図書館スタッフおすすめ本
もしも図書館で事件が起きたら?
『図書館の殺人』 青崎 有吾/著 東京創元社 (市立・成人 913.6/アオ/16)
私は小さいころから推理小説を読むのが好きです。本格ミステリと呼ばれるものから日常の小さな謎を解き明かすようなものまで、国内海外問わずいろいろと読んできました。
その中でも図書館で働いている職員として、この本はタイトルのインパクトが抜群でした。閉館後の図書館で発生した殺人事件を、なぜか高校の校内に住んでいる高校生探偵・裏染天馬が解決する物語です。文章が読みやすく軽快で、くすりと笑える場面もたくさんあります。事件に使われたトリックも、論理的にじっくり考えれば解ける内容になっています。しかし事件の結末は切なく、読み終わったあとは必ずしも「事件が無事解決してよかった」とは感じられないかもしれません。青崎さんの作品はこのほかにも何冊か読んだことがありますが、このように“完全なハッピーエンド”で終わらない雰囲気が魅力だと感じました。
魅力的なキャラクターが登場する小説が読みたい方、本格ミステリを手軽に読んでみたい方、論理的な謎解きに挑戦してみたい方は、ぜひ一度手にとってみてください。
「美術と文学の共演」100年前にタイムスリップ!
『片隅の美術と文学の話』 酒井 忠康/著 求龍堂 (市立・成人 702.1//17)
この本は、文学と美術をめぐるエッセイ集です。今年2019年は、関根正二と村山塊多という二人の画家が、若い生涯を終えて百年にあたります。そして、百年前の1919年は、盲目の詩人エロシェンコが再び日本を訪れた年でもあります。
芥川龍之介、岡倉天心、鏑木清方、川端康成、古賀春江、志賀直哉、澁澤龍彦、高村光太郎、竹久夢二、谷崎潤一郎、夏目漱石、西脇順三郎、萩原朔太郎…。世田谷美術館の現館長である著者の美的センスと学芸員としての経験によって綴られたエッセイからは、一筋縄ではいかない強烈な個性の近代日本を代表する文豪や詩人、画家たちの生き様と、当時の厳しい時代背景が目に浮かんできます。美術と文学が、たがいに照応し想像の刺激を共有しながら、時代の文化・藝術の思潮とも相互に関連をもって、じつに興味深い展開を示しています。
文豪や詩人、画家たちの精神が映し出されたサイドストーリーは、文学好き、アート好きどちらにも本を手にする喜び、絵を観る喜びに誘ってくれるものになっています。
この絵はどんな人が描いている?
皆さんは芸術家とはどのような人たちだと思いますか?気難しくて、頑固者、いつも一人孤独に作品の制作に打ち込んでいる。そのようなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
本書では、19世紀半ばから20世紀前半にかけて活躍した近代を代表する13人の画家が取り上げられています。日本における西洋美術研究の第一人者である筆者は、画家の性格や芸術上の特徴を象徴するエピソードを盛り込み、13人それぞれの強烈な個性、芸術家としての自意識の強さを伝えています。一方で筆者は、ゴッホやゴーギャン、アンリ・ルソーといった著名な画家についての一般的なイメージとは異なるエピソード、あるいは広く知られていない事実を取り上げることで、従来の通説とは異なる芸術家の実像を描き出しています。私は、現在広く知られている芸術家のイメージには創作、あるいは誇張されたものが多く含まれているのではと考えずにはいられませんでした。
有名な《睡蓮》や《ひまわり》を描いた画家がどんな人物であったのかという好奇心から、私は本書を読み始めました。そして、それまで興味がなかった画家についても、人となりを知ることで親近感を覚えるようになり、作品を意識して見るようになりました。絵画に興味があるけど難しそう、とっつきにくいと思う人にこそ、多くの画家や作品と出会うきっかけとしておすすめしたい一冊です。
昆虫は、この星で大成功している生き物である
『昆虫戯画 びっくり雑学辞典』 丸山 宗利/文・じゅえき太郎/漫画 大泉書店 (市立・成人 移動 楠・成人 486.0//18)
「えっ!」とおどろき、クスッと笑えてしまう昆虫の姿や生活を集めた本書。
ちょっとマヌケに見えてしまうような生き方にも意味があって、笑いの中にも感心してしまう生き抜く術があります。例えばアリ。アリと聞くと、クロアリ、白アリぐらいしか知らなかったのですが、巣のフタ役をするヒラズオオアリ、幼虫に糸を吐かせて巣を作るツムギアリ、見方を守るために捨て身の技があるバクダンオオアリと一括りにアリといっても個性豊かな生存方法があるのだと、「えっ!」とおどろきクスッと学べます。他にも、今が旬の蚊。蚊のメスが人間の血を吸うことはよく知られたことですが、ではオスは何を食しているのでしょうか。なんと花のミツ。なぜなのかは本書を探してみてください。
昆虫の辞典と聞くと生々しい写真を連想すると思いますが、本書ではカラーイラスト。それも、ゆるんだ表情に昆虫たちの特徴をとらえた一コマが描かれています。パラパラとイラストをめくるだけでも楽しく学べる一冊となっています。
お休みの日は全力で手を抜きたい
『休日が楽しみになる昼ごはん』 小田 真規子/著 文響社 (移動・成人 596//18)
お休みの日、自然に目覚めたら11時、なんてことありませんか?わたしはとてもよくあります。よく寝てすっきりした頭で起き上がり、ごはんを欲しがりまとわりつく猫にカリカリのエサとたっぷりのお水を補給。自分もコップ一杯の水をごくごくと。このルーティンが終わったら「さて、なにを食べよう?」と、うきうきした気持ちになります。遅めの朝ごはんでもあるし、早めお昼ごはんでもある、大事なお休みの最初のごはん。思い切り手を抜きたいけど、平日とは違った特別なものがいい。
この本はそんな時にぴったりです。ずぼらな著者さんのおかげで作り方はとっても簡単。なのに、「こんな組み合わせ方があったのか!」という脱帽なレシピがたくさん載っています。お休みの日はついついいい加減になってしまいがちだけど、ほんの少しアレンジするだけで充実した食卓になります。
ちなみにこの本に載っていたずぼらな裏ワザをご紹介。冷凍うどんは、電子レンジで3分ほどあたためればオッケーです。わたしは今まで律儀にお鍋にお湯を沸くまで待って、冷凍うどんがほぐれるまであたためていました。それがなかなか時間がかかり、手間でめんどうでした。この著者さんはそこまでも簡略化してしまうなんて!わたしは結婚してから料理を作るようになり、つまり今まで全くしてこなかったわけで、野菜の切り方、大匙小さじさえよくわからなかったのです。そこで読み込んだのがいろんなレシピ本。和食は和食でたくさんのレシピ本があるのですが、とにかく初心者なので、レシピ本に書いてあるとおりにしか作れませんでした。だけど、そろそろ自分なりにアレンジしたり簡略化できるようになりたい。この本はそんなときにもぴったりです。
ほどよく肩の力を抜いて休日のお昼ごはんを楽しみたい方、ぜひおすすめです。