図書館スタッフおすすめ本

ハリセンボンって、針何本?

『目で見る数字』 岡部敬史/文、山出高士/写真 東京書籍 (市立・成人 410.4//20)


 皆さんは、ハリセンボンの針の数がいくつかご存知でしょうか?
 実は、名前のとおりに1000本の針がある…というわけではなく、通常は350~400本くらい、多くても500本程度なのだそうです。

 そんな「数字」にまつわる雑学が満載の本書、『目でみる数字』は、街で目にする様々な物に関連した数字を取り上げています。日本の名所にまつわる数字から、知っていれば日常生活にも応用することができる数字まで、盛りだくさんな内容です。
 表紙のハリセンボンをはじめとして、写真も多数掲載されています。雑学の本として読むだけではなく、写真集のようにパラパラと眺めてみるのも楽しい1冊です。

さようなら、「漱石あるある」!

『永日小品』『夢十夜 他二篇』 夏目漱石/著 岩波文庫 (市立・成人 B/913.6/ナツ/13)などに収録)

……中学生か高校生のころ、『坊っちゃん』が初めての漱石でした。
ふうん、文学っておもしろいかも。と、タイトルだけで『吾輩は猫である』に挑戦。
結果、挫折。体力が続かず。もっと言えば、分厚さだけで半分あきらめてました。
あれから幾年月。今では漱石のことも忘れ、静かに暮らしています……。


 あるある、と思ったあなた、『永日小品』読んでみてください!

『永日小品』は、もともと新聞に掲載されていた漱石による短篇のエッセイを集めたものです。
身のまわりの出来事や会話、思い出などが、飾らない文体で書き留められています。
おすすめの理由は次の三つ。

1.とにかく、一篇一篇が短い。
 収録作品のほとんどが、二、三ページめくったら終わります。
 
2.なのに、内容はぎゅっと濃縮。
 中でも最後の「クレイグ先生」は、悲喜こもごものザ・人間ドラマです。

3.そして、漱石が情けない。
 友達にボートの賞金で買ってもらったシェイクスピアの本が、ちっとも分からなかったり。
 夜中ねずみに鰹節をかじられて、閉まっといてよ、と奥さんにぶつくさ言われたり。
 寒い日に朝から代わる代わる来る客が、みんな金の無心でげんなりしたり……。
 
 どうですか。読めそうだし、ちょっとおもしろそうじゃないですか。
一日の終わりをじわっと暖める、二百年前のおじさんからの日常報告。ぜひ一度手に取ってみてください。
漱石がすすんでしょぼくれてくれるので、実は疲れている時こそしみる本でもあります。お試しを。

「鉄道旅気分!」はどうでしょうか

『夜行列車の記憶 昭和・平成の名列車がよみがえる』 松本典久/著 株式会社天夢人 (市立・成人 686.2//20)
『青春18きっぷ 2020-2021 パーフェクトガイド』 イカロス出版株式会社 (市立・成人 291.0//20)

 
 今年は新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、思うように旅行や外出ができない状況が続いています。
 せめて、本の中で鉄道旅行の思いをめぐらしてはどうでしょうか。
 
 1冊目は、「夜行列車の記憶」です。私は小さい頃、ブルートレインという名前を聞いて、いつか乗車して旅行したいと思っていました。しかし、気が付けば新幹線網の拡大や道路網の整備の充実、そしてこれからはリニア中央新幹線と時代はどんどん変わっていきます。スピードが求められいつしか夜行列車という言葉自体も聞かなくなり、今では定期運行される夜行列車は「サンライズ出雲・瀬戸」だけです。
 この本では、昭和・平成の鉄道旅行の当時の写真や著者の乗車の思い出などが書かれており、こんな旅行がしてみたかったなと思わせてくれる本です。
 
 2冊目は、『青春18きっぷ2020-2021パーフェクトガイド』です。「格安チケットで日本を旅する!」という本で、青春18きっぷを使うテクニックや船や飛行機なども使ったモデルコースの紹介などが具体的に書かれています。
 
 なかなかゆっくり鉄道旅行ができない方も多いと思います。いつかはこんな旅行がしたい。早く自由に旅行に行きたいと思わせてくれる本です。

おしゃれな暮らしの良品はいかが?

『いつかは欲しい暮らしの良品』 枻出版社 (市立・成人 590//16) 

 
 おしゃれなお鍋で料理したり、可愛いお皿でご飯を食べたい人におススメの本です。
「食」「家事」「住まい」に分かれて、いろいろな暮らしの良品が掲載されています。
こんな良いものにかこまれたら、ちょっと面倒な料理も頑張れるかも?!
ちなみに、私は両手鍋を買おうか検討中です。
お鍋以外にも、箒や椅子や時計まで、幅広く紹介されています。
安いものも良いけれど、ちょっとお高くて良質なものを使うのも良いですね。

極めるということ

『片手袋研究入門』 石井公二/著 実業之日本社 (市立・成人 049//19)

 世の中には、こんなことを研究する必要があるのか?いったい誰に需要があるのか?と思ってしまうような事柄を研究している人がいます。
 そういう人をふとテレビで見たり、会話の中で知ったりすると、尊敬の念を抱かずにはいられません。
 そういうマニアックな人たちは、たいてい自分の趣味で自分のために始めています。その成果がたまたまツイッターでバズったり、本になったり、この本の著者に至っては現代美術の国際展に選ばれたりしたのです。なので趣味さえあれば誰でも研究者になりうるともいえます。

 他人から見れば、こんなことに人生の半分を費やしたのか?と思うものでも、自分が愛していれば、それが研究対象なのであり、突き進むべし。
 この本の著者は2004年から14年間、歩道に落ちている片方の手袋を5000枚近く撮影し、撮影状況の類似点・相違点に着目しました。観察・分析を行ううちに独自の分類法ができあがったのだということです。
 
 この本は、すぐ役に立つ知識が得られるわけではありません。
 だけど、わたしは読まずにはいられませんでした。
 あなたも読んだ後、歩く道の先に片手袋が落ちていないか探してしまうことでしょう。