくページをめくる手がとまりません。
あっという間に読み終えてしまいます。

いくつかの短編で構成されていて、それぞれに出てくる全ての登場人物に味があり、愛着が湧いてきます。
また、それぞれの短編が絡み合っており、読み終えた後は一つの長い物語を読み終えたような感覚になり、何とも言えない爽快感に包まれます。
これから読書をはじめようとしている方にもおススメの一冊です。

お菓子で世界を旅する

『世界のお菓子図鑑』 (地球の歩き方BOOKS W25 旅の図鑑シリーズ) 地球の歩き方編集室/編集 Gakken(市立・成人 383.8//23

とにかく情報量がすごい。
国ごとの代表的なお菓子がカラー写真と簡単な解説とともに掲載されているほか、それぞれの食文化やお菓子事情、現地出身者に教わるレシピや本場の味が体験できるお店の紹介、コラムや雑学コーナーもあり、お菓子で世界を旅することができる本です。
世界の祝祭菓子や軽食、パンケーキを集めたコーナーや菓子パン比べなどの特集もあり、読んでいるとお腹がすいてきそうです。

日本のお菓子は都道府県ごとに、数種類の銘菓が写真とともに紹介されています。
三重県からは四日市名物のあのお餅も載っていますよ。

ぜひ世界のお菓子の旅を楽しんでください。

考えつづける、笑いながら  ~「何度だって読みたい本!」~

『あの素晴らしき七年』 エトガル・ケレット/著 秋元 孝文/訳 新潮社 (市立・成人 929.7//16) 

 ものすごくへこむ日がある。
 そんな日は『あの素晴らしき七年』を、どの話でもいいからひとつ読む。
 作者・エトガルの身に起こることは、重い。イスラエルはテルアビブ出身のユダヤ人だから、よくある問題も、ややこしさを増して襲い掛かってくる。生まれたばかりの息子の将来や家族関係にも、国内情勢、テロリズム、ユダヤ教との付き合いなんかが絡みつく……なにせ息子が生まれたのは、テロリストによる攻撃の真っただ中だ。
 なのにエトガル、話が上手すぎて、どんなに話が重くても、笑ってしまう部分がある。
 空襲警報が鳴ったのに立ったままの息子を腹ばいにさせようと、「パストラミ・サンドイッチごっこ、する?」と誘ったんだそうだ。おもしろすぎる。それで、妻、息子、自分、と腹ばいで重なって、「パストラミ!」と叫ぶや、向こうへ爆弾が落ちた。これがエトガルの、生活のリアルだ。
 大事なのは、ことの重さを肌で感じつつ笑うこと。読んでいくうち、自分の生活と重なる部分が見えてきて、気が付いたらエトガルといっしょに笑ったり泣いたりしている。だからここに入った三十六篇のエッセー——エトガルに息子が生まれ、自身のお父さんが亡くなるまでの七年間のできごとは、どれも短いのにとても重たく、とても重たいのに他人事にはならない。せめて、ツレに起こった事くらいにはなる。そう思って読めば、どれほどつらくても、やってってみようか、という気に少しはなれる。この少しが、いかにすごいことか。
 ものすごくへこむ。たびたびへこむ。そのたびこの本が読みたくなる。テレアポを断る口実をどこまで膨らませられるかとか、本の献辞に飽きた時いかにふざけられるかとか、ポーランドの細長い土地に建てた薄い家のこととかを、エトガルから面白おかしく聞く。そうすることで、またやってこう、と思えるための温みのようなものを、少し分けてもらっているのだ。
 
 
2024年のエッセーコンクールのテーマは、「何度だって読みたい本!」です。
これを読んで、エッセーを書いてみたいと思った方、「読書に関するエッセーコンクール」へぜひご応募ください!
あなたの「何度だって読みたい本」、教えてくださいね。

(市立図書館ホームページの別ページが開きます)

「極上の闇」を求めて!

『闇で味わう日本文学 失われた闇と月を求めて』 中野 純/著 笠間書院(市立・成人 910.2//22

 目の前の人の顔も見えない闇とほのかな灯り、怪しいモノの存在を感じさせる山道の真っ暗闇、夜を明るく照らす神秘的な月の光など…。万葉の時代から昭和に至るまでの名作には、「闇」の場面が多く登場する。時代を超えて愛される名作には、豊かな「闇」の文化が、しっかりと根付いている。
 やわらかい闇には、星明かりや蛍火などのやさしい光もあるし、月の光が少しでも射し込めば、かなり明るくなる。闇がやわらかければ、光もやわらかくなる。
 この本では、「闇」をテーマにした体験案内を、日本文学の名作を引用しながら紹介している。五感をフルに活用して、「闇」を味わうことで、「闇」の本質に迫ることができるはずだ!「極上の闇」を体験した後で、この本に引用されている名作全文をも改めて読んでほしい。きっと今までとは違う、新たな気付きがあることだろう。

 この本を読んで、フィールドに飛び出して、夜山に行きたくなった人は、下記の本も併わせて読んでほしい。下記の本には、夜の山の歩き方、心がまえ、装備、野生生物への対処法などが詳しく解説されている。さらには、スマホやデジカメでの闇の撮影術も紹介されている。

『ナイトハイクのススメ 夜山に遊び、闇を楽しむ』 中野 純/著 山と溪谷社(市立・成人 786.4//23