図書館スタッフおすすめ本
夢中になることの素敵さ
『さかなクンの一魚一会』 さかなクン/著・イラスト・題字 講談社 (市立・児童 289/サ/16)
魚のことについて知りたいと思ったときには「さかなクン」の著書がお薦めです。さかなクンは、それぞれの魚に関する知識にその魚の魅力を含めて伝えてくれます。彼のイラスト画もチャーミングで、知らない間にその魚を好きになってしまいます。
でも、この本は魚を紹介している本ではなく、さかなクンの自叙伝です。はたらく自動車を描くのが大好きだった幼い男の子が「さかなクン」へと成長していく様子が、様々なエピソードとともに描かれています。楽しく読み進める中で深く私の心に残ったのが、さかなクンのお母さんの子育ての姿勢です。かなり昔に子育てを終えた私にとって自責の念に駆られる思いがしました。子どもが発する個性的なエネルギーに戸惑いを感じているお母さんやお父さん、そして、学校の先生に、ぜひお薦めしたい一冊です。
技術用語は技術者たちの発想や問題解決のエッセンス
『再発見の発想法』 結城 浩/著 SBクリエィティブ株式会社 (市立・成人 007.0/21)
本書は「数学ガール」シリーズで有名な結城浩さんが技術本に着目して書いた発想法本です。
技術用語の背後には、技術者たちが長年培ってきた発想や問題解決のエッセンスが詰まっています。本書では、技術者たちの発想が分かりやすく理解できるように、ざっくり章で分け、シンプルな説明と日常で活かされている例が書かれています。
面白いと思ったのが第2章の投機的実行の項目。投機的実行とは、コンピュータのスピードを最適化する技法のひとつで、無駄になるかもしれないが実行することになりそうな処理を予測して実行する技法です。無駄になるかもしれないことをコンピュータにさせるなんてそれこそ無駄なんじゃないかなと思いつつ実際にパソコンで活かされているのは面白いと思いました。
日常生活にも投機的実行はたくさんあると書かれています。例えば、天気予報を見て傘を持っていくかどうかの判断。会議に臨むときに質問されそうなことを前もって回答を準備しておくなども投機的実行の考え方といいます。なるほどと思いながら読み終えました。もしかしたら日常生活に再発見があるかもと期待して過ごしています。
鈴鹿の山の山賊が出会った美しい女
本作を読み始めますと、中世の説話を思わせる設定のもとに、残酷な童話のような幻想世界が広がり出します。甘美にして異様な雰囲気が濃厚に立ちこめるのは、何と言っても満開の桜のイメージのおかげです。
何も恐れるものがない山賊の心に畏怖の念を呼び覚ます花の『魔性』によって、物語は鮮やかに染め上げられていきます。男の魂を奪った女は、ある恐ろしい「遊び」に興じます。その「遊び」はただ残酷な光景のみ想像してしまいそうなものですが、清潔感と静けさを具えた文体で描かれることにより、決して悪趣味になり過ぎることなく、妖艶な舞台芸術を観るような趣きで作品世界に入り込んでいくことができます。ひたすら女に尽くしながら心身を擦り減らしていく山賊を見ていますと、結局は死を介してでなければ真に触れ合うことのない男と女の孤独が迫ってくるようです。
私がとりわけ美しいと思うのがラストです。
夢幻の世界の深い余韻に浸らずはいられないことでしょう。
災害に備えて
『おうち備蓄と防災のアイデア帖 もしもに備えて』 島本 美由紀/著 パイインターナショナル (市立・成人 369.3/20)
いつ起こるかわからない災害に備えて、皆さんはどのような準備をしてますか。
最近、我が家では、新型コロナウイルスの影響もあって、防災への備えの意識が高まり防災グッズを買いそろえました。
いろいろと買いそろえる中で、防災食も購入したのですが、実際災害にあったときこれだけのの備蓄でいいのだろうかと不安に思っていました。
そんな時、目に留まったのが今回紹介する本です。新しいおうち備蓄の方法「ローリングストック」を中心にまとめた本です。
「ローリングストック」とは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、期限の近いものから日常的に食べ、食べた分を買い足していく循環備蓄のことです。食品ごとに保存期間や保存方法だけでなく、おすすめのレシピが掲載されていてとても役立つ内容が満載です。
災害への不安が少し和らぐと思います。ぜひ、一度手に取ってみていただければと思います。
不思議で楽しい妄想世界
『妄想科学小説』 赤瀬川 原平/著 河出書房新社 (市立・成人 913.6/アカ/15)
一冊の中にごく短い話がたくさん収められている、いわゆるショート・ショート集です。
妄想の名の通り、中身は奇妙でヘンテコなものばかり。現実の世界から斜めにズレたような発想がじわりと楽しい本です。
個人的には『日光仮面』がおすすめです。特に昭和を生きた方に。いろいろな意味で・・・。
疲れ、たまってませんか
『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』 梶本 修身/著 アスコム (市立・成人 498.3//19)
なんだか最近、疲れがとれない気がする。
毎晩ゆっくりお風呂に浸かって、夜更かしは極力しない、週1~2程度は適度な運動もして、休みの日はいつもよりちょっと長めに寝て身体の疲れをリセット!・・・してるはずなのに・・・。
どうにも疲労感がなくならない!
そんな時に目についたのがこの本『誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』でした。
表紙をめくると、まさに私の気持ちを見透かしたような言葉たちが書かれている。
読んでみると、疲労の原因から日々気をつけたいこと、寝る前の1分間ストレッチに、疲労回復レシピまで幅広く、そして分かりやすく書かれていました。
既に自分なりの疲労回復方法がある人もたくさんいると思いますが、まだ方法を模索中の方はちょっと参考にしてみてはいかがでしょうか。
同和教育の授業実践記録を読み解く
『差別・被差別を超える人権教育』 原田 彰/著 明石書店 (市立・人権同和 371.5//20)
「21世紀に部落問題を持ち越さない」
学校関係者はそう思いながら、長年にわたり、自らの実践を積み上げてきたと思います。
これは、部落出身かそうでないかという社会的立場を絶対化せずに、両側から部落問題に取り組むことを大切にしたある中学校の授業記録です。
これらの学習を通して、「自分自身のために取り組む部落問題学習」という思いに至った中学生の姿は素晴らしいものです。
「自分の内に潜む差別意識に気づこうとしているか」「他人事ですまそうとしていないか」
部落問題にかかわらず、自分自身を問い直すきっかけとなる1冊です。
みんなで地球の未来を考える
『未来を変える目標SDGsアイデアブック』 Think the Earth/編著 Think the Earth/出版 (市立・成人 333.8//20)
皆さんは“SDGs”という言葉を聞いたことがありますか?近頃はメディアで耳にすることも多くなったのではないでしょうか。
今回ご紹介する本は、その“SDGs”について述べられている本です。17個の目標についての解説が、分かりやすい数値と簡潔な文章をもとに書かれており、一つ一つの目標がそれぞれ見開き1ページで分かるようになっています。また解説の後には、世界や日本で実際に行われている事例が載っています。
私はそこで母子健康手帳が日本発祥のものであったこと、サステナブル・ラベルには色々なものがあることなどを知りました。また、この本には始めと終わりに漫画があったり、途中にもイラストが添えてあるのですが、それらがとてもユニークで魅力的です。
“SDGs”をまだよく知らない方にとっては知るきっかけに、知っている人には新しい発見のある1冊となるのではないでしょうか。
四日市市立図書館には2020年の3月に入った本ですが、他にも“SDGs”に関する本はたくさんあります。ぜひ皆さんが地球の未来について考えるきっかけになればいいなと思います。
コンパニオンプランツって?
『コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』 竹内 孝功/著 家の光協会 (成人・書庫 626.9//12)
コンパニオンプランツって?返却本を棚に戻しているときに見つけた初めて聞く名前。
どんな植物なんだろう??さっそく手にとって借りてみると、コンパニオンプランツとは「違う野菜を一緒に植えることで病害虫が発生しにくくなったり、お互いの生長を促す相性の良い組み合わせのこと」とのことでした。
例えば、トマトとバジルを一緒に植えると、バジルの香りがトマトの害虫を遠ざけ、トマトが夏の厳しい日差しをさえぎって、バジルの葉が柔らかくなるそう。他にも「ナスとパセリ」や「ゴーヤと長ネギ」「イチゴとニンニク」など、それぞれ一緒に植えると良い理由があって、なるほど、おもしろいなぁと思いました。
コロナ禍で、外出もままならないこの頃ですが、おうちでゆっくりと来年の春に植える野菜たちの計画を立てるのもいいかもしれません。
イメージはどこからやってくるのか?
『黙示録 イメージの源泉』 岡田温司/著 岩波書店 (市立・成人 193.8/14)
「海や地の底から大怪獣が現れる」「宇宙からの侵略者により人類は滅びようとしている。」
皆さんも一度はこのようなお話をご覧になったことがあるのではないでしょうか?
この本は黙示録という聞きなれない言葉をテーマに、私たちが見慣れた物語やイメージの源泉を明らかにし、それらがどのように利用され形を変え生き残ってきたのを教えてくれます。
シンプルに黙示録と呼ばれることも多い『ヨハネの黙示録』は聖書の最終章にあたる一篇であり、世界の終末と救済を主題としています。聖書の中でも、幻想的でドラマティックな出来事、個性的なキャラクターが多数登場する黙示録は特に多くの芸術家や文学者たちの想像力を刺激してきました。事実、地下から現れる怪物、悪魔やそれと戦う天使といったイメージは映画やアニメやマンガのモチーフとして好まれるなど、現代の文化にも影響を与えています。
ところで、黙示録に登場する悪魔や怪物たちは元々何を表現しているのでしょうか。これらのキャラクターは反キリスト、つまりキリスト教に反する者や敵対者のシンボルなのです。
歴史上、自分たちに都合の悪い人間に対し反キリストのレッテルをはる行為はしばしば見られますし、反キリストをユダヤ人やイスラム教徒の姿で表現する絵も多数描かれてきました。これらの作品には優れた傑作も数多くあります。それを認めつつも、著者はそこに異分子を排除しようとする思想が潜んでおり、恐ろしい世界の終末の際そこで救われる者、滅びる者の両者を描き出すことでそのような思想をいっそう助長する面があることを指摘しています。
この本の最後では、映画を中心に黙示録をモチーフにした、あるいは影響を受けた現代の芸術作品にも言及されています。
今もなお日常的なイメージのインスピレーションの源になる黙示録。
この本が私たちの身近なイメージの由来や意味を考えるきっかけになればと思います。