図書館スタッフおすすめ本

奇妙な隣人たち

『ウイルス・プラネット』 カール・ジンマー/著 飛鳥新社 (市立・成人465.8/ /13)

 「ウイルス」・・・何とも不穏な響きです。不倶戴天の敵とはいかないまでも、あまりいい印象を持っていないという人が多いのではないでしょうか。しかし彼らは、ずっと昔から人類のすぐそばで、時にはとてつもなく大きな影響を及ぼし合いながら存在してきたのです。

 この本の中で紹介されているウイルスたちは、数えきれないほど存在するウイルスの種類の中の、ほんのいくつかにすぎません。ですが、その顔ぶれは実にバラエティーに富んでいます。大昔からの人類のおなじみさんから、ここ十数年の新顔、人を助けてくれるものもいれば、人を死に至らしめるものもいて、実にさまざまです。しかし共通して感じられるのは、われわれとの距離の意外な近さでしょうか。読んだ後、彼らウイルスたちに不思議な親近感を覚えてしまう、そんな本です。

『静かなノモンハン』

『静かなノモンハン』 伊藤 桂一/著 講談社 (市立・郷土作家 913.6/イト/郷土)


ノモンハン事件、昭和14年モンゴル・ソ連軍と日本・満州軍との極地的紛争、一説によると、日本・満州軍の戦死者:18,115名、負傷者・行方不明者:30,534名・合計48,649名。


 この作品は伊藤氏が、実際にノモンハン事件に参加した兵士から見聞し、戦記小説として生まれたものです。

 伊藤氏自身も出征兵士として、満7年間の軍務についた経験を基に、次々と戦友が戦死していく中、兵士たちがどのような気持ちで戦い、傷つき、死んでいったか。伊藤氏が同じ兵士の目線に立って見事に描いた作品です。


 特に印象的なのは、停戦後、戦場掃除(遺体回収)の命令をうけた鳥居少尉が「実に、みんな死んでしまった。みんな死んでしまったから、ここはいまこのように静かなのだという、しみじみとした思いです。」という一説です。


 伊藤氏もすでに90歳をこえられ、この戦いのみならず第二次世界大戦終了まで行われた数々の戦いを経験した兵士の多くは亡くなり、戦争経験を語れる人はどんどん減少しています。
 「戦争というものが、いかに悲惨で残酷なものであったか!」

それを風化させないためにも、現在の平和な日本に生まれた皆様に、ぜひご一読いただければと思う作品です。


※伊藤氏をはじめ四日市出身や四日市ゆかりの作家の作品は、市立図書館2階郷土作家コーナーで、貸出・閲覧できます。

肩の荷が下りて、楽にさせてくれた一冊

『大人の女の流儀』 辛淑玉/著 PHP研究所 (市立・成人159.6/ /12)

「人は自分の人生以外は背負えないのだ」
この一言が、すうっと私の中に入ってきた。そうなのです。
仕事のため、子どものため、あのため、このためと頑張っても、
だれも褒めてくれません。それどころか、煙たがられたりします。
もちろん、褒めてほしくてやっているわけではありません。
でも、ときどき虚しくなる時があります。
そんなときに、この一言を思い出します。
「大人の女の流儀」ちょっと引いてしまうタイトルですが、
かっこいいおんなになろう!!と言っているわけではありません。
頑張りすぎている女性に気軽に手に取ってほしい一冊です。
ちがう自分に出会えるはず!?
ところで、「大人」って、なんなんでしょう?

『夜と霧』 ― 人生があなたを待っている

『夜と霧 ドイツ強制収容所の記録』 V.E.フランクル/著 みすず書房  (市立・書庫946)
『夜と霧』(新版) V.E.フランクル/著 みすず書房 (市立・成人946/ /02)


 この本は、原題を『心理学者、強制収容所を体験する』といい、1946年に出版されました。
 初めて日本に紹介された1985年版、原著の改訂版を訳した新版ともに増刷を続けており、現在でも広く読まれている本です。
 精神科医であった著者のV.E.フランクルは、ユダヤ人であったためナチスに捕えられ、過酷な収容所生活を経験しました。その収容所での体験を一冊にまとめた本がこの『夜と霧』です。
 フランクルは、人生には無条件に意味があるとし、患者が人生の意味を見つける手助けをすることによって治療する「ロゴセラピー」を構想していました。しかし、その構想を発表する前に強制収容所へ連行されます。『夜と霧』では、極限の生活の中でフランクルがどのように生きる意味を見つけ生きのびたかが書かれており、人が生きていく上で人生の意味を見つけることの重要性を伝えてくれます。


 関連図書として、フランクルの心理学をわかりやすく説いた『フランクル心理学入門 どんな時も人生には意味がある』[市立・書庫 146.8/ /00]、綿密なインタビューによってフランクル夫妻の人生をたどる『人生があなたを待っている』[市立・成人 289/フラ/06]、東日本大震災を経て改めて「夜と霧」を読みなおす『フランクル『夜と霧』への旅』[市立・成人 946/  /12]、テレビ放送を書籍化した『フランクル『夜と霧』 絶望の果てに光がある』[あさけ 946/モロ/ ]などを図書館では所蔵しています。


 原著が刊行されて68年がたった今でも、色あせない魅力をもつ本です。

“三重の城を極める!”

『三重の山城ベスト50を歩く』
福井健二,竹田憲治,中井均/編 サンライズ出版 (市立・成人291.5/ /12 市立・地域L290/ /12)

先日、岐阜城へ行きましたが、暑いのにもかかわらず、たくさんの人たちが観光にきていて驚きました。
最近、お城ブームなのでしょうか?観光スポットとして有名なお城もありますし、関連書籍も数多く出版されています。
なかには、武将隊やご当地キャラクターなど、お城を一緒に盛り上げてくれる人やキャラクターが、人気になってきていますね。


時代小説を読んでいると、小説の中に出てきたお城に行ってみたくなりますし、実際に行く事も多々あります。
でも、近くの有名なお城は既に行ったことがあるし、遠方だとなかなか日帰りでは難しい。


そんななか、日帰りで行くことのできるお城はないかなあと探していると、『三重の山城ベスト50を歩く』という本を発見!

本をひらいてみると、難しい文章がずらりとならんでいます。
私には難しいなあと思っていましたが、築城の由来を見ていると地元に住んでいるのに意外と知らない事が多く、つい夢中になってしまいます。
アクセス地図ももちろん掲載されており、この地図がとてもわかりやすい。
主な遺構やお城の概要図等が掲載されており、上級者向けな内容もありますので、お城好きな方でも飽きない一冊となっております。


自分の身近な所に、昔はこんなお城があったのかと想像すると、わくわくします。
四日市市にも数か所、城跡がありますよ。
どこにあるのか、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、知らない方は、ぜひこの本を手にとって調べてみてください。


山城だけでなく、平城も掲載されているので、山城はちょっと大変と思われる方には、平城をおススメします。


そんな私も、この本を読んで、伊賀上野城や田丸城跡へ行ってきました。
伊賀上野城は、とても賑わっていましたし、田丸城跡には石垣があり、生垣のすぐそばには、蓮の花が咲いていて、とても綺麗でしたよ。
桜や紅葉で有名なお城もありますので、お花見ついでに、少しでも身近なお城に興味をもってみてはいかがでしょうか?


さて、次はどのお城に行こうかな。