図書館スタッフおすすめ本

はじめてのパソコンのイラッをズバリ!解決

 『はじめてのパソコンのイラッをズバリ!解決』 秀和システム (市立・成人 007.6/ /16)

 みなさんはこの本のタイトルどおり、パソコンが思いどおりに動かなくて「イラッ」としたことはありませんか?

 この本は、初心者の方はもちろん、中級者の方にも参考にしていただける入門書だと思います。入門書らしく、パソコンが思いどおりに動かない時、「やってはいけないコト・コレ!が原因・コレ!で解決」と、3段階で対応方法が解りやすく解説されています。自分でも当たり前のように、「やってはいけないコト!」をやってしまっていた事に、正直驚きました。

 みなさんの「イラッ!」が少しでも解決できるよう、ぜひ、この本をご活用ください。

俳句文学への入り口に

 『怖い俳句』 倉阪 鬼一郎/著 幻冬舎 (市立・成人 911.30/ /12)

 この本は、江戸から現代までの俳人の句を“怖さ”という視点から選び出した作品集です。

 作品はおおよその時代ごとに配置され、各々に鑑賞文が添えられています。まえがきに「照明を落とした美術館の回廊を巡っていくように、一句ずつ怖い俳句が目の前に現れていきます。」とありますが、なるほど、そのような歩調で読み進めるのが合いそうです。

 紹介される“怖い俳句”に、不吉さを忍ばせた情景・日常の中にある異空間・不気味な時代の空気・目を背けられないほどの痛み・果てしないものへの恐れ・この世とあの世とのゆらめきを思ったり、よくは解らないが何だかすごいフレーズだと驚いたりしながら、私はこの俳句集を読みました。そして“怖さ”が、俳句の魅力に触れさせてくれるとてもよい視点であることを感じました。

 文中で著者は、「読者を俳句の世界にいざなう「初めの一冊」になればとひそかに思いつつ、本書を執筆している」と書いています。
 俳句文学への入り口に、さまざまな俳人たちを知るきっかけに、私もこの本をオススメします。

オルゴールから聴こえてくるのは…


 『ありえないほどうるさいオルゴール店』 瀧羽麻子/著 幻冬舎 (市立・成人913.6/タキ/18)

 蓋や引き出しを開けると、心地よくてやさしいメロディーが流れ出すオルゴール。音楽に合わせて人形が動いたり、しかけを楽しめるものもあって、ついつい見入ってしまいますよね。私は、子供の頃にオルゴールに魅せられて、チャンスがあればオルゴールを買ってもらい、集めて楽しんでいた時期があったのを思い出しました。

 この物語は、北の町にある静かなオルゴール店と、そこにまるで引き寄せられるように訪れたお客さんとの物語です。店内にはたくさんのオルゴールがありますが、耳利きの職人である店主が、お客さんの好きなメロディーをオーダーメイドで作ってもくれるのです。耳利き…とは、一体どういう意味なんでしょう?どうやら店主は、心の音楽を聴き取ることができるようです。

 訪れるお客さんもちょっと訳ありな方々です。耳が聞こえないと医者から告げられた少年と手術に迷う母親や、仲間と一緒に追いかけていた音楽の夢をあきらめた少女。どうしても分かり合えることのなかった父の法事のために、故郷に帰ってきた男性など。そんなお客さんたちが手にしたオルゴールからは、まるで魔法のように人生に寄り添い、背中をそっと押してくれるような、あっと驚くメロディーが流れ出てきます。
 

 読者も、まるでオルゴールから音楽が聴こえてくるかのように、やさしい気持ちになれるそんな物語です。オルゴールが好きな方、音楽が好きな方、ちょっとお疲れ気味の方、よかったら読んでみませんか?

ほめちぎられたい方へ

 『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』 加藤光一/著 KADOKAWA (市立・成人 336.4/ /18)

 三重県にほめちぎる自動車教習所があります。そこは2013年にリニューアルし、ほめる指導を始めました。

 みなさんは、自動車教習所といえばどのようなイメージでしょうか。わたしの場合は、無表情のおじさんが助手席に座り、少しでも間違うようなら、思い切りブレーキを踏まれる(公道ではなく、まだコース内の段階においてです)。そして、評価には濃い鉛筆でバツ。座学の際には、一つでも聞き逃すと、本試験はおろか仮免試験にも受からないと脅されました。そんなイメージです。そして試験に落ちると、余計に追加料金がかかるシステムだったので、貧乏学生のわたしは、夏休みの間少々追い詰められながら、なんとか合格しました。

 なのでほめられた記憶は一度もありません。むしろ運転は苦手、というイメージがついてしまったので免許を取得してから10年目ですが一度も運転していません。運転しなくても電車でなんとかなる生活圏だったのですが、最近引っ越しをして不便になってしまいました。これを機会にペーパードライバーを卒業したいと思っています。

 運転においてもそうでなくても、ほめちぎられたいと思うわたしにとって、ここはぴったりな教習所かもしれません。ちなみに、この本の巻末には、ほめちぎる教習所がイチオシするほめ方10選が載っています。こちらは日常の中でも使えるものばかりなので、活用しようと思っています。

世界は奇跡に満ちている

 「バチカン奇跡調査官(シリーズ)」 藤木 稟/著 角川書店 (市立・成人 913.6/フシ/07~)
 
 カソリックの総本山・バチカン。ここではこの現代においても、“奇跡”の認定が行われています。「バチカン奇跡調査官」とは、この奇跡認定を求めて世界中から申請されて来る不可思議現象について、これをあらゆる角度から調査し、真に神の奇跡と認めてよいか否かを検証する任務を帯びた聖職者たちです。(注:この役職は作者のフィクションです。ただし、バチカンが奇跡認定を行っているのは本当です。)

 主役は、神父として、そして奇跡調査官としてバチカンに奉職する二人の青年。この二人がコンビとなって、毎回、申請のあった奇跡の現場へ赴き、協力しながら調査に当たるわけですが、そこにはその土地の歴史や民俗、宗教、様々な人間の思惑が絡み合って一筋縄ではいきません。果ては古い秘密結社やナチスの末裔なども暗躍し、命の危険にさらされることもしばしばです。果たして二人は、奇跡の真相に辿り着くことができるのか・・・というのが物語の大筋です。

 奇跡調査官は皆、何某かの分野のエキスパートで、主役の二人・平賀神父とロベルト神父もそれぞれ、医学・科学捜査の、あるいは暗号解読・民俗学の専門家です。この二人の奇跡調査を通じて、奇跡の起こったカラクリ(これが明らかにされるということは、すなわち真の奇跡ではないということなのですが(笑))のみならず、現地の現在の事情からそこに至るまでの歴史・民俗などが詳しく語られ、結果的にとても包括的で豊かな内容のミステリーになっています。

 また、二人の神父の世界に対する目が限りなく対等で誠実なためか、事件や過去の歴史事実など凄惨な描写が多いにも関わらず、作品全体に不思議な肯定感、優しさがあり、人は過ちも多く犯すけれど、希望がないわけではないなと感じさせてくれます。

 興味のある方はぜひご一読を。