あたらしいこどもの本

あたらしくはいった本(令和3年11月up)

はっぱの色が赤や黄色になってきましたね。
すっかり秋です。
図書館では、たのしい本がみなさんをまっています。
「読書の秋」、たくさん読んでくださいね。



★えほん★



『めんぼうズ』
 かねこまき/作(Pカ)アリス館

 めんぼうが、むれをなして歩いていく様子を想像したことがありますか?
 ないですよね、ふつう。
 作者は、めんぼうの先をつまんで顔を作るというアートを
 しているそうです。めんぼう・・・


『ねむたくないせんにん』 
 ナカマサトシ/作(Pナ)佼成出版社
 せんにんむらにすむ、ねむたくないせんにん。
 おひるねせんにんからもらった、パジャマとふかふかのふとんが
 きもちよすぎで、ついあくびがでてしまいます。
 お昼寝前の読み聞かせにどうでしょう?


『そらをとびたい』
 山本直洋/写真 ちかぞう/文(Pヤ) 小学館

 かつて、空飛ぶ夢をよく見ました。
 ぐんぐん高くのぼり、地を見下ろして自由に飛び回る。
 気持ちが良すぎて、目をさますとがっくりでした。
 この本で、あの気持ちよさを思い出しました。
 空を飛ぶ夢をかなえてくれる写真絵本です。


『トトのかんぱい』 
 タカハシペチカ/文 すぎはらけいたろう/絵 (Pス) 至高社

  のみものをのむときに、いつでもだれかとかんぱい!
  それはえがをがつながるとき。トトはだれとかんぱいしたかな?
  あなたもきっとかんぱいしたくなるよ!


『おじさんのぼうしはどこいった?』 
  ジョアン・L・ノドセット/文 フリッツ・シーベル/絵 (Pシ) 出版ワークス

  おじさんのおきにいりのむぎわらぼうしは、ふるくてちゃいろのすてきなぼうし。
  あるひ、つよいかぜにふきとばされて、どこかへとんでいってしまいました。
  なやをさがし、とりごやをさがし、みんなにもきいてみたけれど…
  いったいどこへ?


『野ねずみきょうだいの草花あそび』
  相澤悦子/文 長谷川直子/絵 (Pハ) 福音館

  野ねずみたちが、木の実や葉っぱをあつめて、作っているのは、
  落ち葉のハリネズミ、クリスマスツリー、花おり。
  とても楽しそう。どうやって作るのかな?
  さいごのページに、作り方と、写真もあります。やってみてね。


『うちのねこ』 
  高橋和江/作 (Pタ) アリス館

 さいしょはかみついたり、ひっかいたり、わたしをこわがるねこ。
  でも、ゆっくりなかよくなって…。
 「のらねこ」から「うちのねこ」になるまでのおはなし。


『キリンのなやみごと』『ペンギンのこまりごと』 
  ジョリ・ジョン/作 レイン・スミス/絵 (Pス) 化学同人

 キリンはくびがながいことをなやんでいます。
  ペンギンもいやなことばかりでこまっています。
 それなのに、だれもわかってくれません。
  でも、ほんとうにわるいことばかりなのかな…?


『秋』 
  かこさとし/作 (Pカ) 講談社

 からすのパンやさんやだるまちゃんシリーズなどで知られ、
  親しまれてきた、かこさとしさん。
 自身の戦争体験をもとに描いた未発表の紙芝居が見つかり、
  絵本として刊行されました。
 最初の原稿執筆が1953年、構想から68年、半世紀以上を経て、
  初めて世に出るオリジナル作品です。
 戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、いつまでも忘れずに、
  こどもたちに伝えようと、平和を願う、強い思いが込められています。
  子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、
  天国のかこさんからのおくりものです。


『ケイン、きょうもよろしくね!』 
  ソン ギョク、ペク ウンジュ/文 シン ドゥヒ/絵 (Pシ人権) 新日本出版社

 少女の、目が見えなくなっていくときに感じたこと。
  同じように見えない人の感じていること。
 両方を知って、少女が決断したときの笑顔がすてきです。
  目が不自由な人がもつ白い杖のことを、
 韓国ではケインと呼ぶこともあるそうです。



★ちしきの本★



『しらべるちがいのずかん』 
 おあかべたかし/文 やまでたかし/写真 (013) 東京書籍

 にているようで、ぜんぜんちがう。
  たとえば、卵(たまご)と玉子(たまご)のちがいって?
 大人でもおもわず「へえ~」と言ってしまうような
  ちがいがたくさんあります。


『いつの間にか覚えてる!世界の国が好きになる国旗図鑑』 
  小林知之/著(288) 太田出版

 こんなにカラフルで、こんなにそっくりの国旗があって、
  こんなに思いのこもっている国旗たちを知りませんでした。
 国旗同士の会話も面白いです。
  いろんな国のことを、まるで友だちのように感じられるようになるかも。


『夢のねだん図鑑』
  (337) KANZEN

  こんな仕事をしたい。こんなこと、できるようになりたい。
  そんな夢がどうやったらかなうのかが、リアルにわかります。
  そして、大人にならなくてもかなう夢、あります!


『世界のグルメ図鑑』
 (383)学研

 思わずよだれが出てしまいそうな世界のグルメがいっぱい!
 ガレット、パエリアはみんな知ってるかな。
  じゃあ、シュバイネコテレットは?
 名前はむずかしいけど、おいしそう。


『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』 
  前川佳代/著 宍戸香美/著 (383) かもがわ出版

 『枕草子』や『源氏物語』が書かれた平安時代。
  フルーツ、かき氷、スナック菓子…
 いつの時代もスイーツ大好き!レシピもあります。


『妖怪がやってくる』 
  佐々木高弘 (388) 岩波書店

 妖怪はどこにいる?どこからやってくる?
  古い本を調べていくと、まるで人間のように道を通ってくる
 様子が見えてきた。
  妖怪のイメージが変わるかもしれません。


『世界のことわざ ものの見方が変わる!』
  (388) ナツメ社

 日本だけじゃなくて、世界にはことわざがいっぱい。
 勇気がでることわざ、おもしろいことわざ、こわいことわざ。
 日本とよく似ていることわざもあります。
 いろいろな国の情報もいっぱい。世界旅行のつもりで読んでみてね。


『まちのナニコレ?図鑑』
  (510) 小学館

  まちなかでよく見るナニコレ?なモノの名前やはたらきを紹介する図鑑です。
  また、駅舎やマンホールなどよく知っているモノでも、
  全国ではいろんなバリエーションがあることを紹介します。
  クイズもありますよ。


『無駄なマシーンを発明しよう!』
  藤原麻里菜/著 (540) 技術評論社

  無駄は、悪くない。「こうしたら面白いかも」と思ったそのままを、
  いろいろ楽しみながら作ってみればだれでもエンジニア!
 『魔改造の夜』みたいなの、考えてみようかな。
  でも、「プリンを守るマシーン」は無駄じゃないじゃん!


『ヘンテコおりがみ』
  笹川勇/著 (754) 主婦の友社

  おりがみがそんなに好きじゃない人も作りたくなる!
 「あっかんべーの口」「ふっきん運動」「恐怖の貝」
 「おしりをぷりぷり動かす人」「回るうんこ」「押したらヤバそうなボタン」
 ほかにもヘンテコいろいろあります。

 

 

★よみもの★



『プンスカジャム』 
  くどうれいん/作 (Fク) 福音館書店

  どっしん!どっしん!どすどすどす!
  おこったハルくんの目のまえにあらわれたのはふしぎなパン屋さん。
  プンスカおこった気もちをジャムにするという。
  大きなおなべでぐつぐつと…、どんなジャムができあがる?低学年から


『くしゃみおじさん』 
  オルガ・カブラル/作 (933カフ) 岩波書店

 ヒャッッックション!ハッッックチン!ハッッップショーイ!
 おじさんの大きくてへんなくしゃみのせいで、
  あれれ?どうぶつも子どもも、みんなへんてこな、かっこうになっちゃった。
 どうしたらもとどおりになるのかな?
  くしゃみの音も楽しい、元気でゆかいな物語。低学年から


『あくたれラルフおなかをこわす』『あくたれラルフコンテストにでる』
 ジャック・ガントス/作 (933カン) 大日本図書

 一冊は「あくたれ」というなまえがぴったりのねこのラルフが、
 生ごみのバケツの中のものをたべて、おなかがいたくなる話。
 もう一冊は、ラルフがいとこのパーシーにかって、
  ねこのいちばんになるために、コンテストにでる話。
  絵本でにんきのわるいねこラルフが、よみものになりました。低学年から


『みんなのためいき図鑑』 
  村上しいこ/作 (Fム) 童心社

 は~あ。フーウ。みんなはどんなときにためいきをつきますか?
 うれいしいためいき、かなしいためいき…
  いろんなためいきがあっておもしろい。中学年から


『お話のたきぎをあつめる人』 
  ローレンティンン妃&パウル・ヴァン・ローン/作 (949ロレ) 徳間書店

 だれも住んでいないお城の暖炉に、週一回たきぎをくべに行くおじいちゃん。
  そこには「お話の図書館」があるらしい。
 入るためのドアはどこ?正しいドアはどれ?
  そこで読んだお話はステラにとっても、
  ステラが語るのを聞いた村の人にとっても、日々の楽しみ。
 でもある日、急に何もお話が出てこなくなったのは、だれかののろい?中学年から


『黄色い夏の日』
  高楼方子/作 (Fタ) 福音館書店

  中学一年の夏、景介がおばあちゃんの友だち小谷津さんの洋館でであった
 「ゆりあ」と、となりにすむ「やや子」。
  どこかおかしいと思いながらも、ふたりに強くひかれていく景介。
  何も気づいていない小谷津さん、景介のようすを心配する幼なじみの晶子。
  夏の庭にまよいこんでしまいそうな、美しいファンタジー。10代から

 


 

【児童室でおもうこと】本を読まない子は、本が嫌い?

 【休校中のみんなへ 図書館で出会った本たち】に、
子どものころあまり本を読んでいませんと書きました。
でも、本が嫌いだったわけでもないのです。

 子どものころ、人見知りで、ひとりでいることが多かった私。
小学校でも、みんなと一緒に遊ぶより、図書室で過ごしている方が
好きでした。でも本を読むためというより、すみっこでそっと過ごす、
避難所のようにしていた気がします。


 覚えているのは『こまったさん』シリーズ、木暮正夫の『熟語の話』
シリーズ。おはなしも楽しいし、料理のことや言葉のこと、
何か新しいことを知るのが好きだったのかもしれません。


 あ、『ふーことユーレイ』シリーズも好きでした。読んだのは高学年ぐらい。
会いたいけれど会えない、お互いに好きだけどうまくいかない、少女漫画みたいな
おはなしです。今でも表紙を見ただけで、胸がキュッとしてしまいます。


 最終巻『ユーレイ♥ラブソングは永遠に』は大人になってから読みました。
ユーレイの和夫(かずお)のことをわすれてしまったふーこが、
和夫のことを思い出し、二人がもう一度会えたのは、
火事でふーこの命が燃え尽きようとしていた時。そして、まさかのラスト!
ここで終わるのかと衝撃を受けました。
ハッピーエンドか、バットエンドかは、ひ・み・つ。


 それから、小学校で斡旋販売していた課題図書。とにかく自分だけの物が
欲しくて、ここぞとばかりにねだっていました。3年生ぐらいの時に
買ってもらった『こひつじクロ』は、今でも棚にある大切な本。


 主人公は、まっしろな羊たちの中で、一匹だけまっくろで、自分も
まっしろがよかったなと思っているクロ。でも、羊飼いのおじいさんは
「そのままがいい」と言ってくれます。
こんなふうに、そのままの自分を受け入れてもらえたら、そして、
受け入れられる人になれたらいいなと思います。


 思い返すと、私の近くには、いつも本がありました。気が向けば
いつでも本を手にとれる、そんな子ども時代でした。だから今は、
本が近くにないと落ち着かないぐらい、本が好きになったのかもしれません。


 児童室にいると、大人の人から「もっと本を読ませるには、
どうしたらいいですか」と時々聞かれます。本を読んで欲しいのは、
なぜですか?本を好きに「なるべき」でしょうか?
読んで欲しいと思っているあなたは、本が好きですか?


 子どもも大人も同じです。とりあえず、いつもそばに本があるだけで
大丈夫!読んでも読まなくても大丈夫! 本とのつきあい方は人それぞれ。


 私の大好きな絵本『ぼちぼちいこか』のように、ぼちぼちと
本と付き合っていきましょう。(い)


『こまったさん』シリーズ 寺村 輝夫/作(Fテ) あかね書房
『熟語の話』シリーズ 木暮 正夫/文(814) 岩崎書店 ※あさけのみ所蔵
『ユーレイ♥ラブソングは永遠に』ふーことユーレイシリーズ
  名木田 恵子/作(Fナ 児庫) ポプラ社 ※シリーズ抜けあり
『こひつじクロ』エリザベス・ショー/作・絵(93 児庫) 岩崎書店
『ぼちぼちいこか』マイク=セイラー/作 ロバート=グロスマン/絵(Pク) 偕成社

[児童室でおもうこと] あるある「わるい子」絵本!


 わたしが「すきな本は?」ときかれたとき、
ついえらんでしまうのは、
「わるいなぁ」という主人公(しゅじんこう)がでてくる話。
「わるい子 」がでてくるとワクワクするのは、なぜ?


 さいしょの「ワル」は、セイラのかっているいたずらネコのラルフ。
家族で見に行ったサーカスで、となりの席のイヌに風船を
つけてとばしてしまい、空中ブランコにのって、
つなわたりしている人をつきとばします。
 そのあと、ウマにとびのり、曲芸(きょくげい)の人をつきおとし、
ゾウたちをおどかしたりと、やりたいほうだい。
 おこったお父さんは、ラルフをサーカスにおきざりにしてしまいます。
ラルフにはシリーズがありますが、どれを読んでもわるいヤツ!


  
 「わるい子」の絵本は、ほかにもいっぱい。
いつも「いやだ」しかいわないイヤイヤ期のルルちゃん。
なんでもカンガルーのぬいぐるみのせいにするリリー。
髪の毛をひっぱったり、どなったりおどかしたりする、いじわるなブッチー。
おふろのお湯をあふれさせて遊び、家の中で野球をする、デイビッド。
「オオカミだ!」と何回もウソをついて、みんなをおどろかせるシモン。
 また、『よいこへの道』は学校の花だんを温泉にしたり、理科室にしのびこんで
ポップコーンを作ったりと、「やってはいけない事」をたくさん教えてくれます。


 
 そして、「せかいでいちばんおぞましいおとこのこ」エドワルド。
いつもなにかをけっとばし、小さい子にいじわるをする。
ひと月も、はみがきもせず、かおもあらわない。
やかましくて、らんぼうで、だらしなくて、きたなくて、みんなのきらわれもの。
 
 
 
 わるいことをすると、ほめられる話もあります。
かいじゅうのようちえんでは、絵の具のびんをなげ、
まわりをべたべたにしたり、うたやダンスのじかんに、
どなったりさわいだりしてみんなをこわがらせると、
ほめられて「☆ワッペン」がもらえます。
かいじゅうのようちえん、うらやましい! (の)

 



『あくたれラルフ』『あくたれラルフのたんじょうび』
『あくたれラルフのハロウィン』『あくたれラルフのクリスマス』
ジャック・ガントス/文 ニコール・ルーベル/絵 (Pル) 童話館出版
『いやだいやだ』せなけいこ/作 (Pセ) 福音館書店
『ブルーカンガルーがやったのよ』エマ・チチェスター・クラーク/作 (Pク) 評論社
『いじわるブッチー』バーバラ・ボットナー/文 ペギー・ラスマン/絵 (Pラ) 徳間書店
『だめよ、デイビッド!』デイビッド・シャノン/作 (Pシ) 評論社
『あっ、オオカミだ!』ステファニー・ブレイク/作 (Pフ) あすなろ書房
『よいこへの道』おかべりか/作 (Pオ) 福音館書店
『エドワルド』ジョン・バーニングガム/作 (Pハ) ほるぷ出版
『いたずらビリーとほしワッペン』パット・ハッチンス/作 (Pハ) 偕成社


 絵本ではありませんが、次々に笑っちゃういたずらをくり出す、
ロッタちゃんのお話
『ちいさいロッタちゃん』『ロッタちゃんのひっこし』
(アストリッド・リンドグレーン/作 (949) 偕成社)も、
小さな人でも読みやすい本です。

【児童室でおもうこと】不自由な今だからこそ

 休館中、わたしが気になっているのは、10代の子たちがどのように過ごしているのか、ということ。

  「ティーンエイジャー」という言葉を知っていますか?「10代の若者」という意味です。
とくべつな言い方をするのは、その数年間がかけがえのない時間だからだと思います。
それなのに、部活ができない、友だちともあそべない…など、たくさんのイライラがつもることでしょう。

 そんな「ティーンエイジャー」に、もちろんそうでない人にも、少しでも気分が上がるような本を
紹介したいと思います!


①ファンタジーでいやな現実とおさらば! 『チャーリー・ボーンは真夜中に』
 ある日とつぜん、ふしぎな力を手に入れたら…。一度は考えたこと、ありますよね?
 主人公のチャーリーは、ふしぎな力をもつ子どもがあつまる学校に入ります。
 そこでおこる事件とは…!?

②恋バナ大好き!なあなたへ 『ラブ・レッスンズ』
 だれが好き、とかが気になるお年ごろのみなさん。
 ジャクリーン・ウィルソンの本は、女の子のリアルな恋愛もようがかかれています。
 イマドキの恋愛小説とは少しちがうかもしれませんが、しっかりしたお話を読みたい人におすすめです。

③さらっと爽快ミステリー 『IQ探偵ムー』シリーズ
 元(げん)のクラスにひっこしてきた夢羽(むう)は、美少女だけどふしぎな女の子。
 とても頭がよくて、どんななぞもすぐに解決!ミステリー入門のようなシリーズです。

④有名作家さんが気になったら 『ステップファザー・ステップ』
 双子の男の子(両親が家出中!)と、どろぼうの一つ屋根の下、へんてこ生活が始まります。
 宮部みゆきさんは大人向けの本を書いていますが、心配はいりません。
 気に入ったら、『ブレイブ・ストーリー』や『ドリームバスター』も読んでみて!

⑤だれにでも悩みはあります 『拝啓パンクスノットデッドさま』
 まず目を引くのが表紙のショッキングピンク。楽しいバンドのお話なのかな、
 と思ったら「パンク」とヘビーな「家庭事情」。
 悩める10代にはとても身近に感じられるのではないでしょうか。
 読んだ後はスッキリしているはず!




 いかがでしたか?おうち時間に本を読みたいと思っている人、図書館が開いたら借りに来たいと思っている人
など、たくさんの人の「読みたい!」につながりますように。(し)



『チャーリー・ボーンは真夜中に』  ジェニー・ニモ/作(933ニ)  徳間書店
『ラブ・レッスンズ』  ジャクリーン・ウィルソン/作(933ウ)  理論社
『IQ探偵ムー』シリーズ  深沢美潮/作(Fフ文庫)  ポプラ社
『ステップファザー・ステップ』(青い鳥文庫)  宮部みゆき/作(Fミ児庫)  講談社
『ブレイブ・ストーリー』  宮部みゆき/作(Fミ児庫)  角川文庫
『ドリームバスター』  宮部みゆき/作(913.6ミヤ成人書庫)  徳間書店
『拝啓パンクスノットデッドさま』  石川宏千花/作(Fイ)  くもん出版

【児童室でおもうこと】子どもとおとな、いっしょに読む

 平成のはじめのころまで、電車に乗るときはキップという小さな紙を買う必要がありました。
そして、そのキップを駅員さんに、はさみでパチンと切ってもらってから駅の中へ入って
電車に乗り、駅を出るときはそのキップを駅員さんに渡します。
ですから、キップをなくすと駅から出られなくなります。『キップをなくして』は、そんな時代の物語です。


 キップをなくした子どもたちは「駅の子」になり、電車に乗って通学する普通の子どもたちを守る仕事につきます。
主人公のイタルもキップをなくして駅から出られなくなり、同じように「駅の子」となった8歳から14歳くらいの
子どもたちとともに、東京駅で生活していくことになりました。
「駅の子」となった子どもたちは家には帰れず、駅員さんと一緒に寝泊まりし、食事をします。
電車は乗り放題。そして仕事さえ終えれば、自由な時間が与えられます。


 いろいろな個性の子どもたちが登場するのですが、ある日、食事をしない小さな女の子“ミンちゃん”が
「わたし、死んだ子なの」と話しました。ここから、この物語は新たな展開を迎えていくことになります。


 著者の池澤夏樹は、理系の大学で物理学を専攻した小説家です。

多分そのために、彼の作品の多くは独特の科学的な視点で描かれています。
人は死んだらどうなるかということについては、あまり科学的ではないかもしれませんが、
作品の中で何人かが語る死後の世界は、自分の家族やペット、身近な人を亡くした人にとっては、
大きな安らぎを与えてくれます。宇宙全体まで範囲を広げる語りに、ぐんぐん引き込まれます。


 この物語の終盤では、「駅の子」が過ごす魅力いっぱいの夏休みの旅も描かれます。
夏が終わった今の時期の小学生や中学生、かつて子どもだった人にとっては、かなり心に響く一冊です。(西)


『キップをなくして』 池澤夏樹/著(Fイ) 角川書店