図書館スタッフおすすめ本
わからない?現代アートが…面白くなる!
『すべてのドアは、入り口である。 現代アートに親しむための6つのアクセス』
原田マハ・高橋瑞木/著 祥伝社 (市立・ 成人 702.0/ / 15)
この本は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に半年間勤務した経験のある原田マハと、水戸芸術館現代美術センター主任学芸員である高橋瑞木による、現代アートについての対談と取材旅行のお話です。
二人の現代アート談義が新しい世界への扉を開く!
第1のドア… 現代アートってなに?
第2のドア… 現代アートの楽しみかた
第3のドア… 二人が選ぶ今知っておきたいアーティスト
第4のドア… 美術館に行こう
第5のドア… 瀬戸内のアートと旅
第6のドア… 日本的風土と現代アート
これが、アート・オタクの二人の会話を盗み聞きしているようで、実におもしろい。臨場感に溢れたタッチでリアルに描かれています。現代アートは理屈でわかろうとするモノではなくて、感性で面白いと思えるものだと痛感しました。
この本は、二人の経験談や二人で見て回った現代アートについての話なので、感覚的な感想なども多くて、現代アートの解説に良くある観念的なテキストとは、一味ちがいます。
現代アートには食指が動かないかも…という人にこそ、ぜひ読んでほしい1冊です。
原田マハが綴るアートの世界へ!
『楽園のカンヴァス』 原田マハ/著 新潮社 (市立・成人 913.6/ ハラ/12)
『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ/著 集英社 (市立・ 成人 913.6/ ハラ/13)
『モダン』 原田マハ/著 文藝春秋 (市立・成人 913.6/ハラ/15)
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ/著 新潮社 (市立・ 成人 913.6/ハラ/16)
ルソー、マティス、ピカソ、セザンヌ、ゴッホ、モネ、ポロック、ワイエス…。原田マハが、アートについて記した小説も、併せてオススメします。
どの本も、アートの面白さや作品の魅力、巨匠たちが活躍した当時の歴史的背景が、判りやすい表現で丁寧に記されています。今までアートに興味を持てなかった方も、ぜひ一度読んでみてください。
「いいたいけど、いえない~よね」
『面と向かって言えないひと言 一行詩』 吉村英夫/著 学陽書房 (市立・地域 L/36/)
仕事から自宅に帰り、着替えをして洗濯機にポイ、お酒も自分で作りゴクゴク、暑いから扇風機を自分のほうに向けて、一息ついてマイペースでゴロリ。しかし、最近家族から冷ややかな視線を送られていることに気づきました。「とうちゃん元気で留守がいい」って言われるかも? 言われているかも?
ちょっぴり心配になった時にこの本に出会いました。
読みながら「うんうん その通り」「これも自分が言いたいことだ」と大笑いしたり、また自分の子どもに置き換えて「そう思っているのか」と感心したり、「わかってくれていたのか~」と嬉しくて目頭が熱くなったり、「なんでそう思うかな」とプンとしている自分がいました。その姿を見て家族が「大丈夫?」「ボケた?」「病院へ連れていってあげようか」などと言ってきました。この本を読む前なら「なにを言っとる」と怒っていたでしょうが、自分のことを気にしてくれているのだと少し嬉しくなりました。
自分の気持ちを分かってもらうには、思っていることを発信しないと伝わらないですね。本音で話し合える家族が理想です。
ひと息つきたいときに、この本はいかがですか。
東京會舘を愛した人たち
『東京會舘とわたし』上・下 辻村深月/著 (市立・成人 913.6/ツシ/16)
『図書室で暮らしたい』 辻村深月/著 (市立・成人 914.6/ツシ/15)
東京會舘といえば、芥川賞や直木賞の受賞記者会見が行われる会場としてご存知の方も多いのではないでしょうか。『東京會舘とわたし』(上・下)の主人公は、この建物「東京會舘」です。大正から昭和、そして平成という激動の時代を経験した東京會舘。その場所に関わり、その場所を愛したさまざまな人たち(作家・バーテンダー・菓子職人・結婚式を挙げた人など)の心あたたまる物語が時系列で描かれています。それぞれを短編として読むことも出来ますが、最後まで読んでいくとひとつの壮大な物語として完結します。訪れたこともない東京會舘が、まるで自分もその歴史をずっと見てきたかのように身近に感じられる読後感は、さすがと唸ってしまう辻村ワールドでした。
直木賞作家である著者は、受賞前に東京會舘で結婚式を挙げたそうです。その時、“直木賞を受賞して戻ってきます”と告げ、4年後にそれは本当に実現しました。支配人はそれを覚えていて“おかえりなさいませ”と迎え入れたという感動的なエピソードもあり、東京會舘への愛が詰まった物語が誕生したのも納得です。
初代を旧館(上巻)、そして建て替え後を新館(下巻)として記された、東京會舘の物語。
同著者の「東京會舘の思い出」が収録されているエッセイ『図書室で暮らしたい』も併せてオススメします。
おそるべし、”ジェーン・スー”
『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』 ジェーン・スー/著 文藝春秋 (市立・成人 914.6/シェ/16 )
“未婚のプロ”ジェーン・スーさんの新刊、ついに出ました!
今回は、オーガニック・ヨガ・ファッション・京都など、まるで女子だったら好きでないと、やっていないといけないと世間からの空気がただよっている【女の甲冑】をテーマに、ジェーン・スーさんが持論を展開します。
プロポーズされない101の理由を紹介する『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな 』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14 )や、女子に関わる様々な問題・話題について書かれた『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 幻冬舎 (市立・成人 367.2/ /14)など、ジェーン・スーさんの本に、私はまずタイトルから心をつかまれます。
しかし、「いざ読むぞ!」と本を開く時はこわごわ…。
「そこまでですか!すごいですね。真似できません…」と思ったり、恐ろしく思い当たる節があって「ひぃ~」と心をえぐられたりするからです。
でも、読まずにはいられない、読んでしまうのです。
それは、「そういう考え方もあるのか」と教えられたり、「あ、こう思ってたの私だけじゃないのか」と安心したりすることがあるからかもしれません。
この夏、ジェーンスーさんと同じく、七分丈のレギンスを求めさまよった私。
知ってました?七分丈のレギンス、もう流行遅れらしいですよ…。
すみません、私履いてました。というか、履いてます!
時の罠にご注意を!
『時の罠』 辻村深月,万城目学,湊かなえ,米澤穂信/著 文藝春秋(本館・成人 B913.6/ /14)
電車の中で本を読みたいけど、文庫サイズの簡単に読める本が良いなあ。
好きな作家さんもいるし、人気の作家さんも書いているから、これにしよう。
退屈しのぎに、ただ何となく手にとった1冊。
毎日少しずつ読めたらと思っていたのですが、結局気になって1日で読み終えてしまいました。
人気作家の辻村深月・万城目学・湊かなえ・米澤穂信による時をめぐる短編集です。
「タイムカプセルの8年」(辻村深月/著)では、息子の卒業時に先生によって埋められたはずのタイムカプセルが埋められていなかった。
熱血先生で生徒からも父兄からも人気の先生がなぜ?
先生のような教師になりたいという息子に、事実を知ってほしくない主人公がとった行動とは?
感動のお話です。
「下津山縁起」(米澤穂信/著)では、科学の進化により、山に知性がある事がわかった未来。
なんと、上津山が下津山を殺害したとして有罪判決に?!
検事側も山なら、弁護側も山。
ありえないと思うかもしれませんが、近い将来こんな未来が待っているかもしれません。
奇想天外なお話です。
他にも、おもしろいお話やぞっとするお話があります。
どの作品も、その作家さんならではのお話になっていますので、一度読んでみてください。
和装本をつくってみよう
『和装本のつくりかた』 村上翠亭・山崎曜/共著 二玄社 (市立・成人 022.8/ /09)
この世にある様々な『もの』は、時代や文化によって変化、進化していくものです。図書館にある『本』もまたそのひとつ。その本の装幀に着目してみると、現代では洋装幀本が多く並んでいるのが見受けられます。対して、歴史的な和装の形態の本というものはなかなか見かけず、一般的になじみのないものかもしれません。この機に和装本というものに、触れてみてはいかがでしょうか。
実は、和装本って意外と簡単に作れるんです。この本では、平安時代に利用された装幀を元に、現代でも使える和装本を提案しています。最低限の道具で合理的に作ることができ、それゆえにアレンジの効く『手作り』ならではの装幀です。和綴じ本や折り本などの伝統的なものから、洋紙を用いて作る写真アルバムなどの実用的な装幀本まで、幅広く掲載されています。
作る工程は、写真で表記しているのでわかりやすいです。そのほかに、装幀についてのコラムなども充実しており、製本の心構えから和装本に纏(まつ)わる小話まで、読むだけでも興味深いですよ。
この本を参考にして、書や画などの作品を綴ってみたり、小さな和装本を普段のメモ帳代わりに携帯してみたりしてもいいですね。
手作りならではの、愛着の湧く作品を作ってみてはいかがでしょうか。
女性作家ならではの推理小説
『鏡は横にひび割れて』 アガサ・クリスティ/著 橋本福夫/訳 早川書房 (市立・成人 B933/ /12)
ミステリーの女王・クリスティによる、“老嬢探偵ミス・マープル”シリーズの一編です。NHKで放送された映像作品をご存知の方もいらっしゃるのでは。
事件はマープルの住むセント・メアリ・ミード村に著名な女優が移り住んできたことから始まります。彼女の屋敷で催されたパーティの席上、村の一夫人が毒殺されます。しかし彼女に殺意を抱くような人物は浮かび上がらず、周囲は首をひねるばかり。ロンドン警視庁から派遣されてきた警部は、旧知のミス・マープルの協力を得ながら事件の解決を図るのですが・・・。
この作品の最大の魅力は、殺人の動機でしょう。実は、日本でも最近になって再燃してきたある事柄が動機となっているのですが、これに目をつけたのはやはりクリスティが女性だからでしょう。物語終盤、女性はもちろん男性もあっと言わされるような謎解きが待っています。ぜひご一読を。
アボガド
『アボカドのちから』 浜崎美穂/編著 日東書院本社 (市立・書庫596.3//07)
『アボカドバンザイ!』 地球丸 (市立・書庫596.3//06)
『アボカド(新特産シリーズ)』 米本仁巳/著 農山漁村文化協会 (市立・成人625.8//07)
5年くらい前、パン屋さんのサンドイッチにはさまれていたのを食べたのが私とアボカドとの出会い。その時は不思議な食感と味だなという感想で、しばらくアボカドからは遠ざかっていたのですが・・・。
最近アボカドをたくさん頂き、どうやって食べようかとレシピ本を探していたところ、出会ったのがこの本たちです。森のバターと呼ばれるくらい栄養価が高く、病気予防にも美容にも効果があり、そのまま食べても良し、焼いても炒めても揚げても良し、サラダにもディップにもデザートにもなるすごい果物なのですね。買う時の選び方のコツ、皮のむき方、保存方法も写真付きで分かりやすく説明されています。
今のお気に入りは、ヨーグルト・はちみつ・レモン汁少々に角切りアボカドを合わせたアボカドヨーグルトと、角切りアボカドをしょうゆ・わさび・マヨネーズ少々で和え、炊きたてごはんにのせたアボカド丼。まだまだいろいろな料理にチャレンジできそうなのでとても楽しみです。
ところで、プリンの空容器に土とアボカドの種を入れ、毎日水やりをしていたら3週間くらいたったある朝、なんと芽が出ていたのです。アボカドが育てられるかもと思い、早速本で調べたところ、残念ながらかなり難しそう。アボカドの実の栽培は断念しましたが、観葉植物として楽しめ、育った葉っぱはお茶にできるようです。
4つ植えた種のうち3つから芽が出て、一番大きなものは30cmくらいまで成長中。今は、もっと大きくなあれとせっせと水やりをする毎日です。
四日市を再発見!…もっと知りたい四日市
『四日市もっと知り隊検定公式テキスト 総集版』 四日市もっと知り隊検定実行委員会/編
四日市商工会議所 (市立・地域 L292/ /13)
“四日市もっと知り隊検定”は、市民のみなさんに四日市の魅力を再発見・再認識して頂くとともに、全国にその魅力を発信し市の活性化につなげていこうという想いから、四日市商工会議所が平成24年12月に実施しました。これに先立ち刊行した公式テキスト(初版)を翌年、改訂、再編集したものが、『四日市もっと知り隊検定公式テキスト 総集版』です。
第1章「宿場まちYOKKAICHI」では、四日の市で知られた市場と四日市湊で賑わった東海道の宿場町の様子を中心に、本陣・札の辻・浜往環などについて紹介、第2章「街道マップYOKKAICHI」では、東海道を中心に発達し、各地の交通の要所へ向けて繋がれた市内の街道とその道沿いの文化遺産が紹介されています。第3章「商・工のまちYOKKAICHI」では、明治以降の四日市の発展の様子について書かれており、 四日市空襲・模擬爆弾の投下、四日市市の誕生等も紹介されています。
この他にも、「湊・港まちYOKKAICHI」「自慢!GーMAN四日市」など、四日市の歴史や、みなさんの「知りたい」ことをピンポイントで紹介しています。
四日市のことを調べるときに、まずこの本を読むことで四日市のイメージができるのではないでしょうか。 また、夏休みの自由研究の前に一読していただいてはいかがでしょうか。
コケにできない苔の魅力
『苔三昧 モコモコ・うるうる・寺めぐり』 大石 善隆/著 岩波書店 (市立・成人 629.7/ /15)
じめじめとしたこの季節、庭の手入れが進まないでいると、モコモコと現われた小さなコケ!放っておくとどんどん蔓延(はびこ)るので、なんとかしなければと思いながらも、なんだか気になるその姿。そんな時、図書館で引き寄せられるように出会ったのがこの本です。面白いコケの生態とその美しさにすっかり魅せられてしまいました。
「コケの魅力に気づくには、しゃがんでじっくり観察すればよい…」と書かれている通り、思わず我が家の庭に生えた苔もじっくり観察すると・・・意外にもかわいい姿をしているではありませんか!なんだかすっかりはまってしまいました。
日本は約2千種ものコケが自生するコケ大国だとか。コケ初心者にもわかりやすくコケ図鑑や全国の美しい苔庭情報もたくさん紹介されています。次はゆったりと苔庭を味わいに出かけたいと楽しみで仕方ありません。
自分でオシャレにコケを楽しみたい方には・・・
『苔ボトル 育てる楽しむ癒しのコケ図鑑』 佐々木浩之/写真 戸津健治/文 電波実験社 (市立・成人 627.8/ /15)もオススメです。 苔玉や盆栽以外にこんな楽しみ方もあったのですね!手軽さに私も早速チャレンジしたところ、かわいくて美しいコケの姿に一日に何度も見てしまう毎日です。
梅雨時には、いっそうみずみずしい美しさを放つコケ。皆さんもこれらの本と共に、コケに癒されてみてはいかがでしょうか?