図書館スタッフおすすめ本

貝殻から見える世界

『貝と文明』 ヘレン・スケールズ/著 築地書館 (市立・成人 486//16)


 皆さんは貝と聞くとまず何を思い浮かべますか?
 私を含め多くの方は、食卓で並ぶことが多いアサリやカキ、人によってはアクセサリーに用いられる真珠を思い浮かべるでしょう。

 
 今回紹介する本の主役は、貝を中心にタコ、イカなどを含む軟体動物たちです。
 海洋生物学者である著者は、私たちが知っているようであまり知らないこれらの生き物たちについて、最新の研究やユニークな体験談を交えつつ分かりやすく解説してくれています。
 ある章では貝殻がどのように作られるのか、アオイガイ(貝殻のあるタコのような見た目です)の不思議な習性など軟体動物それ自体がテーマになっています。一方、ある章では、カキ養殖の新たな取組やイモガイの毒を活用した新薬開発についてなど、軟体動物と人間との関わりがテーマとなっています。
 最終章のテーマは、今日の軟体動物たちを取り巻く海の変化です。ここでは、海の変化が軟体動物にどのようなリスクをもたらすのか実験や調査をもとに語られています。


 読み終えた私は、「いつか砂浜でのんびり貝殻を拾い集めるのも楽しそうだな…」と海に思いをはせると同時に、自分たちが今当たり前に食べているアサリやイカをいつか食べることができなくなるのではという不安も感じました。
 この本が、皆さんが貝や海に興味をもったり、馴染み深いものから人間の営みや自然とのかかわりを考えるきっかけになればと思います。

まずはルールを決めること

『死んでも床にモノを置かない。』 須藤昌子/著 すばる舎 (市立・成人 597.5//19)


 タイトルに惹かれて読まずにいられなかった2年前(だったはず)。

 サブタイトルは、片づけ・掃除上手がやっている「絶対やらない」ことのルール。
 ルールその1がタイトルの「死んでも床にモノを置かない。」
 これだけで、家がきれいになっていきます。(!)
 その理由は、床にモノがない状態を維持できれば、掃除や整理が一気に楽になるから。


 今度こそやるしかありません。でも、大切なのは「やる片づけ」ではなく、「やらない片づけ」なのです。

視覚障害者と一緒に「言葉による美術鑑賞」を楽しむ!

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 川内 有緒/著 集英社インターナショナル (市立・成人 706.9//21)

 この本では、白鳥さんとアートを見ると楽しいよ」という友人の一言から、ユニークな旅が始まります。全盲の白鳥さんと一緒に見ていると、たくさんの会話が生まれます。ときには思いがけない方向に話が飛んで行ったり、脱線したり、発展することも…。
 
 見える・見えないとは?障害とは?差別とは?アートとは?どう伝える?何を伝える?作品の前で色々な言葉が出会うとき、驚き・喜び・気づき…、新たな発見があります。分かり合えない他者と寄り添う関係、曖昧な記憶、果たして本当に見えているのだろうか?…先入観や偏見で凝り固まった常識が壊れていきます。
 見えない人と一緒に時間を過ごす喜び、浮かび上がる社会や人間の真実、時空を超えて聴こえてくる作品からのメッセージ…。アートを巡るコミニュケーションにこそ、心の内側を知る鍵が隠されているのです。

 この本を読めば「言葉による美術鑑賞」の追体験が楽しめます!さぁ、見えない目とともにアートを見る旅へ出かけましょう。

龍玉(ロンユイ)の行方は?

『蒼穹の昴』 (上、下巻) 浅田次郎/著 講談社 (市立・成人 913.6/アサ/13)
『珍妃の井戸』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ)
『中原の虹』 (1~4巻) 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/06)
『マンチュリアン・リポート』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/10)
『天子蒙塵』 浅田次郎/著 講談社 (市立・成人 913.6/アサ/16)
『兵諫』 浅田次郎/著 講談社 (市立・書庫 913.6/アサ/21)

 
 中国の歴史ドラマにはまっています。特に清王朝の荘厳な紫禁城(現故宮博物院)で繰り広げられる煌びやかな世界に引き込まれます。
 
 そんな私がお勧めしたい小説は、テレビドラマにもなった浅田次郎著の『蒼穹の昴』です。その後、シリーズとして、『珍妃の井戸』、『中原の虹』、『マンチュリアン・リポート』、『天子蒙塵』、最新作の『兵諫』(へいかん)へと続きます。清朝最盛期の華やかな時代とは違い、西大后が牽制をふるった王朝衰退期から、近代中国への混沌とした時代の物語です。中国を統べる者が持つと言われる龍玉(ロンユイ)がシリーズのキーワードとなり、史実と創作の人物が織り交ざって物語は進んでいきます。どれか一部だけ読んでも充分楽しむことができます。


 以前は「中国の小説は、難しい漢字が多くて読みにくい」という印象を持っていました。このシリーズは、漢字のルビが中国語読みになっています。中国から伝わった漢字の読みの違いも楽しんでほしいです。

 ぜひ、中国四千年の歴史とも言われる中国の王朝最後の物語を見届けてください。

「身の丈にあった」に惹かれて

『身の丈にあった勉強法』 菅 広文/著 幻冬舎 (市立・成人 379.7//18)


 「少し難しそうな内容の本だな。読むのは今度にしよう。」
 
 私がこの本のタイトルだけを見た時の第一印象です。
 しかし、どうしても「身の丈にあった」に惹かれてしまい、読んでみました。

 
 この本の最初の章に、「この本で紹介する基本的な勉強法は、宇治原に教えてもらい、僕でも出来そうなやり方をその中から抜粋しました。」(書籍からの引用)とあります。
 著者は、ロザンというコンビの芸人さんです。相方である、宇治原史規さん(京都大学出身)の勉強法の中から著者である菅さんが出来そうな方法が抜粋されています。「勉強法」と聞くと、少しかたく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。私も、読む前はかたい内容の本だと思っていました。
 やはり「勉強法」と謳っているだけあり、章ごとにそれぞれ「身の丈にあった勉強法」が紹介されているのですが、ただ勉強法が紹介されているだけではなく、クスッと笑える要素も含まれています。
 
 個人的なお話になりますが、実際に読んでみて、特に難しく感じることなく、楽しく読み進めることができました。楽しみながら「身の丈にあった勉強法」も知れて、一石二鳥!?かもしれません。
 よろしければ、ぜひ一度タイトルで躊躇せず、内容も読んでみてください。