図書館スタッフおすすめ本
切り紙のワクワクは世代を超えて
『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』 井上 由美子/著 筑摩書房 (市立・成人 369.2//12)
グラフィック工芸家である著者は、主催するものづくり学校の生徒たちに出している宿題“広告や包装紙など日常の紙を使った切り紙づくり”を、自身の義母や父親にも勧めます。きっかけはそれぞれでしたが、どちらも80代手前の頃です。
お義母さんへのお題は「ソックス」。以前お義母さんが余りものの靴下をテディベアの服へと生かし直したことにちなんだ提案です。
釣り好きだったお父さんへのお題は「魚」。その後旅行をきっかけにして「富士山」にも取り組みます。
この本は、お二人の創作の様子を軸に、楽しく切り紙を続けるためのコツ、そしてご家族に対する著者の思いが記されています。
材料探し、創作の工夫、作品を囲んだ会話 ―
この切り紙が持つワクワク感は、多くの人にとって、毎日をはりあいよく生きるヒントになると思いました。
掲載されているお二人の切り紙はどれも洒落ていて、見て楽しく、私たちも何かしたい!と思わされます。
「小さな植物…あなたはだあれ?」
『身近な雑草の芽生えハンドブック1』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//19)
『身近な雑草の芽生えハンドブック2』 浅井元朗/著 文一総合出版 (市立・成人 471.3//16)
『美しき小さな雑草の花図鑑』 大作晃一/写真 多田多恵子/文 山と渓谷社 (市立・成人 470//18)
花があふれる季節になりました。ガーデニング好きの人にとっては、ワクワクする季節ですね。水やり、花柄摘み、植え替え、草抜きやらと忙しくもなってきます。
ところで、草抜きをしていると、この小さな植物は一体何の植物なのかと気になることはありませんか?
『身近な雑草の芽生えハンドブック』では、雑草のまさに芽生えの姿から探せる図鑑です。
小さなうちに抜いてしまう雑草の種類を、とてもわかりやすく調べることができます。草抜き時に見たことのある、これ!これ!これ!が見つかりますよ。名前だけは知っている植物や、似た仲間を知ったりと、雑草とはいえ改めて発見のある面白さです。
もちろん花も紹介されていますが、花に限ると『美しき小さな雑草の花図鑑』は可憐な姿が美しい写真で紹介せれていて、思わず雑草でも育ててみたくなるほどです。
足元の小さな小さな植物に興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。
方丈記の再発見
『こころに響く『方丈記』~鴨長明さんの弾き語り~』 文/木村耕一 絵/黒澤葵 (市立・成人 914.42//18)
ゆく川の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず
よどみにうかぶ うたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし
世の中にある人と栖とまたかくのごとし
知らず 生まれ死ぬる人 いずかたより来りて いずかたへか去る
このような格調高く、美しい文章で始まる『方丈記』は、私にとって松本零士さん作:映画版《銀河鉄道999》で遠い宇宙のアンドロメダ星雲の中から味わい深いナレーターが流れ、銀河超特急999が汽笛を鳴らしながら力強く画面中央に迫ってくるオープニングと重なるものがあります。波乱にとんだ人生を歩んだ鴨長明が50歳過ぎに書いたこの作品は、仏教的な深い意味合いのある内容のものになっています。
溌剌元気軽快な 徒然草、枕草子と比べると、地味で暗いと評されることもあるようですが、それを本書は、堅苦しくならないように、きれいなイラストと写真付きで、とても分かりやすい文で語りかけてくるように書かれています。(巻末に原文すべて掲載されています)。
明治の文豪夏目漱石の小説や、昭和の詩人佐藤春夫に、また現代のアニメの巨匠宮崎駿の作品の世界観にも大きな影響を与えたと言われている『方丈記』の根底に流れるテーマは、「この世は無常なもの」というものです。方丈記の魅力的なテーマを分かりやすい文章とイラストで味わうことができて、京都方丈庵の写真も楽しめる一冊です。
謀反の理由
大河ドラマ「麒麟がくる」が始まりましたね。
明智光秀に関する本でも読もうと思いましたが、有名な小説はほぼ読んでしまい、光秀ゆかりの人に関する小説でもと探していると、この1冊を見つけました。
『桔梗の旗』 谷津矢車/著 潮出版社 (市立・成人 913.6/ヤツ/19)
光秀が主人公かと思いきや、光秀の息子である光慶が主人公です。
武功をあげ、光秀の力になりたいにもかかわらず、父からは茶の道や詩歌に励むように言われ、信長にもなかなかお目通りかなわず、歯がゆい思いをする光慶。
しかし、父には別の思惑があり・・・。
なぜ本能寺の変が起きたのか、今までにない理由で驚かされます。
他にも、『明智光秀の足跡をたどる旅』 「明智光秀の足跡をたどる旅」製作委員会/著 東京ニュース通信社,講談社 (市立・成人 289/アケ/19)を一緒に読むと、光秀になったつもりで、より一層楽しめます。
特撮ってやっぱりいいですね
ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン、スーパー戦隊はもちろん、オカルトから牙狼まで多彩な特撮作品を集めたこの1冊!
この作品子どもの頃映画館で見たなー、とか、懐かしさも感じつつ読みました。普段なかなかピックアップされることがないけれど、特撮に欠かせない造形やデザイナー、特殊メイクの方々が語る、今だからこその裏話など、読みごたえもあって、あっという間に時間が過ぎていました。見ていた当時はあまり意識していなかった、脚本や特技監督といったスタッフさんが作品紹介と一緒に載せてもらっており、この特技監督さんこの作品にも関わってたんだ、と新たな発見もあり、また色々と作品が見たくなる1冊でした。
もちろん図書館には昭和時代の作品を集めた本もあります。手に取ってみると懐かしい思い出と出会えるかもしれません。
たいようのすむところ
『たいようのきゅうでん』 三輪 滋/著 (市立・児童 P/ミ/14)
図書館で働いていると、ふと手に取った絵本が子供のころに読んだ絵本だったということがたまにあります。タイトルも内容もほとんど覚えていなかったのに、絵を見た瞬間、あ!これ知ってる!という絵本に出会うととても嬉しく、夜寝る前に母に読み聞かせしてもらったなぁと懐かしく思い出し、その時の記憶がよみがえり温かな気持ちになります。
この『たいようのきゅうでん』も図書館で再会した一冊です。一人の旅人が、深い森の中で、大きな宮殿をみつけます。その宮殿の中には噴水があったり、とても大きなベッドがあったり。いったい誰が住んでいるんだろう?と旅人は不思議に思うのですが、なんとそこは太陽が住んでいる宮殿だったのです。旅人はお客としてこの宮殿に一晩泊めてもらい、雨宿りにきた星たちと、太陽が作ってくれた夕ご飯「すぱげってぃ」をごちそうになり、楽しい夜を過ごします。天井が割れて突然あらわれる太陽に驚いたこと、太陽がつくる美味しそうなスパゲッティがうらやましかったこと、太陽と旅人と雨宿りにきたたくさんの星たちがみんなで眠りにつく場面が大好きだったなぁと色々思い出し、また図書館でこの絵本に出会えることができて本当によかったと思いました。
独特な構図と色合いの絵や楽しそうな太陽や星たちの表情、太陽が宮殿に住んでいて人間のように暮らしているというユニークな設定など、大人になってもおもしろい!と思える絵本です。ぜひ読んでみてください。
お寺の掲示板
お寺の掲示板?
お寺の門前に設置されている掲示板についての私の印象は、そういえば見たことあるような気がするが、なんて書いてあったかな~、お知らせみたいなものではなかったかな~、という程度でした。
この本は、お寺の掲示板の言葉(写真)と僧侶でもある著者の解説が掲載された本です。「深い!」「うまい!」「あの人の、あの言葉」の3つに分けられて掲載されています。
まえがきには、「掲示板のほとんどはそのお寺のご住職や関係者が書いており、お寺の住職が悩みぬいて書かれたものがほとんどです」と書かれています。
本を読んでいくと、一つ一つの掲示板の言葉に、人が生きていくうえでの助けとなるような考えさせられる言葉や、ユニークな言葉で仏教に触れてもらう言葉、そして有名人の名言やギャグなどが掲載された掲示板が紹介されています。
著者の解説を読むことで、その言葉の奥の深さを知ることができます。今年は、お寺の掲示板を注意して見ていただいてはどうでしょうか。
どんなプリンが好きですか?
よく熱を出した子どもの頃、決まって食べていたのはプリンでした。そのためかプリンには特別な思い入れがあります。
『プリン本』を見たとき、郷愁に誘われ思わず手にとってしまいました。出版社情報によると、かき氷やパフェなどのスイーツをテーマにしたガイドブックが数多く出版されているなかプリンをテーマにしたガイドブックは初とのことです。
東京の美味しいプリンをかたさ、あまさ、大きさとともに紹介。何気に食べられるものではないと知りつつ目が釘付けになりました。見ているだけでは満足できない方もご安心ください。
コンビニやスーパーの食べ比べチャートが掲載されておりこれなら気軽に食べ比べができます。お気に入りのプリンを見つけてみてはいかがでしょうか。
さらに、全国にご当地プリンが紹介されています。旅行の楽しみのひとつに加えてみるのもいいかもしれません。
そして究極はなんといっても手作り。好みのかたさやあまさにアレンジして、手軽にフライパンで作れる方法も紹介されています。
日本でのプリンの変遷も辿ることもできて、いろんな角度からプリンが楽しめる一冊です。
いつも心にユーモアを
『ことわざおじさん』 山口 タオ/著 下杉 正子/イラストレーション ポプラ社 (市立・成人 917//13)
解説によれば“ことわざおじさん”とは「ことわざのもじりを専門的に行うナイスミドル」のこと。
この本はことわざのパロディ集です。「負うた子に教えられる」「時は金なり」「逃げるが勝ち」などお馴染みのことわざ達が、プッと笑える姿になり、絶妙のイラストとともに登場します。どんな姿に変身するかは読んでのお楽しみ。あなたのツボを刺激することわざにもきっと出会えるはずです。
「MVP」を紹介します。
『365日のMVP Mie's Valuable Person』 株式会社伊勢新聞社/企画・編集 (市立・地域L280/19) 注:禁帯出の資料です。貸出はできません。
タイトルを聞いて、MVPを「Most Valuable Player(最優秀選手)」と思うかもしれませんが、ここでのMVPは「Mie's Valuable Person」すなわち三重県にゆかりのある頑張る人を意味します。
この本は、伊勢新聞で1年間連載された記事をまとめた本で題目通り「365人のMVP」を紹介しています。選考された人たちのジャンルは幅広く、みんなが知っている会社の社長さんや、テレビでも拝見する有名人、はたまた「こんなすごい人がいるんだ!」と思えるような新しい人など…様々な方にお会いすることができる1冊です。また、「三重県ってこんなに頑張っている人がいるんだ」とも思い、元気をもらえる本でもあります。
どんな人が掲載されているかは、是非とも読んで確認してみてください。