図書館スタッフおすすめ本

読めば、小学生時代にタイムスリップ

『ランドセルしょって。』 k.m.p./著 メディアファクトリー (移動726.5/ /10)

小学生のあの頃を思い出す本です。

小学生時代、カサ一本の色んな持ち方を考案して、実行しては、ひとりでにんまりしてませんでしたか?
指一本で運んだり、カサの先を靴の中に入れて歩いたり、柄の部分に荷物をかけて運んだり・・・。

帰り道が楽しくて仕方なかったあの頃が、ページをめくるたびに鮮やかに蘇ります。

昔、小学生だったすべての大人に送る、ふっと笑える懐かしい気持ちになる本です。

 

パンケーキを読む

『パンケーキの歴史物語』 ケン・アルバーラ/著 原書房 (市立・成人383.8/ /13)

最近、テレビや雑誌などいたるところで目にするパンケーキ特集。
おいしそうなレシピ本を眺めるだけでも楽しいですが、こんな本を見つけました。

タイトルは『パンケーキの歴史物語』。

パンケーキとは何かといった定義から始まり、その歴史や様々な国のパンケーキ、祝祭の際に食べられるものからストリートフードとしてのパンケーキまで社会や文化との関係を交えながら分かりやすく説明されています。
日本からは「どら焼き」と「お好み焼き」がパンケーキのひとつとして紹介されているのはちょっとびっくり、新しい発見がいろいろありました。

この「お菓子の図書館 歴史物語」シリーズは他にも「ケーキ」、「アイスクリーム」「パイ」、「チョコレート」の4冊があるので次はどれを読もうか迷い中です。

 

大切なものは目に見えない...心の豊かさ・心の贅沢を探しもとめて♪

『美 「見えないものをみる」ということ』 福原義春/著 PHP研究所 (市立・成人914.6/フク/14)

 経済界随一の読書家で知られる資生堂の名誉会長が記した本書は、本当に美しいものが美しいと評価されているのだろうかといった素朴な疑問から始まる。リッチとは…心の豊かさ、心の贅沢…究極のエレガンスでもある。文化に造詣が深い著者が、影響を受けてきた多岐多様の本も引用しながら、音楽、美術、自然などのなかに潜むリッチなものを紹介し、効率性や経済性を重視する時代に警鐘を鳴らす。視覚だけでなく、五感のすべてで対象を感じるのが日本人なのである。本来日本人が持っていた、見えないものをみる感性を取り戻すにはどうしたらいいか…本書は人生のより深い味わい方を説いた次世代へのメッセージである。本書のみならず、本書で紹介されている文献についてもぜひとも読んでいただきたい。


 本書の記述の中で私が最も興味を示した箇所は、傳田光洋氏の研究だ。資生堂の皮膚科学の研究者である傳田氏は、鼓膜は聴覚で感じられる音しか聞いていないけれど、全身の肌はどう受けとめているのかという研究を行った。傳田氏の著作には、『皮膚感覚と人間のこころ』(新潮社)、『賢い皮膚』(筑摩書房)、『第三の脳』(朝日出版社)、『皮膚は考える』(岩波書店)などがある。最先端の研究成果を基礎に生命とこころの本質に迫るこれらの本からは、触覚や皮膚感覚についての新たな発見があることだろう。


 本書では、詩人の高橋順子氏が書いた『雨の名前』・『風の名前』・『花の名前』(小学館)が紹介されている。育花雨、甘雨、青時雨、御雷様雨、秋雨、御精霊雨、雨雪、風花…。玉風、毘嵐婆、雁渡、少女風、花信風、星の出入り…。桜、花王、馬酔木、蒲公英、菫…。このシリーズは、日本に伝わるそれぞえの名前を集めて、カラー写真・詩・エッセイでつづる写文集である。日本人は、昔から四季による自然の変化に敏感で、自然との触れ合いの中で、言葉も豊かに発達させてきた。しかしいま、自然の気配を敏感に感じ取る力や感じる機会が日本人から失われている。そして自然を表す言葉は急速に消えつつある。このシリーズを読んで私たちが本来持っていた感覚を取り戻してほしい。


傳田 光洋/著  
『皮膚感覚と人間のこころ』 新潮社 (市立・成人141.2/ /13)
『賢い皮膚 思考する最大の<臓器>』 筑摩書房 (市立・成人491.3/ /09)
『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』 朝日出版社 (市立・成人141.2/ /07)
『皮膚は考える』 岩波書店 (市立・書庫491.3/ /05)

高橋 順子/文,佐藤 秀明/写真  
『雨の名前』 小学館 (市立・書庫451.6/ /01)
『風の名前』 小学館 (市立・書庫451.4/ /02)
『花の名前』 小学館 (市立・書庫470/ /07)

 

奇妙な隣人たち

『ウイルス・プラネット』 カール・ジンマー/著 飛鳥新社 (市立・成人465.8/ /13)

 「ウイルス」・・・何とも不穏な響きです。不倶戴天の敵とはいかないまでも、あまりいい印象を持っていないという人が多いのではないでしょうか。しかし彼らは、ずっと昔から人類のすぐそばで、時にはとてつもなく大きな影響を及ぼし合いながら存在してきたのです。

 この本の中で紹介されているウイルスたちは、数えきれないほど存在するウイルスの種類の中の、ほんのいくつかにすぎません。ですが、その顔ぶれは実にバラエティーに富んでいます。大昔からの人類のおなじみさんから、ここ十数年の新顔、人を助けてくれるものもいれば、人を死に至らしめるものもいて、実にさまざまです。しかし共通して感じられるのは、われわれとの距離の意外な近さでしょうか。読んだ後、彼らウイルスたちに不思議な親近感を覚えてしまう、そんな本です。

『静かなノモンハン』

『静かなノモンハン』 伊藤 桂一/著 講談社 (市立・郷土作家 913.6/イト/郷土)


ノモンハン事件、昭和14年モンゴル・ソ連軍と日本・満州軍との極地的紛争、一説によると、日本・満州軍の戦死者:18,115名、負傷者・行方不明者:30,534名・合計48,649名。


 この作品は伊藤氏が、実際にノモンハン事件に参加した兵士から見聞し、戦記小説として生まれたものです。

 伊藤氏自身も出征兵士として、満7年間の軍務についた経験を基に、次々と戦友が戦死していく中、兵士たちがどのような気持ちで戦い、傷つき、死んでいったか。伊藤氏が同じ兵士の目線に立って見事に描いた作品です。


 特に印象的なのは、停戦後、戦場掃除(遺体回収)の命令をうけた鳥居少尉が「実に、みんな死んでしまった。みんな死んでしまったから、ここはいまこのように静かなのだという、しみじみとした思いです。」という一説です。


 伊藤氏もすでに90歳をこえられ、この戦いのみならず第二次世界大戦終了まで行われた数々の戦いを経験した兵士の多くは亡くなり、戦争経験を語れる人はどんどん減少しています。
 「戦争というものが、いかに悲惨で残酷なものであったか!」

それを風化させないためにも、現在の平和な日本に生まれた皆様に、ぜひご一読いただければと思う作品です。


※伊藤氏をはじめ四日市出身や四日市ゆかりの作家の作品は、市立図書館2階郷土作家コーナーで、貸出・閲覧できます。