図書館スタッフおすすめ本
子供時代
「子供時代」 リュドミラ・ウリツカヤ/著 ウラジーミル・リュバロフ/絵 沼野 恭子/訳 新潮社
(市立・成人 983/ /15)
「子供時代」というタイトルにしては少し不気味な表紙に惹かれて手に取りました。
この本は、いまロシアでもっとも著名な現代作家の一人、リュドミラ・ウリツカヤによって書かれたものです。 第二次世界大戦が終わって間もないソビエト連邦を舞台に、子供たちの日常を描いた6つの短編集となっています。訳者のあとがきによると、この時代は「戦争の惨禍が痛々しく残る、生活するのも容易でない時期」であり、「スターリンがいよいよ独裁をゆるぎないものとした最終段階でもあった」そうです。
けれどもそうした困難な時代を背景とする一方で、どの話も最後にはあたたかな展開が待っており、中でも最後の一遍の結末はあざやかなものでした。また随所にある挿絵も、この作品の魅力の一つです。もともとこの物語のために描かれたものではないそうですが、絵と文章がそれぞれの作品を引き立てるものとなっています。
まずは表紙をご覧になり、気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
絵でみる江戸の町とくらし図鑑
「絵でみる江戸の町とくらし図鑑」 (市立・成人 210.5/ /11) 廣済堂あかつき株式会社出版事業部
この本は江戸の町の様子や武家の装束・庶民の着物、江戸三火消など当時の生活がイラストとともに解説されています。なかでも「庶民の生業」の章では、約80頁にわたり様々な商売が紹介されており、こんな仕事もあったんだと新しい発見がいっぱいでした。
ほのぼのとした温かみのあるイラストで細部まで丁寧に描かれているので、特に江戸の町の様子は絵を眺めるだけでも楽しめますよ。時代小説・時代劇が好きな人はぜひどうぞ。
姉妹編『絵でみる江戸の女子図鑑』 廣済堂出版 (市立・成人 384.6/ /15)もあります。
魚釣り入門 (海・川・湖の釣りを始めよう)
「魚釣り入門 海・川・湖の釣りを始めよう」 ケイエス企画 (市立・成人 787.1/ /13)
この本は、釣りを始めたいと思っている方にぜひお勧めの一冊です。
本書では、釣り人としての基礎知識や難解な釣り用語の解説、初心者からベテランまで知っておきたい様々なジャンルの釣法が、懇切丁寧に図解付きで紹介されています。この本をキッカケに海・川・湖といった大自然の中で、一度思いっきり釣りを楽しんでみませんか?人それぞれ、何かしら得るものがあるのではと思います。
三重県は近隣県から羨ましがられるほどの釣り天国で、ほとんど全てのジャンルの釣りが満喫できます。最初は、「おいしいからこの魚を釣ってみたい」といった思いつきで十分だと思います。ほとんどのベテラン釣り師も色々な思いつきで釣りを始め、やがて徐々に自分の好みのジャンルにはまっていくものです。また釣りには釣人の都合(例えば、職場の事情・自分の体力・予算等々)に合うジャンルが必ずあり、これもまた魅力の一つではないでしょうか。
最後になりますが、さて一度釣りを始めてみようと思うと色々な釣具を購入されることになると思います。竿・リール、多種多様な釣具に最初は戸惑うかもしれませんが、その中でぜひ一番最初に購入して頂きたい釣具があります。それはライフジャケット(救命胴衣)です。自然は時に残酷です。自分の身は自分で守るしかありません。ですがライフジャケットを着るだけで、ほとんどの危険は回避できます。
先ずは一度、安全に釣りを楽しみながら、魚との真剣勝負に挑戦してみてはいかがでしょうか。自分の思い通りに魚が釣れたら、本当に病み付きになりますよ。
わくわく感がつまってます
「うれしいおくりもの」 杉浦 さやか/著 池田書店 (市立・成人 385.9/ /14)(移動・成人 590/ /14)
プレゼントをもらったときって、すごく嬉しいですよね。
ラッピングを開いて、中から何が出てくるのか、ドキドキわくわくします。
カードのメッセージを読むと、もっと気持ちが温かくなったり。
でも、案外、プレゼントを選んでいるときの方が、わくわくしませんか?
親しい人にあげるときほど、悩み深くなることもありますが、喜んだ顔を想像するとがんばれちゃうんです
よね。
こちらの本は、そんなドキドキわくわく感がたくさんつまっている本です。
著者が贈ったり貰ったりしたプレゼントが、やさしいイラストと共に紹介されています。
イラストレーターの著者だけあって、ラッピングもかわいいので、眺めてるだけで楽しい気持ちになれますよ。
フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理
「フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理」 今橋 映子/著 中公新書 (市立・成人743.8/ /08)
人間が文書や絵画で表現するものは、それを描いた人の意見や思想を排除して、いかに客観的に表現したようであっても、そこにはその人の属する文化や何らかの意思がどこかに反映されていることは、多くの人にとって常識でしょう。
ところが、20世紀から今日に至るまで、芸術であれ報道であれ「写真」として表現されてきたものは、私たちは意識しないところで「真実」・「事実」として受け入れているのではないでしょうか。
有名な写真家(カルチェ・ブレッソンやロバート・キャパなど)の作品であれ、自分で撮った写真であれ、一方は芸術・報道の大家の作品で、一方はとるに足りない記念物かもしれませんが、そこに写っているのは客観的な事実であるということを前提にしているようです。
しかし、たとえ写真や映像であってもそれを意識するか否かは別にして、そこには撮影者の意思や意見、思想などが含まれているのではないでしょうか。 この本は筆者が文化人類学の観点から実際の写真を読み解き、その必要性を語っており、興味深い一冊です。