図書館スタッフおすすめ本

あらためてお箸を見直してみませんか。

 『おはしのおはなし 自分の箸と出会うため』 高橋隆太/著 WAVE出版 (市立・成人 596.9/ /15)

 食卓ではお箸は大切なツールです。しかし、身近なものすぎて、そのことを普段の生活であまり気にしたことはないのでは…?

 この本は、お箸の専門店を営む著者がお箸をいろいろな角度から書き綴っているので、なにげなく日常で使っているお箸のことを再発見するにはぴったりだと思います。

 「たかが箸、されど箸」の気持ちで読んでみてはいかがでしょうか。読み終わった後、本当に使いやすい自分の箸を探してみるのもいいかもしれません。

食事のメニューに困ったら読んでください

 『一汁一菜でよいという提案』  土井義晴/著 グラフィック社 (市立596.0/ /16)

 「今日の夕飯何にしよう?…」と考えて、ちょっと憂鬱になる事ってありませんか?
仕事が遅くなったり、育児で疲れていたり、家族構成が変わってモチベーションが上がらなくなったり、様々な理由で、料理をするのを面倒に感じたことのある人は多いのではないでしょうか。逆に、料理をするのが少しも苦にならず、おいしい料理を毎日並べられる人もいるかもしれません。
この本はどちらの人にも読んでもらいたいと思います。

 料理研究家の著者がすすめる一汁一菜の基本とは、ご飯と、具だくさんの味噌汁と、漬物です。
えー!たったそれだけでいいの?と私も最初は驚きました。
本書には、実際著者が食べている「繕わない味噌汁」と題した写真が載っています。ベーコン、ハム、たまご、きゅうり、とまと等、様々な食材が味噌汁の具になっています。
 又、誰かと一緒に食べる「体裁を整えた味噌汁」というのもあります。
どちらもバラエティに富んだ味噌汁です。これならどんな日も作れ、栄養もとれそうです。さらに、手作りであるのに手間がかからない。良いことがいっぱいです。 

 でも、手抜きって言われない?毎日これでは物足りないのでは?と不安も生まれます。

本書の中で、著者は、一汁一菜とは、「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だとしています。

 古来から日本には、ハレの日(特別な日)に食べる手の込んだご馳走と、ケ(日常)の食事との区別がありました。又、旬の食材を楽しむことで、季節を感じる事ができます。食事をシンプルにすることで、現代人が失いつつある日本の食文化を取り戻すことが出来るのかもしれません。

 手間をかけなくても日常を丁寧に繰り返す事で、ちょっと肩の力を抜いて、一汁一菜の料理でできた時間を自分のために使ってみるのも良い。と著者が優しく語りかけてくれます。

間もなく箱根駅伝2017

 『魔法をかける  アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』 原 晋/著 講談社 (市立・成人)782.3/ /15

 先日、三重県内で行われた「全日本大学駅伝対校選手権大会2016」で見事逆転優勝した青山学院大学。2015年、2016年と連覇を果たし、常勝チームになった印象が強いですが、それまでの道のりは平たんではありませんでした。

 この本は、原監督が2015年の箱根駅伝に優勝した後に書かれた本です。
第1章を読んで、原監督は人の操縦法というか、モチベーションの高め方がうまい人だと思いました。サラリーマン時代に培ってきた手法を取り入れての一人ひとりに合った声掛け、信頼関係の構築、選手起用から外れた選手たちへのきちんとした説明責任を果たすことなど、普段の私たちの生活でも十分参考にできる内容です。

 間もなく箱根駅伝2017の時期がやってきます。今回はどんなドラマが繰り広げられるのか、楽しみです。

冬といえば鍋!

 『なんでも土鍋で! ひとり鍋派も、ファミリーもGinpo三島に全部おまかせ』
川上文代/著 小学館  (市立・成人 596/ /14、地域 L573/ /14)

 冬といえば鍋!四日市市は土鍋の国内生産量1位の焼き物のまち。私が初めて買った土鍋も萬古焼の「三島」という商品でした。

 この本は、その三島を生産している萬古焼メーカー銀峯陶器株式会社が協力して作った本です。
 土鍋は実は、煮るだけでなく、焼く・蒸す・炊くといった多彩な調理方法に対応できる万能な調理器具なのです。この本でもパエリアや煮込みハンバーグなど、およそ土鍋では作らなそうなメニューもたくさん紹介されています。

 ぜひぜひ萬古焼の土鍋を手に入れて、この本を見ながら、ほっこりあたたまる土鍋料理を作ってみませんか?

わからない?現代アートが…面白くなる!

『すべてのドアは、入り口である。 現代アートに親しむための6つのアクセス』
原田マハ・高橋瑞木/著 祥伝社 (市立・ 成人 702.0/ / 15)

 この本は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に半年間勤務した経験のある原田マハと、水戸芸術館現代美術センター主任学芸員である高橋瑞木による、現代アートについての対談と取材旅行のお話です。
 二人の現代アート談義が新しい世界への扉を開く!
第1のドア… 現代アートってなに?
第2のドア… 現代アートの楽しみかた
第3のドア… 二人が選ぶ今知っておきたいアーティスト
第4のドア… 美術館に行こう
第5のドア… 瀬戸内のアートと旅
第6のドア… 日本的風土と現代アート
 これが、アート・オタクの二人の会話を盗み聞きしているようで、実におもしろい。臨場感に溢れたタッチでリアルに描かれています。現代アートは理屈でわかろうとするモノではなくて、感性で面白いと思えるものだと痛感しました。
 この本は、二人の経験談や二人で見て回った現代アートについての話なので、感覚的な感想なども多くて、現代アートの解説に良くある観念的なテキストとは、一味ちがいます。
現代アートには食指が動かないかも…という人にこそ、ぜひ読んでほしい1冊です。

 原田マハが綴るアートの世界へ!
『楽園のカンヴァス』  原田マハ/著 新潮社 (市立・成人 913.6/ ハラ/12)
『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ/著 集英社 (市立・ 成人 913.6/ ハラ/13)
『モダン』 原田マハ/著 文藝春秋 (市立・成人 913.6/ハラ/15)
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ/著 新潮社 (市立・ 成人 913.6/ハラ/16)

 ルソー、マティス、ピカソ、セザンヌ、ゴッホ、モネ、ポロック、ワイエス…。原田マハが、アートについて記した小説も、併せてオススメします。
どの本も、アートの面白さや作品の魅力、巨匠たちが活躍した当時の歴史的背景が、判りやすい表現で丁寧に記されています。今までアートに興味を持てなかった方も、ぜひ一度読んでみてください。

「いいたいけど、いえない~よね」

 

  『面と向かって言えないひと言 一行詩』 吉村英夫/著 学陽書房 (市立・地域 L/36/) 

 仕事から自宅に帰り、着替えをして洗濯機にポイ、お酒も自分で作りゴクゴク、暑いから扇風機を自分のほうに向けて、一息ついてマイペースでゴロリ。しかし、最近家族から冷ややかな視線を送られていることに気づきました。「とうちゃん元気で留守がいい」って言われるかも? 言われているかも?
ちょっぴり心配になった時にこの本に出会いました。

 読みながら「うんうん その通り」「これも自分が言いたいことだ」と大笑いしたり、また自分の子どもに置き換えて「そう思っているのか」と感心したり、「わかってくれていたのか~」と嬉しくて目頭が熱くなったり、「なんでそう思うかな」とプンとしている自分がいました。その姿を見て家族が「大丈夫?」「ボケた?」「病院へ連れていってあげようか」などと言ってきました。この本を読む前なら「なにを言っとる」と怒っていたでしょうが、自分のことを気にしてくれているのだと少し嬉しくなりました。

 自分の気持ちを分かってもらうには、思っていることを発信しないと伝わらないですね。本音で話し合える家族が理想です。
ひと息つきたいときに、この本はいかがですか。

東京會舘を愛した人たち

 
 『東京會舘とわたし』上・下 辻村深月/著 (市立・成人 913.6/ツシ/16)
 『図書室で暮らしたい』 辻村深月/著 (市立・成人 914.6/ツシ/15)

 東京會舘といえば、芥川賞や直木賞の受賞記者会見が行われる会場としてご存知の方も多いのではないでしょうか。『東京會舘とわたし』(上・下)の主人公は、この建物「東京會舘」です。大正から昭和、そして平成という激動の時代を経験した東京會舘。その場所に関わり、その場所を愛したさまざまな人たち(作家・バーテンダー・菓子職人・結婚式を挙げた人など)の心あたたまる物語が時系列で描かれています。それぞれを短編として読むことも出来ますが、最後まで読んでいくとひとつの壮大な物語として完結します。訪れたこともない東京會舘が、まるで自分もその歴史をずっと見てきたかのように身近に感じられる読後感は、さすがと唸ってしまう辻村ワールドでした。

 直木賞作家である著者は、受賞前に東京會舘で結婚式を挙げたそうです。その時、“直木賞を受賞して戻ってきます”と告げ、4年後にそれは本当に実現しました。支配人はそれを覚えていて“おかえりなさいませ”と迎え入れたという感動的なエピソードもあり、東京會舘への愛が詰まった物語が誕生したのも納得です。

 初代を旧館(上巻)、そして建て替え後を新館(下巻)として記された、東京會舘の物語。
 同著者の「東京會舘の思い出」が収録されているエッセイ『図書室で暮らしたい』も併せてオススメします。

おそるべし、”ジェーン・スー”


『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』 ジェーン・スー/著 文藝春秋 (市立・成人 914.6/シェ/16 )

 “未婚のプロ”ジェーン・スーさんの新刊、ついに出ました!
今回は、オーガニック・ヨガ・ファッション・京都など、まるで女子だったら好きでないと、やっていないといけないと世間からの空気がただよっている【女の甲冑】をテーマに、ジェーン・スーさんが持論を展開します。

 プロポーズされない101の理由を紹介する『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな 』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14 )や、女子に関わる様々な問題・話題について書かれた『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14)など、ジェーン・スーさんの本に、私はまずタイトルから心をつかまれます。
 しかし、「いざ読むぞ!」と本を開く時はこわごわ…。
「そこまでですか!すごいですね。真似できません…」と思ったり、恐ろしく思い当たる節があって「ひぃ~」と心をえぐられたりするからです。
 でも、読まずにはいられない、読んでしまうのです。
それは、「そういう考え方もあるのか」と教えられたり、「あ、こう思ってたの私だけじゃないのか」と安心したりすることがあるからかもしれません。

 この夏、ジェーンスーさんと同じく、七分丈のレギンスを求めさまよった私。
知ってました?七分丈のレギンス、もう流行遅れらしいですよ…。
すみません、私履いてました。というか、履いてます!

時の罠にご注意を!

 『時の罠』 辻村深月,万城目学,湊かなえ,米澤穂信/著 文藝春秋(本館・成人 B913.6/ /14)
 
 電車の中で本を読みたいけど、文庫サイズの簡単に読める本が良いなあ。
好きな作家さんもいるし、人気の作家さんも書いているから、これにしよう。
退屈しのぎに、ただ何となく手にとった1冊。
毎日少しずつ読めたらと思っていたのですが、結局気になって1日で読み終えてしまいました。
 

 人気作家の辻村深月・万城目学・湊かなえ・米澤穂信による時をめぐる短編集です。
「タイムカプセルの8年」(辻村深月/著)では、息子の卒業時に先生によって埋められたはずのタイムカプセルが埋められていなかった。
熱血先生で生徒からも父兄からも人気の先生がなぜ?
先生のような教師になりたいという息子に、事実を知ってほしくない主人公がとった行動とは?
感動のお話です。

 「下津山縁起」(米澤穂信/著)では、科学の進化により、山に知性がある事がわかった未来。
なんと、上津山が下津山を殺害したとして有罪判決に?!
検事側も山なら、弁護側も山。
ありえないと思うかもしれませんが、近い将来こんな未来が待っているかもしれません。
奇想天外なお話です。

 他にも、おもしろいお話やぞっとするお話があります。
どの作品も、その作家さんならではのお話になっていますので、一度読んでみてください。

和装本をつくってみよう

『和装本のつくりかた』 村上翠亭・山崎曜/共著 二玄社 (市立・成人 022.8/ /09)

 この世にある様々な『もの』は、時代や文化によって変化、進化していくものです。図書館にある『本』もまたそのひとつ。その本の装幀に着目してみると、現代では洋装幀本が多く並んでいるのが見受けられます。対して、歴史的な和装の形態の本というものはなかなか見かけず、一般的になじみのないものかもしれません。この機に和装本というものに、触れてみてはいかがでしょうか。

 実は、和装本って意外と簡単に作れるんです。この本では、平安時代に利用された装幀を元に、現代でも使える和装本を提案しています。最低限の道具で合理的に作ることができ、それゆえにアレンジの効く『手作り』ならではの装幀です。和綴じ本や折り本などの伝統的なものから、洋紙を用いて作る写真アルバムなどの実用的な装幀本まで、幅広く掲載されています。
 作る工程は、写真で表記しているのでわかりやすいです。そのほかに、装幀についてのコラムなども充実しており、製本の心構えから和装本に纏(まつ)わる小話まで、読むだけでも興味深いですよ。

 この本を参考にして、書や画などの作品を綴ってみたり、小さな和装本を普段のメモ帳代わりに携帯してみたりしてもいいですね。
手作りならではの、愛着の湧く作品を作ってみてはいかがでしょうか。