図書館スタッフおすすめ本

間もなく箱根駅伝2017

 『魔法をかける  アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』 原 晋/著 講談社 (市立・成人)782.3/ /15

 先日、三重県内で行われた「全日本大学駅伝対校選手権大会2016」で見事逆転優勝した青山学院大学。2015年、2016年と連覇を果たし、常勝チームになった印象が強いですが、それまでの道のりは平たんではありませんでした。

 この本は、原監督が2015年の箱根駅伝に優勝した後に書かれた本です。
第1章を読んで、原監督は人の操縦法というか、モチベーションの高め方がうまい人だと思いました。サラリーマン時代に培ってきた手法を取り入れての一人ひとりに合った声掛け、信頼関係の構築、選手起用から外れた選手たちへのきちんとした説明責任を果たすことなど、普段の私たちの生活でも十分参考にできる内容です。

 間もなく箱根駅伝2017の時期がやってきます。今回はどんなドラマが繰り広げられるのか、楽しみです。

冬といえば鍋!

 『なんでも土鍋で! ひとり鍋派も、ファミリーもGinpo三島に全部おまかせ』
川上文代/著 小学館  (市立・成人 596/ /14、地域 L573/ /14)

 冬といえば鍋!四日市市は土鍋の国内生産量1位の焼き物のまち。私が初めて買った土鍋も萬古焼の「三島」という商品でした。

 この本は、その三島を生産している萬古焼メーカー銀峯陶器株式会社が協力して作った本です。
 土鍋は実は、煮るだけでなく、焼く・蒸す・炊くといった多彩な調理方法に対応できる万能な調理器具なのです。この本でもパエリアや煮込みハンバーグなど、およそ土鍋では作らなそうなメニューもたくさん紹介されています。

 ぜひぜひ萬古焼の土鍋を手に入れて、この本を見ながら、ほっこりあたたまる土鍋料理を作ってみませんか?

わからない?現代アートが…面白くなる!

『すべてのドアは、入り口である。 現代アートに親しむための6つのアクセス』
原田マハ・高橋瑞木/著 祥伝社 (市立・ 成人 702.0/ / 15)

 この本は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に半年間勤務した経験のある原田マハと、水戸芸術館現代美術センター主任学芸員である高橋瑞木による、現代アートについての対談と取材旅行のお話です。
 二人の現代アート談義が新しい世界への扉を開く!
第1のドア… 現代アートってなに?
第2のドア… 現代アートの楽しみかた
第3のドア… 二人が選ぶ今知っておきたいアーティスト
第4のドア… 美術館に行こう
第5のドア… 瀬戸内のアートと旅
第6のドア… 日本的風土と現代アート
 これが、アート・オタクの二人の会話を盗み聞きしているようで、実におもしろい。臨場感に溢れたタッチでリアルに描かれています。現代アートは理屈でわかろうとするモノではなくて、感性で面白いと思えるものだと痛感しました。
 この本は、二人の経験談や二人で見て回った現代アートについての話なので、感覚的な感想なども多くて、現代アートの解説に良くある観念的なテキストとは、一味ちがいます。
現代アートには食指が動かないかも…という人にこそ、ぜひ読んでほしい1冊です。

 原田マハが綴るアートの世界へ!
『楽園のカンヴァス』  原田マハ/著 新潮社 (市立・成人 913.6/ ハラ/12)
『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ/著 集英社 (市立・ 成人 913.6/ ハラ/13)
『モダン』 原田マハ/著 文藝春秋 (市立・成人 913.6/ハラ/15)
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ/著 新潮社 (市立・ 成人 913.6/ハラ/16)

 ルソー、マティス、ピカソ、セザンヌ、ゴッホ、モネ、ポロック、ワイエス…。原田マハが、アートについて記した小説も、併せてオススメします。
どの本も、アートの面白さや作品の魅力、巨匠たちが活躍した当時の歴史的背景が、判りやすい表現で丁寧に記されています。今までアートに興味を持てなかった方も、ぜひ一度読んでみてください。

「いいたいけど、いえない~よね」

 

  『面と向かって言えないひと言 一行詩』 吉村英夫/著 学陽書房 (市立・地域 L/36/) 

 仕事から自宅に帰り、着替えをして洗濯機にポイ、お酒も自分で作りゴクゴク、暑いから扇風機を自分のほうに向けて、一息ついてマイペースでゴロリ。しかし、最近家族から冷ややかな視線を送られていることに気づきました。「とうちゃん元気で留守がいい」って言われるかも? 言われているかも?
ちょっぴり心配になった時にこの本に出会いました。

 読みながら「うんうん その通り」「これも自分が言いたいことだ」と大笑いしたり、また自分の子どもに置き換えて「そう思っているのか」と感心したり、「わかってくれていたのか~」と嬉しくて目頭が熱くなったり、「なんでそう思うかな」とプンとしている自分がいました。その姿を見て家族が「大丈夫?」「ボケた?」「病院へ連れていってあげようか」などと言ってきました。この本を読む前なら「なにを言っとる」と怒っていたでしょうが、自分のことを気にしてくれているのだと少し嬉しくなりました。

 自分の気持ちを分かってもらうには、思っていることを発信しないと伝わらないですね。本音で話し合える家族が理想です。
ひと息つきたいときに、この本はいかがですか。

東京會舘を愛した人たち

 
 『東京會舘とわたし』上・下 辻村深月/著 (市立・成人 913.6/ツシ/16)
 『図書室で暮らしたい』 辻村深月/著 (市立・成人 914.6/ツシ/15)

 東京會舘といえば、芥川賞や直木賞の受賞記者会見が行われる会場としてご存知の方も多いのではないでしょうか。『東京會舘とわたし』(上・下)の主人公は、この建物「東京會舘」です。大正から昭和、そして平成という激動の時代を経験した東京會舘。その場所に関わり、その場所を愛したさまざまな人たち(作家・バーテンダー・菓子職人・結婚式を挙げた人など)の心あたたまる物語が時系列で描かれています。それぞれを短編として読むことも出来ますが、最後まで読んでいくとひとつの壮大な物語として完結します。訪れたこともない東京會舘が、まるで自分もその歴史をずっと見てきたかのように身近に感じられる読後感は、さすがと唸ってしまう辻村ワールドでした。

 直木賞作家である著者は、受賞前に東京會舘で結婚式を挙げたそうです。その時、“直木賞を受賞して戻ってきます”と告げ、4年後にそれは本当に実現しました。支配人はそれを覚えていて“おかえりなさいませ”と迎え入れたという感動的なエピソードもあり、東京會舘への愛が詰まった物語が誕生したのも納得です。

 初代を旧館(上巻)、そして建て替え後を新館(下巻)として記された、東京會舘の物語。
 同著者の「東京會舘の思い出」が収録されているエッセイ『図書室で暮らしたい』も併せてオススメします。