図書館スタッフおすすめ本
ぶつぶつ言うどうぶつたち
『どうぶつぶつ』 たちばな れんじ/写真 リリー・フランキー/ことば パルコエンタテイメント事業部 (市立・成人 748//12)
どうぶつの写真にセリフをつけくわえた本。
パンダのセリフに、おや?君もなかなかだよと思ったり、ダチョウのセリフに修羅場を想像したりと、聞くと場面を想像してしまう癖の強い言葉を、動物に言わせるシュールな面白さがある。
珍しいのは、どうぶつの写真が全部真正面なところ。
横から見るのと違って、スリムな顔立ちやイカツイ顔立ちをしていたんだと発見もあり、癒されながら含み笑いできる一冊です。
これからのために歴史を学ぶ
『総点検・日本海軍と昭和史』 半藤 一利・保阪 正康/著 毎日新聞社(市立・成人 397.2//14)
最近、世界各地で起きる戦争や武力衝突のニュースを見ることが多くなりました。
では自分の国はどうなのか、なぜ今から80年ほど前多くの人命が失われる太平洋戦争が起きたのかを知るきっかけになればと思い、読み始めたのがこの本です。
本作は、昭和史の大家2人が日露戦争直後から戦艦大和の特攻までの流れについて語り、最後に昭和期の主だった海軍軍人たちを、評価していく対談形式をとっています。
当事者である軍人たちの証言も多数取り上げられており、人物たちの長所や欠点、いつどのタイミングでどんな決断をしたかがわかりやすくなっています。
そのため、太平洋戦争が始まるまでのプロセスだけでなく、際限のない軍備の拡張、組織内の対立や権力争い、現実を見ず過激な主張を行う強硬派の登場、異なる意見を持つ人たち(この場合は国際協調を重視する海軍の一派)の排除といった現代にも通じる問題が存在したことを、学ぶことができます。
昭和期の陸軍に元々良い印象をもっておらず、太平洋戦争の回避や終戦のため活躍した人々に海軍出身者が多かったこともあり、「陸軍と比べて海軍の方が良かったのでは?」などとボンヤリ思っていた私としても、反省を促される体験になりました。
また、特に印象に残ったのが、作者2人が様々な証言を取り上げる中、戦争に至った自分の責任を認めていなかったり、作戦の失敗など都合の悪い部分を避けていることに触れるなど、歴史の当事者として十分な責任を果たしていない人たちがいることを、何度も指摘していることでした。
人間は成功体験より失敗から学ぶべきことの方が多い。
過去、現在の戦争について学び、起きるかもしれない戦争をどうすれば避けられるのかを、考えるきっかけになる一冊です。
本作は海軍の失敗について取り扱っていますが、昭和陸軍の失敗を扱った本として、以下の書籍も併せてお勧めしたいです。
『ノモンハンの夏』 半藤 一利/著 文芸春秋(市立・書庫 210.7//)
てこの原理を使える大人はカッコイイ
『道具のブツリ』 田中 幸・結城 千代子/文 大塚 文香/絵 雷鳥社 (市立・展示 420.4//23)
大きさ20×10×2㎝。コデックス装。表紙にはかわいいハサミの絵。そしてタイトルは『道具のブツリ』。
物理と言われ思い浮かぶのは、てこの原理、りんご、慣性の法則、フレミングの法則をかたちづくる左手・・・という具合の私ですが、この本を知ったとき、とてもわくわくしました。
ハサミ、ざる、スプーン、ゼムクリップ、箸などのしくみを、物理の視点から解説してくれるというのです。ねっ、わくわくしますでしょう?
実際最後まで楽しい読み物として読み進めることができました。
本書まえがきの中に「物事の理(ことわり)であるブツリ」という表現が出てきます。そのように考えると物理がグンと日常のものに感じられます。
なお、3月23日(日曜日)まで、2階展示コーナーでは、「やわらかいサイエンス」と題して、身の回りにある科学の本を紹介しています。ご紹介した『道具のブツリ』もその1冊です。
他にもたくさんの本を紹介していますので、ぜひお立ち寄りください。
沼ハマ注意!味で楽しむ韓ドラの世界へようこそ!
『韓国ドラマ食堂 あの名シーンを食べる!』 本田朋美・八田靖史/著 西村オコ/絵 (市立・成人 596.2 //21)
韓国ドラマにはまってウン十年。ドラマを見て、実際に現地を訪れたり、文化や歴史などにも関心がありますが、やはり一番興味が湧いたのは”食文化”です。
どんな食材を使っているのか、どんな味がするのかなど、ドラマを見るたびに気になっていました。
そんな韓国好きな私が紹介するこの本は、日本でも手に入りやすい食材や調味料などを使いながら分かりやすい手順で書かれていて、料理初心者の方にもおススメで、とても美味しそうな料理がいっぱいです。
また、世界でも大ブームになった、「梨泰院クラス」の看板料理のスンドゥブチゲや、「愛の不時着」のトウモロコシ麺なども紹介されています。
料理にちなんだ小ネタやうんちくなどのコラムも載っているので、韓国ドラマガイド本としても楽しめます。
この本を読んで、まだまだ見ていないドラマも沢山あることを知りました。ぜひ皆さんも韓国ドラマ料理の世界をお楽しみください。
多面体で存在する楽しさと幸せ
『愛と美の法則』 美輪 明宏/著 パルコエンタテインメント事業局 (成人・書庫 767.8//09)
心が豊かになれる内容である。それに読みやすい字の大きさだ。新聞を読むには0.6の視力がいるそうだが、私にはありがたい字の大きさだし、美輪さんの著書はどれも豊富な絵、写真、色彩、優しくてあたたかなレイアウトで、なによりその感性から紡ぎだされる言葉に、とても豊かで優しい気持ちになれる。現在はAIが驚愕のスピードで進化して、人間よりはるかにうまく文章を書いたり、絵を描いたり、受け答えはスムーズで、果ては作詞・作曲もする時代になって、近未来は人間をコントロールするように計画されているとかいないとか。。。
未来がそのようになるのが確実であっても、美輪さんのような「感性」が人間にとって一番大切なものだと信じているのは私だけではないはずで。。。
叶うものなら、時の彼方からそういう未来人を見ていたい。