あたらしいこどもの本

あたらしくはいった本(令和3年11月up)

はっぱの色が赤や黄色になってきましたね。
すっかり秋です。
図書館では、たのしい本がみなさんをまっています。
「読書の秋」、たくさん読んでくださいね。



★えほん★



『めんぼうズ』
 かねこまき/作(Pカ)アリス館

 めんぼうが、むれをなして歩いていく様子を想像したことがありますか?
 ないですよね、ふつう。
 作者は、めんぼうの先をつまんで顔を作るというアートを
 しているそうです。めんぼう・・・


『ねむたくないせんにん』 
 ナカマサトシ/作(Pナ)佼成出版社
 せんにんむらにすむ、ねむたくないせんにん。
 おひるねせんにんからもらった、パジャマとふかふかのふとんが
 きもちよすぎで、ついあくびがでてしまいます。
 お昼寝前の読み聞かせにどうでしょう?


『そらをとびたい』
 山本直洋/写真 ちかぞう/文(Pヤ) 小学館

 かつて、空飛ぶ夢をよく見ました。
 ぐんぐん高くのぼり、地を見下ろして自由に飛び回る。
 気持ちが良すぎて、目をさますとがっくりでした。
 この本で、あの気持ちよさを思い出しました。
 空を飛ぶ夢をかなえてくれる写真絵本です。


『トトのかんぱい』 
 タカハシペチカ/文 すぎはらけいたろう/絵 (Pス) 至高社

  のみものをのむときに、いつでもだれかとかんぱい!
  それはえがをがつながるとき。トトはだれとかんぱいしたかな?
  あなたもきっとかんぱいしたくなるよ!


『おじさんのぼうしはどこいった?』 
  ジョアン・L・ノドセット/文 フリッツ・シーベル/絵 (Pシ) 出版ワークス

  おじさんのおきにいりのむぎわらぼうしは、ふるくてちゃいろのすてきなぼうし。
  あるひ、つよいかぜにふきとばされて、どこかへとんでいってしまいました。
  なやをさがし、とりごやをさがし、みんなにもきいてみたけれど…
  いったいどこへ?


『野ねずみきょうだいの草花あそび』
  相澤悦子/文 長谷川直子/絵 (Pハ) 福音館

  野ねずみたちが、木の実や葉っぱをあつめて、作っているのは、
  落ち葉のハリネズミ、クリスマスツリー、花おり。
  とても楽しそう。どうやって作るのかな?
  さいごのページに、作り方と、写真もあります。やってみてね。


『うちのねこ』 
  高橋和江/作 (Pタ) アリス館

 さいしょはかみついたり、ひっかいたり、わたしをこわがるねこ。
  でも、ゆっくりなかよくなって…。
 「のらねこ」から「うちのねこ」になるまでのおはなし。


『キリンのなやみごと』『ペンギンのこまりごと』 
  ジョリ・ジョン/作 レイン・スミス/絵 (Pス) 化学同人

 キリンはくびがながいことをなやんでいます。
  ペンギンもいやなことばかりでこまっています。
 それなのに、だれもわかってくれません。
  でも、ほんとうにわるいことばかりなのかな…?


『秋』 
  かこさとし/作 (Pカ) 講談社

 からすのパンやさんやだるまちゃんシリーズなどで知られ、
  親しまれてきた、かこさとしさん。
 自身の戦争体験をもとに描いた未発表の紙芝居が見つかり、
  絵本として刊行されました。
 最初の原稿執筆が1953年、構想から68年、半世紀以上を経て、
  初めて世に出るオリジナル作品です。
 戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、いつまでも忘れずに、
  こどもたちに伝えようと、平和を願う、強い思いが込められています。
  子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、
  天国のかこさんからのおくりものです。


『ケイン、きょうもよろしくね!』 
  ソン ギョク、ペク ウンジュ/文 シン ドゥヒ/絵 (Pシ人権) 新日本出版社

 少女の、目が見えなくなっていくときに感じたこと。
  同じように見えない人の感じていること。
 両方を知って、少女が決断したときの笑顔がすてきです。
  目が不自由な人がもつ白い杖のことを、
 韓国ではケインと呼ぶこともあるそうです。



★ちしきの本★



『しらべるちがいのずかん』 
 おあかべたかし/文 やまでたかし/写真 (013) 東京書籍

 にているようで、ぜんぜんちがう。
  たとえば、卵(たまご)と玉子(たまご)のちがいって?
 大人でもおもわず「へえ~」と言ってしまうような
  ちがいがたくさんあります。


『いつの間にか覚えてる!世界の国が好きになる国旗図鑑』 
  小林知之/著(288) 太田出版

 こんなにカラフルで、こんなにそっくりの国旗があって、
  こんなに思いのこもっている国旗たちを知りませんでした。
 国旗同士の会話も面白いです。
  いろんな国のことを、まるで友だちのように感じられるようになるかも。


『夢のねだん図鑑』
  (337) KANZEN

  こんな仕事をしたい。こんなこと、できるようになりたい。
  そんな夢がどうやったらかなうのかが、リアルにわかります。
  そして、大人にならなくてもかなう夢、あります!


『世界のグルメ図鑑』
 (383)学研

 思わずよだれが出てしまいそうな世界のグルメがいっぱい!
 ガレット、パエリアはみんな知ってるかな。
  じゃあ、シュバイネコテレットは?
 名前はむずかしいけど、おいしそう。


『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』 
  前川佳代/著 宍戸香美/著 (383) かもがわ出版

 『枕草子』や『源氏物語』が書かれた平安時代。
  フルーツ、かき氷、スナック菓子…
 いつの時代もスイーツ大好き!レシピもあります。


『妖怪がやってくる』 
  佐々木高弘 (388) 岩波書店

 妖怪はどこにいる?どこからやってくる?
  古い本を調べていくと、まるで人間のように道を通ってくる
 様子が見えてきた。
  妖怪のイメージが変わるかもしれません。


『世界のことわざ ものの見方が変わる!』
  (388) ナツメ社

 日本だけじゃなくて、世界にはことわざがいっぱい。
 勇気がでることわざ、おもしろいことわざ、こわいことわざ。
 日本とよく似ていることわざもあります。
 いろいろな国の情報もいっぱい。世界旅行のつもりで読んでみてね。


『まちのナニコレ?図鑑』
  (510) 小学館

  まちなかでよく見るナニコレ?なモノの名前やはたらきを紹介する図鑑です。
  また、駅舎やマンホールなどよく知っているモノでも、
  全国ではいろんなバリエーションがあることを紹介します。
  クイズもありますよ。


『無駄なマシーンを発明しよう!』
  藤原麻里菜/著 (540) 技術評論社

  無駄は、悪くない。「こうしたら面白いかも」と思ったそのままを、
  いろいろ楽しみながら作ってみればだれでもエンジニア!
 『魔改造の夜』みたいなの、考えてみようかな。
  でも、「プリンを守るマシーン」は無駄じゃないじゃん!


『ヘンテコおりがみ』
  笹川勇/著 (754) 主婦の友社

  おりがみがそんなに好きじゃない人も作りたくなる!
 「あっかんべーの口」「ふっきん運動」「恐怖の貝」
 「おしりをぷりぷり動かす人」「回るうんこ」「押したらヤバそうなボタン」
 ほかにもヘンテコいろいろあります。

 

 

★よみもの★



『プンスカジャム』 
  くどうれいん/作 (Fク) 福音館書店

  どっしん!どっしん!どすどすどす!
  おこったハルくんの目のまえにあらわれたのはふしぎなパン屋さん。
  プンスカおこった気もちをジャムにするという。
  大きなおなべでぐつぐつと…、どんなジャムができあがる?低学年から


『くしゃみおじさん』 
  オルガ・カブラル/作 (933カフ) 岩波書店

 ヒャッッックション!ハッッックチン!ハッッップショーイ!
 おじさんの大きくてへんなくしゃみのせいで、
  あれれ?どうぶつも子どもも、みんなへんてこな、かっこうになっちゃった。
 どうしたらもとどおりになるのかな?
  くしゃみの音も楽しい、元気でゆかいな物語。低学年から


『あくたれラルフおなかをこわす』『あくたれラルフコンテストにでる』
 ジャック・ガントス/作 (933カン) 大日本図書

 一冊は「あくたれ」というなまえがぴったりのねこのラルフが、
 生ごみのバケツの中のものをたべて、おなかがいたくなる話。
 もう一冊は、ラルフがいとこのパーシーにかって、
  ねこのいちばんになるために、コンテストにでる話。
  絵本でにんきのわるいねこラルフが、よみものになりました。低学年から


『みんなのためいき図鑑』 
  村上しいこ/作 (Fム) 童心社

 は~あ。フーウ。みんなはどんなときにためいきをつきますか?
 うれいしいためいき、かなしいためいき…
  いろんなためいきがあっておもしろい。中学年から


『お話のたきぎをあつめる人』 
  ローレンティンン妃&パウル・ヴァン・ローン/作 (949ロレ) 徳間書店

 だれも住んでいないお城の暖炉に、週一回たきぎをくべに行くおじいちゃん。
  そこには「お話の図書館」があるらしい。
 入るためのドアはどこ?正しいドアはどれ?
  そこで読んだお話はステラにとっても、
  ステラが語るのを聞いた村の人にとっても、日々の楽しみ。
 でもある日、急に何もお話が出てこなくなったのは、だれかののろい?中学年から


『黄色い夏の日』
  高楼方子/作 (Fタ) 福音館書店

  中学一年の夏、景介がおばあちゃんの友だち小谷津さんの洋館でであった
 「ゆりあ」と、となりにすむ「やや子」。
  どこかおかしいと思いながらも、ふたりに強くひかれていく景介。
  何も気づいていない小谷津さん、景介のようすを心配する幼なじみの晶子。
  夏の庭にまよいこんでしまいそうな、美しいファンタジー。10代から

 


 

【児童室でおもうこと】本を読まない子は、本が嫌い?

 【休校中のみんなへ 図書館で出会った本たち】に、
子どものころあまり本を読んでいませんと書きました。
でも、本が嫌いだったわけでもないのです。

 子どものころ、人見知りで、ひとりでいることが多かった私。
小学校でも、みんなと一緒に遊ぶより、図書室で過ごしている方が
好きでした。でも本を読むためというより、すみっこでそっと過ごす、
避難所のようにしていた気がします。


 覚えているのは『こまったさん』シリーズ、木暮正夫の『熟語の話』
シリーズ。おはなしも楽しいし、料理のことや言葉のこと、
何か新しいことを知るのが好きだったのかもしれません。


 あ、『ふーことユーレイ』シリーズも好きでした。読んだのは高学年ぐらい。
会いたいけれど会えない、お互いに好きだけどうまくいかない、少女漫画みたいな
おはなしです。今でも表紙を見ただけで、胸がキュッとしてしまいます。


 最終巻『ユーレイ♥ラブソングは永遠に』は大人になってから読みました。
ユーレイの和夫(かずお)のことをわすれてしまったふーこが、
和夫のことを思い出し、二人がもう一度会えたのは、
火事でふーこの命が燃え尽きようとしていた時。そして、まさかのラスト!
ここで終わるのかと衝撃を受けました。
ハッピーエンドか、バットエンドかは、ひ・み・つ。


 それから、小学校で斡旋販売していた課題図書。とにかく自分だけの物が
欲しくて、ここぞとばかりにねだっていました。3年生ぐらいの時に
買ってもらった『こひつじクロ』は、今でも棚にある大切な本。


 主人公は、まっしろな羊たちの中で、一匹だけまっくろで、自分も
まっしろがよかったなと思っているクロ。でも、羊飼いのおじいさんは
「そのままがいい」と言ってくれます。
こんなふうに、そのままの自分を受け入れてもらえたら、そして、
受け入れられる人になれたらいいなと思います。


 思い返すと、私の近くには、いつも本がありました。気が向けば
いつでも本を手にとれる、そんな子ども時代でした。だから今は、
本が近くにないと落ち着かないぐらい、本が好きになったのかもしれません。


 児童室にいると、大人の人から「もっと本を読ませるには、
どうしたらいいですか」と時々聞かれます。本を読んで欲しいのは、
なぜですか?本を好きに「なるべき」でしょうか?
読んで欲しいと思っているあなたは、本が好きですか?


 子どもも大人も同じです。とりあえず、いつもそばに本があるだけで
大丈夫!読んでも読まなくても大丈夫! 本とのつきあい方は人それぞれ。


 私の大好きな絵本『ぼちぼちいこか』のように、ぼちぼちと
本と付き合っていきましょう。(い)


『こまったさん』シリーズ 寺村 輝夫/作(Fテ) あかね書房
『熟語の話』シリーズ 木暮 正夫/文(814) 岩崎書店 ※あさけのみ所蔵
『ユーレイ♥ラブソングは永遠に』ふーことユーレイシリーズ
  名木田 恵子/作(Fナ 児庫) ポプラ社 ※シリーズ抜けあり
『こひつじクロ』エリザベス・ショー/作・絵(93 児庫) 岩崎書店
『ぼちぼちいこか』マイク=セイラー/作 ロバート=グロスマン/絵(Pク) 偕成社

[児童室でおもうこと] あるある「わるい子」絵本!


 わたしが「すきな本は?」ときかれたとき、
ついえらんでしまうのは、
「わるいなぁ」という主人公(しゅじんこう)がでてくる話。
「わるい子 」がでてくるとワクワクするのは、なぜ?


 さいしょの「ワル」は、セイラのかっているいたずらネコのラルフ。
家族で見に行ったサーカスで、となりの席のイヌに風船を
つけてとばしてしまい、空中ブランコにのって、
つなわたりしている人をつきとばします。
 そのあと、ウマにとびのり、曲芸(きょくげい)の人をつきおとし、
ゾウたちをおどかしたりと、やりたいほうだい。
 おこったお父さんは、ラルフをサーカスにおきざりにしてしまいます。
ラルフにはシリーズがありますが、どれを読んでもわるいヤツ!


  
 「わるい子」の絵本は、ほかにもいっぱい。
いつも「いやだ」しかいわないイヤイヤ期のルルちゃん。
なんでもカンガルーのぬいぐるみのせいにするリリー。
髪の毛をひっぱったり、どなったりおどかしたりする、いじわるなブッチー。
おふろのお湯をあふれさせて遊び、家の中で野球をする、デイビッド。
「オオカミだ!」と何回もウソをついて、みんなをおどろかせるシモン。
 また、『よいこへの道』は学校の花だんを温泉にしたり、理科室にしのびこんで
ポップコーンを作ったりと、「やってはいけない事」をたくさん教えてくれます。


 
 そして、「せかいでいちばんおぞましいおとこのこ」エドワルド。
いつもなにかをけっとばし、小さい子にいじわるをする。
ひと月も、はみがきもせず、かおもあらわない。
やかましくて、らんぼうで、だらしなくて、きたなくて、みんなのきらわれもの。
 
 
 
 わるいことをすると、ほめられる話もあります。
かいじゅうのようちえんでは、絵の具のびんをなげ、
まわりをべたべたにしたり、うたやダンスのじかんに、
どなったりさわいだりしてみんなをこわがらせると、
ほめられて「☆ワッペン」がもらえます。
かいじゅうのようちえん、うらやましい! (の)

 



『あくたれラルフ』『あくたれラルフのたんじょうび』
『あくたれラルフのハロウィン』『あくたれラルフのクリスマス』
ジャック・ガントス/文 ニコール・ルーベル/絵 (Pル) 童話館出版
『いやだいやだ』せなけいこ/作 (Pセ) 福音館書店
『ブルーカンガルーがやったのよ』エマ・チチェスター・クラーク/作 (Pク) 評論社
『いじわるブッチー』バーバラ・ボットナー/文 ペギー・ラスマン/絵 (Pラ) 徳間書店
『だめよ、デイビッド!』デイビッド・シャノン/作 (Pシ) 評論社
『あっ、オオカミだ!』ステファニー・ブレイク/作 (Pフ) あすなろ書房
『よいこへの道』おかべりか/作 (Pオ) 福音館書店
『エドワルド』ジョン・バーニングガム/作 (Pハ) ほるぷ出版
『いたずらビリーとほしワッペン』パット・ハッチンス/作 (Pハ) 偕成社


 絵本ではありませんが、次々に笑っちゃういたずらをくり出す、
ロッタちゃんのお話
『ちいさいロッタちゃん』『ロッタちゃんのひっこし』
(アストリッド・リンドグレーン/作 (949) 偕成社)も、
小さな人でも読みやすい本です。

【児童室でおもうこと】不自由な今だからこそ

 休館中、わたしが気になっているのは、10代の子たちがどのように過ごしているのか、ということ。

  「ティーンエイジャー」という言葉を知っていますか?「10代の若者」という意味です。
とくべつな言い方をするのは、その数年間がかけがえのない時間だからだと思います。
それなのに、部活ができない、友だちともあそべない…など、たくさんのイライラがつもることでしょう。

 そんな「ティーンエイジャー」に、もちろんそうでない人にも、少しでも気分が上がるような本を
紹介したいと思います!


①ファンタジーでいやな現実とおさらば! 『チャーリー・ボーンは真夜中に』
 ある日とつぜん、ふしぎな力を手に入れたら…。一度は考えたこと、ありますよね?
 主人公のチャーリーは、ふしぎな力をもつ子どもがあつまる学校に入ります。
 そこでおこる事件とは…!?

②恋バナ大好き!なあなたへ 『ラブ・レッスンズ』
 だれが好き、とかが気になるお年ごろのみなさん。
 ジャクリーン・ウィルソンの本は、女の子のリアルな恋愛もようがかかれています。
 イマドキの恋愛小説とは少しちがうかもしれませんが、しっかりしたお話を読みたい人におすすめです。

③さらっと爽快ミステリー 『IQ探偵ムー』シリーズ
 元(げん)のクラスにひっこしてきた夢羽(むう)は、美少女だけどふしぎな女の子。
 とても頭がよくて、どんななぞもすぐに解決!ミステリー入門のようなシリーズです。

④有名作家さんが気になったら 『ステップファザー・ステップ』
 双子の男の子(両親が家出中!)と、どろぼうの一つ屋根の下、へんてこ生活が始まります。
 宮部みゆきさんは大人向けの本を書いていますが、心配はいりません。
 気に入ったら、『ブレイブ・ストーリー』や『ドリームバスター』も読んでみて!

⑤だれにでも悩みはあります 『拝啓パンクスノットデッドさま』
 まず目を引くのが表紙のショッキングピンク。楽しいバンドのお話なのかな、
 と思ったら「パンク」とヘビーな「家庭事情」。
 悩める10代にはとても身近に感じられるのではないでしょうか。
 読んだ後はスッキリしているはず!




 いかがでしたか?おうち時間に本を読みたいと思っている人、図書館が開いたら借りに来たいと思っている人
など、たくさんの人の「読みたい!」につながりますように。(し)



『チャーリー・ボーンは真夜中に』  ジェニー・ニモ/作(933ニ)  徳間書店
『ラブ・レッスンズ』  ジャクリーン・ウィルソン/作(933ウ)  理論社
『IQ探偵ムー』シリーズ  深沢美潮/作(Fフ文庫)  ポプラ社
『ステップファザー・ステップ』(青い鳥文庫)  宮部みゆき/作(Fミ児庫)  講談社
『ブレイブ・ストーリー』  宮部みゆき/作(Fミ児庫)  角川文庫
『ドリームバスター』  宮部みゆき/作(913.6ミヤ成人書庫)  徳間書店
『拝啓パンクスノットデッドさま』  石川宏千花/作(Fイ)  くもん出版

【児童室でおもうこと】子どもとおとな、いっしょに読む

 平成のはじめのころまで、電車に乗るときはキップという小さな紙を買う必要がありました。
そして、そのキップを駅員さんに、はさみでパチンと切ってもらってから駅の中へ入って
電車に乗り、駅を出るときはそのキップを駅員さんに渡します。
ですから、キップをなくすと駅から出られなくなります。『キップをなくして』は、そんな時代の物語です。


 キップをなくした子どもたちは「駅の子」になり、電車に乗って通学する普通の子どもたちを守る仕事につきます。
主人公のイタルもキップをなくして駅から出られなくなり、同じように「駅の子」となった8歳から14歳くらいの
子どもたちとともに、東京駅で生活していくことになりました。
「駅の子」となった子どもたちは家には帰れず、駅員さんと一緒に寝泊まりし、食事をします。
電車は乗り放題。そして仕事さえ終えれば、自由な時間が与えられます。


 いろいろな個性の子どもたちが登場するのですが、ある日、食事をしない小さな女の子“ミンちゃん”が
「わたし、死んだ子なの」と話しました。ここから、この物語は新たな展開を迎えていくことになります。


 著者の池澤夏樹は、理系の大学で物理学を専攻した小説家です。

多分そのために、彼の作品の多くは独特の科学的な視点で描かれています。
人は死んだらどうなるかということについては、あまり科学的ではないかもしれませんが、
作品の中で何人かが語る死後の世界は、自分の家族やペット、身近な人を亡くした人にとっては、
大きな安らぎを与えてくれます。宇宙全体まで範囲を広げる語りに、ぐんぐん引き込まれます。


 この物語の終盤では、「駅の子」が過ごす魅力いっぱいの夏休みの旅も描かれます。
夏が終わった今の時期の小学生や中学生、かつて子どもだった人にとっては、かなり心に響く一冊です。(西)


『キップをなくして』 池澤夏樹/著(Fイ) 角川書店


 

【児童室でおもうこと】育児中のみなさんへ

 この一年半、おうち時間が増え、お子さんへの読み聞かせの時間が増えたという方も
いらっしゃるのではないでしょうか?

 育児中には、私も毎晩絵本の読み聞かせをしていましたが、自分自身が
読み聞かせによって救われたと感じたことが何度もありました。

 
 地元を離れ、初めての土地で初めての子育てをしていた私は、早くその土地になじもうと
方言を封印したせいか、ストレスがたまる一方。子どもは、毎日毎日同じ本を持ってきては
「読んで!」という時期。(あるあるですよね。)「またこれか…」と少々嫌気がさしてきた私は、
「それじゃあ、いっそのこと」と、あろうことか文章を全部故郷の方言に換えて読み聞かせしたのです。
 すると、字はまだ読めなくても毎日聞いていてストーリーを覚えている子どもは
「そんなこと、どこにも書いていない!」と言いながらも、私が意気揚々と読むからでしょうか、
大笑い!大喜び!
 二人して笑い転げながら、読み終えたときには心がすっきり解放されていたのを覚えています。

 またある夜は、子どもをしかりつけた後のこと。
 しかられたのに、子どもはいつものルーティンで本を持ってくるのです。
 私は怒った気持ちのままページをめくりました。ところが、そんな波打った気持ちのままでは
ぜんぜん絵本が読めないのです。
 なんとか気を取り直して読み始めると、今度はあっという間に気持ちは本の中へ。
読み終わった頃には、心も子どもとの関係も元通り。本当に、本に助けられたと思いました。


 そんなこんながいろいろあり、子どものためと思っていた読み聞かせが、
実は自分自身のためでもあったのだと、今、つくづく思い返します。

 小さいお子さんがいらっしゃるみなさん!
 お子さんの好きな本でも、ご自身の好きな本でも、図書館で見つけた本でも
(開館まではもうしばらくお待ちを)おうち時間にぜひぜひ絵本を活用してみてくださいね。


 ちなみに当時子どもがはまり、私たち親子を笑わせることとなった絵本は
『しんせつなともだち』です。くりかえしの心やさしいおはなしで、どこにも笑いの要素はありません。
叱った後に読んだ絵本は…『まゆとりゅう』だったような気がします。(ま)

『しんせつなともだち』方軼羣/作(Pムとも) 福音館書店
『まゆとりゅう』富安陽子/作(Pトとも)福音館書店 

【児童室でおもうこと】本の思い出、母に聞いてみた!

 図書館ではたらいている私が本に親しむきっかけを作ってくれたのは、母です。
 『ムギと王さま』(エリナー・ファージョン/作)のさし絵の中で、少女(?)が
  本に囲まれている姿が自分のような気がした、と母からよく聞かされました。
  母がどうしてそんなに本が好きだったのか知りたくて、インタビューしてみました!


Q.1 どうしてそんなに本を読んでいたの?

 一人っ子で、両親がはたらいていたので、一人ですごすことが多く、本が友達でした。
 あまり本を買ってもらえなかったので、小学生の頃から、朝、図書室で借りて、
 下校までに読み終わって、また新しい本を借りて帰っていました。


Q.2 どんな本を特に覚えていますか?

  『岩波少年少女名作全集』という全集で海外の作品にふれて、世界が広がったような気がしました。
 その中では、『シェイクスピア物語』とか『ジェーン・アダムスの生涯』という伝記や
 『ツバメ号の伝書バト』などが心に残っています。『ムギと王さま』もこのシリーズでした。


Q.3 さびしかったり、落ち込んだ時に、心の支えになった本はありますか?

  『あらしの前』『あらしのあと』『銀のスケート』の3作品です。
  『あらしの前』という作品は、オランダを舞台にした家族の物語です。
   あらしとは、第二次世界大戦のことで、ドイツ軍が攻めてくるまでの楽しい家族の日々が書かれています。
 
  続編の『あらしのあと』は、『あらしの前』から6年後、終戦後1年たち、
  戦争がどう人を変えてしまったのかを描いています。つらい毎日を送った
  子どもたちが悲しみを乗り越えようと、とまどいながらも前に進み始めていく物語です。
 『銀のスケート』は、貧しい兄妹が、記憶をなくしたお父さんを助け、はげまし合って生きていくお話です。

 
 どの作品も、ハラハラドキドキするようなぼうけんのお話ではないけれど、
 読むと、なぜか心が落ち着くところがいいと思います。
 つらいことを家族が助け合って、乗り越えていくお話はいいですね。

 
今回、母にインタビューをしてみて、親子で本について語り合うことの楽しさに改めて気づきました。
 みなさんのおうちでもぜひ、家族で話してみてはいかがですか?(か)

 

『岩波少年少女名作全集』(908)岩波書店 1961年~1962年刊
※新しい版で読めます。『シェイクスピア物語』(93)岩波書店
           『ツバメ号の伝書バト上・下』(933ラン)岩波書店
           『ムギと王さま』(933フ)岩波書店


『あらしの前』『あらしのあと』ドラ・ド・ヨング/作(933ヨ)岩波書店
『ハンス・ブリンカー 銀のスケート 上・下巻』メリー・メイプス・ドッジ/作 (93)岩波書店



 

【休校中のみんなへ】読書=想像力

 
 いま、学校の友達と遊べない、楽しみにしていた行事がなくなった、
なぜ自分たちだけこんな目にあうのか、など、さびしさ、不安、不満に
思っている人も多いことと思います。
ここは気分を切りかえて、休校中の間にいろんな本と出会ってみませんか?


 私は、小さいころ、家族がいそがしかったので、読みきかせをしてもらった
おぼえがあまりありません。でも、本を読むのが好きだったので、『ぐるんぱのようちえん』や
『三びきのやぎのがらがらどん』などの絵本を、一人でよく読んでいました。
小学校に入ってからも、多くの時間を図書室の中ですごしました。


 ある時から、特に、戦争や平和について書いてある本に興味がわくようになりました。
きっかけの一つが、小学校3年生の教科書にのっていた『ちいちゃんのかげおくり』です。
「戦争」「死」に初めてふれた作品で、心にとても残っています。


 それからは、『はだしのゲン』や『白い町ヒロシマ』など、戦争中の日本の子どもたちの
様子が書かれている作品のほか、『テレジンの小さな画家たち』などの、第二次世界大戦中の
他の国の子どもたちを書いた作品なども読むようになりました。


 大人になって読んだ本の中では、日本・中国・韓国の絵本作家たちが、国を超え、
交流を重ねながら、平和と戦争について、命について、さまざまな視点からえがいた
「日・中・韓 平和絵本」シリーズが心に残っています。
 おたがいの悪いことばかりを見て争うのではなく、みんなが手を取り合って仲良くして
いくためにはどうしたらいいのか。絵本を通して考えてみてほしいと思います。


9/3の新聞記事に、池上彰さんのこんな言葉が載っていました。「一番大切なのは、想像力」。

本を読むことは、想像力を育てます。本を通して、国や世代に関係なく、おおぜいの人たちが、
悲しみやつらさ、さびしさを乗りこえて生きてきたことを、知り、感じてもらえたらうれしいです。
そして、図書館が再開したとき、すてきな笑顔のみなさんと出会えることを楽しみにしています。(か)
 
『ぐるんぱのようちえん』 西内ミナミ/文 堀内誠一/絵(Pホとも) 福音館書店
『三びきのやぎのがらがらどん』 マーシャ・ブラウン/文・絵(Pフ)福音館書店
『ちいちゃんのかげおくり』 あまんきみこ/文 上野紀子/絵(Pウ)あかね書房
『はだしのゲン』 中沢啓治/作(726まんが)汐文社 全10巻
『白い町ヒロシマ』 木村靖子/作(Fキ) 金の星社
『テレジンの小さな画家たち』 野村路子/著(916) 偕成社
『日・中・韓平和絵本』シリーズ 童心社 全10巻

【休校中のみんなへ】図書館で出会った本たち

 図書館でお仕事をしているけれど、実はわたし、子どものころにあまり本を読んでいません。
 そのかわり、図書館ではじめて出会った本がたくさんあります。
 その中で、わたしが好きな本を少し紹介しますね。

 
 まずは絵本をいくつか。
 もっと秋らしくなったら読みたい『わたしのクマさんに』。
 灯台に住み、その光を守り続けるお仕事をしている『灯台守のバーディ』。
 いじめられっ子が自分だけの国を作り、どんどん広がっていく夏休みのおはなし『ウェズレーの国』。
 むかしのアメリカで、西から東まで長い旅をする『走れ!!機関車』。
 どれもちょっと長めの絵本です。じっくりと絵を見て、物語を楽しんでほしいなと思います。


 そして、タイトルは知っているけど読んだことのない、長い物語にもチャレンジするようになりました。
 読むまで知らなかったことがたくさん!
 例えば…『オズの魔法使い』に出てくる小人の名前を知っていますか?
 『ハイジ』が病気になってしまったのはなぜ?
 『赤毛のアン』には続きがあります。シリーズは全部で何冊?
 『はてしない物語』で主人公が読んでいる本はどこにある?
 読んだ人はわかるはず。どれも300ページ以上の長い物語です。
 読み終わるとやりきった感もあるし、ひとつ大人になった気持ちになれますよ。

 
 まだまだわたしには、知らない本、読んだことのない本がたくさんあります。
 図書館には古い本も、新しい本もたくさんあるので、
気になる本はどんどん手にとってみたいです。
 無料で読めるのが、図書館のいいところでもありますからね。
 これからの出会いが楽しみです。
 みんなも大好きな一冊に出会えますように。(い)



『わたしのクマさんに』 デニス・ハシュレイ/文 ジム・ラマルシェ/絵(Pラ) BL出版
『灯台守のバーディ』 デボラ・ホプキンソン/作  キンバリー・バルケン・ルート/絵(Pル)  BL出版
『ウェズレーの国』 ポール・フライシュマン/作  ケビン・ホークス/絵(児庫Pホ)  あすなろ書房
『走れ!!機関車』 ブライアン・フロッカ/作(Pフ) 偕成社 


『オズの魔法使い』 L・F・バウム/作(933ハウ全集名作) 福音館書店
『ハイジ』 J・シュピーリ/作(943スヒ全集名作)  福音館書店
『完訳 赤毛のアン』 L・M・モンゴメリー/作(933モ全集名作)   講談社
   ※全集名作コーナーに、いろいろな訳・出版社のものがあります。

『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ/作(943)  岩波書店

【休校中のみんなへ】ファンタジーはおもしろい!

 わたしが小学5年生の時、小学校の図書室で『ローワンと魔法の地図』という本に出会い、
「本っておもしろいんだ!」と感動したことをおぼえています。
(それまで本はほとんど読んだことがありませんでした。)

 それからたくさん図書室で本をかりて、とくに「冒険(ぼうけん)・魔女(まじょ)・妖精(ようせい)・魔法(まほう)」
といったファンタジーがすきでした。
 お気に入りは『七人の魔法使い』『魔女の宅急便』『七つの封印』などで、
外国の物語をよく読んでいました。実は、それは大人になった今もかわりません。
(わたしが「読みたい!」と思うオシャレな表紙や、かっこいいタイトルが多いのかも…?)

  「司書(ししょ)」という言葉を知ったのは、近くの図書館によく通っていた中学生の時です。
(「司書」とは、図書館ではたらくための資格をもった人のことです。)
 そのころから図書館ではたらくことにあこがれて、ラッキーなことに今はこうして司書としてはたらいています。

 図書館に来て一年もしないうちに児童室担当(じどうしつの仕事をする人)となりましたが、
それまで自分のすきな本だけ読んでいたので、むずかしそうな物語や、長いあいだ
愛されてきた物語についてぜんぜん知りませんでした。
 それでも約三年間、毎日たのしく本とふれ合ううちに、本についてたくさんのことをおぼえました。

 『魔法のカクテル』というゆうめいなお話を大人になってから読んで、思ったことがあります。
 それは、『はてしない物語』(とてもぶあつい本!)を小学6年生のわたしはとちゅうで
あきらめたけど、大人になって成長した今のわたしなら投げ出さずに読めるかも、ということです。

 だから、みんなもすきな時にすきな本を読めばいいし、その時読みたい本を
手にとればいいとわたしは思います。児童書は大人が読んでもとてもおもしろいので、
今はむずかしくて読めないと思っても、大人になってからぜひちょうせんしてほしいです。
 
 ちなみに『魔法のカクテル』は、わたしがすきな魔法も魔女もねこも出てくるので自分で買いました。
マウリツィオというまぬけなねこが出てきます。気が向いたら読んでみてください!(し)
 

おすすめのファンタジー
『ローワンと魔法の地図』  エミリー・ロッダ/作(933ロッ) あすなろ書房
『フェアリー・レルム』  エミリー・ロッダ/作(933ロ) 童心社                                   
『七つの封印』  カイ・マイヤー/作(943) ポプラ社
『魔女の宅急便』  角野栄子/作(Fカ) 福音館書店
『七人の魔法使い』  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(933ショ) 徳間書店
『ルナ・チャイルド』  ムーニー・ウィッチャー/作(973) 岩崎書店
『魔法のカクテル』  ミヒャエル・エンデ/作(943エン) 岩波書店
『はてしない物語』  ミヒャエル・エンデ/作(943エン) 岩波書店
『エルシーと魔法の一週間』  ケイ・ウマンスキー/作(933ウマ) 評論社