図書館スタッフおすすめ本

昆虫は、この星で大成功している生き物である

『昆虫戯画 びっくり雑学辞典』 丸山 宗利/文・じゅえき太郎/漫画 大泉書店 (市立・成人 移動 楠・成人 486.0//18)

 「えっ!」とおどろき、クスッと笑えてしまう昆虫の姿や生活を集めた本書。

 ちょっとマヌケに見えてしまうような生き方にも意味があって、笑いの中にも感心してしまう生き抜く術があります。例えばアリ。アリと聞くと、クロアリ、白アリぐらいしか知らなかったのですが、巣のフタ役をするヒラズオオアリ、幼虫に糸を吐かせて巣を作るツムギアリ、見方を守るために捨て身の技があるバクダンオオアリと一括りにアリといっても個性豊かな生存方法があるのだと、「えっ!」とおどろきクスッと学べます。他にも、今が旬の蚊。蚊のメスが人間の血を吸うことはよく知られたことですが、ではオスは何を食しているのでしょうか。なんと花のミツ。なぜなのかは本書を探してみてください。


 昆虫の辞典と聞くと生々しい写真を連想すると思いますが、本書ではカラーイラスト。それも、ゆるんだ表情に昆虫たちの特徴をとらえた一コマが描かれています。パラパラとイラストをめくるだけでも楽しく学べる一冊となっています。


 

お休みの日は全力で手を抜きたい

『休日が楽しみになる昼ごはん』 小田 真規子/著 文響社 (移動・成人 596//18)


 お休みの日、自然に目覚めたら11時、なんてことありませんか?わたしはとてもよくあります。よく寝てすっきりした頭で起き上がり、ごはんを欲しがりまとわりつく猫にカリカリのエサとたっぷりのお水を補給。自分もコップ一杯の水をごくごくと。このルーティンが終わったら「さて、なにを食べよう?」と、うきうきした気持ちになります。遅めの朝ごはんでもあるし、早めお昼ごはんでもある、大事なお休みの最初のごはん。思い切り手を抜きたいけど、平日とは違った特別なものがいい。

 この本はそんな時にぴったりです。ずぼらな著者さんのおかげで作り方はとっても簡単。なのに、「こんな組み合わせ方があったのか!」という脱帽なレシピがたくさん載っています。お休みの日はついついいい加減になってしまいがちだけど、ほんの少しアレンジするだけで充実した食卓になります。

 ちなみにこの本に載っていたずぼらな裏ワザをご紹介。冷凍うどんは、電子レンジで3分ほどあたためればオッケーです。わたしは今まで律儀にお鍋にお湯を沸くまで待って、冷凍うどんがほぐれるまであたためていました。それがなかなか時間がかかり、手間でめんどうでした。この著者さんはそこまでも簡略化してしまうなんて!わたしは結婚してから料理を作るようになり、つまり今まで全くしてこなかったわけで、野菜の切り方、大匙小さじさえよくわからなかったのです。そこで読み込んだのがいろんなレシピ本。和食は和食でたくさんのレシピ本があるのですが、とにかく初心者なので、レシピ本に書いてあるとおりにしか作れませんでした。だけど、そろそろ自分なりにアレンジしたり簡略化できるようになりたい。この本はそんなときにもぴったりです。
 
 ほどよく肩の力を抜いて休日のお昼ごはんを楽しみたい方、ぜひおすすめです。

飼い猫を守ろう

『どんな災害でもネコといっしょ』 徳田 竜之介/監修 小学館 (市立・成人 645.6//18)


 我が家には猫がいます。仕事で疲れて帰っても、玄関の扉を開けると「にゃー(おかえりー)」と迎えてくれるだけで、疲れなんて吹き飛びます。そんな家族のように大切な猫、飼っているからにはどんな時でも守る責任がありますよね。


 さて、みなさんは地震等の大きな災害が起きた時に、飼い猫をどうしたら良いか考えたことがありますか。一緒に避難所へ連れて行く?ある程度安全であれば家に置いていく?この本には、災害から猫を守るためにどんな事前準備が必要なのか、災害が起きたらどうしたら良いのかが写真やイラストを使って分かりやすく説明されています。また、記憶に新しい東日本大震災や熊本地震の体験者の声もたくさん掲載されており、実際に猫たちがどんな様子だったのか想像できます。ちなみに「我が家では犬を飼っているんだけど・・・」という方もいるかと思います。その際は、『どんな災害でもイヌといっしょ』 徳田 竜之介/監修 小学館 (市立・成人 645.6//18)も当図書館にて所蔵しておりますので、是非ご覧ください。


 大切な犬や猫を災害から守るために、ちょっと勉強してみませんか。

沖縄人として日本人を生きる

 『沖縄人として日本人を生きる』 金城 馨 解放出版社 (市立・人権 302.1//19)

 大阪市大正区は住民の2割が沖縄出身と言われています。その地で「関西沖縄文庫」を主催する筆者は日本と沖縄、関西と沖縄のつながりを紹介しています。

 1879年の「琉球処分」後、さとうきびのモノカルチュア経済が浸透しました。1920年代の糖価暴落の後、沖縄からは大勢の人々が出稼ぎに出るようになりました。そして、彼らを「琉球人、朝鮮人お断り」の張り紙が迎えました。その後、帰りたくとも帰れない1世、永住を決める2,3世が脈々とこの地に住み読けています。1975年から同区ではエイサー祭り(沖縄の盆の行事)が若者を中心に行われています。このように、人々は時間をかけて「支えあって生きていくためのコミュニテイ、自己防衛の空間」を作り上げています。「「多文化共生」から「異和共生」へ」「マジョリティからの横暴は許さない」という筆者の姿勢は、現在の沖縄の基地問題についても一貫しています。

 最近、近くの木津川を渡る渡し船が、自転車で出勤するアジア系の若者であふれている二ユース映像を目にした際、全国各地で見られる「外国人」との共生の場面が目に浮かびました。(市立尼崎高校吹奏楽部はもう30年以上も前から沖縄県代表校の友情応援を行っていることはよく知られています。同校顧問は伊良部島出身)沖縄にルーツをもちながら、関西で暮らす人々の生活を通じ、他者との共生とは何かを考えさせてくれる一冊です。

たまにはおてがみでも

『おてがみデイズ』 竹村 真奈/編 ビー・エヌ・エヌ新社 (市立・書庫 589.7//09)

 図書館で本を棚に戻そうとした時、ふとその中に見覚えのあるイラストが目にとまりました。何だかとても懐かしい気分になり、本をめくってみました。その本には、手紙にまつわるお話が昭和レトロなグッズの写真とともにつづられていました。目にとまったイラストも、私が小学生のころ大事に引き出しにしまい、それっきりになっていた雑誌の付録のレターセットでした。気分は、いっきに小学生の頃にタイムスリップ。何の悩みもなく、のほほんと過ごしていた日々に逆戻りして、心はホンワカ気分に。

 付録だけでなく、ちょっと大人気分の一筆箋やはがきの写真も楽しめます。私のおすすめは、「ちょっとうれしい手づくり手紙」の中の「授業中にまわしたコソコソレターの折り方」。末尾にわかりやすくまとめられた手紙の書き方も、知っておくと役立ちそうです。

やさしさの薬

 『優しい人には優しい出来事がありますように。』
                              もくもくちゃん/著 ワニブックス (市立・成人 726.5/ /18)

 図書館で本を整理している時、真っ白な背景の中でにこにこしている動物達の表紙に引き付けられました。この本は1ページごとにメッセージと物語調の可愛いイラストが描いてあります。それぞれ短いため、どんどん読み進めていける内容となっています。

 生活していると、悩みや悲しいことと向き合っていかなければいけない時もあります。この本に出てくる言葉や絵が、少しでも皆さんを元気づけてくれればいいなと思います。ぜひ手に取って、優しさいっぱいの世界観を体験してきてください。

油揚げ大好き!

 『愛しの油揚げ おかずにおつまみに簡単レシピ80』
                                 高橋良枝/著 文藝春秋 (市立・成人 596.3/ /16)

 子どもの頃、私はお豆腐があまり得意ではありませんでした。何だか味がない食べ物だなあと思っていたのです。冷奴や湯豆腐などはおいしいと思えず、しょうゆやポン酢をたくさんかけて食べていました。高級なお豆腐を食べて、大豆の味がしっかりするとか、濃厚な味わいとか、そういう言葉を聞くたびに、よく分からないなあ、お豆腐の味がわかるなんて大人だなあと思っていました。

 そんな私でも油揚げは大好き。お味噌汁に入った油揚げは汁をたっぷり吸っていて、口に入れると、じゅわっと汁がしみ出てきて幸せな気持ちになりますし、きつねうどんやおいなりさん、もちや卵を入れたきんちゃく、小松菜などの青物とさっと煮た煮浸しなど、どれも大好物です。しかし、恥ずかしいことに、油揚げはお豆腐から作られているということに、大人になるまで気付いていませんでした。(正確に言えば油揚げ用に固めの豆腐を作って揚げるとのことですが。)

 この本は、そんな油揚げのレシピ本です。スタンダードな煮物や色々な和え物。カリカリに焼いて具材をのせる「カナッペ」や、ポテトサラダや生ハムなどの洋風なものまで詰めてしまう「きつね袋」などなど、さまざまなレシピが紹介されています。油揚げってどんな食材にも合うんだなあと感心し、ますます油揚げが大好きになりました。出来立てアツアツの油揚げが食べてみたい!家の近くにお豆腐屋さんがあればいいのに・・・とかなり切実に思う今日この頃です。

 図書館の本の背にある番号596.3は「材料別の料理法」の本の番号(分類記号)です。鶏肉とか納豆とかトマトとか、自分が好きな食べ物だけのレシピ本を596.3の本の棚で探してみるのもおもしろいですよ。

『超』短編小説の世界へ

 『54字の物語』 氏田 雄介/作  PHP研究所 (913.6/ウシ/18)

 みなさんは「短編小説」や「ショートショート(掌編小説)」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?この2つには明確な区別があるわけではないのですが、多くの場合、ショートショートは短編小説よりさらに短い物語を指す言葉として使われています。ショートショート作家として有名なのが、星新一や阿刀田高。特に星新一は、生涯で1,000作以上のショートショートを発表したと言われています。

 今回おすすめする『54字の物語』は、ショートショートを読むのが好きだという方や、あまり長い話はちょっと…という方におすすめの『超』短編小説集です。タイトル通り、1つの物語がたったの54字(句読点を含む)で完結しています。そのため、1つ読むのに1分もかかりません。私も「こんな字数で物語として成立するの?」と半信半疑で読み始めたのですが、とても面白く、あっという間に最後まで読み切ってしまいました。

 構成は2ページで1作品となっており、まず1ページ目に9マス×6行=54字の作品が掲載されています。そしてページをめくったところに、前ページの作品の解説が書かれています。54字では書き切れなかった詳細な舞台背景なども、この解説ページに載っているので、何度読んでも意味がわからない…という場合も、解説を読めばすっきりします。もちろん、作品だけを読んで自分なりに意味を考えてみるのも、ちょっとした頭の体操になりますよ。

 本の最後には、実際に54字の物語を作る手順も掲載されています。読み終わったら、今度は自分なりの物語を作ってみるのも、楽しいかもしれません。

本と人をつなぐ!人が地域を変える?

 『すてきな司書の図書館めぐり しゃっぴいツアーのたまてばこ』
                                 高野一枝/編著 郵研社 (市立・成人010.2/ /18)

 この本は、しゃっぴいおばさんこと著者と図書館をこよなく愛する熱き図書館員たちが織りなす図書館見学ツアーの素晴らしい一瞬を綴ったレポート集です。ちなみに「しゃっぴい」とは著者の田舎の方言で「おてんば」とか「おしゃべり」な女の子をいいます。

 本によって、人は変わることができます。人によって、地域を変えることができます。図書館員によって、本と人、そして地域を繋ぐことができます。

 しゃっぴいおばさんに集う好奇心旺盛な図書館員たちが、図書館を気軽に楽しみながら、地域に根差した図書館の本質に迫ります。大分県生まれのライブラリーコーディネーターによるマジカルミステリーツアーの壮大な世界観を、余すところなく堪能してください。

 なお、この本は、視覚障害者や身体障害、寝たきりなどで通常の活字による読書が困難な方のために、当館で録音図書を製作しています。録音図書の利用については、カウンター職員にお尋ねください。

神社で見られるどうぶつたち

 『神社のどうぶつ図鑑』 茂木貞純/監修 二見書房 (市立・成人 175.9/ /18)

 年末年始、神社へ参拝する機会が多くなる季節です。稲荷神社の狐、天神様の牛、東照宮の猿。パッと頭に浮かぶだけでも神社には様々な動物がいます。それでも、祭られている動物がもつ意味や、なぜその神社に祭られているのか、ほとんど意識せずにお参りしているのではないでしょうか。

 伊勢神宮に鶏がいる理由は?「撫で牛」のご利益は?この本は、神社で見られる動物に関する疑問について、豆知識なども加えて分かりやすく答えてくれます。

 また全国には、リスやムカデ、マグロやウナギなど、変わった動物が祭られている神社もあるようです。 動物を探しに、ぜひ神社に足を運んでみたくなる一冊です。