図書館スタッフおすすめ本
作るの好きなのに・・・
『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』 コウ ケンテツ/著 ぴあ (市立・成人 596.0//20)
もともと料理は好きなのに時間に追われ、これでいいのか毎日モヤモヤ・・・。
量は足りている?味付けは濃すぎない?栄養バランスは大丈夫?
楽しく食べられればOK!とゆるーく決めているつもりではいても、いろいろ気になってしまう。
そんな時に出会ったのがこちらの本。
あー分かる分かるとうなずくエピソードがたくさんあり、無理のない範囲でできることだけで十分という言葉になんだかホッとしました。
最終章には簡単レシピも掲載されています。そのまま作ってもアレンジしても楽しめますよ、よろしければお試しを。
夢の国への冒険
『東京ディズニーシー20周年クロニクル』 ディズニーファン編集部/編 講談社 (市立・成人 689.5//21)
「次の休日はどこに行こう?何をしよう?」
…きれいな景色に癒されい!
…かわいいキャラクターに会いたい!
…アトラクションで大興奮を味わいたい!
このような気分の時、テーマパークにいきたいと思うこともあるでしょう。
テーマパークは、世代を超えて楽しむことができます。ただ、時期によっては入場制限が発生することもあり、必ずしも全員が行きたいときにすぐ現地に行けるとは限りません。
そこで、直接足を運ぶよりも簡単にテーマパークを楽しむことができる方法があります。その方法とはずばり、本を経由する方法です。本という手段を利用することで、交通機関や入場チケットの購入の必要もなければ、車を運転する必要もありません。
本を読み進めていくとアトラクションやキャラクターを「見て」楽しむことに加え、写真付きで細かく紹介されているディズニーシーの歴史を知ることができます。まるで自分がタイムスリップし、ディズニーシーと共に20年間を歩んでいるような気持ちになります。
ディズニーシーは今、20周年のイベントの真っ最中です。また、2023年にはファンタジースプリングスもオープンします。
まだ見ぬエリアを一足先に楽しむことができるのも、この本ならではの魅力の一つです。
よろしければ本から出発して、パークへ冒険に出かけませんか?
ゼロから学ぶ宇宙論
『ざっくりわかる宇宙論』 竹内 薫/著 筑摩書房 (市立・書庫 443.9//12)
宇宙論と聞くと、難しそうだなと思う方も多いと思います。
実際、私は宇宙論と聞いて難しそうだなと感じました。しかし、読んでみると所々にイラストや分かりやすい例えが用いられ、理系を専攻していなくとも読みやすく書かれています。宇宙にまつわる数百年前の仮説から最新の研究に基づく理論までいろいろな宇宙論が登場し、著名な科学者たちが宇宙をどのように捉えているのかを知ることができます。
これから宇宙について学びたい方、少しでも宇宙に興味を持たれた方は、ぜひご一読ください。
韓国SF
『わたしたちが光の速さで進めないなら』 キム・チョヨプ/著 早川書房 (市立・成人 929.1//20)
日々たくさんの本に触れていますが、普段手に取るのは自分の好きなジャンルや作家の本ばかり。
何か新しいものに挑戦したいなと思っていたところ、不思議な光景が描かれた装丁の本を見つけました。地球と月と寂れた宇宙ステーション。『わたしたちが光の速さで進めないなら』は7篇の短篇からなるSF小説集です。
SFの有名な作家や小説は、図書館で見たり聞いたりはしますが、今までSF小説を読んだことはありませんでした。宇宙戦争や人類滅亡、ロボットによる支配などなど、何となく怖いというイメージがあったからかもしれません。
この小説集は、そんな先入観を見事に払拭してくれました。
舞台となる時代や場所は短篇によって様々ですが、全体を通して感じられるのは、どんな状況であっても人間が人間であることは変わらないんだということ。たとえ宇宙に取り残されても、改造人間になっても、図書館から紙の本がなくなって(!!)も、喜びや悲しみ、憧れや懐かしさ、そういった感情を持つ人間の心は無くならないんだ・・・
読み終えたとき、すべてが愛おしくなるような温かい気持ちになりました。
新型コロナウイルスのパンデミックをテーマにした『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』(市立・成人 929.1//22)もおすすめです。
興味がわいたらぜひ、読んでみてください。
なんなん、「現代川柳」?
『はじめまして現代川柳』 小池正博/編著 書肆侃侃房 (市立・成人 911.46//20)
????川柳といえば?
「サラリーマン川柳?」「シルバー川柳でしょ」「お~いお茶に載ってるやつ!」
……ですよね。でも川柳、ほんとはそれだけじゃないんです。
百聞は一見に如かず。いくつかご覧いただきましょう↓
妖精は酢豚に似ている絶対似ている/石田柊馬
「「「「「「「「蚊」」」」」」」」 /川合大祐
切れとはぷっつんぞなもし/渡辺隆夫
たぶん彼女はスパイだけれどプードル/兵頭全郎
☆定礎なんかしないよ ☆繰り返し/暮田真名
……なんじゃこりゃ、と思われましたか。思われたあなた、正解です。ようこそ、自由でむちゃくちゃで、ぶっ飛んだ世界へ。
あるあるを去り、私性に走り、それをも突き放した末にできちゃったことばの世界。これらの川柳はまとめて「現代川柳」と呼ばれています。『はじめまして現代川柳』は、その代表作家35名の作品を、76句ずつも収録した特盛アンソロジー。現代川柳を浴びるように楽しめること請け合いです。
もしご興味がわいたら、他にも以下のようなアンソロジーがあります。
『金曜日の川柳』 樋口 由紀子/編著 左右社 (市立・成人 911.46//21)
『近・現代川柳アンソロジー』 桑原 道夫/編 新葉館出版 (市立・成人 911.46//22)
さらに個人句集では、
『リバー・ワールド』 川合大祐/著 書肆侃侃房 (市立・成人 911.46//21)
『そら耳のつづきを』 湊 圭伍/著 書肆侃侃房 (市立・成人 911.46//21)
『成長痛の月』 飯島 章友/著 素粒社 (市立・成人 911.46//21)
なども。ついでに言うと地域資料室には、現代川柳の同人誌『川柳どうぶつえん』(禁帯出)があります。
現代川柳、いま、まさにいちばんおもしろいことばの大波です。ぜひ触れてみてはいかがでしょうか?
はじめにピザのサイズがあった/小池正博
それ、捨てちゃっていいの?
『捨てない生きかた』 五木 寛之/著 マガジンハウス (914.6/イツ/22)
断捨離ブーム真っただ中の現代社会。そのような時代、捨てないことの大切さに焦点を当てて語りかけてくるこの本は、ガラクタに囲まれて暮らしている身には自己肯定されたような、なんともホッとできる内容でした。
この本で作者は、自分が何故モノを捨てられないかという理由を語ってくれます。その理由とは、モノにはすべて記憶があり、そのモノを手にする時、他者には決して理解してもらえない自分の想いが残されているからなのだそうです。
作者にとっての記憶を呼び覚ますモノとは、物理的な物だけとは限りません。例えばたったひとつのメロディーからでも、懐かしい香りからでも、記憶は覚醒してくるのです。
ここから、作者の視野はさらにひろがってゆきます。捨てないモノの対象には、例えば、どこかの町に残っている碑、地方の方言、言い伝えの伝承といったものも含まれています。それらを通じて、未来の人間は過去の記憶や人々の想いとつながりを持つことができるからです。
小説、エッセーで多くの人々に親しまれる作家が記すモノを捨てない生き方。雑誌のような気楽さで肩こらずに読める一冊です。
奈良公園のコガネムシ
『奈良の鹿』 奈良の鹿愛護会/監修 京阪奈情報教育出版 (市立・書庫 482.9//10)
『たくましくて美しい糞虫図鑑』 中村 圭一/著 創元社 (市立・成人 486.6//21)
先日図書館の本棚で、以前読んだ『奈良の鹿』を見かけました。
奈良公園の鹿について、保護活動、おやつ、生態系、歴史など、多方面から学べる本です。
奈良公園には糞を食べるコガネムシがたくさん生息していて、芝生・鹿・コガネムシが互いに関わりあいながら共存していることをこの本で読み、驚いたのを思い出しました。
そこで少し調べてみたところ、奈良市に「ならまち糞虫館」があり、その館長さんが最近も本を出されているようなのです。
おっ、図書館にありました。『たくましくて美しい糞虫図鑑』。
「糞虫」とは、糞を食べるコガネムシの仲間を指すのだそうです。
本を開くと、糞虫の基礎知識、日本の糞虫の解説、世界の糞虫の写真のほか、糞虫館を作るまでの館長の歩み、糞虫観察の春夏秋冬、糞虫を語り合う対談等が書かれていて、初学者の私にも楽しい読みものでした。
レッツ糞虫観察!とまではいかないかもしれませんが、足元の世界で起きていることを知るのってワクワクすると思いませんか?
貝殻から見える世界
『貝と文明』 ヘレン・スケールズ/著 築地書館 (市立・成人 486//16)
皆さんは貝と聞くとまず何を思い浮かべますか?
私を含め多くの方は、食卓で並ぶことが多いアサリやカキ、人によってはアクセサリーに用いられる真珠を思い浮かべるでしょう。
今回紹介する本の主役は、貝を中心にタコ、イカなどを含む軟体動物たちです。
海洋生物学者である著者は、私たちが知っているようであまり知らないこれらの生き物たちについて、最新の研究やユニークな体験談を交えつつ分かりやすく解説してくれています。
ある章では貝殻がどのように作られるのか、アオイガイ(貝殻のあるタコのような見た目です)の不思議な習性など軟体動物それ自体がテーマになっています。一方、ある章では、カキ養殖の新たな取組やイモガイの毒を活用した新薬開発についてなど、軟体動物と人間との関わりがテーマとなっています。
最終章のテーマは、今日の軟体動物たちを取り巻く海の変化です。ここでは、海の変化が軟体動物にどのようなリスクをもたらすのか実験や調査をもとに語られています。
読み終えた私は、「いつか砂浜でのんびり貝殻を拾い集めるのも楽しそうだな…」と海に思いをはせると同時に、自分たちが今当たり前に食べているアサリやイカをいつか食べることができなくなるのではという不安も感じました。
この本が、皆さんが貝や海に興味をもったり、馴染み深いものから人間の営みや自然とのかかわりを考えるきっかけになればと思います。
まずはルールを決めること
『死んでも床にモノを置かない。』 須藤昌子/著 すばる舎 (市立・成人 597.5//19)
タイトルに惹かれて読まずにいられなかった2年前(だったはず)。
サブタイトルは、片づけ・掃除上手がやっている「絶対やらない」ことのルール。
ルールその1がタイトルの「死んでも床にモノを置かない。」
これだけで、家がきれいになっていきます。(!)
その理由は、床にモノがない状態を維持できれば、掃除や整理が一気に楽になるから。
今度こそやるしかありません。でも、大切なのは「やる片づけ」ではなく、「やらない片づけ」なのです。
視覚障害者と一緒に「言葉による美術鑑賞」を楽しむ!
この本では、白鳥さんとアートを見ると楽しいよ」という友人の一言から、ユニークな旅が始まります。全盲の白鳥さんと一緒に見ていると、たくさんの会話が生まれます。ときには思いがけない方向に話が飛んで行ったり、脱線したり、発展することも…。
見える・見えないとは?障害とは?差別とは?アートとは?どう伝える?何を伝える?作品の前で色々な言葉が出会うとき、驚き・喜び・気づき…、新たな発見があります。分かり合えない他者と寄り添う関係、曖昧な記憶、果たして本当に見えているのだろうか?…先入観や偏見で凝り固まった常識が壊れていきます。
見えない人と一緒に時間を過ごす喜び、浮かび上がる社会や人間の真実、時空を超えて聴こえてくる作品からのメッセージ…。アートを巡るコミニュケーションにこそ、心の内側を知る鍵が隠されているのです。
この本を読めば「言葉による美術鑑賞」の追体験が楽しめます!さぁ、見えない目とともにアートを見る旅へ出かけましょう。